帰依(きえ)の意味とは?例文と大人の上手な使い方

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 帰依(きえ)の意味とは?例文と大人の上手な使い方

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難しい言葉を使いこなしたい
帰依(きえ)とは、神や仏あるいは僧侶の力を信じて従うという意味の言葉です。例えば「仏門に帰依する」という使い方をします。帰依のような言葉を上手く使えるようになったら、大人の雑学力はかなりのものです。この記事では帰依の意味や由来を始め、使い方と例文を紹介。帰依の類義語や熟語も解説します。

信じる心を表す「帰依」の意味と由来

帰依(きえ)は普段の生活の中で頻繁に聞く言葉ではありませんが、何かの機会に見聞きすることもあるでしょう。まずは、帰依の意味と由来から紹介していきます。

帰依の意味は大きく分けて2つ

帰依は一般的な意味と、仏教における意味の2種類があります。一般的な意味は「神や仏、高僧などすぐれた人物を信じて従い、全面的に頼ること」です。
一方の仏教における意味は「仏を信仰し、教えを乞うて仏教の教えのまま生きること」です。お釈迦様と同じ修行をすることで、悟りを開き、成仏を目指すのが仏教における帰依とされます。一般用語よりもかなり強く仏にすがる様が受け取れます。帰依の他にも「帰命(きみょう)」や「南無(なむ)」と表現されることもあります。

由来は帰命や南無にある

帰依と似た意味を持つ「帰命」の由来は、サンスクリット語の「namas(ナマス)」です。ナマスは「礼拝をする、敬う」といった意味を持ち、仏教語では「南無」と表すようになりました。葬儀などのお経で耳にする「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」は、阿弥陀仏に帰依するということを指します。つまり「私は阿弥陀さまを心から信じ、おすがりします」と表明することになります。日常生活の中で“帰依”という言葉を直接的に見聞きすることはなくとも、葬儀などの場面で気づかないうちに触れているかもしれません。

「帰依する」を使った例文

ここでは帰依の基本的な使い方と例文を紹介します。あまり使用頻度は高くないかもしれませんが、含蓄のある会話ができるかもしれません。

帰依の基本的な使い方は「帰依する」

帰依は語尾に「する」をつけて「帰依する」と使うのが一般的です。対象となるものは、神様、仏様、高僧など、自分が敬っているものです。「帰依する」の他には「帰依者」「帰依を誓った」「帰依を受けて」などの使い方もあります。

帰依を使った例文

基本的な「帰依する」を始めとした、「帰依」の使用例は次の通りです。
<帰依の例文>
  • 彼女は仏門に帰依するそうだ
  • 彼は伝教大師(最澄)の帰依者だ
  • 私は仏に帰依を誓った
  • 日本の寺院の中には、歴代将軍の帰依を受けて発展したものも少なくない
なお、一般人が「仏門に帰依すると決めた」などという表現を使った場合は、本当に出家をするのではなく、生活の中で仏を敬うことを意味します。

宗教別にみる、帰依の類義語・対義語

仏教やキリスト教において、帰依と似た意味を持つ言葉はいくつか存在します。ただし、言葉によって若干の違いがあるので、使う前にそれぞれの意味を理解しておくと良いかもしれません。ここでは仏教とキリスト教における帰依の類義語と、対義語について紹介します。

仏教における類義語

仏教で帰依と似た意味を持つ言葉は、主に次の4つがあります。
1.信仰(しんこう) 意味 神仏などを心の底から信じること
帰依との違い 「信仰心」などの言葉からも分かるように宗教的な意味合いが強く、感情や精神面を表している言葉
2.帰命(きみょう) 意味 自分の心身を仏に捧げ、従うこと
帰依との違い 純粋な仏教用語。仏に対してのみ使う
3.崇拝(すうはい) 意味 尊敬する人物や、宗教的な存在(仏や神)をあがめる・敬うこと
帰依との違い 「私は世界的ピアニストAさんを崇拝している」など、日常会話の中にも登場する言葉
4.信奉(しんぽう) 意味 宗教や学説、思想などを信じて従うこと、あがめ尊ぶこと
帰依との違い 意味は帰依に似ているが、対象となるものが異なる

主にキリスト教で使われる類義語

他の宗教でも、仏教の帰依と似た意味を持つ言葉が使われます。今回は、キリスト教で主に使われる2つの言葉を紹介します。
1.入信(にゅうしん) 意味 宗教を信仰し、その信者になること
帰依との違い 信仰のスタート地点のみをさしている
2.回心(かいしん) 意味 信仰の中で起こった心の大きな変化や、それに伴う行動や態度の変化のこと
※参考(回心を「えしん」と読むとき):仏教用語で不浄な心を正して仏道に帰依することを意味する

帰依との違い キリスト教で使われる言葉
※参考(回心を「えしん」と読むとき):心を改めることが前提である

直接的な対義語は存在しない

日本語は言葉が非常に多いことで知られていますが、実は帰依の直接的な対義語・反対語はありません。
ただし、帰依が「仏を敬うこと」なので、その反対の意味とすると「無宗教」が近い存在と考えられるでしょう。「無宗教」の定義は「仏教やキリスト教など、特定の宗教を信仰していない人・状態のこと」です。なお「信仰」の反対語は「棄教」で、「崇拝」の反対語は「軽侮(けいぶ)」とされます。
帰依に似た意味を持つ言葉や、反対語に近い言葉を探してみると、宗教用語や日本語の奥深さを感じられるかもしれません。

関連熟語「三帰依文」と「帰依三宝」

帰依の入った四字熟語「帰依三宝(きえさんぼう)」という言葉をご存知でしょうか。また、三帰依文(さんきえもん)の中にも帰依が登場します。ここでは、帰依にまつわるふたつの四字熟語について紹介していきます。

帰依は「三帰依文」に登場する

三帰依文は、今から約2,500年前のインドで誕生したお経です。当時は、お釈迦様の弟子として入門する儀式で唱えられていたそうです。その後、三帰依文は世界中の仏教徒によって大切に唱え続けられてきました。
この三帰依文の中に「自ら仏に帰依したてまつる」「自ら法に帰依したてまつる」「自ら僧に帰依したてまつる」という言葉があり、帰依が頻繁に登場します。

「帰依三宝」という四字熟語がある

三帰依文の「帰依したてまつる」の対象となっている「仏・法・僧」は、帰依三宝(きえさんぼう)と呼ばれます。帰依三宝とは、仏門に入って教えに従う、仏教徒としての基本的な条件を示したもので、四字熟語でもあります。
①仏
悟りを初めて開き、仏教の開祖となったお釈迦様のことです。世の幸せを願い、人々の教えを説いたお釈迦様は、仏教の世界において最大の宝と言えます。
②法
お釈迦様が説いた仏法や、悟り、教えのことです。これらは仏教において大切にされているため、宝の一つに数えられます。
③僧
厳しい修行をする集団を指します。僧はお釈迦様の教えを人々に正しく伝えるために必要な存在なので、宝の一つに数えられるのです。
帰依三宝は「仏・法・僧」という3つの教えに従うことを表した言葉です。三帰依文を唱えることは、「これら3つの宝を受け入れた上で帰依者になる」と誓うことを意味します。

「帰依」の理解が、人生観を深める一歩に

神仏を敬い、教えに沿って生きるという意味を持つ帰依は、正に「信じる心」を表す言葉です。自分が口にすることはなくても、意味を理解しておけば、テレビや本などで見かけたときにすんなりと理解できるはず。これを機会に他の気になる言葉も調べてみると、語彙が増えて、今後の人生観にも深みを与えてくれそうです。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。