七福神・福禄寿のご利益とは?寿老人との違いを解説
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方にオススメです
七福神の福禄寿とはどんな神様なのか知りたい
福禄寿を祀っている神社を知りたい
福禄寿(ふくろくじゅ)は、幸福・財宝・長寿にご利益があるとされる七福神のひとり。頭の長い仙人のような見た目が特徴ですが、姿やご利益が似ている寿老人という七福神と間違われることがあるようです。この記事では、福禄寿の概要とご利益、寿老人との見た目・ご利益・言い伝えからみた違い、福禄寿を祀っている全国の寺社を紹介します。
福禄寿は七福神のひとりで中国にルーツを持つ
福禄寿とは、七福神のひとりで中国の神様とされています。長い頭に長いあごひげをたくわえた、仙人のような姿をしているのが特徴です。まずは福禄寿の特徴とルーツを紹介します。
長い頭とあごひげ、大きな耳たぶが特徴
福禄寿は、七福神という7人の神様のひとりです。福禄人と表記されることもあります。
背丈が低く、長い頭と長いあごひげ、大きな耳たぶが特徴で、仙人がモチーフとされています。左手に宝珠、右手に巻物をくくりつけた杖を持っているのもほかの神様と見分けるポイントです。また鶴を伴っていることが多いです。
ちなみに七福神とは、福禄寿・大黒天・毘沙門天・恵比寿天・寿老人・弁財天・布袋尊からなる7人の神様の総称です。七福神を参拝すると7つの災難が除かれ、7つの幸福を授かると言われています。
七福神のひとりである大黒天については、こちらの記事で紹介しています。
七福神の1人、大黒天は怖い神様?真の姿やご利益とは
大黒天(だいこくてん)は、大黒様とも呼ばれ、七福神の1人として広く親しまれています。もともとのルーツはインドにあるとされ、日本に渡って今の姿となりました。大黒天の真の姿や、今の姿になるまでを紹介していきます。
中国にルーツがあり、星にまつわる伝説がある
七福神には、日本以外にもインドなどさまざまな国にルーツを持つ神様がいて、福禄寿は中国の神様と言われています。日本には禅宗と一緒にもたらされたというのが通説です。
また、福禄寿は、中国の道教において福星・禄星・寿星の三星を神格化した三位一体の神様と考えられています。中国の春節には福・禄・寿を描いた「三星図」を飾り供物をささげ、一年間の幸せを祈願する風習が残っています。
福禄寿のご利益
福禄寿はその名前の一文字ずつに意味が込められていて、ご利益を表しています。ここでは、福禄寿のご利益と真言を紹介します。
中国で人生の三大目標とされる「福・禄・寿」
福禄寿の名前の一文字一文字に込められた意味とそのご利益がこちらです。
意味 | ご利益 | |
---|---|---|
福 | 幸福 | 特に子孫に恵まれる |
禄 | 封禄(身分・財宝) | 金銭に恵まれる |
寿 | 長寿 | 健康的に長生きできる |
これら福禄寿のご利益は、道教の願いや、中国でおめでたい席などで掲げられる人生の三大目標とも一致しています。それぞれの意味から、福禄寿は子孫繁栄・立身出世・財運招福・延命長寿の神様として祀られていることが多いようです。
また名前の中には含まれていませんが、招徳人望のご利益もあるとされ、良縁祈願につながるとしても有名です。ほかにも頭が大きいのは知恵者という意味があり、福禄寿が祀られている場所を参拝すると学力向上につながると言われることもあります。
福禄寿の真言
福禄寿の真言は「オン マカシリ ソワカ」です。これはインドの古代語であるサンスクリット語で、真言とはサンスクリット語ではマントラと呼ばれる「真実の言葉・秘密の言葉」を意味する神仏の言葉や教えのことを言います。
派手さはなくとも、子宝に恵まれ、お金に不自由せず、元気に長生きできれば幸せであり、欲張らずに頭を使って学ぶことを続ければ十分幸せになれるとするのが福禄寿の教えです。功徳を得るには、毎日繰り返し真言を唱えるのが大切だとされています。
同一人物ではない!福禄寿と寿老人との違い
七福神のうち、福禄寿と寿老人はどちらも名前に「寿」が入っており、姿も似ているので間違われることもしばしば。ここでは福禄寿と寿老人の違いを、見た目・ご利益・伝説から掘り下げていきます。
寿老人と間違えられるのは共通点が多いから
福禄寿と寿老人(じゅろうじん)は、ともに七福神のうちのひとりで、姿やご利益など似ている点が多いので見分けがつきにくいことも。ときに同一視されることもありますが、別々の神様です。まずは共通点を紹介します。
<福禄寿と寿老人の共通点>
- 仙人の姿がモチーフになっている
- 長くて白いあごひげをたくわえている
- 巻物をくくりつけた杖を持っている
- 中国にルーツを持つ神様である
- 長寿のご利益がある
- 「南極老人星」の化身だとする伝説がある
見た目の違い
見た目から見分けるには、持ち物や一緒に描かれている動物が手がかりになります。持ち物で言えば、福禄寿は宝珠を持っているのに対し、寿老人はうちわや桃を持っていることが多いです。従えている動物は、福禄寿は鶴、寿老人は鹿という違いがあります。
ちなみに持ち物である桃は長寿を意味する果物で、寿老人のご利益が表されています。
ご利益の違い
福禄寿は主に子孫繁栄・財運招福・延命長寿の3つのご利益があるとされるのに対し、寿老人のご利益は延命長寿に特化しているのが特徴です。そのため延命長寿を一番に望むなら、寿老人に頼むのが良いとする考えもあります。
寿老人にはそのほか、長寿に関連して厄払いや身体健全という健康面でのご利益、家庭円満や福徳円満という心理的なご利益もあるとも言われます。
伝説の違い
中国の伝説によると、福禄寿は先述の通り福星・禄星・寿星の三星一体の姿で、寿老人は寿星単独の姿とされています。
寿星は、「南極老人星」(カノープス=Canopus/りゅうこつ座α星)とされています。この星は、明るい星ですが、地平線すれすれまでしか昇ってこないので見つけるのが難しく、見つけると長寿になれるとの言い伝えが中国・日本で広く流布されていたこともあります。
七福神巡りも!福禄寿を祀っている全国の寺社
福禄寿を祀っている寺社は日本全国にあります。ほかの七福神を祀る近隣の寺社と一緒に参拝して、七福神巡りをするのもおすすめです。それぞれ特徴を紹介するので、機会があればぜひ立ち寄ってみてください。
今戸神社(東京)
白髪で童顔、温和な姿の福禄寿を祀るのが、東京にある今戸神社です。浅草駅から隅田川沿いに歩いて15分ほどのところにあります。過去にたびたび被災に遭うものの、再建を繰り返してきた歴史ある神社です。
神社周辺は今戸焼と呼ばれる陶磁器の発祥地。招き猫の生産もしていたことから、今戸神社は『招き猫の発祥地』と称されています。そのため境内の至るところに、招き猫の置物が飾られています。
浅草には七福神を参拝できる寺社がたくさんあるので、近くを巡ってみてはいかがでしょうか。
【住所】東京都台東区今戸1-5-22
日本各地の陶磁器については、こちらの記事で紹介しています。
日本各地の焼き物の種類│産地別の特徴や、魅力を解説
日本における焼き物の歴史は古く、ルーツは縄文土器に遡ります。代表的な焼き物の陶器と磁器の特徴や、焼き物の楽しみ方について紹介します。
山王神社(神奈川)
「箱根小涌園ユネッサン」という温泉施設の敷地内にある神社が、山王神社です。徒歩やバスで巡れる範囲にほかの七福神を祀る寺社が多くあるので、山王神社を七福神巡りのゴールにして、最後は温泉にゆっくり浸かるという楽しみ方が人気です。
【住所】神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
赤山禅院(京都)
ひとつずつ顔が手書きされている「福禄寿お姿みくじ」が人気の赤山禅院。京都御所の表鬼門を守護する寺として古くから信仰されていて、地元では「赤山(せきざん)さん」という愛称で親しまれています。比叡山延暦寺の塔頭(たっちゅう)で、もみじの名所としても有名です。
赤山禅院の福禄寿を含む「都七福神めぐり」は、特に1月におこなうとご利益があると言われています。例年1月5日は、赤山禅院の住職をつとめる大阿闍梨が「八千枚大護摩供」などの祈祷もおこなっています。
【住所】京都市左京区修学院開根坊町18
阿闍梨については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
阿闍梨とは位の高い僧侶のこと。その種類や、修行内容を解説
仏教における阿闍梨とは、弟子に教授する師であり、手本となる存在の高僧のこと。真言宗を始めとした密教では、僧侶の資格を有する者を意味します。ここでは阿闍梨の概要について詳しく紹介します。
若宮八幡社(愛知)
若宮八幡社は、名古屋の総鎮守として由緒ある神社です。毎年5月には、名古屋の三大祭りのひとつに数えられる「若宮まつり」が執りおこなわれ、その際に福禄寿車が神輿の巡幸とともに那古野神社まで曳き出されます。境内には縁結びの社もあり女性からの人気も高いです。名古屋の中心にありながら、緑豊かなので心地良く過ごせるでしょう。
【住所】名古屋市中区栄3-35-30
日々の幸せに感謝して福禄寿のご利益を授かろう
人生におけるさまざまなことにご利益があるとされる福禄寿ですが、欲張らずに今の生活に満足することが幸せへの道であることを説いています。おごらずに学び続ければ、福禄寿のような姿に近づけるかもしれません。興味があれば実際に近くの寺社にも足を運び、願いを伝えてみてください。