喪中の正月の過ごし方|正月行事は控えること?やって良いこと?

お葬式のマナー・基礎知識
喪中の正月の過ごし方|正月行事は控えること?やって良いこと?

この記事はこんな方におすすめです

初めて喪中に正月を迎える
喪中の正月の過ごし方や食べ物を知りたい
大切な家族が亡くなり、喪に服す期間のことを喪中と呼びます。現代は忌引期間を終えたら普段通りに過ごすケースが多い一方で、正月祝いはつつしむのが一般的。しかし、喪中の正月は何をつつしむべきか戸惑うことも多いのではないでしょうか。そこで、この記事では喪中に正月を迎えたときの過ごし方を解説します。

喪中の正月の過ごし方

まずは、喪中に正月を迎えたときの過ごし方を紹介します。喪中につつしむことだけでなく、普段通りにおこなって良いことも具体的に説明するので、故人を偲びながら正月を過ごすための参考にしてください。

初詣はつつしむ、または寺に参拝する

喪中の初詣はつつしむ人が多いです。しかし、忌の期間である忌(約50日間)が明けていれば、本人や周囲が不快でなければ神社・寺問わず参拝しても基本問題はありません。
忌中の初詣を考えている場合は参拝先が神社か寺かによって対応が異なります。神道では、忌中にあたる五十日祭を終えるまでは神社への参拝はもちろんのこと、鳥居をくぐることもタブーです。一方で、寺は死を不浄なものと捉えていないので、参拝しても良いと言われています。

ただし、多くの人が「喪中は祝いごとは避ける」と考えているのは確かです。喪中であれば初詣を控えて、新年の報告のためにお墓参りにいくという方法もあります。

親戚で集まることは可能

親戚で集まる場合、故人が自分の親族か、配偶者側の親族かによって対応が変わります。亡くなったのが自分の親族の場合、元旦に配偶者の家に集まるなら差し障りはありません。亡くなったのが配偶者の親族の場合、相手の考えに沿って決めてください。
喪に服している自分の家に親戚を招待するときは、新年のお祝いとしてではなく、旧年中に旅立った故人の在りし日を思う会として集まってもらいます。このとき、年始祝いのお年賀は控えるようにします。

新年の挨拶はしない

喪に服す期間に定めはありませんが、目安として一周忌にあたる1年間は祝いごとを避けるため「明けましておめでとうございます」を始めとした新年の挨拶はしません。親戚を亡くしたことを知らない人から新年の挨拶をされても、同じように返さないよう気を付けてください。
例えば「去年は、いろいろとお世話になりました。今年も引き続きよろしくお願いします」など、お祝いの意味を含まないよう意識する必要があります。

正月飾りや神棚へのお供えは控える

鏡餅やしめ飾り、門松といった正月飾りも、喪中にはつつしみます。正月飾りは、無事に過ごせた1年間に謝意を込め、歳神様を迎えるために設置するもの。身内に亡くなった人がいる場合は、飾らない方が良いでしょう。
神棚は、神道の忌中とされる50日間は封印しておきます。正月を迎えたのが忌中であれば、しめ縄やお札の取り替えもおこないません。忌服の期間を終えたら、喪中でもしめ縄やお札を取り替えて良いですが、お供物や正月飾りは使わないのが昔からの風習です。

お年玉は表書きを変えてみる

お年玉も、新年を祝うお金なので喪中の時にあげていいのか悩むものです。ただ子どもたちが楽しみにしているものなので、親戚で集まる場合には用意したいところ。ポチ袋には、お年玉という言葉を使わずに「おこづかい」や「ほんの気持ち」など別の表書きにします。また、華やかすぎる柄を避けて渡すといいでしょう。

正月の食べ物、喪中はどうする?

続いては、喪に服している間に食べる正月料理について説明します。おせちや雑煮など、代表的な正月料理を食べても良いのか確認するために役立ててください。

おせち料理は食べない方が良い

新年を祝うためのおせちは、喪中にそぐわない料理のため食べない方が良いとされています。特に、エビやタイ、紅白カマボコなど慶事の料理には気を付けてください。
ただし、宗派や宗教によっては、おせちを食べて問題ない場合があります。例えば、キリスト教や浄土真宗は死を不浄なものとして捉えず、成仏の概念も存在しないので、おせちを食べても大丈夫です。

雑煮や年越しそばは食べても良い

雑煮や年越しそばは喪中に食べても差し支えありませんが、なるべく質素に仕上げ、お祝いの雰囲気を出さないための配慮が必要です。
雑煮はもともとお祝いごとなどで食べる高級料理だったものの、近年は一般に広く親しまれる料理となっています。年越しそばにはいくつかの説があり「長寿と健康を願う」「1年の厄を祓い清める」という思いを込めて食べるものと捉えられています。
ただし、食材には配慮がいります。紅白カマボコや花型に細工した人参など、お祝いを想起させるものは避けて雑煮や年越しそばを作ってください。

喪中に食べるふせち料理とは

ふせち料理は、おせちの代替として食べるためのものです。精進料理をもとに作られ、お祝いを意味する食材は用いません。
一説によると、おせち(御節)の「お=御」を不祝儀の「ふ=不」に代えて名付けられたとの話も。近年は正月だけでなく、新盆などで集まった人たちに出すための料理としても取り入れられています。
大手百貨店でも取り扱いがあり、通販でお取り寄せをすることもできます。インターネットで検索してみてください。

年賀状はどうする?喪中はがきの出し方は?

喪に服している間は、年賀状ではなく喪中はがきで新年の挨拶を控えることを伝えます。喪中はがきの正式名称は、年賀欠礼。ここでは、喪中はがきを出す時期やマナーについて解説します。

喪中はがきは12月上旬までに届くように

喪中はがきは、11月中旬~12月上旬、準備が遅れたとしても12月15日辺りには相手へ配達されるようにします。
本来、喪中はがきは年賀欠席の挨拶状でした。しかし、近年は「喪中はがきを受け取ったら、相手に年賀状を出さない」との考えが慣習化されています。そのため、相手が年賀状の手配を始めるより少し前のタイミングで、喪中はがきが配達されるよう準備するのがおすすめです。
ただし、仕事関連の年賀欠礼は不要といわれています。仕事では公私混同をせず、公の立場として通常通り年賀状(会社の年賀状)を出してよいと考えられているからです。

喪中はがきを送る相手は年賀状のやりとりをしている人全員

喪中はがきの送り先は、年賀状を毎年交わしている人や亡くなった人がお世話になった人全員です。年賀の挨拶ができないことのお詫びを伝えるのが本来の目的であるため、葬儀の参列者や親族など、既に故人が亡くなったことを把握している人にも喪中はがきを送ります。
亡くなった人とのみ年賀状を交わしていた人へは、葬儀で喪主を務めた人の名前で喪中はがきを出すのが一般的。このケースでは、故人の死を伝える意味合いが濃くなります。亡くなった人との関係を念頭に入れ、はがきの文章を決めてください。

喪中はがきが間に合わなかったら寒中見舞いで挨拶する

喪中はがきの手配が遅れ、喪中に年賀状を受け取ったら、寒中見舞いで挨拶をします。寒中見舞いとは、寒さが厳しくなる時期に相手の近況や体調を気遣うために送る季節の挨拶状のことです。喪中はお祝いをつつしむ必要があるため、年が明けたことを祝う松の内後、2月4日ごろの立春までに寒中見舞いを出します。
松の内は年明けから1月7日までが基本です。しかし、地域によっては1月15日までの場合もあるので、あらかじめ確認してください。また、故人が亡くなった旨の知らせが遅れたことを詫びる一言を入れると、より丁寧な印象になります。

喪中はいつまで? 忌中との違いも

最後に、喪中の期間と忌中との違いを解説します。故人を偲ぶ期間を滞りなく過ごすために役立ててください。

喪中の期間は一周忌までが一般的

喪中の期間に明確な定めはないものの、一周忌までとする場合がほとんど。明治時代までは喪中期間が法律で決められていましたが、現在の法律に決まりはなく、昔の慣習などをもとに個人がそれぞれ判断を下します。
なお、喪に服す範囲は故人との続柄によって変わり、2親等までのケースが多いです。
  • 0親等:夫、妻
  • 1親等:父母、配偶者の父母、子ども
  • 2親等:故人もしくは配偶者の兄弟や姉妹、兄弟や姉妹の配偶者、孫、祖父母

忌中は故人の冥福を祈る期間、喪中は悲しみを表していい期間

喪中と同じような言葉に、忌中(きちゅう)があります。忌中は喪に服す期間の一部で、この間は死のけがれの中にあるとされ、また、故人の冥福を一番に考えるためにも、神社参拝や結婚式の列席などは控える慣習があります。忌中は約50日と短く、それよりも長くて制約が少ないのが喪中との違いです。
忌明け後は死のけがれが遠ざかったとして厳しい禁止事項が解かれますが、喪に服す期間はまだ終わっていません。近親者は派手な行動をつつしみ喪が明けるのを待ちます。喪中には喪服を着ていてもいいという意味があり、大切な人を亡くした悲しみを表に出してもいい期間でもあります。

喪中の正月は故人を偲びながら静かに過ごそう

人との関わりが多くなる正月も、喪に服す間はお祝いを避ける必要があります。喪中で大切なのは、故人を偲ぶこと。細かな考え方は地域や家庭によって異なるので、お年玉の有無などは親族と相談して決めておくと安心です。喪中にふさわしい振る舞いを心がけ、しめやかに正月をお過ごしください。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。