お葬式のお花「供花」は誰が贈る?手配やマナー、相場も解説
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
初めてお葬式にお花を贈る
供花の意味や贈り方を知りたい
供花とは、お葬式で故人へ供える花のことです。贈り主に決まりはなく、お葬式に参列できない人が贈ることも多くあります。突然の訃報には動揺することも多いですが、万が一に備えて供花の意味やマナーを押さえておけば、大切な場面でも落ち着いて対応できるでしょう。そこで、この記事では供花の意味や贈り方、地域や宗教による違いなどを紹介します。
目次
お葬式に供える供花とは
お葬式で故人へお供えし、祭壇の周りを飾る花でもある供花。最初に供花の意味や読み方、飾り方といった基本知識を紹介します。
供花の意味と数え方
供花とは、生前に故人や遺族に縁のあった人から、お悔やみの気持ちを込めて供える生花のことです。また、葬儀会場の祭壇周りや受付などを飾る目的もあります。
読み方は「きょうか」もしくは「くげ」。釈迦が息を引き取った際に、天から宝花(ほうけ)を降らせて供養した説が由来とされています。宝花は宝玉(宝石)で飾られた花を意味します。
供花の数え方は、一基(いっき)または一対(いっつい)です。一基はお供えする花が1つ、一対は左右対称のお供え花が2つになったセットを表します。地域により主流になる数は異なりますが、近年は一基の商品も豊富で、選ばれるケースも増えています。
供花の飾り方
供花を飾る順番は、故人との関係によって決まります。祭壇の中央から外側にかけて以下の通りに飾るのが基本です。
- 子どもや兄弟姉妹など故人と関係の深い近親者
- その他の親族や、故人がプライベートで親しくしていた友人
- 故人の仕事関係者
- 喪主や遺族の仕事関係者
祭壇の両側には、最も近しい親族の札がついた供花を飾るのが一般的です。地域により「喪主」「親族一同」などの札をつける場合もあります。供花を飾る際には、全体のバランスや贈り主への配慮など、考慮すべきことがあるため、リストで一覧にして葬儀社に相談すると良いでしょう。
供花の贈り方やお葬式への手配方法
次に供花の贈り方や相場、手配方法とマナーについて紹介します。突然の訃報に際しての参考にしてください。
遺族の了承を得る
供花を贈る人に制限はありませんが、故人や喪家の意向で辞退するケースもあるため、あらかじめ了承を取った方が無難です。特に家族葬は「関係者に負担をかけたくない」との思いから、供花を辞退することも少なくありません。行き違いにならないよう、遺族に確認してから手配をしましょう。
個人か団体か贈り主の立場を明確にする
供花を贈る際には、名義のほかに贈り主と故人の関係も供花の札に明示します。前述の通り、故人との関係によって花を飾る順番が決まるためです。
※山田花子(部長)、鈴木次郎(課長)、田中三郎(役職無し)の連名時の書き方。(連名の場合は右側からより順番に地位序列の高い人のから名前を記載)
贈り主が個人の場合は、札名に個人名のみを記載します。法人の場合は会社の正式名称と役職および代表者名、連名の場合は右側より順番に序列の高い人から名前を記載してください。なお、同僚や友人から贈る際は、名前を記載せず○○一同とする方法もあります。
供花は、基本的に個人ではなく仕事関係者や友人などの団体で贈るケースがほとんど。周囲に取りまとめ役がいないか確認しておくと安心です。
相場は地域で異なり1万円から
家族葬のファミーユで依頼した場合の供花の金額を紹介します。
北海道エリア | 一基(一段)1万6,500円(税込)〜 |
栃木・群馬・東京・神奈川・埼玉・千葉・宮崎・熊本エリア | 一基1万6,500円(税込)~ |
愛知エリア | 一対1万9,800円(税込)~ |
京都・奈良・大阪エリア | 一基 1万1,000円(税込) 一対 2万2,000円(税込)~
|
※価格や内容は変更になる場合があります。
一基と一対のどちらにすべきかに関しては、明確な決まりはありませんが、地域の風習にあわせておけば安心です。合計額で2万円~3万円程度が一般的ですが、近年は小規模葬儀場の増加に伴い、一基を指定とする場合もあります。葬儀場によってはスペースの都合で設置する数が限られることもあるため、葬儀社に地域の風習と合わせて、手配前に確認してください。支払いは参列時に葬儀社へ直接払う、もしくは後日振り込むことが多いです。
葬儀社や生花店に手配を依頼する
遺族から供花を贈っても良いと確認が取れたら、葬儀社や生花店への手配を開始します。葬儀社へ依頼する場合は、施行担当の葬儀社へ直接連絡してください。喪主(喪家)名や葬儀の日程と会場を伝え、一般的な価格と供花の種類を確認します。その後に注文内容と札名などを伝え、代金の支払い方法を指定します。
会場の準備に配慮し、通夜が始まる2時間前には、供花が届くように依頼します。通夜の前日から当日の正午前までなら間に合う場合が多いですが、事前に確認することが大切です。葬儀社を通さず自分で生花店に依頼したい場合は、会場に生花店の持ち込みが可能か否かを事前に葬儀社に確かめてから手配します。
供花の手配の仕方
この記事では供花を注文する具体的な方法についてご紹介します。
お葬式に供える供花の選び方
供花には、白を始めとした淡く落ち着いた色味の生花(菊や百合、蘭など)が主に用いられます。近年は、白を中心に故人が好んでいた花やアレンジメントを加えることもありますが、鮮やかな色合いになり過ぎないよう配慮するのがポイントです。
また会場の雰囲気をまとめるために、一定の選択肢から花を選ぶケースもあるため注意が必要です。どのような色合いやアレンジメントが主流かを、手配時に葬儀社と確認しておくと失敗を防げます。
地域や宗教別によるお葬式の供花の違い
ここからは、地域や宗教による供花の違いを紹介します。誠意を込めて故人に弔意を表すためにも、事前に把握しておきましょう。
関西では樒(しきみ)を用いる
関西の一部地域や日蓮宗といった宗教・宗派によっては、本物の樒(しきみ)が花より丁寧なお供え物という認識があるため、葬儀時に故人を大切に思う気持ちを込めて樒を贈ることがあります。
樒とは、白く細長い花を咲かせる常緑樹のこと。香りが強く、毒のある実をつけることから、邪気払いや魔除けになると昔から信じられてきました。
特に関西の仏式葬儀では、樒が祭壇周りや供花代わりに使用されることがあります。かつては玄関口に飾られていた樒ですが、近年自宅での葬儀が少なくなってきたことで、表飾りとして樒を立てることも減少しています。表飾りをする際もレプリカの「紙樒」や「板樒」を利用することが多くなっています。
樒とは、白く細長い花を咲かせる常緑樹のこと。香りが強く、毒のある実をつけることから、邪気払いや魔除けになると昔から信じられてきました。
特に関西の仏式葬儀では、樒が祭壇周りや供花代わりに使用されることがあります。かつては玄関口に飾られていた樒ですが、近年自宅での葬儀が少なくなってきたことで、表飾りとして樒を立てることも減少しています。表飾りをする際もレプリカの「紙樒」や「板樒」を利用することが多くなっています。
宗教によって贈る花の形式や種類が異なる
宗教によって、供花に使われる花の種類や形式は変わります。事前に遺族へ確認を取り、間違いがないよう手配してください。
神道 | 花の種類 |
菊や百合などの白を基調とした花 基本は仏教と同様だが榊(さかき)を添えることもある
|
---|---|---|
形式 | フラワースタンドや花籠 | |
仏教 | 花の種類 | 白菊や百合、蘭が中心に淡い色の花を添える
宗派によっては樒を使う
棘のついた花は避ける
|
形式 | フラワーアレンジメントや花籠、フラワースタンド | |
そのほかの風習 | 一部の地域や宗派で、関西の仏式葬儀では樒を用いる場合がある | |
キリスト教 | 花の種類 | 白い百合、カーネーションなどの洋花が中心 ※必ず生花を使用する
|
形式 | フラワーアレンジメント ※花輪やフラワースタンドは用いない
※名札をつけるかつけないかは場合によって異なるので事前に確認をする
|
|
そのほかの風習 | 故人に供えるものではなく、遺族への慰めとしての意味合いがあり、
名札をつけずに贈るのが一般的
※辞退する遺族も多いため事前に確認する
|
お葬式で使われる花の種類と供花との違い
お葬式に使われる花は供花以外にもあり、それぞれ異なる意味やマナーがあります。最後に、枕花や花輪、献花の特徴と供花との違いについて紹介します。
【枕花】故人の枕元に飾る
枕花(まくらばな)とは故人の枕元に飾る花のことで、亡くなったと連絡を受けてから、通夜の開始前までに贈るのがマナーです。花籠やフラワーアレンジメントを選ぶのが基本となります。故人を偲んで飾るものであることは供花と同様ですが、遺族の了承があれば誰でも贈れる供花に対し、枕花は故人の近親者や特に親しかった人のみが贈ります。
枕花の贈り方
亡くなった人へ敬意を込めて枕花を贈るには、贈り方の基本を把握することが大切。ここでは、花の選び方や価格の相場、贈るタイミングについて解説します。
【花輪】お通夜や葬儀の場に飾る
供花と同じように故人を偲んで飾りますが、供花はスタンド式やフラワーアレンジメントなどの種類がある一方で、花輪は丸い形状のみという決まりがあります。
また、故人の仕事関係者から贈られるケースが多いですが、スペースの問題などから辞退される場合も珍しくありません。地域や宗教、葬儀場によっても扱いが異なるので事前確認が必要です。
【献花】故人に1本ずつ供える
献花(けんか)とは、葬儀の参列者が1本ずつ供える生花のことです。キリスト教や無宗教形式の葬儀で用いられることが多く、仏式では焼香の代わりに取り入れる場合も。なお、神式では花ではなく榊を供えます。また、お葬式で供えられる他の花と異なり、献花は喪主が準備するのが原則です。
葬儀における献花の意味と、供花との違い
葬儀・告別式の場では、いくつかの花を見かけます。そのうちの1つが献花(けんか)です。まずは、葬儀における献花の意味と供花(きょうか、くげ)との違い、献花料と御花料、供花料の違いから紹介します。
故人を偲んでお葬式に供花を贈ろう
供花は、故人の死を悼み、お悔やみを伝えるために贈るものです。故人を偲び、遺族の悲しみに寄り添うためにも、相手の住む地域や宗教に心を配ることが大切です。マナーを踏まえた上で供花を贈り、最後のお別れの場で故人への感謝を伝えてはいかがでしょうか。
監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)
接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)