大切な人を亡くしたあなたへ。悲しみを受け止め、乗り越えるための処方箋

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大切な人を亡くしたあなたへ。悲しみを受け止め、乗り越えるための処方箋

この記事はこんな方におすすめです

大切な人を亡くして辛い思いをしている
大切な人を亡くした悲しみを乗り越える方法を知りたい
大切な人を亡くしてしまったら、心はつらく悲しく、身体にも何らかの症状が現れることがあるでしょう。「この悲しみ、いつまで続くのか…」と思うも、どう立ち直ればよいか分からない人もいるかもしれません。この記事では、大切な人を亡くした悲しみを受け止め、乗り越える方法を紹介します。

大切な人を亡くした人の状況と悲しみの声

事故や自死によって大切な人を突然亡くしたら、いつもの日常が当たり前ではなくなってしまいます。ただ悲しいだけではなく自分のことを責めてしまうことも…。ありのままの感情を受け止めるのは、苦しいことでしょう。少しでも向き合えるよう、実際に大切な人亡くした経験のある人の、さまざまな想いが乗った声をインタビュー記事「日々摘花(ひびてきか)」を通して紹介します。

親兄弟を亡くした人の声

自分より年上の親兄弟は、いつか別れを迎えるかもしれないと分かっていながら、あまりに身近な存在のために深く悲しみを残すことがあります。
以下の記事では、お兄さんを戦争で亡くされた志茂田景樹さんのインタビューを紹介しています。作家のルーツたりえる「文字」を教えてくれたのが、ほかならぬお兄さんだったことなど、優しい兄への想いを語っています。
友近さんが、誰よりも芸人の自分を応援してくれた父との別れについて語ってくれたインタビューはこちらです。

子を亡くした人の声

わが子を亡くすという体験は、到底受け入れることができず、深く辛い思いをずっと抱え続けることになります。
こちらの記事では、懸命な看病や治療を続けてなお、生まれて間もなく失われたふたつの命、双子の娘さんたちへの想いを赤井英和さんが話しています。

パートナーを亡くした人の声

長年信頼しあって過ごしてきたパートナー。その死はこれからの日常を喪失感で埋めてしまうほどのものなのかもしれません。
パートナーでもあり仕事を支えてくれた夫を亡くしたイルカさん。「初めてつき合った男の子と結婚したんです」など、出会った当初からの思い出を最近のことのように生き生きと語られています。
東海林のり子さんは、自身の仕事を応援し家庭もささえてくれた亡き夫を亡くされたときには、ただでさえ細身なのにさらに痩せられたことなどを語っています。

友人を亡くした人の声

たくさんの日常の喜怒哀楽をともにしてきた友人。これまで隣にいるのが当たり前すぎて心の準備もできないまま、その存在を失った大きさに胸を痛めることも多くあるでしょう。
一時はお笑いの相方としてともに過ごした親友との出会いと別れについて語ったチャンカワイさんのインタビューはこちらです。
下記はインタビューではなく、トークショーの書き起こし記事ですが、身近な人の自死を経験した小島慶子さんが涙ながらに語ってくださったことが胸を打ちます

深い悲しみが癒えるまでの心の変化

大切な人を亡くして間もないうちはショックも大きく、この悲しみがいつ晴れるのか…と、先が見えなくなることがあるかもしれません。しかし深い悲しみがやがて癒えるまで、心はいくつかの段階を経て変化していきます。そのときに体に表れる症状や脳の働きを、気持ちの変化とともに紹介します。

精神的ショック期

悲しい現実を受け止められず、呆然として感覚がなくなることがあります。ショックを受けた直後は表面上に反応が現れない場合もあれば、正常な判断ができずにパニック状態になることもあります。これはショックを和らげるために頭の働きが一時停止し、感覚が麻痺したような状態になるためです。

混乱期

次に訪れるのが、亡くなった事実を理解し始めるものの、まだ受け止めることができずに感情的になる期間です。

大切な人が亡くなったことを頭では分かっていても心が理解できず、家族や友人に対して怒りをあらわにしてしまうなどの混乱が見られます。ほかにも、泣いたり怒ったり、人に敵意を持ったり、自分を責めたりなどの感情が強く行動に現れます。

加害者がいる場合はもちろんのこと、故人に過失がある場合でも、関わった人たちや故人自身に、本当は悲しみたいのに怒りの気持ちをぶつけてしまうことも。この現象は一度きりではなく繰り返し現れるのが特徴です。

故人がまだ生きていると思い、そのように振る舞うこともあります。感情の裏には、かける言葉がないほどの心の痛みや無力感・喪失感が隠されているのでしょう。

引きこもり期

亡くなった事実を受け止めることはできたものの、それによって喪失感・疎外感が増し、何もやる気が起きない状態になる期間です。誰にも会いたくない、体に不調が現れるなど、自分が人と違っているような気後れの感覚が表れ、疎外感を感じやすくなります。
故人を救えなかったことに対する自責の念が生まれることもあるでしょう。罪の意識は責任感が強い人に起こりやすい傾向があります。自分を責めすぎてうつの症状が出たり、引きこもってしまったりすることにもつながりかねません。

回復期

亡くなった事実を受け入れて乗り越え、立ち直っていく段階です。引きこもり期を抜け、人とも関わりを持てるようになります。
大切な人の死を乗り越えて成長し、徐々に新しい未来に目を向けるようになってきます。自分を奮い立たせようとする適応や対処の努力が見られるようになる期間です。

心が回復するまでの道のり、期間は人それぞれ

ここまで紹介したプロセスは大切な人を亡くした後に起こり得る感情の種類ですが、回復期にたどりつくまでの期間は人それぞれです。目安としてはパートナーを亡くした場合で1~2年、子どもであれば2~5年と言われています。ただし、各プロセスを行ったり来たりするため、回復したかと思う頃に再び悲しみに襲われることもあります。逆戻りではなく、自分なりのプロセスで心が回復に向かっているのだと捉えてみてください。

大切な人を亡くした悲しみによる心身や行動の変化

大切な人を亡くしたときに起こる心身の反応のことをグリーフ(悲嘆)と言います。グリーフについて知り、自分の心身に起きていることを認識し受け入れ、それらの改善が見られることで、落ち込みからの回復を感じやすくなります。

心に表れる変化

大切な人を亡くした後には、下記のような心の変化が表れることがあります。
・亡くなったことを信じられない
・何も集中できない
・故人のことばかり考えてしまう
・置いていかれたと感じ、故人を恨んでしまう
・「救えなかった」と自分を責めてしまう
そのほか、解放されたような気持ちになる場合もあります。親の介護や闘病生活が長く続いたときなどに感じるごく自然な気持ちです。

身体に表れる変化

心の変化のほか、下記のような身体の変化が表れることがあります。
・眠れない
・なかなか起き上がれない
・身体がだるい
・食欲がない、または過食してしまう
・疲れやすい
多くの人が睡眠に関わる問題を抱える傾向です。そのほかには息苦しさやめまい、胃腸の不調などを訴える人もいます。

行動に表れる変化

下記のような行動の変化が現れることもあります。
・人に会いたくなくなる
・周りの人を責めてしまう
・落ち着きがない
・号泣してしまう
・故人との思い出の日が近くなると落ち込む
大切な人を亡くして間もない頃だけではなく、ときを経て起きることもあります。いったん落ち着いて何年後かに再び表れることもあるほどです。誰しも少なからず「変化」はあるので、過剰に意識する必要はありません。

大切な人を亡くした悲しみを乗り越えるための処方箋

悲しんでいても解決しない……そう分かっていても、ショックなできごとからしばらくは前を向くのは難しいことでしょう。ここでは、大切な人を亡くした悲しみと向き合う3つの方法を紹介します。

1. 自分のルーティンを作って実践する

いつも通りに起床する、夕飯のあとに本を読む、寝る前にストレッチをするなど、小さなことで良いので生活の中にルーティンを作るのがおすすめです。安定したルーティンは、心の安心につながります。

2. 感情を書き出してみる

今の自分の気持ちを言語化し整理すると、どこに悲しみがあるのか、根本を発見できることがあります。書いたものは保存しても処分してもどちらでも構いません。

3. 話を聞いてもらう

正直な気持ちを受け止めてくれる人の助けを借りるのも回復には大切です。故人と共通の友人や親戚などであれば、故人との思い出を語り合ったり死の前後のできごとを聞いたりできるでしょう。
死別の悲しみを受け止める方法について、詳しくはこちらの記事を確認してください。

【一人で悩まないで】助けが欲しくなったときは

一人ではどうしても悲しみから抜け出せない、でも周りに頼れる人もいない。そんな状況でも、助けを求められる先があります。

心療内科の医師に相談する

悲しみが癒えないときは心療内科に頼る方法もあります。眠れない、落ち込みが続くなどの症状がある場合は、相談することが大切です。
心療内科を受診するのが初めての場合、「これぐらいの症状で受診して良いのだろうか」と迷うかもしれませんが、専門知識を持った医師に相談することが回復の近道になるかもしれません。頼れる人が周りにいないときはもちろん、家族や友人に気持ちを吐き出すのが難しい人も、選択肢に加えてみてください。

官公庁・自治体の窓口に連絡する

全国にあるさまざまな相談窓口を利用するのも一つです。こころの健康相談統一ダイヤルや、各自治体の保健課などで随時相談を受けつけています。電話だけではなくSNSで相談できる場所もあります。
いずれにしても大切なのは、一人で悲しみを抱え込まないことです。誰に相談すれば良いか悩んだら、官公庁や自治体の窓口を頼ってみてください。

大切な人を亡くした悲しみはなくならなくても受け止められる

大切な人を亡くす悲しみは計り知れないもの。自分はずっとこのまま立ち直れないのではないか、と思ってしまうのも無理はありません。まずは心が回復するプロセスや、そのときに見られる心や身体の症状、行動の変化を理解しておくとよいでしょう。周りに吐き出せず症状が改善しないようであれば、心療内科や自治体の窓口を頼ることも可能です。回復を焦る必要はありませんが、つらいときは一人で抱え込まず、周りを頼ってみてください。