告別式の参列マナーは?遺族側の準備も紹介

お葬式のマナー・基礎知識
告別式の参列マナーは?遺族側の準備も紹介
年を重ねるにつれ、葬儀・告別式に招かれる機会が増えてくることでしょう。この記事では、葬儀・告別式に招かれた際のマナーや、喪主になった際の告別式の流れについて解説します。告別式の基本的なマナーと流れを押さえ、故人の安らかな旅立ちを願いましょう。

葬儀と混同されがちな告別式。違いと近年の形式について

告別式は葬儀と混同されがちですが、それぞれ趣旨が違います。また、核家族化やニーズの多様化にともない、近年では告別式のあり方も変化しているといえるでしょう。ここでは告別式と葬儀の違いと、近年の告別式の形式について紹介します。

告別式と葬儀の違いは?

告別式は友人や知人、近所の人、会社関係者など、故人と生前にゆかりのあった方々とお別れするための儀式です。一方、葬儀は僧侶を招いて遺族や近親者でおこなわれる儀式のことをいいます。故人の冥福を祈り、成仏祈願をおこなうのが目的です。

葬儀と告別式はもともと別のものですが、近年では簡略化され、葬儀と告別式の両方を同じ日に続けておこなうこともあります。一般的には葬儀と告別式を総称して「お葬式」と呼びます。

近年の告別式

お葬式は、通常1日目にお通夜を、2日目に葬儀・告別式をおこないます。近年ではニーズの多様化により、お通夜のない一日葬も行われるようになりました。

一日葬は1日で葬儀が終わるので、遺族や参列者の体力的、時間的な負担を軽減できます。また、お通夜がない分、費用を抑えられるという面もあります。ただし、故人に寄り添う時間が短かったり、参列者のスケジュールが合わなかったりすることもあります。事前にお通夜をするしないの、メリットとデメリットについて想定しておく必要があります。

告別式の服装は?

葬儀・告別式がおこなわれる場合、当然喪服を準備する必要があります。告別式に招かれた際の服装や、喪主の正しい服装について紹介します。

男性の服装

男性が告別式に参列するときは、「正式喪服」を着用することとされています。五つ紋付き羽織袴の和装、もしくはモーニングコートやブラックスーツの洋装がこれに当たります。現在では、ご葬儀の小規模化などで、喪主や遺族であっても正式喪服を着る人は減ってきています。

一般参列者の場合は、準喪服であるシングルやダブルのブラックスーツを着用します。親族よりも格上の喪服を着ないのがマナーです。

ブラックスーツは葬儀・告別式のほかにも、通夜や一周忌の法要で着用できます。応用範囲が広いため、一着持っていると、急な悲報にも慌てることがありません。

女性や子供の服装

女性の喪主や遺族の正式喪服は、和装であれば黒無地の染め抜き五つ紋付の着物を、洋装であれば黒無地のワンピースを着用します。準喪服はアンサンブルやスーツのブラックフォーマルが一般的です。黒のストッキングに、黒のシンプルなパンプスを合わせます。

60代以上の女性は足腰が悪い方もいるので、その場合は動きやすさを重視しても問題ありません。正式喪服にこだわらず、パンツ型の喪服を選ぶのもおすすめです。

子供は地味な色合いの服装、もしくは制服を着用します。白のシャツやブラウスに黒のパンツやスカートがよいでしょう。制服は子供にとって、もっとも格式の高い礼服にあたります。

告別式の持ち物と香典の金額について

葬儀・告別式に招かれた際の持ち物も確認しておきましょう。また、香典の金額はいくら包むのが妥当なのでしょうか?

持ち物

葬儀・告別式に参列する際の持ち物は、袱紗(ふくさ)に包んだ香典袋や数珠、そして黒や白のハンカチです。これらを黒のバッグに入れて持参します。数珠は本来であれば宗派ごとのかたちがありますが、手持ちのもので特に問題はありません。

会食や葬儀の手伝いをする場合は、白の割烹着や黒のエプロンを持参しましょう。また、ネイルをしている場合は隠すための手袋を持っていくのがベターです。

香典の金額は?

香典の金額は、故人との関係や自分の年齢によってそれぞれ違います。たとえば、60代の方であれば以下の金額が目安となります。

・実両親や義理の両親   100,000円
・自分や配偶者の兄弟姉妹 50,000円~100,000円
・自分や配偶者の祖父母  30,000円~50,000円
・叔父や叔母       20,000円~30,000円
・従兄弟などの親戚関係  10,000円~20,000円
・友人やその家族     5,000円~10,000円
・隣人や近所       5,000円~10,000円
・そのほかのお付き合い  5,000円~10,000円

中袋の表には「金壱萬円」のように金額を書き、裏には郵便番号や住所、名前を袋の中心から記入します。お札は裏向きに入れ、新札を包まないのが基本。また、香典は袱紗(ふくさ)や布に包んで渡すのがマナーです。

遺族側の告別式準備・進行

身内が亡くなったら、残された遺族は喪家(もけ)として告別式の準備を取り仕切ることになります。ここでは、遺族側の告別式準備や当日の進行について説明します。

①告別式までに必要な手続き

家族が亡くなった場合、遺族は葬儀社に連絡を取り、病院や自宅など亡くなった場所を伝えましょう。その後、医師に死亡診断書を書いてもらいます。逝去後は、遺体を自宅に安置するか、葬儀社の安置専用施設に運びます。

喪主や世話役を決めてから、葬儀社の担当者と打ち合わせをしましょう。医師に書いてもらった死亡診断書を葬儀担当者に渡し、死亡届や火葬許可証などの手続きを依頼します。

遺影写真の準備や供花、供物の手配をおこない、喪服の準備をします。故人が生前好きだったものなど、棺に入れるものも一緒に用意しておきましょう。

② 訃報を伝える

身内が亡くなったら親戚や故人の友人、知人などに訃報を伝えましょう。しかし、中には連絡が取れない方もいることでしょう。もしも葬儀・告別式の場所を一斉に伝えたいのであれば、新聞のお悔やみ欄を活用する方法もあります。

お悔やみ欄に掲載するには、遺族が新聞社へ直接申し込む方法と、葬儀社が手配する方法の2通りがあります。ただし、個人情報が開示されるため、不特定多数に知られたくない場合は利用を避けます。

③ 告別式の進行と喪主がすべきこと

告別式の前後には、喪主や遺族代表が参列者や僧侶に向けて挨拶をします。

葬儀・告別式の当日、僧侶を迎えたときが最初のタイミング。次に一般参列者の受付を開始したら、参列者一人ずつに挨拶を返します。葬儀・告別式がはじまると、僧侶の読経や弔辞・弔電の紹介、焼香と続き、告別式が閉会。その後にお別れの儀や出棺がありますが、ここでも喪主の挨拶が必要です。以上が終わると、火葬場に移動して火葬となります。

前日の通夜の際、喪主や世話役は葬儀担当者と葬儀・告別式の流れについて打ち合わせをおこないます。当日にも順序の最終確認がありますので、あまり気張る必要はありません。

告別式のアドバイスと香典返し

ここでは、告別式を滞りなく執りおこなうためのアドバイスや、香典返しについて解説します。

告別式の挨拶でカンペは大丈夫?

喪主が挨拶をするときは、あらかじめカンペを用意しても問題はありません。挨拶は1~3分程度の簡潔なもので十分です。葬儀社で用意してくれる場合もあるでしょう。カンペを頼りにすれば、落ち着いて参列者に感謝の意を伝えられます。

挨拶のポイントとして、まずは参列してくれた方々への感謝の言葉を伝えましょう。つぎに、故人の生前や最後の様子を伝えます。さらに、遺族である自分たちへのご支援をお願いするかたちで挨拶を締めくくると良いでしょう。

また、「皆々様」や「いろいろ」などの重ね言葉や、「迷う」「死ぬ」といった葬儀の挨拶として使ってはいけない忌み言葉もあります。不明な点は葬儀スタッフに確認してみましょう。

告別式での香典返しについて

香典のお返しには即返しと後返しがあります。確実に渡せて、なおかつ送料がかからない点もあることから、最近では即返しが主流です。即返しとは、香典を受け取った際にその場でお返しをすることです。香典の金額に関係なく一律で同じ品物を返します。即返しは2,000円~3,000円程度の品物を用意しましょう。しかし、一定金額以上の香典を受け取った場合は、後返しで差額分をお返しします。

後返しは香典の金額に応じた品物を返しますが、受け取った金額の3割から5割が相場です。地域によってもお返しの金額は異なるため、事前の確認が必要です。

香典と一緒に供花や供物をいただいた場合においても、後返しをすることがあります。その際も、相手が恐縮しない1,000円~2,000円程度の品物が望ましいでしょう。

葬儀・告別式はプロがいれば心強い

大切な人が急に亡くなったときは、気が動転してしまうもの。葬儀・告別式の間だけではなく、その前後もしっかり遺族をサポートしてくれる葬儀社選びが重要になります。一度家族で相談しておくと安心です。ご自分の終活の一環としても、お住まいの地域や予算、家族の意向に応じた式の提案をしてくれる葬儀社を見つけておきましょう。