霊安室とは?場所や搬送までの流れ、かかる費用を解説
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
霊安室とはどんな場所か知りたい
安置までの流れや費用を知りたい
霊安室とは、亡くなった人を安置しておく部屋のこと。死亡が確認された人は、病院や警察署が備える霊安室に運ばれます。ただし長くは留まれないため、葬儀までご遺体を保管するのに葬儀社が備える安置室(霊安室)や自宅などに搬送する必要があります。この記事では、霊安室の概要や利用時間の目安、霊安室のある場所、そのほかの安置できる場所、安置までの流れなどを紹介します。
目次
霊安室とは?
霊安室とは、ご遺体を保管する場所のことです。一般的には、病院・警察署を指しますが、葬儀社や火葬場が備える霊安室もあります。葬儀社が供える霊安室は安置室とも呼ばれています。
病院や警察署の「霊安室」
病院や警察署の中にある霊安室は、亡くなった人のご遺体を一時的に保管するための場所です。日本では、特定の伝染病による死亡を除き医師の死亡診断から24時間以内の火葬を法律で禁止しています。病院などの霊安室は一時的にしか利用できないため、葬儀まで安置できる別の場所に移動します。
病院:死亡確認後の一時待機場所
病院で死亡が確認された後、一時的にご遺体を安置しておく部屋が病院の霊安室です。比較的大きな病院だと地下に備えていることが多いですが、規模によっては設備のない病院もあります。
病院の霊安室では、次のご遺体が運ばれてきたときのために、安置できる時間を2〜3時間と制限しているところがほとんどです。その間に、自宅や葬儀社などのほかの安置場所にご遺体を搬送する手続きをします。既に次の搬送先が決まっている場合や、小規模な病院などでは、霊安室に運ばず病室でそのまま待機するケースもあります。
病院の霊安室では、次のご遺体が運ばれてきたときのために、安置できる時間を2〜3時間と制限しているところがほとんどです。その間に、自宅や葬儀社などのほかの安置場所にご遺体を搬送する手続きをします。既に次の搬送先が決まっている場合や、小規模な病院などでは、霊安室に運ばず病室でそのまま待機するケースもあります。
警察署:検視をおこなうための施設
死因が不明な場合や事件・事故の可能性があるケースでは、警察署にある霊安室にご遺体が運ばれて検視がおこなわれます。地方の小さな警察署では、専用の部屋がなく屋外の施設が霊安室となっていることもあります。
その後、事件性が疑われ司法解剖が必要になった場合は、長時間警察に預けられることもあります。
その後、事件性が疑われ司法解剖が必要になった場合は、長時間警察に預けられることもあります。
葬儀社や火葬場の「霊安室」
葬儀社が供える霊安室は一般的に安置室と呼ばれています。それぞれの特徴を紹介します。
葬儀社:葬儀まですべて任せられる
ご遺体の安置場所として一般的なのが、葬儀を依頼した葬儀社の葬祭ホール内にある安置室(霊安室)です。霊安室と名付けている葬儀社もありますが、安置室と呼ばれることが多いようです。安置場所の呼び方は業者によって様々です。
ご遺体の搬送から保全まで葬儀社に任せられる上、通夜や葬儀も同じ会場でおこなえるので負担が少なくて済みます。遺族が仮眠できる施設を併設している葬儀社もあり、葬儀までの時間を亡くなった人と一緒に過ごせます。
ご遺体の搬送から保全まで葬儀社に任せられる上、通夜や葬儀も同じ会場でおこなえるので負担が少なくて済みます。遺族が仮眠できる施設を併設している葬儀社もあり、葬儀までの時間を亡くなった人と一緒に過ごせます。
火葬場:冷蔵設備で数日間の保管も対応
都市部の大型の火葬場では、斎場や霊安室を併設しているところが多く見られます。冷蔵設備を備えている場合もあり、火葬まで数日以上かかる場合にも対応しています。
ただし、付き添いや受付時間に制限があったり、ご遺体を棺に納めた状態でないと受け入れてもらえなかったりといった条件があるので、事前に確認しておきましょう。
ただし、付き添いや受付時間に制限があったり、ご遺体を棺に納めた状態でないと受け入れてもらえなかったりといった条件があるので、事前に確認しておきましょう。
霊安室や安置室以外で安置できる場所
霊安室や安置室と呼ばれるところ以外、自宅にも安置は可能です。安置専門の民間施設もあります。主な安置場所とその特徴を紹介します。
自宅:ゆっくりお別れができる
もともと、安置場所としては自宅が主流でした。現代ではマンションなどが増え、スペースの確保や棺などの搬入の困難さから自宅で安置するケースは減ってきているものの、「最後は自宅に帰してあげたい」「ゆっくりお別れをしたい」と願う遺族から選ばれています。
自宅内の安置場所としては、仏間が一般的です。仏間がなければ、室温を下げられる空調設備のある部屋を選ぶと良いでしょう。
自宅内の安置場所としては、仏間が一般的です。仏間がなければ、室温を下げられる空調設備のある部屋を選ぶと良いでしょう。
民間の安置施設:状況に合わせて柔軟に対応してくれる
近年都市部で増加しているのが、遺体の安置に特化した施設です。火葬の予約が取れず数日待たなければならないケースが多く、葬儀についてじっくり考えたい場合などにも助かる存在です。
24時間対応しているところが多く、遺体の受け入れや遺族の面会にも柔軟に対応してくれます。一方、ほかの安置場所と比べると高額になりやすく、施設の立地により自宅から時間を要することが気を付けたい点です。
24時間対応しているところが多く、遺体の受け入れや遺族の面会にも柔軟に対応してくれます。一方、ほかの安置場所と比べると高額になりやすく、施設の立地により自宅から時間を要することが気を付けたい点です。
【死亡確認後】霊安室から安置場所への流れ
医師により死亡が確認されたら、遺体を整え霊安室から安置場所まで搬送します。安置までの基本的な流れを紹介します。
「末期の水」をおこなう
医師による死亡が確認された後、遺族が希望すると「末期(まつご)の水」がおこなわれます。故人が安らかに旅立てますようにとの願いを込めて、故人と縁の深かった人から順に水に湿らせた脱脂綿などで故人の唇を湿らせる儀式です。仏教に由来しますが、現代では慣習として広くおこなわれています。
エンゼルケアを施す
エンゼルケアとは、遺体に死後処置や死化粧を施すことです。医療器具を取り外し、故人の体をタオルなどで拭く「清拭(せいしき)」や、着替え、死化粧などをおこなうのが主な内容です。病院で亡くなった場合は、基本的に看護師や病院提携の業者が担当します。
エンゼルケアについては、こちらの記事で紹介しています。
清拭の意味は?きれいに拭き清めて故人の新たな旅立ちを願う【エンゼルケア】
清拭(せいしき)とは、入浴ができない人の体をきれいに拭き清める看護・介護用語です。特に亡くなった人にする清拭は「エンゼルケア」と呼ばれます。エンゼルケアでは清拭以外にも、医療的処置や整髪、お化粧もおこなわれるのが一般的です。この記事では、清拭とエンゼルケアについて紹介します。
死亡診断書を受け取る
死亡が確認されたら医師から死亡診断書が発行されます。役所への死亡届の提出時や、生命保険の申請などの手続きに必要になるので、なくさないように大切に保管しておいてください。
安置場所を決める
病院の霊安室は長くは利用できないため、葬儀までの安置場所を決めなくてはなりません。近年では、葬儀を依頼する葬儀社の安置室を利用することがほとんどです。安置の準備だけでなく、ご遺体の管理もプロのスタッフが対応してくれるので安心できます。そのほか、予算や故人・遺族の意向によって決めると良いでしょう。
搬送の手配をする
安置する場所が決まったら、寝台車の手配をして搬送します。葬儀社に連絡を入れれば、霊安室までお迎えに来てもらえます。まだ葬儀の依頼先が決まっていない場合は、葬儀社に搬送のみの対応が可能か確認してみましょう。自家用車での搬送は法律的には禁じられていませんが、安全面・衛生面などからおすすめはできません。
病院から安置場所まで遺体を運ぶ「寝台車」については、こちらの記事で紹介しています。
ご遺体を搬送する寝台車とは
まずは寝台車とは何か?について、使用する目的や特徴から見ていきましょう。
安置する
安置場所に着いたら、故人を寝かせ枕飾りなどを整えます。いち段落したら、近親者へ安置場所や葬儀についての連絡を入れ始めます。普段お世話になっている菩提寺がある場合は、お寺にも連絡するようにしてください。
【場所別】霊安室使用や安置にかかる費用相場
病院の一時保管は基本的に無料ですが、そのほかの施設を選んだ場合は使用料が発生します。場所ごとの費用相場を紹介します。
病院・警察署:基本は無料
病院や警察署にある霊安室の使用は基本的には無料ですが、病院でエンゼルケアを希望した場合は別途料金がかかることもあります。エンゼルケアは医療行為に含まれないため、料金は病院によってまちまちですが数千円~1万円ほどです。提携業者に依頼した場合は、1~3万円ほどが相場です。
葬儀社・民間の安置施設:3〜10万円
葬儀社の安置室の利用料は、葬儀プランに含まれている場合もあります。安置のみお願いしたい場合や、民間の安置施設に依頼する場合は3〜10万円ほどが目安です。
<料金の内訳>
- 遺体の搬送代:2万円前後~(距離に応じて変わる)
- 施設使用料:1〜3万円(1日)
- ドライアイス代:1〜2万円(1日)
上記に加え、葬儀社や紹介会社のプランによっては家族の付き添いや面会を希望すると追加料金が発生することがあります。
葬儀費用の相場は、こちらの記事を参考にしてください。
お葬式の形式別・必要な費用
一般的な葬儀に加えて、家族葬や直葬など、お葬式にはさまざまな形式があります。葬儀の形式で軸となるのは、招待する人の範囲と宗教的儀式を重視するかどうかという2つです。式の内容によってかかる費用も変わってくるので、どのような形をとるのかあらかじめ考えておく必要があります。
火葬場:数千円ほど
自治体が運営する火葬場にある霊安室なら、1日あたり500円~数千円ほどで利用できます。なお、市内居住者と市外居住者で料金が代わり、市外からの利用は1日1万円前後が目安です。
なお、面会不可や時間限定としている自治体も多いので、事前に確認をしておきましょう。
自宅:2〜7万円
自宅に安置する場合は施設の使用料はかからないものの、自分たちで必要なものを準備しなければならないので、2〜7万円程度の費用が発生します。
<費用の内訳>
- 遺体の搬送代:2万円前後~(距離に応じて変わる)
- ドライアイス代:1〜2万円(1日)
- 枕飾りなどのお供物代:1〜3万円
状況に応じて安置場所を選び、速やかに搬送の手配を
死亡が確認されると病院の霊安室に運ばれるのが一般的です。ただし病院の霊安室は長く使用できないため、次の安置場所を速やかに決めて搬送する必要があります。葬儀まで安置できる場所としては、葬儀社や火葬場、民間業者が用意する安置施設、自宅があります。遺族の意向や予算に合った場所を選び、後悔のないお別れの時間を過ごしてください。