家族葬で弔電は送っても良い?喪主は受け取るべき?【判断基準と文例】

お葬式のマナー・基礎知識
家族葬で弔電は送っても良い?喪主は受け取るべき?【判断基準と文例】

この記事はこんな方におすすめです

家族葬に弔電を送っても問題ないか知りたい人
家族葬での弔電に関するマナーを知りたい人
弔電とは、葬儀に参列できない場合に遺族宛に送る電報のこと。家族葬で弔電を送りたい場合は、まず遺族の意向を確認し、一般的なマナーを守って送ることが大切です。この記事では、家族葬の場合に弔電を送る判断基準を説明し、弔電を送る場合の参列者向けのマナーについても紹介します。併せて弔電を辞退したい場合の喪主向けのマナーもお伝えします。

お悔やみの言葉を伝えたいときに送る弔電とは

弔電とは、遺族にお悔やみの言葉を伝えるために送る電報のことを言います。訃報を知ったものの、事情があって葬儀に参列できないときに送るものです。なお、通夜または葬儀・告別式のどちらかに参列するのであれば、送る必要はありません。
家族葬であっても、基本的な内容やマナー、送り方は一般葬の場合と同じです。弔電について詳しくは、こちらの記事で紹介しています。

家族葬で弔電を送っても良い?

家族葬の場合も、基本的には一般葬と同じように弔電を送って構いません。ただし、家族葬は身内のみで静かに故人を見送りたいという遺族が多いため、弔電や香典・供花などは辞退するケースもよくみられます。遺族から訃報の連絡があった際に弔電を送って良いか確認し、辞退する旨の案内があった場合は送るのは控えてください。
たとえ心がこもった内容であっても、遺族の考えを尊重しないのは失礼にあたります。人づてに訃報を知り、遺族の意向が分からない場合は確認した方が無難です。

【参列者向け】家族葬での弔電の送り方と文例

弔電は通夜に間に合うように、喪主宛に送るのが基本です。弔電を送るタイミングや送り方、故人との関係別の文例を紹介します。

送るタイミング

弔電は、訃報を知り参列できないことが分かった時点ですぐに手配します。基本的には、通夜に間に合うように送るのが望ましいとされています。通夜が難しくても、葬儀・告別式が始まるまでには届くように手配してください。葬儀・告別式の中で弔電を読み上げることが多いので、なるべく開式までに余裕を持って届くようにします。
葬儀に間に合わない場合や後から訃報を知った場合は、葬儀の後に別のタイミングでお悔やみを伝える、手紙を出すなど、遺族に負担のない方法を考えることが大切です。

弔電の送り方

弔電はNTTなどの通信会社へ電話やインターネットで申し込むか、郵便局のレタックスというサービスを利用してインターネットや郵便窓口にて送付できます。料金は種類によって異なりますが、3,000〜5,000円くらいが相場です。
宛先は喪主宛に「〇〇様方」とし、お通夜や葬儀がおこなわれる斎場に届くように指定します。喪主が誰か分からない場合は、「故△△(故人の名前)様ご遺族様」とします。差出人は自分のフルネーム、仕事関係の場合は会社名を添えるのが通例です。連名で送る場合は、2〜3人なら目上の人から名前を連ねる、会社からなどで3人より多くなる場合は「〇〇会社 △△部 一同」のように記します。
なお、会社から送る場合、弔電をどこまでの関係性の人に送るべきかは社内ルールを確認し、規定がなければ関係の深さから判断するようにしてください。

関係別の文例

弔電を送る際は、忌み言葉に気を付け、故人に対しては喪主から見た関係での敬称を用います。シンプルながらも想いが伝わる文面が好まれます。
<祖母が亡くなった場合の文例>
「突然のお知らせに悲しみでいっぱいです。いつも美味しいごちそうと一緒に素敵な笑顔で迎えてくれたおばあちゃん。感謝の心でお見送りさせていただきます。」
<おじが亡くなった場合の文例>
「ご逝去を悼み、心よりお悔み申し上げます。小学生のころ海へドライブに連れて行ってもらったことをおじさんの優しい笑顔とともに思い出しました。心よりご冥福をお祈りいたしております。」
<友人が亡くなった場合の文例>
「突然の悲しい知らせに驚くばかりです。生前のお姿を思い出し、悲しみにたえません。どうか安らかな旅立ちでありますよう、心よりお祈り申し上げます。」
そのほかの文例は、こちらの記事でも紹介しています。

【喪主向け】家族葬で弔電を辞退する場合の対応

身内のみでしめやかに葬儀をおこないたいと考える家族葬では、弔電を辞退する例も少なくありません。辞退する場合は事前に周知しつつも、送られてきたら快く受け取ります。弔電を辞退する場合の知らせ方、辞退したにも関わらず送られてきた場合の対応を紹介します。

辞退するときの知らせ方

弔電を辞退したい場合は、事前に伝えるのがマナーです。訃報を伝えるタイミングで一緒に辞退する旨を伝えておけば、失礼にはあたりません。また、連絡先の混乱を防ぐことができます。
<電話で伝える場合>
故人の逝去の知らせと家族葬でおこなうことを伝えた後に、「弔電や香典などは故人の遺志により、勝手を申しますがご遠慮させていただきます」といったように言い添えるとスマートです。
<ハガキやメールで伝える場合>
家族葬で葬儀を執りおこなうことを記載した上で、「誠に勝手ながら、香典や弔電、供花などのご厚意につきましては謹んで辞退申し上げます」と書き添えます。

辞退を伝えても送られてきた場合

弔電を辞退する旨がうまく伝わらずに送られてきた場合は、かたくなに断るよりも相手の意志を汲んで受けるのが無難です。参列できないときは弔電を送るのが礼儀であると考えている人もいるため、送られてくることも想定し対応を考えておきたいもの。相手は弔電を送ることでお悔やみの気持ちを伝えようとしてくれているので、快く受け取った方がトラブルになりません。

弔電を受け取った場合のマナー

弔電を受け取った場合は、お礼状を送るのがマナーです。香典はなしで弔電のみを受け取った場合は特にお礼の品を添える必要はなく、ハガキや白い便箋・封筒で感謝の気持ちだけ伝えれば大丈夫です。
お礼状の書き方は、毛筆の名残で句読点は使わず、縦書きにします。送るタイミングは、葬儀後一週間以内が望ましいとされています。
<お礼状の文例>
謹啓 このたびは 亡父 ◯◯儀の葬儀に際し ご多用な中ご丁寧な弔電を賜り誠にありがとうございました
おかげさまで葬儀も滞りなく終えられたことをご報告いたします
亡父への生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに 
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして謹んでお礼申し上げます
謹白

弔電を辞退された場合にお悔やみの気持ちを伝える方法

弔電以外にも、供花、供物を送ったり、弔問や電話、手紙などでお悔やみの言葉を伝えたりすることができます。弔電を辞退された場合に、哀悼の意を表す方法を紹介します。

供花・供物を送る

弔電を辞退されても、供花や供物をおくることでお悔やみの気持ちを伝えることができます。ただし、弔電を控えるような状況では香典や供物も負担になることが予想されます。遺族に気持ちとして送りたい旨を伝えた上で手配するようにしましょう。

後日訪問する

葬儀後、自宅に訪問してお悔やみを伝える方法です。葬儀直後は慌ただしいため、葬儀から一週間以上は空けるようにし、必ず事前に遺族に電話などで弔問しても良いか確認した上でおこないます。なお、弔問は遺族に負担をかけるため、遺族の状況を一番に考えるとなるべく控えた方が良い方法です。
もし弔問することになったら、当日は遺族に不快を与えないシンプルで落ち着いた服装で向かいます。香典を持参したい場合は、日時の相談の際に一緒に確認しておいてください。

お悔やみ状を出す

葬儀に参列できなかった場合に、遺族宛に故人の死を悼む言葉を手紙で届けるのがお悔やみ状です。葬儀から一週間前後で届くように送ると良いとされています。白などのシンプルな色の便箋・封筒を選び、不吉な言い回しは避けて、故人への弔意と遺族へのいたわりの言葉を綴ります。
お悔やみ状の書き方・マナーについては、こちらの記事を参考にしてください。

電話やメールで伝える

電話やメールで訃報を受けた際の返事として、お悔やみの言葉をかける方法です。葬儀の後に知った場合も、親しい間柄であれば電話やメールで伝えても問題ありません。ただし、どんなに親しくとも、お悔やみの言葉を伝える際は丁寧な言葉を意識し、相手の状況を考え簡潔な言葉を選ぶのがマナーです。特にメールの場合は、普段の雰囲気のまま顔文字や絵文字を使ってしまわないよう注意が必要です。
メールでお悔やみの言葉をかける方法については、こちらの記事で紹介しています。

弔電は家族葬でお悔やみの気持ちを伝える方法のひとつ

近親者のみで執りおこなう家族葬で参列を控える場合には、弔電でお悔やみの言葉を伝えることができます。ただし送っても良いかは遺族の意向を尊重して判断してください。送る側も辞退する側も、相手の気持ちを第一に考えることが大切です。弔電を辞退された場合は、遺族の負担にならないほかの方法でお悔やみの気持ちを伝えてみてください。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)

接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)