エンディングノートは人生の記録。ノートを書くメリットや書き方

終活
エンディングノートは人生の記録。ノートを書くメリットや書き方
「終活」という言葉が定着してきた昨今、「エンディングノート」という言葉もよく聞かれるようになりました。エンディングノートは、人生のラストステージに向けた準備。細かく記載していくことで、自身の人生を振り返ることができます。ここでは、エンディングノートの概要やメリット、さらには書き方のポイントまで紹介します。

エンディングノートとはどんなもの?

日本は、2040年には全人口の約40%が65歳以上になると見込まれる「超高齢化社会」。充実したシニアライフを目指す人はもちろん、死後まで見据えた「終活」を行う人も少なくはありません。

エンディングノートは、いつか来る死に備えるための終活ツールの1つ。ここでは、エンディングノートとはどんなものかを具体的にご紹介します。

自身の人生を振り返るノート

エンディングノートとは、自身の人生を振り返り、残された家族達に大切な想いを伝えるためのノートです。「自身の人生の整理、記録、棚卸し」「死への準備」が主な目的で、誰でも自由に書くことができます。

エンディングノートは本屋や文房具屋で好みのものを探せるほか、無料配布する自治体もあるなど、比較的容易に入手可能です。使いやすそうなエンディングノートを見つけて、気軽に始めてみるとよいですね。

形式は自由

エンディングノートには、決められた形式や様式はありません。前述のとおり本屋や文房具屋で既成のものを購入できますが、すでに持っているノートを使ってもよいでしょう。
また、近年は管理のしやすさから、クラウド型のエンディングノートも人気を集めています。これを使えば、スマホやタブレットから自由に書き込み・更新ができますよ。
家族葬のファミーユでもご希望の方へ無料でエンディングノート(未来ノート)を差し上げています。

遺言状との違い

エンディングノートを「遺言状」と混同している人が散見されますが、エンディングノートには「法的拘束力」がありません。そのため、相続に関する希望などを書き残しても、その通り実行される保証は無いと考えましょう。

財産分与など法律が絡む問題に関しては、形式に従った遺言状の作成が必要です。エンディングノートを活用するならば、遺言状を作成した後。ノートに「正式な遺言状を作成済み」であることを記載しておけば、家族が遺言状を確認できます。

エンディングノートを書くタイミング

現在病気や怪我と全く無縁なら、「死」というものは遠くに感じてしまいますよね。遙か先を見据えたエンディングノートを書く場合、どのようなタイミングで始めるのがよいのでしょうか。

書きたいと思った時がベスト

エンディングノートは、「書きたい」と思いたった時が始め時。早すぎる、遅すぎるということはありません。修正や追加も自由なので、将来どうなるかわからなかったり確証が無かったりすることも「今はこう思う」というスタンスで記入するとよいでしょう。

情報は更新が必要

エンディングノートは、「一度記入したら終わり」というものではありません。個人の環境や状況は月日と共に変化していくもの。本当に自身の意向に沿ったノートに仕上げたいなら、定期的に記載内容を見直していく必要があるでしょう。

一年の節目に書くなどしても◯

「エンディングノートを書くのを忘れがち」という人は、日を決めて定期的に書くとよいでしょう。

書くのはいつでもよいですが、自身が覚えやすく気分が乗りやすい時がベスト。例えば年齢が1つ増える「誕生日」、新しい年が幕を開ける「元旦」などは、忘れにくく書きやすいタイミングと言えるのではないでしょうか。

エンディングノートを書くメリットとは

エンディングノートに法的拘束力はありませんが、書きたいことを好きなように記すことができます。そしてこの「自由度の高さ」こそが、エンディングノートの魅力といえるでしょう。ここでは、エンディングノートを書くことで具体的にどのようなメリットがあるのかを考察します。

死後の希望を伝えられる

エンディングノートを書けば、自身の死後の葬儀や埋葬などについての希望を残された家族に伝えることができます。葬儀のスタイルやお墓の問題は、すべて自身の死後の話。通常は家族任せになってしまいますが、「葬儀はこんな風にしたい」「お墓は不要」など、しっかりしたビジョンを持っている人もいるでしょう。

エンディングノートは、自身が持つ死後の理想を残された家族に伝えるための大切なノートです。葬儀の段取りやお墓の要望など細かく記載しておくことで、より理想的な「最期」を迎えられるでしょう。

死に対する気持ちの整理ができる

健康状態がよいうちは、自身の死後を想像しがたいという人も多いのではないでしょうか。エンディングノートを書くという作業は、いずれ迎える死とゆっくりと向き合うチャンス。定期的に記述していくことで死に対する恐怖や悲しみが整理され、死を身近なものとして受け入れることができるようになります。理想の「最期とはどんなものか」を考えることで、「その時まで頑張って生きよう」という気力が湧いてくるでしょう。

残された家族への負担を軽減できる

エンディングノートに情報を網羅しておけば、家族はそれを手がかりに葬儀の段取りや手続きを進めていけます。

通夜、葬儀、遺品・遺産整理など、残された家族にかかる負担は大きいもの。それぞれの場面で家族が判断に困ることがないよう、先回りして葬儀についての希望や財産情報などを記入しておきましょう。

エンディングノートに書くべき項目

基本的には書き手が思うように書いてよいエンディングノートですが、「家族への負担を減らす」という点から見ると、最低限これだけは書いておきたいという項目もあります。まずはこちらをチェックして、エンディングノートのフォーマットを作ってみましょう。

葬儀・墓について

エンディングノートには、葬儀や墓の段取り・希望を記しておきます。人が病院で亡くなると、すぐにご遺体を移動させて葬儀の準備にかかるのが一般的です。死のショックで気が動転する家族も多く、葬儀会社の言うままに葬儀の段取りをするケースも見られます。

しかし、このような葬儀は故人の意に沿わないものになることがあり、家族に後悔を残してしまうことも。葬儀の形や規模、形式などについての希望があるならエンディングノートに細かく記載し、希望葬儀会社があればそちらも書き入れておくのがベターです。

また、散骨などを希望する場合はそれについても記しておきます。希望どおりの最期を演出できるよう、元気なうちにしっかり段取りすることが重要です。

個人情報

名前や生年月日、本籍地や現住所、電話番号といったごく基本的な情報も、とりあえず記載しておきます。「家族ならそんなことは知っている」と感じるかもしれませんが、必要な情報はひとまとめにしておくのが望ましいもの。子どもの配偶者や第三者などが見ることも考えて、漏らさず記載しておくことをおすすめします。

また、友人・知人の連絡先、PCやスマホのパスワードなども併せて書いておくとよいでしょう。

負債・財産について

自身にどんな負債や財産があるのかも、家族が見たときに全て把握できるようエンディングノートに記載しておく必要があります。特にネット銀行やネット証券を利用している人は、そちらもきちんと忘れずに記載しておきましょう。自身の負債と財産をひとまとめにしておけば、もしもの時の財産管理が容易です。

ただし、暗証番号やパスワードは書かないこと。ネット銀行等の相続では暗証番号やパスワードがなくても問題ありません。万が一盗難にあった場合のリスクが大きいので、記載には注意してくださいね。

家族へのメッセージ

エンディングノートには、家族への感謝、愛の言葉など綴りましょう。普段照れくさくて言えない言葉も、「これで最期」と思えば伝えたくなるはず。エンディングノートに自分の想いや家族へのメッセージを残すことで、家族も大きな愛情を感じてくれるはずです。

エンディングノートを記入して、最後まで自分らしく。

エンディングノートは、自分の人生の総括のようなもの。日々の想いや過去の出来事など自由に綴ってください。エンディングノートに必要事項だけでなく自分の気持ちを記しておくことで、家族と話す術が無くなっても想いは残ります。自分らしく人生の幕を下ろすことができるよう、きちんと準備しておきましょう。

ファミーユからのワンポイントアドバイス

政田礼美(理念推進部/1級葬祭ディレクター)
政田礼美(理念推進部/1級葬祭ディレクター)

終活で大切なことの一つは『自分の想いを家族に伝え残しておくこと』です。

当社オリジナルのエンディングノート「未来ノート」はお客様のリアルな想いをキッカケに作られました。
葬儀のことだけではなく、ご自身はどのように生きてきたのか。またどのような形で死というものを迎えたいのか。
ご自身の周りにいらっしゃる方にどんなことを望むのか?などをこのノートを使って改めて振り返っていただければ幸いです。

そして、必ずご自分の声で言葉で未来ノートの存在をご家族に伝えておいてください。
あなたの想いが、残されるご家族に必ず届きますように。

アドバイザープロフィール

政田礼美
■家族葬のファミーユ 理念推進部/1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
■愛と勇気とパッションが原材料。趣味は寺院巡りです。