一般葬と家族葬はどんなところが違う?特徴・費用・普及率をまとめて紹介

ご家族の通夜・葬式準備
一般葬と家族葬はどんなところが違う?特徴・費用・普及率をまとめて紹介
葬儀の種類は複数ありますが、そのなかでもよく耳にするのが「一般葬」と「家族葬」です。特に最近は、近親者でおこなう家族葬を選択する家庭が増えています。こちらの記事では一般葬と家族葬の違いや、それぞれの特徴を紹介します。

一般葬の特徴

ほとんどの人が葬儀と聞いて思い浮かべるスタイルが「一般葬」です。一般葬と家族葬の違いを見ていく前に、それぞれの特徴を見ていきましょう。

近年、近親者のみでおこなう葬儀が増えてきましたが、しきたりを大事にしたい、たくさんの人に故人をお見送りしてほしいという気持ちから選ばれるのが、一般葬です。

一般葬は故人に関わりのある人が参列する

一般葬は親族や友人だけでなく、会社の人や近所の人まで声をかけるため、規模が大きくなる傾向にあります。ちなみに、100人前後で中規模、200人以上で大規模な葬儀と言われています。

また、一般葬ではしきたりや参列者へのおもてなしを重視します。 会場に足を運ぶ人への感謝を伝える会葬礼状を用意し、伝統的しきたりや宗教儀礼に沿って、通夜、葬儀・告別式、火葬までを2日間かけておこなうのが特徴です。通夜では、故人を偲んで食事をする通夜振る舞いをおこなうこともあります。通夜振る舞いの習慣は地域によって異なり、食事の代わりに軽食やお酒を参列者に渡すこともあるようです。

故人とお別れしたい人が参列できる

多くの人に足を運んでもらうという考えの一般葬では、訃報の連絡をしなかった人であっても参列を断ることはほとんどありません。そのため、当日は予期していない参列者への対応で忙しくなる傾向に。また、大勢の人が来るので、中には遺族と面識のない人がいる可能性もあります。遺族は対応が大変ですが、多くの人が一度に故人と最後のお別れができます。したがって、葬儀後の弔問はあまりありません。

家族葬の特徴

故人の意向や家族の希望、また密を避けるという意味でも家族葬を選ぶ人が増えています。ここでは、近年主流になりつつある家族葬の特徴を紹介します。

家族葬は親族・親しい人のみでおこなう

家族葬に呼ぶのは親族がメインですが、仲の良かった友人、特に親密な趣味や仕事の仲間など、故人と縁の深い人を呼ぶこともあります。また、一般葬とは異なり、訃報を伝えていない人の参列は控えてもらいます。

身内や親しい人だけになるので、周囲の目を気にする必要がありません。そのため、伝統的しきたりに沿っておこなう一般葬と違って、自由度が高いのが特徴。見送り方を自由に決めたり、形式的な葬儀の内容を省略したりすることも可能です。形式にとらわれずにリラックスしながら葬儀ができます。

故人とゆっくりお別れができる

参列者への対応がほとんどないため、故人と関係の深い人だけで、ゆっくりお別れの時間を過ごせます。故人が亡くなったことへの気持ちの整理がつかない、家族以外の人と話すのが今は難しいなどの場合は、家族葬を選んだ方が良いでしょう。

ただし、参列する人が限られるので、訃報を知った人が後から弔問にくることもあります。人付き合いの多かった故人の場合は、弔問の対応が続くこともあります。故人の交友関係が広いときは、参列者全員で一度にお別れができる一般葬にするか、家族葬の後にお別れ会などを開くことを検討するといいかもしれません。

一般葬と家族葬の違い

一般葬と家族葬の内容の違いは前述のとおりですが、費用や人数も大きく違います。では、一般的にどのくらいの費用がかかり、どのくらいの人数が集まるのでしょうか。また、案内はどんな形になるのでしょうか。ここからは、家族葬と一般葬の細かな違いについて紹介します。

費用

費用は地域や家庭、プランによって異なりますが、一般葬の費用は200万円前後が相場です。一方、家族葬の費用総額は100万円前後が相場とされています。しかし、規模や会場、形式によって差がでます。葬儀を簡素にすれば金額が抑えられ、豪華にすれば人数が少なくてもそれなりに費用がかかります。

また、祭壇や棺、霊柩車など、大まかな費用の内訳に変わりはありません。ただし、大勢の人が参列する一般葬では会場が大きくなったり、飲食費や返礼品などの数が多くなったりします。その分、一般葬の費用総額は家族葬よりも高くなりがちです。

参列人数

一般葬は30人以上の参列者が会場に足を運び、中には100人を越えることもあります。訃報を伝えていない人がくることもあるため、想像していたよりも人数が多くなるケースもありえます。

一方、家族葬は親戚や縁の深い人のみで、30人以下の参列が主流です。親族の人数によっては、かなり小規模な葬儀になります。また、参列者が10人以下で自宅がそれなりに大きい場合は、会場を借りずに自宅で家族葬をおこなうことも可能です。棺や祭壇を設置するスペースが必要で、近隣住民への配慮も必要ですが、故人を自宅から送り出すことができます。

案内

一般葬では、親戚や故人と交流のあった人の全てに連絡をします。年賀状のやりとりだけといった間柄でも、葬儀の連絡するのが一般的です。たくさんの人が参列するため、会場までの案内看板を設置したり、駐車場や移動用のバスを手配したりすることもあります。

一方、家族葬の案内は広い範囲に声をかける一般葬とは異なります。親戚または故人と縁の深い人など、来てもらいたい人のみに連絡をします。その際、香典・供花・供物を受け取るかどうかの意思を伝えておくと良いでしょう。また、声をかけない人には、葬儀が終わった後に逝去を報告します。どうしても事前に訃報を伝えなければならない場合は、会場や時間などの詳細は伏せて、近親者のみで家族葬を執りおこなうことを伝えます。

一般葬と家族葬の割合

増えてきたといわれている「家族葬」。「一般葬」に比べてどのくらい普及してきたのでしょうか。一般葬と家族葬のおこなわれている割合を紹介します。家族葬の増えている要因も見ていきます。

一般葬は3割弱・家族葬は5割強

2015年までは葬儀全般のうち、一般葬が6割、家族葬が3割ほどの割合でおこなわれていました。2022年3月時点の調査では、家族葬が一般葬を逆転。家族葬5.5割、一般葬2.5割に変化しています(鎌倉新書調べ)。またかつては、家族葬は首都圏でおこなわれる葬儀というイメージでしたが、最近は全国的に家族葬をおこなう家庭が増えています。

家族葬が増加している理由

昔と比べると地域とのつながりが希薄になり、親族以外の人を呼ぶ一般葬の需要が減っています。また、高齢化社会によって、葬儀を執りおこなう側も自然と高齢になり、参列者への対応が大変になってきています。さらに、宗教を気にしない人が増えたことにより、自由な形式でお別れをするために家族葬が選ばれています。

新型コロナの影響ももちろんあります。密を避けることが求められ、小人数でおこなえる家族葬は感染症などの流行時にも支持を集めやすくなっています。

故人に合ったお見送りの方法を選ぼう

葬儀と一口で言っても形式はさまざまです。特に昨今はこれまでの伝統やしきたりにとらわれず、自分たちらしいスタイルで葬儀をおこなう人も増えています。葬儀は故人との最後の別れの場ですので、納得のいく形でお見送りしましょう。そのためにも、故人の希望に寄り添いながら、遺族でしっかり話し合うことが大切です。