家族葬の挨拶状の書き方と例文|送り方のポイントを解説

ご家族の通夜・葬式準備
家族葬の挨拶状の書き方と例文|送り方のポイントを解説

この記事はこんな方におすすめです

初めて家族葬の挨拶状を出す
家族葬の挨拶状の送り方や例文を知りたい
家族葬の挨拶状とは、故人が亡くなったことや家族葬を済ませたことを知らせるためのものです。忌明けの後に、葬儀に招かなかった故人の友人や知人、会社関係者などの方に対して送ります。本記事では、家族葬の挨拶状の書き方や例文、ポイントを紹介。挨拶状を作るときの注意点も解説するので、参考にしてみてください。

家族葬における挨拶状とは?

家族葬の挨拶状は、滞りなく葬儀を終えたことを知らせるためのものです。ここでは、挨拶状の概要と喪中はがきとの違いについて紹介します。

通夜・葬儀に招かなかった人への報告のはがき

家族葬の挨拶状とは、家族葬に招かなかった人に対して故人の訃報を伝えるものです。近しい親族や知人が集まって執りおこなう家族葬は、参列者が限られる場合がほとんど。そのため、事前にお伝えしなかった人には、はがきなどで故人が亡くなったことや葬儀を済ませたことを伝える必要があります。

喪中はがきとの違い

喪中はがきは、家族や近親者が亡くなったために新年の挨拶をおこなわないことを知らせるもの。一方で、家族葬の挨拶状は故人が亡くなったことを知らせるものであり、それぞれ送る目的が異なります。ただし、挨拶状を準備する時期が11〜12月上旬頃になる場合は、喪中はがきとして送っても問題ありません。

家族葬後に挨拶状を送るタイミングと相手

挨拶状は、忌明け後に、家族葬にお呼びしていない人に対して送ります。ここでは、挨拶状を送るタイミングと相手について詳しく解説します。

タイミング:忌明け

挨拶状を送るタイミングに明確なルールはありませんが、一般的には忌明けから1ヶ月以内が目安。これは、納骨が終わり、故人との別れに1つの区切りがつくからです。忌明けの時期は宗教によって異なるため、以下を参考にしてみてください。

【宗教別の挨拶状を送るタイミング】

  • 仏教:四十九日法要の後
  • 神道:五十日祭の後
  • キリスト教:プロテスタント▷命日から1ヶ月後の召天記念祭の後、カトリック▷命日から30日目の追悼ミサの後
なお、仏教のなかでも浄土真宗系には「故人が逝去された後は、すぐに浄土へ行ける」という考え方があり、忌明けの概念が存在しません。そのため、初七日後のタイミングで挨拶状を送っても差し支えないとされています。

相手:訃報の連絡をしなかった人

挨拶状を送る相手は、家族葬の際に訃報の連絡をしなかった人です。主に、以下のような人が当てはまります。

【挨拶状を送る相手】

  • 親戚
  • 故人の友人・知人
  • 故人の仕事関係者
故人の交友関係が分からない場合、年賀状のやり取りがある人や携帯電話などの連絡帳に記載された人を中心に挨拶状を送ります。挨拶状を送るべきか迷ったときは、できるだけ幅広く知らせてください。
また、喪主の友人・知人のなかで故人と面識があった人や、家族葬の際に仕事を休んで面倒をかけた仕事関係者にも挨拶状を送るのが一般的です。

家族葬の挨拶状に含めたい内容

挨拶状には、故人の訃報や生前のご恩に対する感謝、香典などを辞退する場合はその旨などを記します。挨拶状の具体的な内容を紹介するので、どのような項目を含めるべきか迷ったときに役立ててみてください。

故人が亡くなったこと・家族葬を終えたこと

最初に、故人が亡くなった旨と挨拶状の送り主との関係を明記し、次に近親者にて葬儀を終えたことを伝えます。故人の意向により家族葬を選択した旨を含めれば、参列できなかったことを納得してもらいやすくなります。
なお、故人の名前は「△△儀」のように儀をつけるのが基本です。儀は「〜のこと」といった意味を持つ謙譲語であるため、丁寧な印象を与えられます。

香典を辞退する旨

香典を辞退するときは、挨拶状に辞退の意向を記します。家族葬では、お返しの手間を軽減するために香典や供物などを辞退する場合も少なくありません。辞退を決めているのであれば、相手に気を遣わせないためにも香典の手配は不要であると伝えておくことが大切です。

生前に受けたご恩への感謝

挨拶状では、故人が旅立ったことを知らせるのに加え、生前に受けたご恩に対する感謝を伝える必要もあります。そのため、文章を締める際にはお礼の言葉を添えてください。

年月日・喪主の住所と名前

最後に、挨拶状を作成した年月日と喪主の住所・名前を入れます。年は元号で記してください。また、挨拶状は縦書きなので数字には漢数字を使います。

【宗教別】家族葬で使える挨拶状の例文

家族葬の挨拶状は、宗教によってふさわしい言葉が異なります。そこで、ここでは家族葬で使える挨拶状の例文を宗教別に紹介します。

仏教の例文

挨拶状は長文である必要はなく、前項で紹介した内容を簡単にまとめれば良いとされています。仏教の場合、戒名を授かっているときは文章に含めてください。

神道の例文

神道では、仏教用語を使用できません。例えば、往生は仏教用語にあたるため、故人が亡くなったことを表す際は帰幽(きゆう)と記します。

キリスト教の例文

神道と同様に、キリスト教でも仏教用語を使わないようにします。天に召された、昇天など、キリスト教にふさわしい言葉を用いてください。

【注意点】家族葬の挨拶状を作る際に気を付けること

挨拶状を作る際はマナーを守り、相手に失礼がないようにすることが大切です。最後に、挨拶状の注意点を解説します。

季節の挨拶は含めない

通常の挨拶状では冒頭に季節の挨拶を入れますが、家族葬の挨拶状には必要ありません。季節の挨拶を入れないことで「悲しみのあまり季節の挨拶を加えるのも忘れてしまった」という気持ちを表すのが基本です。なお、拝啓や敬具を始めとした頭語と結語は、使っても使わなくても良いとされています。

句読点を入れない

挨拶状には、句読点を入れないのがマナーです。「葬儀が問題なく済んだことを表すため、文章を区切る句読点は使わない」など、さまざまな説があります。

忌み言葉を使わない

忌み言葉とは、縁起の悪い言葉のこと。「死亡」「四(死を表す)」「九(苦を表す)」などは避けます。また「益々」「たびたび」などの重ね言葉も使わないようにしてください。

書き間違えたときは最初から書き直す

挨拶状は、書き損じた部分を二重線や修正テープで直すべきではないと考えられています。間違えがあったら新しいはがきで書き直してください。

宗教に配慮する

挨拶状に用いる言葉は、宗教によって変わります。例えば「供養」や「成仏」は仏教用語なので、キリスト教や神道では使えません。キリスト教では、死は悲しむものではないと考えられているため「お悔やみ」などの言葉も避けます。宗教用語の違いに配慮した上で、挨拶状を作成するようにしてください。

生前の感謝を伝えるため、心を込めて家族葬の挨拶状を送ろう

家族葬の挨拶状は、葬儀に招かなかった人に対して故人が旅立ったことを伝えるものです。葬儀後は何かと忙しいですが、あらかじめ送る相手や含むべき内容を確認しておけば、滞りなく準備を済ませられます。今回紹介した例文を参考に、故人への生前の感謝の気持ちを込めて挨拶状を送ってくださいね。

監修:1級葬祭ディレクター 瀬戸隆史

家族葬のファミーユにて新入社員にお葬式のマナー、業界知識などを伝える葬祭基礎研修の講師を務める。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)/サービス介助士、訪問介護員2級養成研修課程修了