人形供養ができる4つの方法。人形の供養で有名なお寺や神社

お葬式のマナー・基礎知識
人形供養ができる4つの方法。人形の供養で有名なお寺や神社

この記事はこんな方にオススメです

大切なお人形を手放したい
人形供養とは、大切なお人形を手放すときに今までの感謝の気持ちを込めておこなう祈りの儀式です。古くから今日まで、さまざまなお寺や神社で、雛人形や五月人形、縁起物、ぬいぐるみなどが供養されています。こちらの記事では人形供養の4種のやり方と費用、人形供養で有名な寺社、どんな人形が供養できるかをご紹介します。

人形供養について

大切な人形とお別れするときは、今までの感謝の気持ちを伝えたいもの。人形供養の意味や始まりを知ると、ものを大切にする日本人の心が感じられます。

人形供養の意味

供養とは、死者のあの世での幸せを祈ることです。古くから「人形には魂が宿る」という考え方があります。人形供養は人形やぬいぐるみを、まるで亡くなった人と同じように神社やお寺で供養して、お別れをします。

愛着のある人形を供養することで、手放すときの心の痛みや葛藤が和らぐ人も多いようです。

人形供養の始まり

人形供養の歴史は浅く、戦後急速に広まったと言われています。

人形供養のほかにも人形感謝祭などと呼び、供養を受け付けている寺社は全国にあります。特に有名なのは和歌山県の淡嶋神社(あわしまじんじゃ)で、3月3日の雛流しの神事で知られています。紀州徳川家から奉納された雛人形など、歴史ある人形が残っています。

人形供養の4つの方法

人形供養をする方法は、寺社、葬儀社、代行サービス、自分、の4種類があります。こちらでは、それぞれの流れを紹介します。

お寺・神社で人形供養する

お寺や神社で供養するときの一般的な流れは以下の通りです。

1.申し込みをする
2.人形を預ける
3.他の人形と一緒に並べられ、読経がおこなわれる
4.お焚き上げされる

寺社によって常に受けつけているところと、感謝祭のように期間限定のところがあるので、事前に確認してください。郵送も可能な寺社なら、離れていても供養を依頼できます。

葬儀社に供養を依頼する

人形供養をおこなっている葬儀社もあります。家族葬のファミーユでは、各ホールで不定期に「人形供養祭」を開催。僧侶を招き、ホール内の祭壇に人形を並べ、焼香をおこなってからお別れ(供養)します。

ホールによっては人形への感謝の気持ちを綴る「ありがとうカード」を配っており、お焚き上げのときに一緒に納めることも可能です。

開催状況は、下記のイベント情報ページをご確認ください。
【ファミーユのイベント情報】※人形供養祭ほか
開催内容やスケジュールは変更になる場合があります。事前のお問い合わせが確実です。

業者などの郵送・代行サービスを利用する

人形供養をしている業者や、一般社団法人「日本人形協会」を利用する場合は、申し込み後に届くキットで人形を郵送します。なかには出張引き取りをおこなっている業者もあるようです。

自分で人形を供養する

自分の手でお人形を供養する方法もあります。以下は一例です。

1.人形を綺麗に拭いて、乱れた髪を整える
2.白い布や和紙で人形を包む
3.感謝の気持ちを込めながら粗塩をふりかける

この後は、自治体のルールに従ってゴミ収集日に出します。結局はゴミとして捨てるので、気持ちが落ち着かない場合もあるでしょう。その際には寺社や教会などを訪れて、再度お別れのお祈りをすると少しは気が晴れるかもしれません。

人形供養の費用

お寺や寺社、葬儀社、業者・代行サービスなど、人形供養は方法によって費用が異なります。こちらでは費用の相場と、供養をする前に知っておきたいポイントを紹介します。

お寺・神社

人形を供養するほとんどの寺社が有料で、供養料はさまざまです。10cm以内は1,000円、30cm以内は3,000円、30cm以上または重さが1kg以上は5,000円など、多くは大きさや重さで料金が設定されています。その他、雛人形や五月人形は10,000円など、種類によって料金を設定している寺社も見受けられます。

寺社のHPなどに「お志(おこころざし)」と記されている場合は、金額はいくらでも構わないとされています。とはいえ、感謝の気持ちを表すために3,000円~5,000円ほどは包むのが一般的のようです。

葬儀社

寺社と同じく葬儀社も費用はさまざまです。人形の数に限らず一律500円~1,000円、もしくは1体あたり500円という価格設定がよく見られます。郵送で1箱で3,000円と設定している葬儀社もあります。人形とのお別れにも心を配る葬儀社は多くあります。

各地域の家族葬のファミーユホールでも、「人形供養祭」などの名称で供養をおこなっています。

業者・代行サービス

郵送で申し込む業者や代行サービスは、箱単位や箱のサイズで供養料が設定されていることが多いようです。送料は別で、申し込み者が負担するのが通例です。前述した一般社団法人「日本人形協会」は、1箱(袋) 5,000円と設定しています。

人形供養で有名なお寺と神社

千葉県の長福寿寺(ちょうふくじゅじ)、東京都の明治神宮、和歌山県の淡嶋神社は、人形供養をおこなっている寺社として特に有名です。こちらでは、それぞれの特徴を紹介します。

長福寿寺(千葉県)

人形供養を始めて400年という長福寿寺では、僧侶が3ヶ月もの間、読経供養をしてから火葬します。人形専用の火葬炉があり、プラスチック製でも供養できるところが特長。持ち込みと郵送どちらもOKで、365日受け付けています。

明治神宮(東京都)

平成元年(1989年)から、毎年秋に「人形感謝祭」が開催されてきた明治神宮。2019年には約7,000名が来場し、約42,000体もの人形が納められたそうです。しかし、コロナの影響で2020年から2年間は中止になっています。2022年は、10月2日(日)の開催が発表されました。思い出人形展も9月30日から3日間の実施予定です。

淡嶋神社(和歌山県)

和歌山市の郊外にある淡嶋神社では、前述の通り毎年3月3日に「雛流し」という神事がおこなわれています。「雛流し」は、願いごとを書いた人形を舟に乗せて送り出す行事です。全国からたくさんの女性が集まり、それぞれの想いを人形に託して見送っています。
自治体の感染症対策などで開催状況が変更になる場合があります。お出かけ前のご確認をおすすめします。

供養できる人形の種類

最後にどのようなお人形が供養できるのでしょうか。人形の種類と、それぞれの旅立ちの時期と理由を紹介します。

雛人形

雛人形は女の子が生まれたときに成長祈願で用意し、3月3日の雛祭りに飾るものです。元々は「人形(ひとがた)」として、その子の厄災を人形に移すことを目的としているため、1人にひとつ必要です。姉妹でシェアすることや代々受け継ぐものではありません。しかし、核家族で広さのあまりない住環境やもったいない精神のある現代では、親から子へ壇飾りや道具類などを引き継ぎ、お人形だけはその子のものを用意するなどで対応することが増えています。

雛人形は、女の子が大人になるとその役目を終えます。ですが、愛着のある場合は飾り続けて構いません。結婚や引っ越しなどをきっかけに飾らなくなったら、供養を検討するべきかもしれません。

五月人形

男の子が誕生したときに求められるのが五月人形や鎧兜(甲冑)です。5月5日のこどもの日に、男の子の健康と幸福、立身出世などの願いを込めて鯉のぼりと一緒に飾ります。雛人形と同じく、親から子へと引き継ぐことはしません。兄弟が複数いる場合も、基本的には1人ひとりにひとつずつ用意します。

ほかにも、お正月に飾る羽子板や破魔弓も人形の一部とされています。これら節句を祝う人形類は、子どもが成人を迎えたときや就職・結婚などで家を離れたときに供養されることが多いです。

日本人形

製法や材料、作られている地域などによって、いろいろな種類があります。雛人形に多いのが木目込人形や衣裳人形です。このほか、黒髪と振り袖姿が印象的な市松人形、木で作る『こけし』や『奈良人形』、土で作る『博多人形』など、実に多彩です。これらは代々受け継がれている価値の高いもの、祖父母や親に旅先などで買ってもらった思い出の詰まったものであることが考えられます。簡単に手放せないものであり、愛着が湧いているからこそ、供養が心の整理とお部屋の整理につながるという人もいます。

ぬいぐるみ

どんなときもそばにいてくれて、幼い頃から大事にしてきたぬいぐるみ。「亡くなったときに自分と一緒に棺に入れて欲しい」と願う人も多いですが、大きさや素材、火葬場の判断などによっては棺に入れる「副葬品」にできないことがあります。その場合は、後日人形供養に出す段取りをつけておくといいかもしれません。

感謝の気持ちを込めて人形とお別れしよう

同じ時間を過ごしてきた人形は、人生を見守ってくれた存在です。いろいろな思い出が詰まっているからこそ、最後まで愛を持ち、手放すときは感謝の気持ちを存分に伝えたいところです。納得のいく方法で人形供養をすることは「心のけじめ」にもつながるでしょう。本当に今手放して良いのかも含めて、よく考えてから供養してくださいね。