葬儀の種類を比較|家族葬・直葬・一日葬などの特徴と違い

わたしのお葬式
葬儀の種類を比較|家族葬・直葬・一日葬などの特徴と違い

この記事はこんな方にオススメです

葬儀の種類を一覧で比較したい
葬儀形別の特徴や違いを知りたい
近年、葬儀の形式は故人や遺族の希望に合わせて多種多様になってきています。従来の仏式の葬儀やそれを簡略化したものが一般的ではありますが、宗教にこだわらない自由なスタイルを選ぶ人も珍しくありません。この記事では、主な葬儀形式の一覧と種類による違い、宗教別の葬儀の特徴、葬法の種類などを一挙に解説します。

多様化する葬儀の種類、その背景とは

近年の葬儀スタイルは大きく3つに分けられます。それぞれの特徴と、多様化している背景を解説します。

近年の葬儀スタイル一覧

近年では宗教宗派を超えたさまざまな葬儀スタイルが登場しています。昔ながらのスタイルから新しいものまで、主に下記の3つに分けられます。
特徴 主な葬儀形式
従来型 昔ながらの葬儀を重んじた形式 一般葬
進化型 日程、参列範囲などに特徴のある形式 家族葬・一日葬・直葬など
特化型 故人の社会的立場や目的に合わせた形式 密葬・社葬・合同葬など
日本では仏教葬が多いですが、キリスト教葬・神葬祭(神道)・友人葬(創価学会)・無宗教葬など宗教ごとに独自の葬儀をおこなうことがあります。
また、自然葬として宇宙葬・樹木葬・海洋散骨などがありますが、これは葬儀の種類ではなく、散骨や納骨のことを指しています。土葬や火葬もですが、「葬」という文字がついていても葬儀スタイルとは限りません。

葬儀が多様化している背景

以前は友人・知人・近所の人などを招き、盛大にお見送りするのが通例でした。しかし最近では、自分たちの生活スタイルにあった形式を選ぶ人が増えています。
費用をあまりかけられない、身内だけでゆっくり故人を偲びたいという人には小規模形式、宗派にとらわれず、故人の意向を重視したいという人からは無宗教の自由なスタイルなどが選ばれる傾向です。ただし納棺・安置・火葬など、省略できないものもあるのでしっかり押さえておく必要があります。

【形式別】葬儀の種類と違い

ここでは、日本で一般的におこなわれている葬儀を形式別に紹介します。向いている人にも触れているので、葬儀形式に悩んでいる人は参考にしてください。

葬儀の種類一覧

従来よりおこなわれてきた仏式の葬儀も、簡略化などの流れでさまざまな種類が出てきています。主な形式とその特徴がこちらです。
特徴 規模 時間帯
一般葬 通夜、葬儀告別式があり、誰でも参列できる一般的な葬儀 夜〜翌夕まで
一日葬 通夜をおこなわず、葬儀告別式を一日でおこなう 朝~夕方まで
夕方葬 通夜をおこなわず、夕方から葬儀告別式をおこなう。火葬は翌日おこなう 夕方〜翌朝まで
家族葬 親族やごく親しい人のみでおこなう葬儀 夜〜翌夕まで
密葬 遺族・親族中心の葬儀で、後日あらためて本葬やお別れ会をする 夜〜翌夕まで
直葬(火葬式) 通夜・告別式をおこなわず火葬のみをおこなう
※火葬前に少しばかりのお別れの時間を持つケースも
半日程度

①一般葬(二日葬)

一般葬とは、故人の友人や知人・職場関係者など幅広い人を招いて営む従来の葬儀スタイルのこと。参列者が50人を超えることも多く、さまざまな人が訪れるので特にマナーやしきたりが重視される傾向です。故人と付き合いのあった人との縁を大切にしたい、華やかに見送りたいという人に向いています。
なお一日葬に対し、二日葬と呼ばれることもあります。

②一日葬/夕方葬(夕刻葬)

通夜を簡略化もしくは省略し、葬儀・告別式を一日でおこなうのが一日葬です。準備などを含めると複数日にまたがるので、実際には一日で終わるわけではありません。しかし、体力的な負担をなるべく減らしたい、参列者のスケジュールを合わせやすくしたい人などから選ばれています。
同じくお通夜をしない形式では、夕方から夜にかけて葬儀・告別式をおこなう夕方葬(夕刻葬)もあります。大抵は、翌日が火葬になります。
どちらも比較的新しいスタイルのため、事前に菩提寺との調整も必要です。

③家族葬

近年主流派の家族葬は、親族をはじめ10~30人程度で営む葬儀を指します。参列するのは予め案内した身内や友人のみで、内容も自由度が高いのが特徴です。家族や気心の知れている人だけで落ち着いて見送りたい、小規模でもきちんと葬儀をおこないたいという人に向いています。

④密葬

幅広い人向けにお別れ会をする前提で、まずは近親者のみで家族葬をおこなうことを密葬と言います。著名人が亡くなった場合など、多くの人が葬儀に参列することが予想される場合に選ばれます。その場合、密葬の日程については近親者以外には口外されません。

⑤直葬

通夜や葬儀・告別式をおこなわず火葬のみをおこなうのが直葬で、火葬式とも呼ばれます。基本的には参列者は招かず、火葬炉の前に遺族が集まって少しばかりのお別れの時間を持つケースが多いです。儀式を大幅に省くため、葬儀費用を抑えたい人に向いています。ただし菩提寺や親族としっかり話し合って理解を得る必要があります。

【宗教別】葬儀の種類と特徴

日本でおこなわれる葬儀は仏式が大半です。これまで紹介した一般葬などは基本的に仏教葬の形式をとりますが、宗教ごとに独自の葬儀スタイルがあります。宗教別の葬儀の一覧と、それぞれの特徴を紹介します。

宗教別葬儀一覧

宗教別の葬儀スタイルは、主に以下の4つがあります。
仏教葬(仏式葬儀) 日本でなじみのある仏教徒の葬儀
キリスト教葬 教会などでおこなうキリスト教徒の葬儀
神葬祭(神式葬儀) 日本古来の神道の葬儀
友人葬 創価学会の学会員のための葬儀

①仏教葬

仏教葬では、その宗派の考えに則り通夜・告別式をおこなうのが基本です。僧侶を招いてお経をあげ、戒名を授かるなどが主な内容です。戒名のあるなしなど、宗派の教義によって細かな違いがあります。日本で営まれる葬儀は9割が仏教葬と言われています。

②キリスト教葬

キリスト教葬も、カトリックとプロテスタントの各派の考えに則り葬儀・告別式をおこないます。参列者が参加するのは、聖書の朗読や賛美歌斉唱、献花などです。死後に故人が神の元へ召されることを祝福する儀式と考えられているため、お悔やみは述べないのが仏教葬と大きく違う点です。

③神葬祭

神式の葬儀を神葬祭と言います。家に故人を迎え入れ、守護神となってもらうためにとりおこなうもので、仏教で用いられる成仏や供養などの用語は使いません。主な葬儀の内容は供物を捧げる儀式などです

④友人葬

創価学会の遺族などがおこなう葬儀が友人葬です。一般的な仏教葬の流れを汲んでいるものの、僧侶は呼ばず創価学会員を中心に進行し、戒名も付けません。創価学会では、故人が成仏できるかは葬儀の内容とは関係がなく、故人の生前の信仰によるものと考えられているためです。

葬送方法~種類と違い~

現代の日本では火葬が一般的ですが、世界では土葬が主流のところもあります。この章では、ご遺体をどうするか、葬送方法とその違いを紹介します。

葬送方法一覧

日本では火葬が99%と言われますが、地域や身分、宗教観によって土葬も選択されます。
土葬 遺体をそのまま土に埋める方法
火葬 遺体を焼却して遺骨にする方法
世界には宗教の思想や個人の考え方やなどによってほかにもさまざまな形式があります。インドでは水葬、チベットでは鳥葬などがおこなわれています。

①土葬

遺体を直接埋めたり、棺などに納めてから埋めたりして、そのままの姿で土に還すのが土葬です。キリスト教・イスラム教・儒教などの信仰が厚い国では現代でも主流の葬送方法です。日本でもかつては一般的におこなわれていましたが、今ではさまざまな許可が必要になるため現実的におこなうのは難しくなっています。
土葬については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

②火葬

火葬とは遺体を焼却して遺骨にする葬法のことで、残った遺骨はお墓などに納骨するのが一般的です。明治時代に「伝染病予防法」が発令され土葬が禁止されたことにより、現在日本では火葬が主流です。なお、法律により医師の死亡確認後すぐの火葬は禁止されているので、葬儀の際は24時間以上安置しなければなりません。合わせて「火葬許可証」を得る手続きをおこなう必要があります。
火葬のタイミングとしては葬儀が終わった後が多いですが、火葬してから葬儀をおこなうことを「骨葬」と呼びます。

自然葬~火葬後の遺骨の納め方~

少子化が進む現代において注目されている埋葬・散骨の形が「自然葬」です。お墓を建てて遺骨を納めるのではなく、遺骨を海や森林などの自然に還します。将来お墓を継ぐ人が必要ないということも人気を集める理由のひとつです。

①樹木葬

樹木葬は墓石を建てずに樹木を目印にしたお墓で、「墓地埋葬法」によって規定されている自然葬のひとつです。お墓を建てて遺骨を納めるのではなく、遺骨を土に還す埋葬方法です。

②海洋散骨

海洋散骨は遺骨のまま撒くわけではなく、粉末状に粉骨してからおこないます。自然に還りたいという願いを叶えられることから、海や自然が好きな方にとっては魅力的な供養の仕方です。生前から海洋散骨を希望される方も少なくありません。

③宇宙葬

宇宙葬は故人の遺骨や遺灰を専用のカプセルに納めて打ち上げ、宇宙空間へ散骨します。とてもスケールの大きな散骨方法です。形式やプランもさまざまで、今では一般の人も希望をすれば宇宙葬がおこなえます。
ときどき芸能人などが宇宙葬を選択してニュースになっています。

種類が増えた今、葬儀の形式選びは慎重に

費用を抑えたい、自分たちらしい葬儀がしたい、それぞれ思いはあるでしょう。葬儀は故人と最後のお別れをする大切な時間です。何を重視したいか考え、現実的かつ後悔しない方法を見つけてください。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。