香典返しのお礼の伝え方。電話・手紙・メール・LINEの例文を紹介
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
香典返しをいただいた
香典返しにお礼が必要か知りたい
香典返しは、葬儀に参列したときに渡した香典へのお礼の品です。通常、香典返しを受け取っても、お礼をする必要はありません。しかし香典返しが届いたことへのお礼を伝えたい人もいることでしょう。この記事では、香典返しにお礼が不要な理由、香典返しの到着を伝えるポイント、伝え方、注意点を紹介します。
香典返しにお礼は必要でない理由
最初に香典返しに対する「お返し」が不要な理由について紹介します。
香典返しは香典に対するお礼の品だから
香典返しは、お通夜や葬儀・告別式でもらった香典に対するお返しとして贈られる品。お返しの意味を持つ香典返しに対してさらにお返しをするとなればキリがありません。かえって失礼な対応だと思われる可能性もあります。
また、葬儀を終えた後も遺族は何かと忙しいもの。そっとしてほしいと考える遺族もいるため、あえて連絡を取らないことが遺族への気遣いになる場合もあります。
良くないことが重なるとも捉えられるから
「法要がすべて終わり、忌明けとなりました」と、お通夜や葬儀に訪れた人に奉書(挨拶状)と品物を通じて伝えることも香典返しの目的です。香典返しにお返しの品を重ねると「不吉なことが重なる」「不祝儀が続く」と思われることも。故人の旅立ちに区切りをつけるためにも、香典返しに対してはお返しの品を贈らなくて良いとされています。
香典返しの到着を伝える方法とコツ
前述のように、基本的に香典返しに対してお返しの品は贈る必要はありませんが、心配性の相手などに品物が届いたことだけは伝えたい人もいることでしょう。ここでは香典返しが着いたときの報告方法とコツについて解説します。
香典返しが到着したことを報告する
相手と連絡を取る際には、香典返しが到着したことを中心に報告します。四十九日を終え、忌明けを迎えた頃に香典返しが送られてくる場合が多いので、問題なく品物が届いたことを知らせておくと相手も安心でしょう。報告の方法は、電話や手紙・はがき、メール・LINEなどです。
電話で伝える場合は短く内容を伝える
時間帯に配慮した上で電話をかけ、香典返しが届いたことや、遺族を労う言葉を端的に伝えます。大切な人を亡くした遺族にとって、故人とも親しかった人の声を聞くことは慰めにもなります。
■ポイント
- 事前に伝えることをまとめておく
- 相手が忙しい時間は避ける
- 相手が電話に出たら「今、話しても大丈夫か」と確認する
- 「ありがとう」など、はっきりとした感謝の言葉は用いない
- 長電話にならないようにする
手紙やはがきで伝える場合は届いた翌日に投函する
手紙類は相手宅に到着するまで時間を要するため、香典返しが届いた次の日には投函するのがおすすめです。便箋の2枚重ねや二重封筒は、不祝儀が重なるという印象を与えるため避けてください。また縦書きで書く挨拶状は句読点を使わないのが基本です。
■ポイント
- 香典返しが到着した旨を伝える
- 謝意を表現しつつ、ダイレクトな感謝の言葉は使わないようにする
- 遺族を労う言葉を加える
- 短文でわかりやすくまとめる
- 投函の日付を記入する
メールやLINEで伝える場合は親しい間柄のみにする
手紙やはがきより早く届き、都合の良いときに読めるのがメールやLINEのメリットです。ただし、年配の人には「軽い」「失礼だ」という印象を与えることもあるので、注意してください。
■ポイント
- 普段から親しくしている人のみに使う
- 短文を心がけ、遺族の気持ちに寄り添う内容にする
【シーン別】香典返しのお礼の伝え方
ここからは、香典返しをいただいたお礼を伝える方法や例文をシーン別に紹介します。遺族との関係性に合わせて、電話や手紙、メール・LINEなどを選ぶことが大切です。
シーン①葬儀当日に香典返しをいただいた場合
お通夜や葬儀の当日に香典返しをもらった場合は「ご丁寧に恐縮です」「恐れ入ります」など、控えめな声で端的にお礼を伝えます。香典返しは、四十九日の法要を終え、忌明けになってから贈られるのが一般的ですが、配送手配などの負担を減らすために当日返しを選ぶ遺族も増えています。喪主へは直接お礼を伝えられませんが、臨機応変に対応するようにしてください。
シーン②遠方の親族などへの連絡は電話
よく話をする親戚や遠方の親類縁者の場合は、電話がおすすめです。電話口に相手が出たら、これから話しても大丈夫か確認すると親切です。電話で言ったことは取り戻せないので、短く必要なことだけを押さえて話します。
■例文
先ほど、お返しの品が到着しました。誠に恐れ入ります。いろいろと大変だったかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
先ほど、お返しの品が到着しました。誠に恐れ入ります。いろいろと大変だったかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか。
シーン➂目上の人へは手紙・はがき
手紙やはがきは、本家へのご挨拶や恩師など目上への人に向いています。したためる内容は、短文でまとめます。品物が届いたことや相手を労う言葉を中心に記載し、日付も入れてください。「拝啓」などの頭語は用いなくても問題ありません。
■例文
本日ご供養の品を頂戴いたしました お心遣い恐れ入ります その後いかがお過ごしでしょうか 季節の変わり目が訪れていますので どうぞお体にお気を付けください 略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 令和□年□月□日
本日ご供養の品を頂戴いたしました お心遣い恐れ入ります その後いかがお過ごしでしょうか 季節の変わり目が訪れていますので どうぞお体にお気を付けください 略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 令和□年□月□日
シーン④親しい人へはメール・LINE
基本的なマナーは、電話や手紙と同様です。冒頭で「メール(LINE)にて失礼いたします」など、断りの言葉を入れると丁寧な印象を与えられます。また、最後に「返信のお気遣いはなさいませぬよう」と書き添えて相手の負担を軽減するのもポイントです。LINEでも「お加減いかがですか?」などのスタンプを送るだけではなく、「ご供養の品のお心遣い恐れ入ります」といった一文添えるようにします。
またLINEは個人的なやりとりをするコミュニケーションツールですが、日頃の会話よりも丁寧な言葉遣いにします。あまり長いメッセージは読みづらいので、100文字程度に収めると良さそうです。
またLINEは個人的なやりとりをするコミュニケーションツールですが、日頃の会話よりも丁寧な言葉遣いにします。あまり長いメッセージは読みづらいので、100文字程度に収めると良さそうです。
■例文(メール)
ご無沙汰しております □□です メールにて失礼いたします 先ほど ご供養の品が届きました 丁寧なお気遣いをいただき恐縮です まだ大変なことも多いかと存じますが お体を大事にしてください 何かできることがあればいつでも力になります なおご返信には及びませんのでお気遣いなさらないでください
ご無沙汰しております □□です メールにて失礼いたします 先ほど ご供養の品が届きました 丁寧なお気遣いをいただき恐縮です まだ大変なことも多いかと存じますが お体を大事にしてください 何かできることがあればいつでも力になります なおご返信には及びませんのでお気遣いなさらないでください
■例文(LINE)
LINEにて失礼します 先ほど ご供養の品が届きました 丁寧なお心遣い恐れ入ります まだ大変なことも多いかと存じますが お体を大事にしてください 何かできることがあればいつでも力になります
LINEにて失礼します 先ほど ご供養の品が届きました 丁寧なお心遣い恐れ入ります まだ大変なことも多いかと存じますが お体を大事にしてください 何かできることがあればいつでも力になります
香典返しが届いたお礼を伝える際の注意点
最後に香典返しが到着したことのお礼を伝える際の注意点を紹介します。香典返しが届いたことを伝える方法はいくつかありますが、伝える相手に合わせて適切な方法を選んでください。
重ね言葉は使わない
重ね言葉とは、言葉の意味を強調するために同じ語を重ねたものを指します。例えば、重ね重ね・わざわざ・益々などが重ね言葉です。不吉なことが重なったり、続いたりすることを想起させるので、弔事に関することには使用しないのがマナー。送る前に確認できる手紙やメールと異なり、電話で言ったことは取り戻せないため、よく気を付けてください。
直接的なお礼の言葉は使わない
あくまでも、香典返しが届いたことを中心に報告するのが基本です。「ありがとう」や「立派な品物」など、喜びや嬉しさを感じさせる言葉は弔事では使いません。「恐れ入ります」「恐縮です」といった言葉を使います。
香典返しを辞退した場合でもお礼は不要
あらかじめ香典返しを辞退した場合、辞退を受けた遺族からは香典返しなしで礼状のみが届くことが一般的ですが、礼状に対してのお礼も不要です。また香典返しが不要であることを伝えても品物が届くときがありますが、この場合もお返しを贈る必要はありません。必要に応じて電話や手紙で連絡を取り、香典返しが到着したこと報告してください。
あえて伝えないという選択肢もある
連絡しないことが遺族への気遣いになる場合もあります。生前、故人と親しくしていたとしても、遺族と近しい関係にないときは香典返しの到着報告をしないケースも多いです。
葬儀や法要など、遺族には対応しなければならないことがたくさんあります。「無駄に時間を取るより、何もしないほうが遺族にとって良い」と判断した場合は、連絡しなくても良いのではないでしょうか。
香典返しのお礼では遺族への労いや気遣いを伝えよう
香典返しは香典に対する遺族からの謝意であるため、お返しの必要はありません。しかし「香典返しはきちんと届いたか」と遺族が心配しないように、受け取った報告や挨拶をすることは問題ありません。香典返しが届いたことへの報告を伝える場合は、直接的な感謝の言葉を使わないように、遺族への労いや気遣いを伝えるようにしてください。
この記事の監修者
政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。