家族葬 8つのトラブル事例。親戚・近所との揉め事を防ぐ対策も
ご家族の通夜・葬式準備
この記事はこんな方にオススメです
家族葬をおこなう予定がある
家族葬で起こり得るトラブル事例を知りたい
家族葬は身近な人で執りおこなうため、故人とゆっくりお別れできますが、呼ぶ範囲や金銭面などでトラブルが生じることがあります。しかし、事前に対策を講じておくことで、親戚やご近所、菩提寺(ぼだいじ)との関係性悪化、金銭トラブルを防ぐことは可能です。今回は家族葬のトラブル事例と対策方法を紹介します。
目次
【親戚】家族葬で起こり得るトラブル事例
家族葬をおこなう際、親戚関係で起こり得るトラブルは「葬儀の形式・内容への理解が得られない」「呼ばない親族・親戚とのトラブル」の2つです。それぞれのトラブル例と対策を紹介していきます。
【トラブル例①】葬儀の形式・内容への理解が得られない
家族葬は一般葬よりも後に誕生した葬儀形式で、身近な人のみで執りおこないます。
例えば、「盛大な一般葬をおこなうべき」「少人数で見送るのは寂しい・可哀そうだ」という従来の価値観を持った身内がいると、家族葬の形式や内容への理解が得られず、トラブルに発展する恐れがあります。身内の理解を得られないまま喪主が家族葬を強行してしまうと、遺恨になってしまうかもしれません。
【対策】家族葬について伝え、理解してもらう
トラブル防止はもちろん、故人を気持ちよく送り出すためにも、家族葬の魅力や内容を身内にしっかり伝え、理解を得ることが大切です。「家族葬は一般葬と比べると少人数だけど、故人と縁の深い人だけでゆっくりとお見送りできる葬儀」「家族葬は自由度が高いから、故人の希望を叶えやすい」など良いところを伝えると、相手が抱いている印象を変えられるかもしれません。
それでもあまり納得がいかないようであれば、葬儀社との話し合いに身内と一緒に参加する方法があります。スタッフから詳しい話を聞き、質問することで疑念や不安が解消されれば、家族葬に同意してもらえる可能性が高まります。
また、家族葬が故人の希望であった場合、そこを最優先する旨を身内に伝えれば、きっと理解してもらえるはずです。
一般葬と家族葬はどんなところが違う?特徴・費用・普及率をまとめて紹介
故人の意向や家族の希望、また密を避けるという意味でも家族葬を選ぶ人が増えています。ここでは、近年主流になりつつある家族葬の特徴を紹介します。
【トラブル例②】呼ばれなかった親族・親戚から不満が生じる
家族葬は呼ぶ範囲に決まりはないものの、一般葬よりも参列人数が限られます。何らかの理由で呼ばなかった親族・親戚がいた場合、葬儀後に「なぜ自分だけ呼ばれなかったんだ」という不満が生じることも。
また、人が亡くなった後はバタバタと忙しく動くため、呼ぶ予定だった人への連絡が漏れてしまう失敗も考えられます。
【対策】今後も付き合いが続く親戚は呼ぶ方向で考える
これまでに何かトラブルがあった人、絶縁している人は家族葬に呼ばないことも可能です。しかし、今後も付き合いを続けたい親戚や、つながりがある親類縁者は声をかけた方が無難と言えます。
なお、家族葬では三親等以内の親族・親戚に声をかけるケースが多いです。例えば父母の葬儀をおこなう際にどこまで呼ぶか迷った場合は、兄弟まで、二親等以内、隣県のみ、高齢・通院者は除くなどの基準を設ける方法もあります。
【近所】家族葬で起こり得るトラブル事例
家族葬では、ご近所トラブルが起こる場合もあります。代表的なものとして、「呼ぶ人の範囲」「呼ばなかった人の参列」「葬儀後の対応」の3つを紹介します。
【トラブル例③】故人と仲の良かったご近所さんを呼ばない
家族葬は名称に“家族”とあるものの、家族以外を呼ぶことも可能です。例えば、故人と仲の良かった友人やご近所さん、趣味の仲間などにも参列してもらえます。故人が亡くなる前に約束をしていたのに「家族葬だから家族以外は誰も呼ばない」としてしまうと、ご近所トラブルに発展してしまう恐れがあります。
【対策】「どこまで呼ぶのか」を明確にしておく
「故人は誰と仲が良かったのか」「どこまでの人を呼ぶのか」を身内で話し合い、基準を明確にした上で連絡リストを作成しておきます。故人が作成したエンディングノートや遺言に記載がある場合は、遺志を尊重して内容通りに進めます。
【トラブル例④】呼ばなかった人が参列を希望する
家族葬は呼んだ人だけが参列する葬儀のため、基本的には参列者の人数を把握できます。しかし、葬儀に呼ばなかった人が葬儀会場に現れ、参列を希望することもあり得ます。
もちろん、故人を偲んでくれる気持ちはありがたいですが、座席や料理、返礼品などは想定していた人数分しか用意されていないことがほとんどです。そのため、急に参列者が増えると対応が難しく、丁寧なおもてなしができないことが考えられます。
また、家族葬は参列者への対応が少ないところが利点でもあります。それにもかかわらず、予期せぬ参列者が現れると対応に追われ、故人とゆっくりお別れできないかもしれません。故人との最期のお別れとなる葬儀において、参列者側・遺族側の双方が気まずくなる事態は避けたいところです。
【対策】葬儀に呼ぶ人だけ訃報を伝える
予期せぬ参列者トラブルは、葬儀のお知らせ方法によって防げます。家族葬では呼ぶ人にだけ訃報を伝え、葬儀の案内状を送るのが一般的です。
町内などで訃報回覧板があれば活用し、「葬儀は家族近親者のみで執り行う」旨を伝える方法もあります。
呼ばない人には葬儀後に死亡通知を送り、「葬儀は既に終えている」旨と「事後報告となったことへの謝罪」を伝えます。
予期せぬ参列があった場合でもお越しになった人は迎え入れて、その場でお帰り頂くなど弔意を無下にすることはないようにします。
町内などで訃報回覧板があれば活用し、「葬儀は家族近親者のみで執り行う」旨を伝える方法もあります。
呼ばない人には葬儀後に死亡通知を送り、「葬儀は既に終えている」旨と「事後報告となったことへの謝罪」を伝えます。
予期せぬ参列があった場合でもお越しになった人は迎え入れて、その場でお帰り頂くなど弔意を無下にすることはないようにします。
家族葬に呼ぶ範囲の判断基準や呼ばない人へのマナーは、以下の記事で詳しく紹介しています。
家族葬に呼ぶ人はどこまでの範囲?決める基準とトラブルを防ぐコツ
家族葬では、参列の声をかけない人に対する配慮や、逝去を伝えるタイミングが重要です。家族葬に呼ぶ範囲に関するトラブルを防ぐため、声をかけない人へ訃報を伝える際の注意点や、報告時の思いやりについて考えます。
【トラブル例⑤】弔問客が多い、香典を渡される
家族葬を終えた後、参列できなかった人が弔問に訪れることがあります。弔問客には礼状を送る必要があるため、あまりに多いと対応に追われて疲弊してしまうかもしれません。
なお、弔問客の中には香典を用意してくれる人もいますが、受け取った場合は香典返しを渡すのがマナー。遺族は後日の対応が必要となります。
【対策】辞退する旨を死亡通知に記載する/お別れ会を開催する
弔問を控えてほしい場合は、葬儀後に送る死亡通知にその旨を記載します。香典や供物、供花を辞退したいときも、同様の対応で意思を明確に示すことが大切です。
また、故人の顔が広く弔問客が多くなりそうな場合は、後日「お別れ会」を開催する方法もあります。
【金銭】家族葬で起こり得るトラブル事例
家族葬では「費用の負担が想像より多い」「請求額が当初の話よりも高い」といった、金銭トラブルが生じることもあります。こちらでは金銭トラブルの例と原因、対策を紹介します。
【トラブル例⑥】香典が少ない分、持ち出しの割合が高くなる
一般的に、香典は葬儀費用に充てられます。しかし、家族葬は参列者が限られるため、香典収入はそれほど多くありません。
家族葬では香典収入が少ない分、遺族の持ち出し額の割合は増えることもあります。
【対策】葬儀費用を確認しておく+相続人で費用を分担する
家族葬では香典収入が少ないことを想定した上で、実際の葬儀費用を確認しておくと、費用の負担が想像より多いといった事態を防げます。
また遺族の持ち出し割合が多いとは言え、実際には家族葬の費用は一般葬よりも抑えられることが多く、負担金額は小さくなることもあります。
なお、葬儀費用は喪主が支払うことが多いものの、決まりはありません。費用の負担が厳しい場合は、相続人(兄弟)での分担を検討してみてはいかがでしょうか。費用負担に関しても親族間のトラブルの元となるため、事前に話し合いをしておくことが大切です。
【トラブル例⑦】請求額が予想より高い
「葬儀費用は〇〇円」と見聞きしていたものの、実際に請求がきたら予想より高かった、というトラブル例も存在します。家族葬は自由度が高い分、さまざまなオプションをつけられるのが魅力です。しかし、オプションの費用は基本プランとは別料金となるため、最終的な請求額が高くなってしまうことがあります。
【対策】プラン内容を確認し、最終見積もりをとる
家族葬を申し込む際は、「プランにはどこまで含まれているのか」を確認します。注意したいのは、相場よりもあまりに安いプランです。葬儀に必要となる基本的なものが含まれておらず、追加していくことで最終的に高額になってしまうことがあります。
また、葬儀費用の最終的な見積もりをとることも忘れずに。基本プランとオプション料金の合計と内訳を確認して、納得の上で葬儀に進んでください。
早めに見積もりを取った際には、金額やプラン内容が変わっていることもあります。見積もりの有効期限も確かめておきましょう。
家族葬の費用相場と内訳は?一般葬との違い・安く抑える方法も
家族葬と一般葬は費用相場が異なります。今回は一般的な費用相場と、2022年の葬儀事情を紹介します。
【菩提寺】家族葬で起こり得るトラブル事例
家族葬は自由度が高いゆえに、菩提寺(ぼだいじ)とトラブルが生じることもあります。菩提寺との関係性悪化を防ぐ対策を、トラブル例から見つけていきます。
【トラブル例⑧】菩提寺との関係性が悪化する
家族葬の内容によっては、一日葬や直葬などの葬儀形式が菩提寺のルールや慣習、宗教観に沿わず、トラブルに発展してしまうことも。それは施主側が故人様を弔うのに僧侶の存在意義と読経(お経)の必要性を理解していないことが原因と考えられます。
その場合、法要や納骨を断られたり、お墓に納めたお骨を別の場所に移動する改葬(かいそう)が必要になったりと、根深い問題や後悔につながる恐れがあります。
その場合、法要や納骨を断られたり、お墓に納めたお骨を別の場所に移動する改葬(かいそう)が必要になったりと、根深い問題や後悔につながる恐れがあります。
【対策】家族葬を検討した時点で相談する
菩提寺側も、檀家とのトラブルは望んでいません。無用なトラブルを避けるために、家族葬を検討した時点で菩提寺に相談することをおすすめします。「家族葬を考えているのですが、問題ないでしょうか」と事前に聞いておけば、菩提寺のしきたりやルールなどを確認でき、双方ですり合わせできます。
トラブルを防ぎ、納得のいく家族葬を
家族葬の進め方によっては、親戚・近所・金銭・菩提寺と、さまざまな方面でトラブルに発展する可能性があります。しかし、これらは対策することで、すべて未然に防げるものばかりです。故人を悲しませないよう、そして周囲も納得して気持ちよく見送れるように、トラブルの芽は事前に摘んでおきたいですね。
この記事の監修者
瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。