家系図を自分で作成するには。戸籍調査の方法や手順を解説

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家系図を自分で作成するには。戸籍調査の方法や手順を解説
自分のルーツを知りたい、家族の歴史を後世まで残したいというときなどに作られる家系図。自分で作る場合は、戸籍調査などで親族の関係を整理し書き始めます。形式は自由ですが、一般的なルールを守ると綺麗に仕上げられますよ。この記事では、家系の調べ方や戸籍調査の方法、実際の書き方、もし代行を頼む場合の業者の種類について解説します。

家系図作成の前に知っておくべき基礎知識

家系を調べるには時間と手間がかかります。家系図作成をスムーズに進めるための基礎知識として、家系の調べ方やどの時代まで遡れるのかを解説します。着手前にどの範囲まで家系図に書くかを明確に決めておくと、効率良く情報収集が進められるでしょう。

自分の家系を調べる方法は4つ

家系を調べる方法は主に4つあります。
  1. 戸籍調査
  2. 役所から戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取得する方法。最も明確に自分のルーツを知ることができます。
  3. 文献調査
  4. 先祖の名前や本籍地などを元に、図書館や資料館などで関連する文献を探し、歴史を辿る方法。本籍地にある図書館に置いている郷土史や、戦前までの土地の所有者などが記載されている旧土地台帳などを調べるのがおすすめです。
  5. 現地調査
  6. 実際に本籍地などの現地に行って、本家の人や菩提寺の住職などから話を聞く方法。
  7. 聞き込み調査
  8. 家族や親戚などに聞き込みをおこなう方法です。

現在取得できる最も古い戸籍は明治のもの

2022年現在、役所での戸籍の保存期間は150年と定められています。そのため、現在取得できる最も古い戸籍は、明治19年(1886年)式戸籍です。
明治19年の戸籍には、その当時までの家族の記録が載せられています。おおよそ江戸時代末期ころの、3~6世代前くらいまでは遡れると考えて良いでしょう。ただし、2010年より前の保存期間は80年間だったため、法律が変わる前に廃棄されてしまっている可能性もあります。自治体によっては残されているケースもあるので、まずは請求して確認するのがおすすめです。

家系図にどこまで書くかの判断基準

家系図に載せる範囲に決まりはありませんが、情報を集める前に範囲を決めておくと、余計な作業を減らすことができるでしょう。これから家系図にどこまで載せるべきかの判断基準を挙げます。

まず家系図の軸となるのが、自分の祖父母・両親、子・孫などの「直系」です。特にボリュームのある家系図にしたい場合は、叔父・叔母・従兄弟などの「傍系」(ぼうけい)も必要な情報になってくるでしょう。

次に再婚・離婚などに関しては、必ずしも載せる必要はありませんので、家系図を作る目的などによって判断してください。そして家系図には、血族以外の関係も自由に載せられます。血のつながりはなくても、家族のように大事な存在などは、家族と一緒に歴史に刻んでみてはいかがでしょうか。

なお戸籍が取得できるのは、「直系」や「配偶者」のみです。「傍系」の戸籍を取得したい場合は、委任状が必要になるので要注意です。
家系図とはどんなものか、どういった場合に作る人が多いのかを知りたい場合は、下記の記事も参考にしてください。

家系図作成に必要な戸籍の取得方法

家系図にどこまでの範囲を書くか決めたら、次に必要な分の戸籍謄本を取得します。戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は本籍地のある役所の窓口、もしくは郵送で請求でき、コンビニでの発行も可能です。それぞれの請求の仕方を説明します。

①役所の窓口に出向いて請求する

本籍地のある市区町村役場まで出向けば、窓口で直接請求できます。もし本籍地がわからない場合は、住民票の写しを取得して確認してください。

役所に着いたら、置いてある交付申請書に筆頭者の名前・本籍などの必要事項を記入し、担当窓口に提出します。その際、請求者の本人確認書類 ・手数料が必要となります。また、直系の親族が請求するときは、戸籍に記載されている人との続柄がわかる資料が必要となる場合もあります。

②郵送で取り寄せる

本籍地の役所に出向くのが難しい場合には、郵送での取り寄せも可能です。下記の必要書類を本籍地の役所宛に送付すれば、10日ほどで役所から戸籍謄本が返送されてきます。
<必要書類>
  • 戸籍謄本の請求書(役所のホームページからダウンロード可能)
  • 本人確認書類の写し
  • 手数料分の定額小為替
  • 返信用封筒(切手を貼り、自分の住所と名前を書いておく)
  • 委任状(代理人が請求する場合のみ)

③コンビニで発行する

「マイナンバーカード」もしくは「住民基本台帳カード」があればコンビニで戸籍を取り寄せることも可能な場合もあります。

自分で家系図を書くときの基本ルールとポイント

戸籍や集めた情報を整理したら、いよいよ家系図の作成開始です。書き方に厳密なルールはありませんが、一般的なルールを守るとまとめやすく、後から見たときも分かりやすく仕上がるでしょう。基本的なルールやおすすめの書き方を紹介するので参考にしてください。

家系図作成の基本ルール

書き方は自由ですが、関係性が分かりやすく、美しい家系図を書くには基本的なルールを守って書くのがおすすめです。
<基本ルール>
  • 夫婦は二重線で結ぶ
  • 親子関係は一本線で結ぶ(養子を表す場合は二重線などにする)
  • 子は右から左へ年長順に配置する
  • 再婚を表す場合は、前妻・前夫を右に配置し点線もしくは一本線で結び、現在の配偶者を左に配置し二重線で結ぶ
  • 縦書きの場合は、同じ世代を横並びにして列を揃える

縦書きと横書き、それぞれの書き方と特徴

書き方の形式は、縦書きか横書きのどちらかに揃えるのが一般的です。それぞれの特徴を順番に解説します。
・縦書き
一番上に最も古い先祖を書き、下にいくにつれて世代が若くなるように書き進めます。叔父・叔母・兄弟など、横のつながりが書きやすく、同じ世代の人は同列に並ぶので、一目で分かりやすいのがメリットと言えるでしょう。ただし加筆するスペースが取りづらいのがデメリット。当初に予定した人数を変更する予定がなく、額装などできっちりと仕上げたい場合に向いています。
・横書き
横書きは、右が最も古いご先祖です。右から左へと世代が若くなるように書いていきます。横長になるので、巻物状に仕上げたい場合におすすめです。後から子孫を追加でき、余白に備考などを書きやすいのがメリットです。一方で、横のつながりなどの続柄を追うのは難しいのがデメリットと言えます。

家系図を手書きで作成する場合のポイント

まずは大きな紙に、鉛筆などで関係を整理しながら下書きを作ります。方眼紙を使うと綺麗に整理しやすいでしょう。家系図ができ上がったら、和紙などの耐久性があり、後世に残しやすい紙に清書していきます。毛筆にすれば、より歴史の重みが感じられる仕上がりになりますよ。その後自分で装丁する場合は、劣化しやすいクリップ、ホッチキス、セロハンテープなどは、なるべく使用しないのが望ましいです。

家系図をパソコンで作成する場合のポイント

パソコンで家系図を作成する場合は、ExcelやWordなどのOfficeソフトを使って一から作図するか、用意されているテンプレートなどを使用するのがおすすめ。Excelなら間隔の調整や、データの入れ替えが容易なので挑戦しやすいです。パソコンを使い慣れていない人は、名前や関係などを入力するだけで、自動的にレイアウトしてくれる専用ソフトを利用すると良いでしょう。ただし有償のソフトもあるので、選ぶ際はしっかり確認してください。

家系図作成代行業者の種類と特徴

家系図を自分で作成するのが難しい場合は、代行業者に依頼するという方法もあります。家系図作成を請け負っている主な業者の種類と特徴を紹介します。

行政書士事務所|定型的な家系図が比較的安価で手に入る

集めた戸籍を個人で整理するのは難しい場合があるので、そんなときは行政文書の専門家である行政書士に頼むのも手です。行政書士には守秘義務があるので、個人情報が心配な場合でも、ある程度は安心して任せられます。他の代行業者と比べると、料金は比較的安めに設定されているのも利点。ただし個人事務所のため、技術やサービス内容は事務所によってばらつきがあるのが注意点です。

印刷会社|こだわりの表装で仕上げられる

巻物や掛け軸などにしたい場合は、事業の主体が表装や印刷技術の企業、もしくは個人の表具師に依頼すると良いでしょう。しかし表装がメインなので、家系調査は行政書士などに二次委託しているケースがほとんどで、調査範囲が狭く情報量は少ない傾向があります。そのため、見た目を重視したいプレゼントや贈り物に向いています。仕上がりが豪華な分、高額になる場合もあるので、事前にしっかりと料金の確認をしてください。

家系図の代行専門業者|内容と仕上がりが選べる

内容・品質ともこだわるなら、家系図の調査・作成を専門に扱っている業者に依頼するのがおすすめ。サービス内容がきちんとプラン化されているので、目的や好みに合ったものを選びやすいです。プライバシーを守るには、運営元をしっかり把握し、行政書士がいる業者を選ぶのがポイントです。

後世に残る美しい家系図作りを目指して

家系図作成のメインとなる戸籍調査には少し手間がかかりますが、その分じっくりとご先祖様に思いを馳せる時間が作れるのではないでしょうか。本記事で紹介した手順に沿って、事前のプランや作成を進めていきましょう。書き方や表装は自由なので、せっかくなら後世まで受け継ぐことができるような、美しい家系図作りを目指してみてくださいね。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。