車の名義変更マニュアル。必要書類や費用、所要時間を解説

終活
車の名義変更マニュアル。必要書類や費用、所要時間を解説
車の名義変更も身の回りの物を整理するという「終活」の1つです。また、車の所有者が亡くなって処分したい時にも、最初に名義変更が必要になります。本記事では、車の名義変更の方法と必要な書類、手続きが完了するまでにかかる日数や時間の目安、費用を解説します。

車の名義変更を自分でおこなう場合

車の名義変更をする方法はいくつかあります。まずは、自分で変更する場合についてです。車種によって手続きの場所などが変わるので、普通自動車と軽自動車に分けて必要な書類を解説します。

ちなみに、世間一般で名義変更と呼ばれる行為は「移転登録」が正式名称です。こちらの記事では、馴染みのある名義変更という言葉を使って説明していきます。

また、2008年11月に登録識別情報制度が始まったことで、現在は自動車検査証(=車検証)が次の2種類存在します。
A:所有者と使用者の欄が設けられ、所有者に関する記載があるもの
B:所有者欄がなく、使用者欄のみが設けられていて、備考欄に自動車検査証を発行したときの所有者の情報が記載されたもの

車の所有者と使用者が同じ場合は、Aタイプの自動車検査証が発行されます。タイプによって必要書類が変わるので事前に確認が必要です。こちらの記事では一般的なAタイプを前提に説明します。

普通自動車

名義変更をする際は、今乗っている・持っている人「旧所有者(=名義変更前に所有していた人)」と、新しく譲り受ける人「新所有者(=名義変更後に所有者になる人)」の両者の書類を準備する必要があります。新たに車の所有者となる人が住む地域の運輸支局(自動車検査登録事務所)で手続きをします。「車検」でおなじみの場所です。

<旧所有者分の準備書類>
①申請書
②手数料納付書(自動車検査登録印紙を添付)

③譲渡証明書(新旧所有者を記入し、旧所有者の実印を押印)
④実印を押した委任状
⑤印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの。①と③に使用した実印のもの)
⑥自動車検査証(車検の有効期限のあるもの)
<新所有者分の準備書類>
①実印を押した委任状
②印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの。①に使用した場合はその実印のもの)
③自動車保管場所証明書(発行後1ヵ月以内の車庫証明)
④自動車税(環境性能割・種別割)申告書(報告書)

申請書、譲渡証明書、委任状は、運輸支局のホームページなどでダウンロードできます。

赤字で記載している委任状は、手続きをする本人分は不要です。
例:新所有者が手続きをする場合、新所有者の委任状は不要
旧所有者・新所有者にかかわらず、申請者本人は実印を持参してください。

青字で記載している書類は、手続きの当日に運輸支局の窓口で申請書と一緒に受け取れます。自動車税・自動車取得税申告書は運輸支局に隣接の税事務所でもらって記入します。

軽自動車

軽自動車の名義変更は、以下の書類等を準備して軽自動車検査協会で手続きをします。

<旧所有者分を準備>
①自動車検査証(期限の切れていない車検証)
②ナンバープレート
※ナンバープレートは、自動車検査証に記載の「使用の本拠の位置」の管轄に変更がある場合のみ
<新所有者分を準備>
①マイナンバー記載のない住民票の写し、または印鑑証明書(どちらも発行後3ヶ月以内のもの)
②自動車検査証記入申請書(認印を押す)
③軽自動車税(環境性能割・種別割)申告書(報告書)


旧所有者・新所有者以外の家族などが代理で手続きをおこなう場合は、両所有者の認印のある申請依頼書が必要です。青字で記載した2つの書類は、手続きの当日に協会と、隣接の税申告窓口でそれぞれ受け取って用意すればOKです。自動車検査証記入申請書には旧所有者の認印も必要ですので、同行しない場合は認印を預かっておきます。

業者に依頼する場合

車の名義変更は、ディーラーや代行業者に依頼する方法もあります。この場合も、旧所有者と新所有者の両者が書類を準備します。続いては、業者に依頼する場合の必要書類を見ていきましょう。

普通自動車

<旧所有者が準備する書類>
①印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
②実印を押した委任状
③譲渡証明書(旧所有者の実印が必要)
④自動車検査証(車検切れはNG)
<新所有者が準備する書類>
①印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
②実印を押した委任状
③自動車保管場所証明書(発行後1ヶ月以内の車庫証明)

車庫証明書は、同居する家族へ名義変更するなど「使用の本拠の位置」に変更がないとき、もしくは業者に取得の依頼をしているケースでは、新所有者が用意する必要はありません。ただし、変更がないことを証明する書類が必要になることもあるので業者に確認してください。

軽自動車

<旧所有者が準備する書類>
①認印を押した申請依頼書
②自動車検査証(期限の切れていない車検証)
③ナンバープレート(車検証に記載の「使用の本拠の位置」の管轄に変更がある場合のみ)
<新所有者が準備する書類>
①認印を押した申請依頼書
②住民票(発行後3ヶ月以内のもの)

軽自動車は、自動車保管場所届出書、いわゆる車庫証明は不要です。ただし、地域によっては軽自動車の保管場所を示す「自動車保管場所届出書」の提出が義務付けられています。分からない場合は「全国軽自動車協会連合会」のホームページか、住んでいる地域を管轄している警察署に確認することをおすすめします。

必要書類が追加される例

車の所有者が亡くなっている、または車の所有者と使用者を異なる人物で登録する場合は、基本のもの以外にも用意すべき書類があります。こちらでは、それぞれに必要な書類を解説します。

車の所有者が亡くなっている(相続)

所有者が亡くなると、その車はすべての相続人が共有する財産となります。誰も車を使用せずに売却する場合も、名義変更をしないと売却手続きや一時抹消登録はできません。そのため、いったんは相続人の誰かの名義に変更する必要があります。

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議をおこなって相続人を決定します。協議の結果、車の相続人となった人(=新所有者)が手続きをするときは、上記で紹介している必要書類に加えて、「遺産分割協議書」と「戸籍謄本」または「戸籍の全部事項証明書」を準備します。必要書類が分からない場合は、運輸支局に確認すると確実です。

車の所有者と使用者が異なる

名義変更をする際は、所有者と使用者を明確にすることがポイントです。所有者とは、その車の持ち主=所有権を持つ人です。一方の使用者とは、名前の通り車に乗って使う権利=使用権を持つ人です。購入者と所有者は同一であることが一般的ですが、購入時にローンを利用した場合は「所有者=クレジット会社」「使用者=購入者」となっていることもあります。

ローンを利用したケースだけでなく、家族が保有している車も名義変更をすれば、「所有者=夫」「使用者=妻」などと違う人物で登録できます。

名義変更をする際に、所有者と使用者を異なる名義で登録するには、上記で紹介している必要書類の他に、「新使用者の住民票(発行後3ヶ月以内)」と、「認印のある新使用者の委任状」が必要です。住民票は「印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)」でも可とされています。住民票も印鑑証明書も、コピーで問題ありません。

車の名義変更にかかる日数と時間の目安、費用

車の名義変更をするときは、手続きに要する日数や時間、費用も気になるポイントです。そこでこちらでは、車の名義変更にかかる日数と時間の目安とともに、費用の例を解説します。

必要な書類を揃えるには1週間前後かかる

紹介したすべての書類を1日で揃えるのは困難です。例を挙げると、車庫証明は申請から発行までに3日~1週間ほど必要です。旧所有者や新所有者などの押印が必要な書類は、離れて暮らしているとそのやり取りだけでも時間や日数がかかります。必要書類をすべて揃えるには、最低でも1週間ほど要することを念頭に準備を進めてください。

自分で名義変更をする場合は時間がかかる

運輸支局も軽自動車検査協会も、受付時間が午前と午後で分かれています。

<登録窓口の受付時間>
・午前:8時45分~11時45分
・午後:13時~16時
※土日祝と年末年始は休み
受付時間を見て分かるように、名義変更ができる時間帯は限られています。また、ナンバープレートを変更する場合は、運輸支局に車を持ち込んだ上で、自分で着脱作業をする必要があります。この作業は、慣れていないと外すのに1時間、付けるのに1時間ほどかかることもあるようです。

窓口の混み具合や、書類の不備の有無、ナンバープレート交換作業の有無によって、名義変更にかかる時間大きく変わりますが、少なくとも半日は要すると思って動くことをおすすめします。

また、月末や年度末は特に窓口が混雑するようです。苦手意識がなければ、インターネット上から申請できる「自動車保有関係手続のワンストップサービス」も利用できます。ほとんどの都道府県で採用されていますので、外出が難しいときや、忙しい人におすすめです。

手続きが不安な人は、ディーラーなどに依頼するのも1つの方法です。

費用は状況によって変わる

名義変更の費用は、必ず払うものと状況次第で発生するものの2種類があります。

<必ずかかる費用>
・車の名義変更に必要な「移転登録手数料」:500円
・住民票の写しや印鑑証明書の発行手数料:1通200円~300円
・自動車保管場所証明書(車庫証明)の取得費用:2,500円~3,000円ほど(都道府県による)

<状況によって発生するもの>
・ナンバー(希望ナンバー・図柄ナンバーなど)を変更する費用
→1,500円前後が一般的ですが、8,000円ほどするものもあります。

その他、ディーラーや代行業者に名義変更を依頼するのであれば、代行手数料が必要です。

車の名義変更は記憶より記録が大事

車の名義変更には現在の車の所有者に関する書類が必要です。終活の一環として車の名義変更を検討している人は、まず車検証に記載されている所有者の名前が自分かを確認してください。記憶違いや手続きのし忘れがあるかもしれません。また、終活をするときは「エンディングノート」を活用してみてくださいね。

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