心に残る遺影写真の選び方。生前撮影のベストな方法も

ご家族の通夜・葬式準備
心に残る遺影写真の選び方。生前撮影のベストな方法も

この記事はこんな方にオススメです

亡くなった家族の遺影写真を選びたい
生前の遺影撮影がしたい
遺影写真は、故人を偲ぶものとしていつまでも残るものです。遺族として故人の遺影を準備する側になることもあれば、いつか自分の遺影が必要になる日もやってくるでしょう。この記事では、遺影写真の選び方のポイントや、終活の一環で生前に遺影写真を撮る方法について解説します。

遺影写真とは。準備はどうする?

遺影写真とは葬儀の際に祭壇に飾られる故人の写真のこと。葬儀の後は、後飾り壇や仏壇に飾られるのが一般的です。では、遺影はどのように準備されるのでしょうか。

いつまでに準備するもの?

遺影はお通夜までに準備する必要があります。

葬儀社によっては、写真を用意してから数時間で遺影を作成してくれる場合もありますが、通常故人が亡くなってから通夜までは1日程度です。

短時間でも遺影に適した写真が残るように、普段からよい表情の写真を撮っておくことをおすすめします。

遺影写真のサイズ

遺影写真の大きさに決まりはありませんが、祭壇用は、A4サイズよりもやや大きめの「4つ切りサイズ(25.4×30.5cm)」が一般的です。ただ、最近では小規模な家族葬も増えており、2Lサイズより小さな「キャビネサイズ(11.5×16.5cm)」が選ばれることもあります。

焼香台には、ハガキよりもひと回り小さい「L判サイズ(8.9×12.7cm)」を用いるのが一般的です。同じものを祭壇用として使用することもあります。キャビネサイズやL判サイズは、仏壇やリビングルームに飾るのにもちょうどいい大きさです。

遺影写真の背景

遺影写真の背景は加工する場合もありますが、元の背景をそのまま用いることも多いです。その方が写真に違和感がなく、背景までも含めて故人らしさを感じることができるためです。例えば花畑などの綺麗な背景であれば、加工せずそのまま用いられます。

加工する場合の背景の色は清涼感のあるブルー系が主流です。日本人の肌の色と相性がよく、明るい印象を与えてくれます。

また、落ち着いた印象のモノトーン系もよく使われます。モノトーン系は暗い印象になることもあるため、故人の服や肌の色に合わせて明るさを調節します。

背景にあえて花やデザインを入れ、華やかな印象にすることもあります。その際は、故人の好きな花やデザインを選ぶのがおすすめです。

遺影写真を選ぶ際のポイント

遺影写真は、在りし日の故人を鮮明に思い出すことのできるものとして、代々受け継がれていきます。家族が納得し、気に入る1枚にするためには、どのような写真を選べばよいのでしょうか。

故人が鮮明に写っている写真であること

遺影写真の条件として、故人がはっきり鮮明に写っていることが大切です。遺影写真は既存の写真を大きく引き伸ばして作られるため、鮮明ではない写真はさらにぼけてしまいます。画素数の高いカメラで撮影されたものがおすすめです。

故人の顔が小さ過ぎず親指大以上の写真であること

遺影写真は故人の胸から上が額縁に収まるように作成されます。そのため、故人が集合写真の中に小さく写っているものや、遠目に写っているものでは、引き伸ばした時に顔がぼけてしまいます。故人の胸から上がなるべく大きく写っているものを選びましょう。故人の顔が親指大または10円玉大以上の大きさであることが望ましいといわれています。
遺影写真は故人の胸から上が額縁に収まるように作成されます。そのため、故人が集合写真の中に小さく写っているものや、遠目に写っているものでは、引き伸ばした時に顔がぼけてしまいます。故人の胸から上がなるべく大きく写っているものを選びましょう。故人の顔が親指大または10円玉大以上の大きさであることが望ましいといわれています。
昔の遺影写真には、表情の硬いものが選ばれていましたが、最近では故人らしさが表れている表情のものが選ばれることも多くなっています。

ユーモアがあり普段からニコニコしていた人なら笑顔の写真、真面目な人であれば誠実な印象の写真など、故人の人柄が伝わる表情の写真を選ぶといいですね。

遺族が気に入った写真であること

遺影写真は葬儀だけでなく、法要や日常的に仏壇へ手を合わせるときなど、さまざまな場面で目にするものです。故人と過ごした楽しい時間が思い出されるよう、遺族が気に入った写真であることもひとつのポイントです。

遺影に適していない写真とは?

インクジェットプリンターで普通紙に印刷した写真は、引き伸ばすと画像が荒く不鮮明になってしまうため、遺影には適していません。また、「絹目」と呼ばれる表面がザラザラした加工の写真も、引き伸ばすと網目が強調され凹凸が目立ってしまうので、避けたほうが無難です。

黒髪が黒い背景と同化している写真、一部が人と重なっている写真も遺影としての加工は難しいでしょう。

生前に遺影写真を自分で作成する方法

遺影がいつ必要になるかは予測がつきません。写真を撮る機会が少ない人だと、いざ遺影用の写真を選ぶときにふさわしい写真がない、ということもあるかもしれません。そこでおすすめなのが、遺影写真を生前に用意しておくこと。生前撮影や、スナップ写真の加工方法について紹介します。

プロに撮影してもらうメリットと値段の相場

生前に遺影写真を撮影する場合は、プロに依頼するのがおすすめです。写真館や葬儀社で撮影してもらえます。価格の相場は、プランやオプションによっても異なりますが15,000円~20,000円程度が目安です。

写真館や葬儀社で撮影してもらうメリットは、ヘアセットやメイクなどのオプションが選べ、プロのアドバイスがもらえること。自分の好みやイメージを伝えることで、お気に入りの写真ができあがることでしょう。

さまざまな事情で撮影場所に行けない場合は、自宅へ撮影にきてくれるところもあります。

当社の全国各地のホールでは、プロのカメラマンによる遺影写真撮影会を不定期でおこなっています。ぜひ、当社Facebookでチェックしてみてください。

スナップ写真を加工してもらう方法と値段の相場

写真館にスナップ写真を持ち込み、遺影写真用に加工してもらうことも可能です。サイズはもちろん、背景や着せ替えの有無などを選択できます。

スナップ写真は故人以外の人が写っていたり、服装がカジュアルだったりと、必ずしもそのまま遺影写真に使えるわけではありません。そこで、加工によって背景を入れ替えたり、服装を着せ替えたりすることで、遺影写真が完成するのです。
値段の相場は、6,000円程から依頼できるところが多いようです。

スマホやデジカメの撮影で遺影写真を作ることも可能

遺影写真はスマホやデジカメで撮った写真から作成することも可能ですが、使用サイズで200万画素以上のものが必要になります。最近のスマホやデジカメは、200万画素以上のスペックがあるものがほとんどですが、機種が古い場合は画素数が少なく、画質が荒いため注意が必要です。

遺影写真立ての額縁は黒でなくてもよい?

昔の遺影写真は白黒が多かったので、黒の額縁が一般的でした。そのため、遺影用の額縁は黒でなくてはいけないと思われがちですが、カラー写真が一般化した現代では、額縁の色もさまざまな色が選ばれるようになってきました。割合としては黒の額縁が6割、色物の額縁が4割ほどです。男性向けの色、女性が好む色、また、故人の好きだった色などから額縁の色を選ぶケースが増えています。

白、アイボリー、グレーは、派手さを感じさせず、控えめでありながら明るい印象を与え、洋室にも合うことから人気です。また、上品で穏やかな印象を与えるパールホワイト、パープル、薄いピンクなどは女性向けに選ばれています。同じ家族の中でも黒にこだわる人がいる場合は、2種類用意するとよいでしょう。

遺影写真がない場合は?

もともと故人が写ったスナップ写真が少なく、生前撮影もしていない場合、適切な遺影写真が見つからないこともあります。その場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

免許証やパスポートの写真を使う

遺影は、免許証やパスポートの写真から作ることもできます。もし免許証もパスポートも持っていない場合でも、マイナンバーカードや住民基本台帳カードなど、写真入りの身分証は他にもあるので、探してみましょう。

それでも見つからない場合、故人の生前付き合いのあった人に一度確認してみるとよいかもしれません。会社関係の人が、ふさわしい写真を持っている可能性もあります。

故人の写った動画があれば、静止画として切り取って使用できます。

若い頃の写真は使用できる?

遺影用として使用される写真は、5年から10年前くらいまでのものが一般的です。特に何年前までという決まりはありません。ただし、あまりにも若い頃のもので、誰だか分からないような写真は避けた方がよいでしょう。亡くなる前の闘病生活が長く、元気な頃の姿がいいという場合もあります。遺族が納得できる写真であれば多少時間を経ていても問題はありません。

たくさん良い写真があったり、故人が「若い頃の写真を」と希望していたりする場合は、メモリアルコーナーに飾ることも可能です。最近では遺影をモニターで写せるところもあります。数枚の写真をスライドショーで流すこともできます。

遺影写真、お気に入りの1枚は日々の撮影から

祭壇や仏壇に飾り、家族が手を合わせることになる遺影には、できるだけ故人らしく、家族が気に入った写真を選びたいものです。生前撮影などの準備をしておけば、お気に入りの1枚を遺影写真として使用することができます。

また、遺影用の写真を撮る意図はなくとも、なるべくご自分の写真を撮る機会を持つことがおすすめです。万一のときに、遺影写真になるだけではなく、家族の思い出にもなります。遺影写真を準備する側でも自分が旅立つ側であっても、“らしさ”が伝わる1枚を準備しておきましょう。