「神道」の基礎知識。神社での参拝手順と神式葬儀も
お葬式のマナー・基礎知識
神道とは、古くから存在する日本固有の宗教です。本記事は、神道の起源や仏教との違いといった基本情報をお伝えします。また、神社での参拝方法や、神道特有の葬儀「神葬祭(しんそうさい)」についても紹介します。
神道とは
古くより、日本の地に根付く「神道」とは、どのような宗教なのでしょうか。歴史と考え方、そして神道の神様についてご紹介します。
神道の起源と歴史
神道は、日本の民族歴史の中で自然に生まれた民族宗教とされています。一般的な宗教には教祖や経典が存在しますが、神道は教祖や経典が存在しないことも大きな特徴です。
神道の起源は古く、日本最古の歴史書と言われる「古事記」には、神道に通じる日本神話が複数掲載されています。さらに、720年に編纂(へんさん)された「日本書紀」には神道という用語が初めて登場。実際の信仰の起源はこれより数世紀前、有史以前にさかのぼるといわれています。
もちろん、このような古い時代から、現在のような体系的な宗教としての神道のかたちができていたわけではありません。原始的な神話信仰や、山や岩などの自然を神聖なものとする精霊信仰が徐々に融合し、外来文化、先祖崇拝なども取り入れながら、日本人に親しみやすいように変容してきた宗教、それが神道なのです。
神道の起源は古く、日本最古の歴史書と言われる「古事記」には、神道に通じる日本神話が複数掲載されています。さらに、720年に編纂(へんさん)された「日本書紀」には神道という用語が初めて登場。実際の信仰の起源はこれより数世紀前、有史以前にさかのぼるといわれています。
もちろん、このような古い時代から、現在のような体系的な宗教としての神道のかたちができていたわけではありません。原始的な神話信仰や、山や岩などの自然を神聖なものとする精霊信仰が徐々に融合し、外来文化、先祖崇拝なども取り入れながら、日本人に親しみやすいように変容してきた宗教、それが神道なのです。
神道のコンテンツ
神道は、地上の森羅万象に神が宿るという考え方がベースです。「祖先崇拝」や「自然崇拝」が基本で、「八百万(やおよろず)の神」と呼ばれる多数の神を崇拝します。
そして、神道を語る上で欠かせないのが天皇の存在です。天皇は、八百万の神の中でも最高の神格を有する「天照大神(あまてらすおおみかみ)」の末裔と考えられています。皇室の儀式が、神式でおこなわれているのはこのためです。
神道において、亡くなった人は家族を見守る祖先神(そせんしん)になり、死後の世界で家族や子孫を見守っていると考えられています。
そして、神道を語る上で欠かせないのが天皇の存在です。天皇は、八百万の神の中でも最高の神格を有する「天照大神(あまてらすおおみかみ)」の末裔と考えられています。皇室の儀式が、神式でおこなわれているのはこのためです。
神道において、亡くなった人は家族を見守る祖先神(そせんしん)になり、死後の世界で家族や子孫を見守っていると考えられています。
神道の神様
仏教やキリスト教など、世界宗教の多くが「一神教」であるのに対し、神道は「多神教」の考えを基にしています。ちなみに、八百万(やおよろず)という言葉は数がきわめて多いことのたとえです。
すべての神々は「天の神」と「地上の神」に区別され、その神々のトップに君臨するのが、天皇の祖先と考えられている天照大神(あまてらすおおみかみ)です。
すべての神々は「天の神」と「地上の神」に区別され、その神々のトップに君臨するのが、天皇の祖先と考えられている天照大神(あまてらすおおみかみ)です。
神道の種類
仏教に宗派があるように、神道も時代や政治利用等によって少しずつ意味や内容が異なるものを分類できます。宗派というよりは概念に近いものもありますが、大きく分けると以下の5種類です。
・神社神道
現在も神社を中心に信仰されている、一般的にイメージされる神道のこと。
・皇室神道
皇室による大嘗祭や新嘗祭を始めとした祭祀をおこなう神道。
・教派神道
伊勢神宮や出雲大社など古くから続く神社から生まれた神道や、金光教など教祖の神秘的体験から生まれた神道のこと。
・復古神道(江戸時代中期から明治時代まで)
外来宗教の影響を排除し、日本固有の信仰の在り方を復活させようとした神道のこと。
・国家神道(明治から第二次世界大戦終戦まで)
天皇統治体制強化のために、国家が国民に信仰するよう働きかけた神道のこと。
・神社神道
現在も神社を中心に信仰されている、一般的にイメージされる神道のこと。
・皇室神道
皇室による大嘗祭や新嘗祭を始めとした祭祀をおこなう神道。
・教派神道
伊勢神宮や出雲大社など古くから続く神社から生まれた神道や、金光教など教祖の神秘的体験から生まれた神道のこと。
・復古神道(江戸時代中期から明治時代まで)
外来宗教の影響を排除し、日本固有の信仰の在り方を復活させようとした神道のこと。
・国家神道(明治から第二次世界大戦終戦まで)
天皇統治体制強化のために、国家が国民に信仰するよう働きかけた神道のこと。
神道と仏教は日本の二大宗教
文化庁『宗教年鑑』平成29年版によると、神道系の信者は8473万9699人(46.5%)、仏教系の信者は8770万2069人(48.1%)いるとされています。(※人数は団体の自己申告であり、あくまでも目安です。)
この数字を見ても、この2つが日本の代表的な宗教であることがわかるでしょう。ここでは、神道と仏教の歴史的な関わり、両者の違いについて見てみましょう。
この数字を見ても、この2つが日本の代表的な宗教であることがわかるでしょう。ここでは、神道と仏教の歴史的な関わり、両者の違いについて見てみましょう。
神道と仏教のまじわり「神仏習合」
日本人は、古くから神道を崇拝していました。しかし、インドで生まれた仏教が、西暦538年に中国を経て日本に伝わってきます。外来宗教の仏教を受け入れるにあたり、さまざまな葛藤や対立に直面します。
そこで日本は、「神仏習合」という考え方を選択しました。神も仏も両方信じるという発想で宗教観の対立を抑え、両者のいいところを取り入れながら現在につながる神道を形成していったのです。日本における仏教も同じように、初期の段階から神道の影響を受けています。
そこで日本は、「神仏習合」という考え方を選択しました。神も仏も両方信じるという発想で宗教観の対立を抑え、両者のいいところを取り入れながら現在につながる神道を形成していったのです。日本における仏教も同じように、初期の段階から神道の影響を受けています。
神道と仏教の違いと共通点
仏教は、教祖のお釈迦様が解いた教えに基づく経典・教義があるのに対し、神道には明確な「教え」がありません。ただし、「神仏習合」によって互いのエッセンスが取り入れられたことから、同じ名前の神様と仏様がいます。
神道の拠点とも言える「神社」について
神道を信仰していなくても、七五三や初詣に神社を訪れたことがある人は多いでしょう。ここでは、神道の信仰拠点である神社の特徴と役割、正しい参拝手順を追ってみます。
お寺とは異なる神社の特徴的な部分
神道の神々を祀る社(やしろ)である「神社」は全国に約8万5,000社あり、その多くを民間法人である「神社本庁」が統括しています。
神社の原形は、神様が降臨すると考えられた木や岩の所に仮設された建築物と考えられています。その後、時代が進むにつれて「やしろ」「みや」などと呼ばれる常設の社殿が造られました。
神道の聖職者は「神職」「神主」「巫女」と呼ばれ、神社で袴・烏帽子(えぼし)をまとい、祝詞(のりと)を唱えます。ちなみに祝詞とは、神事において神主が神前で唱える言葉のことです。
神社の原形は、神様が降臨すると考えられた木や岩の所に仮設された建築物と考えられています。その後、時代が進むにつれて「やしろ」「みや」などと呼ばれる常設の社殿が造られました。
神道の聖職者は「神職」「神主」「巫女」と呼ばれ、神社で袴・烏帽子(えぼし)をまとい、祝詞(のりと)を唱えます。ちなみに祝詞とは、神事において神主が神前で唱える言葉のことです。
神社参拝のマナー
神社参拝の際には、服装や歩き方など、いくつか押さえるべきマナーがあります。
《神社参拝の服装》
神社を参拝する際は、できる限り服装を正すようにしましょう。特に社殿などの特別な場所に立ち入る場合は、男性はスーツ、女性も同等のフォーマルファッションを必要とされることもあります。
《参道の歩き方》
参道の中央は神様が通る道(正中)と考えられています。そのため、参道の中央を避けて神様への敬意を表すのが望ましい歩き方です。参道の中央を横切るときは、軽く頭を下げながら、もしくは中央で神前に向き、一礼してから横切るなど神様に敬意を表しましょう。
《神社参拝の服装》
神社を参拝する際は、できる限り服装を正すようにしましょう。特に社殿などの特別な場所に立ち入る場合は、男性はスーツ、女性も同等のフォーマルファッションを必要とされることもあります。
《参道の歩き方》
参道の中央は神様が通る道(正中)と考えられています。そのため、参道の中央を避けて神様への敬意を表すのが望ましい歩き方です。参道の中央を横切るときは、軽く頭を下げながら、もしくは中央で神前に向き、一礼してから横切るなど神様に敬意を表しましょう。
神社参拝の正しい手順
次に、礼拝の正しい手順も確認しておきましょう。
《1.鳥居の前で一礼する》
鳥居は神様の住む場所と、人間の住む場所を区切る境界です。神様への敬意を込めて一礼してから足を踏み入れましょう。帽子は必ず取り、寒い時期でなければコートも脱ぐのが望ましいです。
参拝が終わった後も、鳥居を出たところで振り返り、社殿に向かって一礼をしましょう。
《2.手水舎(ちょうずや)で清める》
神聖な場所に入る前に心身を清めます。この清める場所が手水舎です。鳥居をくぐった後は、手水舎で身を清めます。
・右手で柄杓に水を汲み、左手→右手の順番に手を洗います。
・次に右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口に含んですすぎましょう。
・終わったら、もう一度左手を洗います。
・最後に、柄杓を縦にするようにして柄の部分を清めて、元の場所に戻します。
・濡れた手はそのままにせず、ハンカチで拭いてください。
《3.お賽銭、鈴、二拝二拍手一拝の順》
参道の端を通って拝殿前まで来たら、まずはお賽銭を賽銭箱に入れます。お賽銭は神様に捧げる真心の表れであり、金額は関係ありません。
次に鈴を1回鳴らし、二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいっぱい)で拝礼します。まずは2度頭を下げます。このとき、90度くらい深々と頭を下げるのが望ましいです。続いて2回手を打ち鳴らし、合唱のポーズのまま心の中で願い事を唱えましょう。願い事を唱え終わったら、もう1度深く頭を下げます。
《1.鳥居の前で一礼する》
鳥居は神様の住む場所と、人間の住む場所を区切る境界です。神様への敬意を込めて一礼してから足を踏み入れましょう。帽子は必ず取り、寒い時期でなければコートも脱ぐのが望ましいです。
参拝が終わった後も、鳥居を出たところで振り返り、社殿に向かって一礼をしましょう。
《2.手水舎(ちょうずや)で清める》
神聖な場所に入る前に心身を清めます。この清める場所が手水舎です。鳥居をくぐった後は、手水舎で身を清めます。
・右手で柄杓に水を汲み、左手→右手の順番に手を洗います。
・次に右手で柄杓を持ち、左手に水を受けて口に含んですすぎましょう。
・終わったら、もう一度左手を洗います。
・最後に、柄杓を縦にするようにして柄の部分を清めて、元の場所に戻します。
・濡れた手はそのままにせず、ハンカチで拭いてください。
《3.お賽銭、鈴、二拝二拍手一拝の順》
参道の端を通って拝殿前まで来たら、まずはお賽銭を賽銭箱に入れます。お賽銭は神様に捧げる真心の表れであり、金額は関係ありません。
次に鈴を1回鳴らし、二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいっぱい)で拝礼します。まずは2度頭を下げます。このとき、90度くらい深々と頭を下げるのが望ましいです。続いて2回手を打ち鳴らし、合唱のポーズのまま心の中で願い事を唱えましょう。願い事を唱え終わったら、もう1度深く頭を下げます。
神道のお葬式「神式葬儀」と法事・法要「神事」
神道のお葬式である神式葬儀は、仏式葬儀とは意味や様式、手順も異なります。ここでは神式葬儀の特徴や流れ、戒名、香典についてご紹介します。
神道の葬式(神葬祭)の特徴
仏教のお葬式は故人を極楽浄土に送るためにおこなわれますが、神道のお葬式は、故人を家に留め死の穢れ(けがれ)を払い、守護神となってもらうための儀式とされています。
穢れとは、清潔さや純粋さなどを失うことで、死・血・悪しき事などにともなって生じるとされています。物質的に触れずとも、精神だけでも伝染するとみなされ、神聖な領域である神社で神葬祭がおこなわれることはほとんどありません。
日本では、明治以前の檀家制度の流れからほとんどのお葬式が仏式でおこなわれています。神道のお葬式は全体の数%に留まるものの、最近は簡素で厳格なイメージのある神道の葬式「神葬祭」に興味を持つ人も少なくありません。
穢れとは、清潔さや純粋さなどを失うことで、死・血・悪しき事などにともなって生じるとされています。物質的に触れずとも、精神だけでも伝染するとみなされ、神聖な領域である神社で神葬祭がおこなわれることはほとんどありません。
日本では、明治以前の檀家制度の流れからほとんどのお葬式が仏式でおこなわれています。神道のお葬式は全体の数%に留まるものの、最近は簡素で厳格なイメージのある神道の葬式「神葬祭」に興味を持つ人も少なくありません。
神道の葬式(神葬祭)の流れ
神葬祭では、1日目におこなわれる「遷霊祭(せんれいさい)」で、仏式の位牌にあたる霊璽(れいじ)に故人の霊魂を移します。そして、2日目に「葬場祭(そうじょうさい)」をおこない、死の穢れを清め、故人を家の守護神として祀ります。
神式葬儀の詳しい内容や礼儀作法は、こちらの記事をご覧ください。
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神式のお葬式こそ日本の伝統儀式!? 神社でお葬式をしない理由とは - Coeurlien
外国の方から見ると、日本人は「信仰心が薄い」という印象があるそうです。たしかに「あなたの信仰している宗教は何ですか?」と聞かれて、答えに困る方は意外に多いのかもしれません。しかし、日本人の多くはお正月や七五三になれば、「神道」にもとづいて神社へお参りをするように、宗教として意識していなくても信仰が根付き、慣習が暮らしの一部となっているのです。今回は神道(神式)のお葬式についてご紹介します。
神道では「戒名」ではなく「諡(おくりな)」
戒名は、仏様の弟子になった暁にもらえる名前のことなので、神道では存在しません。ただし、神道にも「諡(おくりな)」が存在します。諡は人物の帰幽(きゆう:神道で死ぬこと)後につけられる名前のことです。この名前には、生前の徳やおこないを称える意味が込められています。
神道において、命はいつか神様に返さなければならないものとされます。命を返すタイミングが死であり、諡を持って神の世界に再び戻ると考えられているのです。
そのため、神道では仏式の位牌にあたる霊璽(れいじ)や、奥津城(おくつき)と呼ばれるお墓に名前を刻むとき、必ず諡を加えることが決められています。
神道において、命はいつか神様に返さなければならないものとされます。命を返すタイミングが死であり、諡を持って神の世界に再び戻ると考えられているのです。
そのため、神道では仏式の位牌にあたる霊璽(れいじ)や、奥津城(おくつき)と呼ばれるお墓に名前を刻むとき、必ず諡を加えることが決められています。
神道では「香典」ではなく「御榊料」「御神前」
神道では祭祀の際に香を焚くことはないため、香典という表現は適当ではありません。神道において、香典にあたるものは「御榊料(おさかきりょう)」、「御玉串料(たまぐしりょう)」、「御神前(ごしんぜん)」などと呼ばれています。
香典袋の表書きの詳細についてや、包む金額の目安などはこちらの記事をご確認ください。
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覚えておきたい香典袋の正しい書き方を解説 - 家族葬のファミーユ【Coeurlien】
一生のうち葬儀へ参列する機会は限られています。そのため、葬儀でのルールやマナーがわからないという方も多いのではないでしょうか。そのなかのひとつが香典袋の書き方。香典袋の書き方にもさまざまなルールがあってわかりづらいというのが正直なところ。この記事では、香典袋の正しい書き方や注意点をご紹介します。
日本古来の神道に親しむ
神道は日本古くから受け継がれてきた宗教であり、仏教同様、私たちの生活に広く浸透しています。神社の参拝方法、神式葬儀の参列マナーも覚えておくと役に立ちます。