喪主挨拶でカンペを使っても良い?カンペの作り方や例文を紹介

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喪主挨拶でカンペを使っても良い?カンペの作り方や例文を紹介

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喪主の挨拶でカンペを使っても良いか知りたい
喪主挨拶のカンペの作り方や例文を知りたい
葬儀で喪主を務める際、参列者への挨拶が必要です。参列者へのお礼や伝えたいエピソードなどをメモしたカンペを用意しておけば、当日落ち着いて挨拶をおこなえるでしょう。この記事では、喪主挨拶でカンペを使っても良いか、カンペの作り方、挨拶のタイミング、カンペに書いておきたい挨拶例、よくある疑問について紹介します。

喪主挨拶ではカンペを用意しても良い?

喪主の挨拶はカンペを見ながらおこなっても問題ありません。挨拶をするときに大切なのは話す内容を覚えることではなく、葬儀を依頼した宗教者や参列してくれた人への感謝と、故人への哀悼の想いを伝えることです。普段、人前で話すことに慣れていない人は、緊張からせっかく考えた挨拶の内容を忘れてしまうこともあるでしょう。特異な状況なので、慣れている人でも万が一に備えてカンペを用意しておくと安心です。

喪主挨拶文で使用するカンペの作り方

喪主挨拶をする際には、紙に伝えたい内容をメモしたカンペを用意するのがおすすめです。喪主挨拶でのカンペの様式や内容、挨拶の基本の構成、気を付けるべき言葉を紹介します。

カンペに使うものの種類

何に挨拶を書き留めておくかに決まりはありませんが、紙に書いたものを用意するのがおすすめです。葬儀に参列するのはスマホに慣れていない年代の人も多いため、故人を見送る厳粛な場でスマホなどの機器を使用するのはふさわしくないと考える人もいるかもしれません。
用意する紙はメモや便箋などで構いませんが、葬儀の雰囲気に合わせて派手な色柄のものは避けた方が無難です。

カンペに書く内容

書き留めておく内容にも決まりはないので、自分の読みやすい内容を書いておけば大丈夫です。挨拶全文を書いておく人もいれば、絶対に伝えたい要所だけ箇条書きしておく人もいます。
挨拶の内容については、1〜3分程度におさまるように簡潔にまとめます。1分につき300文字を目安に考えるとちょうど良い長さになるでしょう。
<挨拶に盛り込む基本的な内容>
  • 通夜、葬儀・告別式に参列してくれたことへのお礼
  • 没年月日、享年(満年齢)
  • 故人の生前のエピソード
  • 会食などこの後の予定の案内
  • 結びの挨拶
<カンペの書き方 参考図>
・カンペ(A4)全文書き
・カンペ(カードサイズ)メモ書き
特に故人とのエピソードは思いが募ると長くなってしまいがちなので、話す内容をカンペにまとめておくことをおすすめします。

喪主挨拶で気を付ける言葉

喪主挨拶では、弔事では避けるべきとされる忌み言葉を使わないように注意が必要です。忌み言葉には、下記のような言葉があります。
重ね言葉 益々・わざわざ・重ね重ね・くれぐれも・たびたび・いろいろ など
生死の直接的な表現 死亡・存命中・生きていたころ など
不吉とされる言葉 4(死)・9(苦)などの数字、浮かばれない・迷う など
ほかにも「冥福」「往生」「供養」「成仏」など宗派によって異なる言葉もあるので、間違って使用しないようにメモしておくと安心です。挨拶の内容に不安がある場合は、葬儀社のスタッフに相談してみてください。

カンペにもメモしておきたい喪主挨拶のタイミング

通夜、葬儀・告別式、会食と、それぞれで喪主挨拶をおこないます。葬儀中は慌ただしくなるので、挨拶することを忘れてしまわないようタイミングについてもカンペにメモしておくと良いかもしれません。

通夜

通夜では、まず僧侶など葬儀を依頼した宗教者が到着した際に、宗教者に対し声をかけます。読経などが終わり、宗教者が退席するときには、お礼の挨拶を簡潔に伝えます。
参列者向けには、通夜の閉式のタイミングで列席のお礼の挨拶をおこなうのが通例です。この後予定している通夜振る舞いの案内や、翌日の葬儀・告別式の案内なども含めると親切です。

葬儀・告別式

葬儀・告別式でも、宗教者へは到着時と退席時に簡単なお礼の挨拶をおこないます。参列者に対しては葬儀終了後の出棺の際に挨拶をおこなうケースもありますが、参列者全員が火葬場に向かう場合は省略しても構いません。一般参列者が多く、出棺後に帰宅する人が多いようであれば挨拶を挟むと良いでしょう。

会食

通夜後の通夜振る舞い、火葬後の精進落としといった食事の席を用意している場合は、開始と終了の際に参加者に対して挨拶をおこないます。特に、精進落とし終了後の挨拶は全員の解散の挨拶となるため、締めとして比較的長めの挨拶をしっかりおこないたいタイミングです。

カンペにそのまま使える喪主挨拶の例文

通夜、葬儀・告別式、精進落としの終了時に参列者全体におこなう挨拶は、伝える内容が多いためカンペに書き留めておくのがおすすめです。それぞれのタイミング別の挨拶の例文を紹介します。

通夜終了時の例文

通夜終了時の参列者全体への挨拶例です。参列のお礼とともに、この後の予定の案内をするため内容をしっかりメモしておくのがポイントです。
<例文>
「本日はみなさまお忙しいところ、亡き父の通夜にお集まりいただき誠にありがとうございました。

父は、〇月〇日に逝去いたしました。享年〇歳でした。生前は格別のご厚意賜りましたこと、故人に代わり深くお礼申し上げます。
この後、気持ちばかりではございますが別席を設けております。お時間がありましたら、食事をしながら故人を偲んでいただければと思います。
なお、明日の葬儀は◯時から〇〇斎場にて予定しております。何卒よろしくお願いいたします」
通夜での挨拶のポイントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

葬儀・告別式終了時の例文

葬儀・告別式が終了し、出棺する際の例文です。故人のエピソードを添えるケースが多いですが、話す内容をまとめておくとスマートに挨拶がおこなえます。
<例文>
「本日はご多用にもかかわらず、葬儀に参列していただき誠にありがとうございました。おかげさまで滞りなく葬儀を終えられました。
仕事一筋の父でしたが、晩年は登山という趣味を持ち、日々を楽しんでおりました。入院してからは病との闘いもありましたが、みなさまのご厚意に支えられ穏やかな気持ちで旅立てたと思います。本日は、誠にありがとうございました」
葬儀終了後の出棺の流れについては、こちらの記事を参考にしてください。

精進落とし開始・終了時の例文

精進落としでは、開始時に葬儀を無事に終えられたことのお礼と、飲食をすすめる言葉を述べます。終了時には、締めの挨拶に加えて四十九日の案内を含めると親切です。
<開始時の例文>
「本日はお忙しい中、亡き父のためにお集まりいただきありがとうございました。おかげさまでつつがなく執りおこなうことができました。気持ちばかりではございますが、別室に料理を用意しております。お時間の許す限り、ゆっくりとお召し上がりください」
<終了時の例文>
「本日は最後までお付き合いいただきありがとうございました。父も喜んでいることと思います。息子としてもっと父の話を伺いたいところではありますが、お車の準備ができておりますので、お忘れ物のないようご支度をお願いいたします。
なお、四十九日法要につきましては、別途ハガキにてご案内いたします。本日は誠にありがとうございました」
精進落としの流れとマナーについては、こちらの記事で紹介しています。

喪主挨拶に関するよくある質問

最後に、喪主挨拶に関連するよくある質問を紹介します。挨拶を代理人に頼むことについて、また、当日挨拶をする際に気を付けたいことについてお答えします。

喪主挨拶は代理人を立てても良い?

挨拶は喪主以外の人がおこなっても問題ありません。喪主は親や子、夫婦といった故人と親しい間柄の人が担うケースが多いため、基本的には喪主の務めになっていますが、体調不良などで難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、ほかの遺族が喪主の代わりに挨拶をおこなう例もあります。あらかじめカンペを用意しておけば、代理人に話したかった内容を伝えやすくもなるので便利です。

挨拶をするときに気を付けることは?

挨拶する際は、声のトーンに気を付けて丁寧に話すと良いでしょう。参列者の中には、高齢の人や耳が聞こえにくい人もいるかもしれません。緊張すると声が上ずってしまいがちなので、ゆっくりはっきり口を動かすように意識するのがおすすめです。
その他、カンペを見て挨拶するときは、以下のことに気を付けてみてください。
  • 「お足元の悪い中」「遠方より」など、当日の状況を加えて定型でも温かみを出す
  • フリガナをふる(厚情、厚誼、賜るなどは日々使うことが少なく、急には読めない)
  • とにかく、ゆっくり読む(意識しないとかなり早口になるので)
  • 末尾の「本日は誠にありがとうございました」の前は、一呼吸いれて間をおく
  • 午後1時の場合は13時など24時制で表記する(午前や午後の表記は間違えのもとになる)
  • 使うカンペだけポケットに入れ、使ったカンペはすぐ処分する

カンペを作り、心を落ち着かせて喪主挨拶をおこなおう

喪主はさまざまな場面で挨拶をおこないます。参列してくれた人へ伝えたいことをカンペに書き留めておけば、落ち着いて挨拶ができるでしょう。大切なのは参列者への感謝と故人を偲ぶ気持ちを伝えることです。気持ちのこもった喪主挨拶をするためには、カンペを用意してみてください。

監修:1級葬祭ディレクター 安藤徹舟(あんどう てっしゅう)

接客から管理職まで葬儀社歴25年。「家族葬」の黎明期からお葬式の変遷を見てきた経験を活かし、新しい葬送サービスの開発を担当している。
【保有資格】1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定制度)