家族葬で香典の代わりに何を贈る?相場やマナー、注意点も解説
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
家族葬で香典の代わりに贈れるものを知りたい
香典代わりの贈り物の費用相場を知りたい
家族葬で香典の代わりに贈る品物には、果物やお菓子、線香、ろうそくなどが挙げられます。ただし、遺族の状況や宗教によってふさわしい品物は変わるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。本記事では家族葬で香典の代わりに贈る品物や相場、マナーなどについて解説します。
目次
家族葬で香典の代わりに贈るおすすめの品物
家族葬では、お返しの負担を考えて香典を辞退するケースも少なくありません。香典辞退はしていても、お供え物について辞退していない場合は、香典の代わりになるものを贈ることもできます。
仏式の葬儀がおこなわれる場合は、五供(ごくう)とされる香・花・灯燭(とうしょく)・水・飲食(おんじき)を選ぶのが基本。また、花や飲食物はほかの宗教でも贈れます。ここでは、香典の代わりとしておすすめの品物を紹介するので、参考にしてみてください。
①線香
手を合わせた人や周囲の人の心身を清めると考えられている線香は、香典代わりの品物の定番です。葬儀後も故人を供養するために使えるので、利便性の面でも重宝されるでしょう。
遺族へ贈る線香は、「贈答用」・「進物用」を選ぶのがマナー。煙の量や香りを選択できるため、どのようなものが遺族にふさわしいか考えて決めるのがおすすめです。
なお、線香は「香りが仏の食事になる」という考えから香食(こうじき)と呼ばれることもあり、仏教的な意味合いが強いとされています。神道やキリスト教の場合、仏教との結びつきが強い線香は不適切と捉えられるので避けてください。
お供えする線香の選び方について、具体的に知りたい方は次の記事を参考にしてください。
お供えする線香の選び方|かけ紙の書き方やマナー【基礎知識】 -
仏壇やお墓などにお供えする線香。訃報を知ったタイミングや初盆など、弔意を表すために線香を贈るシーンは多々あります。故人やご遺族に気持ちを伝える贈答用線香の選び方や渡し方、マナーを紹介します。ご遺族の負担にならないよう、基本をおさえた上で贈ることが大切です。
②供花
供花とは、お供物として葬儀の会場に飾る花のこと。宗教によって花の種類やタイプが異なります。
【宗教別の供花】
仏教 | タイプ | フラワースタンド、籠入りのフラワーアレンジメント |
---|---|---|
色 | 白が基本 淡い紫やピンク、青で差し色を入れることもある
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|
種類 | 菊、ユリ、蘭など | |
神道 | タイプ | フラワースタンド、籠入りのフラワーアレンジメント |
色 | 白 | |
種類 | 菊、ユリ、カーネーションなど | |
キリスト教 | タイプ | 籠入りの生花のフラワーアレンジメント |
色 | 白以外に色花を用いることもある | |
種類 | 蘭、ユリ、カーネーションなど |
基本的に、故人が生前好んでいた色や華美過ぎない色の花を選べば問題ありません。また、トゲがなく、香りが強過ぎない花であることも重要です。地域によっても違いがあるので、不安な場合は地域の慣習に詳しい親族などに相談してください。
家族葬で供花を贈る手順
家族葬にどのような供花を選べばよいのかわからないという人もいるでしょう。ここでは供花の準備から手配までを解説していきます。
③ろうそく
ろうそくは、蜜蝋など特別な素材で作られたものが喜ばれる傾向があります。花の絵が入ったろうそくなら、供花の意味も込めて贈れるでしょう。
ただし、ろうそくの火は仏様の慈悲を象徴し、故人と世の中の心を照らすと考えられています。主に仏教の供養で用いられるものなので、神道やキリスト教の場合は贈らないように注意してください。
④水(お茶やお酒など)
お茶やお酒など、故人が生前に好んで飲んでいたものを贈る場合もあります。保管の負担を減らすため、常温保存できる飲み物を選ぶのが一般的です。
仏教の場合、お酒は避けた方が良いと言われているため注意が必要。また、仏教のなかでも、浄土真宗系には「お供物に水を使わない」という考え方があります。なぜなら、仏の世界には八功徳水(はっくどくすい)と呼ばれる功徳を備えた水があるとされているからです。そのため、相手が浄土真宗系であれば、飲み物のお供物は避ける必要があります。
神道では、お酒は神聖なものとされているため、贈っても差し支えありません。ただし、お供えした後はみんなで分けるので、遺族がお酒を飲まないのであれば迷惑になる可能性があります。遺族の事情も踏まえた上で決めてください。
なお、大量の飲み物はスペースの邪魔になることも少なくありません。飲み物の形をしたお供え用のろうそくもあるため、状況を見ながら選ぶのがおすすめです。
⑤果物やお菓子など
飲食としては、果物やお菓子をはじめとした常温で保管できるものが適切です。果物は、旬を意識しつつ故人が好きだったものを選ぶと良いでしょう。スーパーマーケットや百貨店などでは、お供えのために作られた贈答用の果物セットを販売しているので利用してみてはいかがでしょうか。
お菓子は、みんなで分けやすい個包装された焼き菓子が人気です。夏なら、冷やして美味しく食べられるゼリーもおすすめ。生菓子は賞味期限が短いため、香典代わりとして贈るのにはふさわしくありません。
なお、仏教では「四つ足生臭もの」と呼ばれる肉や海産物は避けるべきとされています。神道なら、肉や海産物もお供物として贈っても問題はありません。
お菓子の選び方はこちらから▶「お通夜・法事に持参したい日持ちするお菓子」
家族葬で香典の代わりに贈る品物の相場
供花を贈る場合は、スタンドフラワーは二基が2万円~3万円、フラワーアレンジメントや花束なら5千円〜2万円程度が相場となります。線香や果物、お菓子は5千円〜1万5千円が相場です。遺族との関係性で贈る品物の金額も変わります。あまり高額な品物だと遺族の負担になるため、相場を踏まえた上で検討してください。
【家族葬】香典に代わる品物を贈るときのマナー
香典の代わりに品物を準備する際は、贈っても良いか確認する、かけ紙をつけるなど、贈り先への配慮が欠かせません。そこで、ここからは品物を贈るときの基本的なマナーを紹介します。
贈っても問題ないか遺族に確認する
香典を辞退している場合は、代わりの品物を贈っても良いか確認する必要があります。連絡もなしに品物を贈ると、受け取りや式場のレイアウトの変更など急な対応をさせてしまい、遺族側に負担をかける可能性もあります。贈っても良いと言われたときだけ品物の手配をしてください。
かけ紙をつける
贈る品物には、かけ紙をつけるのがマナーです。配送する場合は、かけ紙が破損しないように包装紙の内側に、手渡しの場合は誰が贈ったか一目で分かるように外側にかけ紙をつけてください。
仏教の場合、表書きは香典と同様です。多くの宗派で四十九日前は「御霊前」、四十九日後は「御仏前」ですが、「御供」なら宗派やタイミングを選ばずに使えます。
水引は、繰り返したくない行事で使われる黒白の結び切りを使用。水引の下部中央に、贈り主の名前を入れます。地域や宗教、宗派によって表書きや水引が異なる場合もあるため、親族や葬儀社に相談すると安心です。
知っておきたいお供えのポイント
お供えは、どんなものを持っていくかだけではなく渡すタイミングやかけ紙にも悩みますよね。ここからは、お供えに関してよく疑問に思われるポイントを解説していきます。
贈るタイミングや贈り先に配慮する
事前に家族葬をおこなうと連絡をもらったときは、通夜当日の午前中までに品物を手配します。葬儀場での葬儀の場合、自宅に贈ると遺族が葬儀場まで持って行く手間が増えるので、直接式場へ配送してください。遺族経由で、お供え物が届くことを葬儀社に伝えてもらうと良いでしょう。
喪中はがきで訃報を知った場合や、何らかの事情で葬儀に参列できなかった場合は、日にちが経ってから香典の代わりとして品物を贈ることもあります。後日香典代わりの品物を手配する際は、初七日の法要が終わるまで待つのが基本です。
遺族は、葬儀直後もさまざまな手続きをする必要があり、心労も重なって十分に休まる時間がありません。初七日後の一息ついたタイミングなら、遺族に負担をかけるのを避けられます。
初七日とは
ある人が亡くなってから初めての法要のことを「初七日」と呼びます。文字通り亡くなった日から7日後を指す言葉ですが、そもそもどんな由来があるのでしょうか。
手渡しの場合は手短にお悔やみの言葉を伝える
香典に代わる品物を遺族へ直接手渡しする場合は、お悔やみの言葉を添えます。葬儀当日の遺族は何かと忙しいので、時間をかけないよう簡潔に伝えてください。例えば「この度は、心からお悔やみ申し上げます。御霊前にお供えください」など手短な言葉を添えると良いでしょう。
香典の代わりに家族葬用の品物を贈る際の注意点
香典の代わりに品物を贈る際には、宗教による違いや遺族の気持ちに配慮する必要があります。ここでは主な注意点を紹介するので、参考にしてみてください。
宗教による違いに気を付ける
仏教や神道、キリスト教など、宗教による違いに配慮することを忘れずに。前述の通り、線香やろうそくのように仏教の意味合いが強いものは、神道やキリスト教にはふさわしくありません。
仏教の場合は、お酒に加え、殺生を想起させる肉類や海産物などの生物も避けます。キリスト教は、そもそもお供え物の習慣がないので、生花を贈るのが一般的です。
香典の代わりも辞退されたら遺族の気持ちを尊重する
遺族によっては「わざわざ手間をかけるのは申しわけない」と考えて、香典代わりの品物も辞退することがあります。訃報を知りながら何もせずにいるのは心苦しいかもしれませんが、遺族の気持ちを尊重することが最も重要。辞退の旨を伝えられたら、何も贈らないでおくのが礼儀です。
香典の代わりにふさわしい品物を家族葬のために選ぼう
家族葬では香典を辞退するケースがありますが、訃報を知ったら故人のために何かしらの品物を贈りたいと思うのは自然なこと。品物を贈る場合は、遺族の状況や宗教への配慮を欠かさないことが大切です。故人への哀悼の気持ちを込めて、香典の代わりにふさわしいものを選んではいかがでしょうか。
監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)
接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)