ご芳名(ほうめい)の意味や消し方とは。葬儀でのマナーも
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
ご芳名の意味や正しい消し方を知りたい
葬儀におけるご芳名のマナーを知りたい
ご芳名とは、冠婚葬祭の招待状や案内状、受付での出席簿などで使用される、名前の敬語表現です。自分自身に対しては使えないため、招待状などに「ご芳名」と記載されている場合は消すのがマナーです。この記事では、ご芳名の意味や使われ方、手書き・メールの正しい消し方、葬儀におけるご芳名のマナーや芳名帳の書き方を紹介します。
ご芳名とは?意味と使われ方
冠婚葬祭などで使用される、名前の敬語表現がご芳名です。ご芳名の意味と使われ方、ご芳名を消す理由、ご芳名を使うときに気を付けたい点を紹介します。
ご芳名とは「名前」の敬語表現
ご芳名の読み方は「ごほうめい」です。「名前」の敬語表現で、冠婚葬祭などの改まった場で使用されます。ご芳名の「芳」には「立派なもの」と言う意味があり、さらに「ご」を付けることでより高い敬意を表しています。敬語の中でも相手への敬意を表す尊敬語にあたるので、自分自身に対しては使いません。
ちなみに「芳名」には「良い評判・名声」という意味もあり、「かねてよりご芳名はお聞きしています」のように使われることもあります。
冠婚葬祭で使われるのが一般的
ご芳名が使用されるシーンは、結婚式やパーティの招待状、葬儀の受付で使用する芳名帳、ビジネスメールや契約書、丁寧な書類などが一般的です。名前を書く欄に「氏名」の代わりに「ご芳名」と記載・印刷されます。
名前を記入するときは尊敬表現を消すのが習わし
先述の通り、ご芳名は尊敬語なので、ご芳名と書かれている欄にそのまま自分の名前を記入すると、自分自身に敬意を払うことになってしまうので不自然です。そのため招待状や案内状に返信するときや、受付で名前を記入するときなどは、敬意を表す「ご」と「芳」を二重線などで消し、尊敬表現をなくすのが習わしです。
読み間違いやすいので注意を
ご芳名の読み方で間違われることが多いのが「ごほうみょう」です。勘違いしたままパソコンやスマートフォンなどで入力すると、「ご法名(ごほうみょう)」と誤変換しやすいので気を付けてください。
ご法名とは、主に浄土真宗で使用される、仏の弟子になった際に授かる名前のこと。ご芳名とは全く違った意味になってしまいます。
【手書き】ご芳名の正しい消し方
案内状や帳簿の名前欄に、自分で名前を記入する際には、敬語表現ではなくなるようご芳名を丁寧に二重線で消すのがマナーです。手書きの場合のご芳名の消し方とマナー、間違えたときの対処法を紹介します。
正しい消し方
ご芳名の消し方は、敬語となる「ご」と「芳」の二文字を二重線で続けて消し、「名」だけ残すのが通例です。文字が縦書きなら縦の二重線、横書きであれば横の二重線を使います。その際できるだけまっすぐな線が引けるよう、定規を使うのが好ましいです。
使用する筆記用具は、基本的には毛筆や筆ペン・万年筆・黒のボールペンなどがふさわしいとされています。鉛筆やシャープペンシルなどの消せる筆記用具は避けた方が良いでしょう。
消すときのマナー
「ご」「芳」を二重線ではなくバツ印(×)やスラッシュ(/)で消したり、黒く塗りつぶしたりするのは、綺麗な消し方とは言えません。受け取り手が見づらい一重線も避けるのがおすすめです。
また招待状や案内状などで、ほかにも「ご住所」や「お電話番号」などの丁寧語が使われていれば、ご芳名と同様「ご」や「お」を二重線で消すのを忘れないでください。
さらに返信用ハガキの表面に相手方の宛先が記入されている場合、相手の名前の後の「行」を二重線で消して、横に「様」と書いて訂正します。会社名には「御中」を使用するのがマナーです。なお一文字だけ消すときは、斜めの二重線が良いとされることもあります。
間違えた場合の対処法
ご芳名を消す際に間違えてしまった場合の修正方法に決まりはありません。ただし正式な書類に修正ペンを使用するのはご法度とされているので、招待状などでも控えた方が良いでしょう。例えば「ご芳名」をすべて消してしまったとしても、間違えた部分はそのままにして下に名前だけを書いておけば問題ありません。
【メール】ご芳名の正しい消し方
メールでもご芳名が使われることがあります。メールの場合は手書きと違って簡単に書き換えられるので、下記のように単語ごと書き換えてしまえば大丈夫です。
<書き換えの例>
- ご芳名→ 名前 または 氏名
- ご住所→ 住所
- 貴社名→ 社名
なおメールでも文字に二重線を引く機能がありますが、あまり使用しません。
葬儀におけるご芳名のQ&A
葬儀において参列者が特に気を配らなくてはいけないのが芳名帳に記入するときです。葬儀でご芳名が使われるシーンと、芳名帳や芳名カードを書くときのマナーや書き方を紹介します。
葬儀でご芳名が使われるシーンはいつ?
葬儀においては、葬儀の案内状や受付に置いてある芳名帳(ほうめいちょう)、供花や供物に立てる芳名名札などでご芳名が使用されます。
突然の知らせとなることが多い葬儀では、案内状の返信は求められないので、案内状に記載されているご芳名については特に気にする必要はありません。もし返信が必要であれば先に説明した通り「ご芳」を二重線で消して送付します。
また芳名名札とは供物を用意した会社名や団体名、個人の名前などが記された名札・立札のことで、こちらも参列時に気にしなければならないシーンはあまりないでしょう。
芳名帳は何のために書く?
葬儀の参列者の記録を残すために、葬儀会場の受付などに置かれているのが芳名帳です。参列者が自ら名前や住所を記入します。香典返しや参列のお礼状などを送る際に喪主などが見返すので、できるだけ楷書で丁寧に読みやすく書くと親切です。
芳名帳は葬儀に限ったものではなく、結婚式の受付などにも用意されていることがあります。特に結婚式やイベントなどでは「ゲストブック」とも呼ばれます。
芳名帳を書くときのマナーは?
芳名帳の形式はいくつかあります。よくあるのが、一覧表になったノート(冊子)型とひとり1枚づつ記入するカード型です。ノート型の場合「ご芳」を消す必要はありません。
カード型の場合は記入する項の「ご芳」を二重線で消してから名前を書きます。まれにノート型でも行ごとに名前欄が用意され、個別でご芳名と記されているものもあります。この時にもご芳の2文字を消します。会場で記載する芳名帳に関しては、定規を用いる必要はありません。
そのほか、受付では芳名帳に記入する前に、まずは遺族に「この度はご愁傷さまです」などのお悔やみの言葉をかけることも忘れないでください。お悔やみの伝え方や注意点については、こちらの記事で紹介しています。
もう悩まない!お悔やみの言葉と伝え方のマナー
お悔やみは、通夜や葬儀の場で弔いの気持ちを表現するものです。お葬式というデリケートな場面では、故人やご遺族に失礼のないように振る舞いたいもの。いざというときのために、お悔やみの伝え方と注意点を押さえておきましょう。
個人で参列する場合の芳名帳の書き方は?
自分ひとりで葬儀に参列する場合は、芳名帳の記入欄に住所を番地まで、自分の名前をフルネームで書きます。書く順番はさまざまですが、住所から書き始めるものが多いようです。
仕事関係のつながりなら、会社の正式名称と所属する部署・役職などを書いた後に自分の名前を記入すると、故人との関係がわかりやすいです。
夫婦や家族で参列する場合の芳名帳の書き方は?
夫婦や家族連れで参列する場合は、夫が先に住所とフルネームを書き、妻・子どもは横に名前だけ書くのが一般的です。夫婦それぞれ別の欄に記入するものや、家族の代表者ひとりだけが記入するパターンもあります。
ノート型ではなくカード型になっている芳名帳では、ひとりずつ記入するのが基本です。地域によっても書き方が変わるので、不安な場合は受付の人に確認すると良いでしょう。
ご芳名が使用されている意味を知り丁寧に消そう
招待状や案内状・芳名帳の名前欄にご芳名と記されているのは、送り先に敬意を表すための先方の配慮と言えます。消す際にはその意味を汲み取り、丁寧に消すのがマナーです。特に葬儀の受付で芳名帳に記載するときは、焦ってしまうこともあるかもしれませんが、なるべく読みやすい字で書けるよう気を落ち着かせてください。