葬儀にネイルはマナー違反?オフ以外にできる対処法

お葬式のマナー・基礎知識
葬儀にネイルはマナー違反?オフ以外にできる対処法
葬儀において、目立つネイルはオフするのがマナーです。しかし訃報は突然訪れるため、ネイルをした直後に葬儀に参加しなければならなくなることも。この記事では、葬儀にまつわるネイルのマナーを紹介します。ネイルをオフせず葬儀に参列する方法や、自分でオフする方法、そのほかの身だしなみなどを詳しく解説するので、参考にしてください。

葬儀にネイルはマナー違反?

ネイルサロンに行った直後に、葬儀への参列が決まった場合、ネイルをオフするべきか否か迷うことがあるかもしれません。そんなときは、マナーを把握した上で、ネイルをどうするべきか決めるのがおすすめです。ここでは、葬儀に関するネイルのマナーについて紹介します。

葬儀ではネイルをしないことが基本マナー

葬儀のスタイルに関係なく、参列者はネイルをしないが基本です。葬儀では、落ち着いた服装がマナーとされ、派手な装飾品はふさわしくありません。ネイルは装飾品と同様の扱いになり、派手なデザインはマナー違反と捉えられます。ほかの参列者や遺族に嫌な思いをさせる可能性があるため、できればネイルはオフしてから葬儀に参列してください。

控えめなカラーやデザインであれば許容範囲

「仕事柄ネイルをしなければならない」という場合は、控えめなカラーを中心に選んでください。ベージュや薄ピンク、クリアなど、肌なじみの良いカラーは許容範囲ですが、ラメタイプは避けます。ラインストーンを始めとしたデコレーションも、葬儀にそぐわないと考えられます。また、長い爪は短く切って整え、清潔感を出すことも大切です。

故人との関係性も考慮して

ネイルをオフするか否かは、故人との関係性も考慮に入れます。両親や祖父母など、近い関係にある人の葬儀は、ネイルをオフする場合が多いです。はっきりとした決まりはありませんが、一般的なマナーを鑑み、参列者や遺族を不快にさせない身だしなみを意識するようにしてください。

ネイルをオフせずに葬儀に参列する方法

葬儀ではネイルオフが基本ですが、場合によってはすぐにオフできないこともあります。ここでは、ネイルをオフせずに葬儀に参列する方法を紹介します。適切な方法を取り入れて、身だしなみを整えてください。

黒い手袋を着ける

ネイルをオフせず隠したいときに役立つのが、黒い手袋です。日頃からネイルをすることが多い人は、黒い手袋を用意しておくと、急に葬儀に参列することになった場合も安心できます。
黒い手袋にもいろいろありますが、シルクの無地シースルータイプの利用が多いです。華美でなければ、レースをあしらったものもフォーマルな装いに入ります。暑い夏場でも網タイプはNGです。
仏教の葬儀で焼香をする際には、手袋を取るのがマナーですが、背中側にいる参列者からは手元が見えにくいため、ネイルに気付かれる可能性は低いです。神道やキリスト教など、宗教によってはとらなくてもよい場合もあります。

上からネイルポリッシュを塗る

どうしてもネイルをオフできないときは、ベージュのネイルポリッシュを重ねて隠す方法が役立ちます。落ち着いた風合いのベージュは、葬儀でも許容範囲とされています。なるべくマットなタイプのネイルポリッシュを選び、手元が目立たないようにするのがポイントです。
葬儀のために重ね塗りしたネイルポリッシュを落として、元の状態に戻す場合は、アセトンフリーのリムーバーを使ってください。アセトンが入っていなければ、ジェルネイルを残したまま、ネイルポリッシュだけを落とせます。

ネイルシールを貼る

専用のシールを貼り、ネイルが見えないようにするのも、有効な対処方法です。近年は、冠婚葬祭のために開発されたネイルシールもあるようです。ネイルポリッシュのようにリムーバーを使う必要がなく、剥がせばすぐに元の状態になれるため、葬儀のときだけネイルを隠すのに重宝します。
普段からネイルを楽しんでいる人は、突然の葬儀に対応できるよう、カバー用のネイルシールを1セット常備しておくのがおすすめ。ただし、ラインストーンなど、大きめのデコレーションがついたネイルの上に貼ると、シールが取れたり、形が歪んだりすることがあるので注意が必要です。

サロンに行かずに自分でネイルをオフする方法

葬儀のために、急いでネイルをオフしなければならない場合もありますよね。サロンに行く時間がない、なるべくコストをかけたくない、といったときは自分でオフも可能でしょう。オフの方法は、ネイルの種類によって異なります。ここでは種類別のネイルオフ方法を紹介します。

ジェルネイルの場合

剥がれにくく、落ちにくいジェルネイルは、すべてオフするまでに手間がかかることがあります。アセトンを含む専用リムーバーとネイルファイル、アルミホイル、ウッドスティックを準備し、丁寧にケアすることが大切です。
<ネイルオフの手順>
  1. ネイルファイルでジェルの表面を削る
  2. コットンを専用リムーバー浸し、ネイルに巻く
  3. リムーバーの蒸発を防ぐため、上からアルミホイルを巻く
  4. 15分ほど待機
  5. ウッドスティックでネイルを剥がす
  6. キューティクルオイルを塗り込んで、爪をケアする
無理にネイルを剥がすと、爪の表面に傷が付きます。無理な力を加えず、爪をいたわりながらゆっくり落としてください。

スカルプネイルの場合

スカルプネイルとは、自爪に人工爪を取り付けるタイプのネイルです。できればネイルサロンでオフする方が良いですが、セルフで落とす方法もあります。必要なものは、ジェルネイルの際と同様です。
<ネイルオフの手順>
  1. ネイルファイルでスカルプの表面を軽く削る
  2. リムーバーに浸したコットンをネイルに巻き、アルミホイルを上から被せる
  3. 15分ほど待機
  4. やわらかくなったスカルプをウッドスティックでゆっくり擦る
  5. ネイルファイルで表面を整える
  6. キューティクルオイルを塗ってケアをする
ジェルネイルと同じように、無理にスカルプを剥がすと爪を傷つけます。慎重に剥がすようにしてください。

ネイルポリッシュの場合

ネイルポリッシュとは、いわゆるマニキュアと呼ばれているものです。リムーバーがあれば、簡単に落とせます。爪の負担を抑えたい場合は、アセトンを含まないタイプのリムーバーがおすすめです。
<ネイルオフの手順>
  1. リムーバーを染み込ませたコットンを爪の上に乗せる
  2. リムーバーの蒸発を防ぐため、コットンの上からラップを巻く
  3. 2分ほど待機
  4. 爪先向かって引くようにコットンを動かし、ネイルポリッシュを拭き取る
  5. 手を洗った後、ハンドクリームやネイルオイルでケアする

ネイル以外にも気を付けたい葬儀の身だしなみ

葬儀に参列する際は、ネイル以外の身だしなみにも気を配ることが重要です。ここでは、葬儀のときに気を付けたい、身だしなみの基本について解説します。髪型やメイク、服装、それぞれのポイントをチェックして、葬儀にふさわしい格好を心がけてください。

髪型・髪色

髪型を整え、髪色に気を遣うことは、葬儀へ参列する際に意識しておきたいマナーです。基本的に、清潔感があり、落ち着いた雰囲気を感じられるスタイルにしてください。
ロングヘアはまとめて、顔にかかるのを防ぎます。ポニーテールにはせず、耳下の低い位置でまとめ、黒いゴムを使うのがポイントです。髪の色は、黒もしくは暗い茶色が好ましいですが、染める時間がないときは、黒染め用のスプレーを使用したり、ジェル状の整髪料で固めることで落ち着いた雰囲気になります。

メイク

葬儀には、「片化粧」と呼ばれるマナーがあります。片化粧とは、色味の薄いメイクをおこなうこと。ただし、ノーメイクはマナー違反となるため、注意が必要です。
ベースメイクは、厚くなりすぎないように気を付けて、マットな質感に仕上げます。チークを始めとしたカラーメイクは、なるべく色味を控えてください。パールやラメ入りのアイテムもマナーに反します。

アイメイクは、アイライナーや、派手な色のアイシャドウなどは使わず、ナチュラルなメイクを心がけます。まつ毛エクステ(まつエク)も本来は避けたいですが、急な時にはアイライナーやアイシャドウを使用しないことで派手になりすぎないように心がけてください。

服装

葬儀における女性の服装は、肌が露出しない黒のワンピースかスーツが基本。バッグや靴は、光沢がなく、落ち着いた質感の素材がふさわしいとされています。
足元はカジュアルになってしまう厚手のタイツは避け、ストッキングの黒を選びます。アクセサリーは結婚指輪以外身に付けないのが正式なマナーです。身に着けるのであれば、一連になったパールネックレスや、一粒ダイヤのイヤリングなどの中から、1点だけ選んでください。
以下の記事では、喪服の格式や着こなし方、喪服を着る前に知っておきたいマナーを詳しく解説しています。喪服の着こなしを知りたい人はぜひご覧ください。

葬儀に参列する時は、ネイルにも配慮を

葬儀に参列する際は、ネイルをオフするのが基本です。どうしてもネイルをオフしたくないときには、地味なネイルを重ね塗りする、専用シールを貼るなど、適切な対処することが大切です。葬儀はあくまでも故人を偲ぶ場となります。ほかの参列者や遺族への配慮を忘れずにご参列ください。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。