お葬式の費用はいくら必要?相場と内訳を徹底解説

わたしのお葬式
お葬式の費用はいくら必要?相場と内訳を徹底解説
分かりにくいと言われるお葬式の費用。一般的な葬儀費用にはどういうものが含まれているかご存じでしょうか。お葬式の費用は大きく分けて、葬儀関連費、宗教者へのお礼、飲食費の3つです。この記事ではお葬式の費用の相場と、事前に考えておきたいポイントについて解説します。

お葬式は何にいくらぐらい費用がかかる?

お葬式は、決めることも多く慌ただしくなりがちです。特に急な葬儀では、費用について考える暇もなく「すべて終わった後に、総額にびっくり……」という話も珍しくありません。
また、葬儀を手配する経験はなかなかないため、「高いとは聞くけれど相場費用はどれくらいなのかが分からない」という疑問も多いようです。お葬式にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか?

葬儀の費用・平均は約120万円

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年度の葬儀費用の全国平均額は約120万円です。

ただし、これはあくまで葬儀社に支払った費用の平均金額です。戒名をいただいたお寺などへのお布施は含まれていません。宗派やお葬式の規模、葬儀の形式などによっても費用は変わってくるため、参考程度にとどめておくと良いでしょう。

お葬式の費用の内訳は大きく分けて3つ!

お葬式の費用の内訳は、前述の葬儀社に支払う葬儀一式の費用に加えて、寺院費用、飲食接待費の3つがあります。葬儀に必要な費用の内訳を理解しておくことで、予算も立てやすくなるのではないでしょうか。それぞれの費用の内容について、確認していきましょう。

お葬式にかかる費用の内訳①葬儀一式

葬儀一式の費用とは、「遺体の搬送・通夜・葬儀・告別式」など、お葬式の一連の流れで発生する費用です。葬儀社に依頼した際の「葬儀プラン」がこれに当たります。葬儀一式にかかる費用の平均は、約120万円となっており、葬儀費用の主だった項目です。

ここで注意したいのが、「葬儀一式の費用」がお葬式の全額ではない点。お葬式の費用は以下で紹介する「寺院費用」や「通夜からの飲食接待費」、「火葬場の利用料」など別途必要になる費用があるため、これですべてだと思っていると後で準備金が足りないことにもなりかねません。

お葬式にかかる費用の内訳➁寺院費用

仏教の葬式「仏式葬儀」では、通夜〜翌日の火葬までの読経や戒名授与を、懇意にしている寺院の僧侶に依頼します。一般的な葬儀の場合、依頼するのは、通夜での読経から告別式、火葬時の読経まで。このお礼として支払うお布施が、寺院費用です。寺院費用の全国平均相場は約24万円となっており、依頼する寺院や依頼内容、間柄等々によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、神道の場合は神主に、キリスト教の場合は司祭や牧師に葬儀の段取りを依頼し、それぞれ相応のお礼をします。

お葬式にかかる費用の内訳③飲食接待

飲食接待費とは、通夜振る舞いや精進落とし、会葬御礼品、香典返し、宿泊費用など、通夜から火葬まで葬式の一連の過程で振る舞われる飲食の費用や、葬儀社の人件費のことです。
飲食接待費の全国相場は約20万円程度となっており、お葬式に参列する人数によって異なります。予算は、参列者1人当たり4,000円程が目安。参列予定の人数でおおよその額を予想することができるでしょう。

お葬式の費用がかさむ理由は?

「最初の見積りでは安いと思ったのに、最終的に高額になってしまった」というケースも少なくないお葬式の費用。お葬式の費用がかさんでしまう理由は、どんなところにあるのでしょうか。

高額な葬儀社に依頼してしまう

同じような葬儀内容であっても、依頼する葬儀社によって設定価格は異なります。慌てて葬儀社を決めてしまった結果、高額な業者に当たってしまい、思ったよりも費用がかさんでしまうこともあるでしょう。

それを防ぐためには、複数の会社を比較検討するのがベストです。ただし、亡くなった後では、なかなか複数の葬儀社に依頼する時間が確保できない可能性が高いです。葬儀については本人の希望を確認し、生前のうちに検討しておくのが良いかもしれません。

また、葬儀プランを決める際は、契約内容にしっかりと目を通して予算をオーバーしていないか確認するようにしましょう。

正確な参列人数が把握しづらい

一般葬の場合、参列者の数が読みにくいことも、費用がかさむ原因のひとつです。参列者が増えるとその分返礼品や飲食費が増えることとなります。
結婚式であれば当日の参加者を事前に把握できますが、お葬式ではそれは困難です。故人が生前広く交友関係を持っていた場合は、特に正確に把握できず、参列者数も少々多めに見積もることになります。

ランクアップしたプラン選択やオプション加算

料理や香典返しの品、プランなどのランクアップやオプション追加によって費用がかさむこともあるでしょう。
身内が亡くなると、お葬式以外の手続きでも忙しくなり、葬儀社の担当者がすすめるプランを何も考えずに決めてしまうこともままあります。また、故人にしてあげられる最後のことだから、といいものを選びランクアップし、結果葬儀費用が高くなるケースも少なくありません。

お葬式の形式別・必要な費用

一般的な葬儀に加えて、家族葬や直葬など、お葬式にはさまざまな形式があります。葬儀の形式で軸となるのは、招待する人の範囲と宗教的儀式を重視するかどうかという2つです。式の内容によってかかる費用も変わってくるので、どのような形をとるのかあらかじめ考えておく必要があります。

一般葬

一般葬とは、家族や親戚、親しい友人のみならず、仕事関係の仲間や近隣住民といった生前、故人と縁のあった方の多くが参加できる形式の葬儀です。同じ一般葬でも、仏教の儀式にしたがって執りおこなう「仏式」や、日本固有の宗教である神道の習わし通りにおこなう「神式」、キリスト教の教えにのっとった「キリスト式」などがあります。

必要な費用に関しても、仏式、神式、キリスト式でそれぞれ異なります。仏式は全国平均約196万円。葬儀費用に加えて読経や戒名などへのお布施が必要とされているため、他宗教よりも高額な傾向にあります。とはいえ、これはあくまで一般論です。神式でも玉串(たまぐし)料や神饌物(しんせんもの)料、キリスト式では献金といった費用がかかります。

家族葬

家族葬とは、一般葬と異なり家族や親戚、親しい友人を中心に執りおこなう葬儀です。お葬式の流れは一般葬と同じですが、自由度が高く、規模が小さくなることも多いので飲食代や人件費などの費用を抑えられる場合があります。

なお、エンディングデータバンクによる首都圏を対象とした2016年の調査によると、家族葬にかかる費用は約115万円となっており、一般葬よりも80万円ほど安くなる傾向にあります。オリジナリティを求めたり、費用を抑えたりしたい場合は検討してみる価値がありそうです。

一日葬

一般的な葬儀は、1日目にお通夜、2日目は葬儀・告別式ののちに火葬場という流れです。それに対して一日葬とは、通夜を行わず葬儀・告別式のみを1日で執りおこなう葬儀の形式のこと。1日で葬儀が終わるため、高齢の方や遠方の方の肉体的・精神的な負担を軽減できるのが特徴です。

一日葬にかかる費用は約30~50万円。通夜を行わない分、参列者の数が少なくなる傾向にあり、一般葬や家族葬に比べて費用が少なくなります。通夜振る舞いの料理などを用意する必要がなく、飲食接待費を抑えることができるでしょう。ただし、2日間確保するのが基本の斎場の場合、一日葬だからといって葬儀一式の費用は半額とならないところもあるため、事前確認が必要です。

最近は新型コロナウイルス感染予防を考慮して、一日葬を選択する人も多いようです。特に首都圏では葬儀形式の新たなスタンダードになりつつあります。通夜をおこなわない代わりとして、自宅で召し上がってもらえるグルメギフトを渡すケースもあるようです。

直葬

直葬は、一般葬や家族葬にある通夜や葬儀、告別式をせずに、火葬のみでのお別れの形です。家族や親戚など、ごく身近な人たちだけで執りおこなわれるのが一般的です。また、通夜や葬儀、告別式の段階を省くので、お葬式一連の費用も抑えられます。

ただし、「お葬式に関する全国調査」(鎌倉新書/2020年)によると、形式別の割合は一般葬が48.9%、家族葬が40.9%であるのに対し、直葬は4.9%と少なく、あまり一般的とは言えないのが現状です。ご臨終から火葬までの期間が一般葬や家族葬よりも短く、親族や故人の友人など縁のある人に相談や報告ができないこともあります。後日、トラブルになることもあるようなので、直葬を選択するなら、事前に家族・親族間で十分に話し合う必要があるでしょう。

葬儀費用で発生する追加料金にはどんなものがある?

一度決まった葬儀費用が追加料金でさらに上乗せされるのは、できれば避けておきたいところです。発生しやすいポイントを理解しておくことが、追加料金発生の防止策のひとつと言えます。

人数によって変わる飲食接待費

追加料金が発生しやすいのは、飲食接待費です。見積りの段階では、故人の年齢や交友関係から、おおよその参加人数を仮定して査定します。予想を上回る人数が足を運んでくださった場合、予定していた飲食接待費が変動することになるでしょう。

なお、飲食接待費の変動が発生するのは、一般葬のみ。家族葬の場合は人数の把握ができるため、予定通りになるケースがほとんどです。また直葬と一日葬の場合、通夜がないためそもそもの飲食接待費がほとんど発生せず、変動もしません。

葬儀プランにどこまで含まれるか

また、葬儀社やプランによっては、葬儀一式に含まれているのが最低限のもののみとなっており、後で追加請求されるケースもあります。追加の可能性があるのは、安置費用や遺体処置料、ドライアイス、返礼品費用といった項目です。

自分の想像していた最低限の葬儀に必要不可欠な項目が注文したプランには含まれていないこともあります。プランに何が含まれていて、どういった時に追加費用がかかるのか、見積りの際にきちんと確認しておくのがベストでしょう。

費用を支払うタイミングは葬儀社により異なる

葬儀の費用は、現金決済が一般的。葬儀終了後、1週間以内に支払う後払いであることが多いようです。お葬式費用の支払い方法は、現金の振り込み、手渡し、クレジットカード、分割払い(ローン)、電子マネーなど、さまざまな方法があり、葬儀社によって採用している方法が異なります。葬儀社によっては前金として半額を支払い、すべて終わってから残りを支払うところもありますので、事前の確認が必須です。

お葬式の前後には介護施設や病院への支払い、遺品整理などにも費用がかかります。まとまった金額を用意できないときに備えて、クレジットカードの使用や分割払いができるかなどを確認しておくと安心です。

なお、葬儀社への支払いはクレジットカードやローンが可能であったとしても、宗教者への支払い(僧侶へのお布施など)は現金が基本となっているため、注意しておきましょう。

葬儀費用を安く抑える方法は?

「最期のお見送りくらい精一杯のことをしたい……」という想いから、結果豪華すぎるお葬式になってしまうこともあるかもしれませんが、費用をかけすぎてご遺族のその後の生活が圧迫されてしまっては本末転倒です。本当に必要な費用にだけに絞り、葬儀費用を安く抑えるための方法をご紹介します。

受け取る香典を葬儀費用に充てる

通夜や葬儀の際に受け取る香典は、故人のお供えという側面もありますが、喪主への贈与という側面もあります。香典を葬儀の支払いに充てるのも、ひとつの方法です。

受け取る香典の額は参列者の人数や葬儀の形態、地域柄などによっても様々。香典だけですべての葬儀費用をまかなえるわけではありませんが、葬儀費用の負担を多少なりとも軽減することができるでしょう。場合によっては、参列者の少ない家族葬や一日葬よりも、参列者の多い一般葬の方が負担額は少なくなるケースもあります。

複数の葬儀社の見積りを比較検討する

葬儀社への見積りは、1社のみに依頼するのではなく、2〜3社などの複数に依頼して比較検討しましょう。お葬式のプランは一見どこも同じような内容に見えますが、葬儀社によって大きく異なります。1社のみで決めてしまうと割高であっても気づかず、希望通りの内容が含まれていない可能性もあります。

複数の葬儀社に見積りを出してもらい比較検討することで、希望する葬儀の相場価格や削っても問題ない部分が判断しやすくなるはずです。

なお、インターネット上には相場よりも安い費用で葬儀ができる、と宣伝をしている葬儀社もあります。その場合は葬儀・告別式をおこなわない「火葬のみ」であったり、搬送費用が別途必要であったりするなど、結局はプラスアルファの出費に見舞われる可能性もあります。必要なものが含まれているか必ず確認するようにして、最安値だけにつられないようにしましょう。

葬儀社の会員制度を利用する

葬儀社の会員制度を利用するのも、お葬式の費用を抑える方法のひとつです。入会しているとお葬式費用のいくらかを割引してもらえるほか、その葬儀社が提携している企業やお店でも割引などのサービスが受けられる場合があります。

また、「冠婚葬祭互助会」では、毎月少額を積み立てていくとお葬式をおこなう際、積立金に応じたサービスを受けられます。事前に決めた葬儀社が会員制度を設けているなら、利用しておくと後々の助けになるかもしれません。

葬儀の形式や規模を見直す

葬儀は形式や規模によって費用が変わります。費用を抑えるという側面から考えると、直葬、一日葬、家族葬などの、一般葬と比較して小規模な葬儀の形式を選択することで、費用を安く抑えることができるでしょう。どの形式の葬儀にするのか、今一度検討してみるのもいいかもしれません。

また、葬儀の形式は変えず、規模を抑えるのもひとつの方法。斎場や祭壇を小さくすれば、大きな斎場よりも安く済むでしょう。小規模の葬儀にすることで参列者も少なくなり、必然的に飲食接待費も少なくなります。

グレードを抑える

葬儀の内容がシンプルになれば、その分費用を抑えられる可能性があります。プラン全体のグレードを抑えたり、落とせる項目のみグレードを下げたりするのもいいでしょう。

費用に反映されやすいのは、料理内容や棺、祭壇のグレードを下げること。見積りの内容をひとつひとつしっかりと確認し、棺や祭壇などを華美にしすぎないなど、不要なサービスは省くのもいいかもしれません。

遺産相続で葬儀費用を支払う

葬儀費用を支払うのが相続人であるなら、相続財産から葬儀費用を捻出することもできます。相続財産から葬儀費用を支払った場合、相続税の計算は、葬儀費用を差し引いた額で計算することになるため、相続税対策としても有効です。

ただし、葬儀費用の一部には相続財産から差し引けないものがあります。一例を挙げると、香典返しの費用や法要、墓石等の費用は「供養」にあたり控除できません。相続財産から差し引いて相続税の計算ができるものできないものを、きちんと確認しておく必要があるでしょう。

理想のお葬式にするために

お葬式は、費用をかければかけるほど良いものになるというものではありません。どちらかと言えば、時間をかけた方が内容は濃くなります。理想のお葬式に近づけるためには、「どういった形式で葬儀をおこなうのか」、「どれくらいの規模にするのか」など、自分の希望を生前から考えておくことが大切です。

ご家族とお葬式について話し合い、準備をしておけば、ご本人にとってもご家族にとっても理想のエンディングが迎えられるでしょう。

ファミーユからのワンポイントアドバイス

小澤光国(1級葬祭ディレクター)
小澤光国(1級葬祭ディレクター)

金額の安い・高いという判断は千差万別で、価値観によります。お葬式に「10万は高い」、「100万でも安い」という方がいらっしゃいますが、重要なのは納得のいくお葬式ができるかどうかだと思います。

そこで大切なことを2点お伝えします。

①事前に見積書をもらうこと
→見積書には内容の記載があります。どこまで含まれていて、どこから別料金なのかを把握しましょう。

②実際に葬儀社の担当者と会って相談する
→事前無料相談を利用しましょう。そこで対応してくれた担当者の所作、言葉遣いがその会社のレベルです。最近ではオンライン相談ができる葬儀社も増えています。

お葬式は一度きりでやり直しがききません。結婚式などの慶事ごとは入念に調べて業者を決めるのに、お葬式はどこでもいいやは不自然だと思いませんか?

①見積書と②事前相談で、100%とは言えませんが、限りなく納得のいくお葬式が叶えられると思います。

アドバイザープロフィール

小澤光国 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
ファスティングで10キロの減量に成功しました。