【2024年】中秋の名月は9月17日。意味や由来を知ってお月見の準備を
お葬式のマナー・基礎知識
2024年に中秋の名月が見られるのは9月17日(火)です。中秋の名月とは、1年の中で最も美しいとされる月のことで、観賞できるのは、暦では秋の半ば頃。この日のお月見はお団子を食べる習慣とともに古くから楽しまれてきました。本記事では、中秋の名月の時期や風習の由来、お月見に用意したいお供え物を紹介します。ぜひ今年のお月見の参考にしてください。
中秋の名月の時期とは
中秋の名月が見られる日は毎年変わります。具体的にいつなのか、なぜこの時期の月が「名月」なのかを紹介します。
2024年の中秋の名月は9月17日
中秋の名月は毎年9月〜10月頃です。月の満ち欠けなどを基準とする旧暦(太陰太陽暦)の8月15日を今使っている新暦に置き換えて定められます。以下が直近の日付です。
西暦 | 中秋の名月の日付 | 曜日 |
---|---|---|
2024年 | 9月17日 | 火曜日 |
2025年 | 10月6日 | 月曜日 |
2026年 | 9月25日 | 金曜日 |
空気が澄んで月がきれいに見える頃
満月は1年中見られますが、秋の月は最も明るくきれいに見えるので中秋の名月と呼ばれています。なぜ秋の月がきれいに見えるのかというと、秋は1年の中で空気中の水蒸気量が少ない時期なので、月がぼやけずにくっきりはっきりと見えるためです。反対に春は空気中のちりや花粉などが多く、月がぼやけて見えることがあります。
また秋は月の高度が高すぎず低すぎずちょうど良い位置にあるのも理由の1つ。夏や冬は高すぎたり低すぎたりして、きれいに見るのは難しい季節です。
日本では十三夜と併せてお月見するのが習わし
前述の通り、中秋の名月は旧暦の8月15日にあたります。旧暦では毎月1日を新月とし、15日目に満月になると考え、15日の夜を特に「十五夜」と呼んでお月見をするのが習わしでした。そのため中秋の名月は「十五夜」として親しまれてきました。ただし、十五夜は満月とは限りません。そのメカニズムは次の章で説明します。
また、「十五夜」とセットで有名なお月見のシーズンが「十三夜」です。「十三夜」は旧暦9月13日の月を指し、2024年は10月15日(火)です。
また、「十五夜」とセットで有名なお月見のシーズンが「十三夜」です。「十三夜」は旧暦9月13日の月を指し、2024年は10月15日(火)です。
この「十五夜」と「十三夜」を併せてお月見するのが元来の習わしで、2つの月を合わせて「二夜(ふたよ)の月」と呼びます。またどちらか片方の月だけ見るのは「片見月(かたみづき)」と呼ばれ、縁起が良くないと考えられていました。なお、この「二夜の月」は日本独自の風習です。「十五夜」は中国から伝わったものですが、日本では「十五夜」にあたる旧暦8月(新暦では9月頃)は台風の時期と重なるため、お月見が難しいことが多いです。そのため晴れとなりやすい旧暦9月に2回目のお月見である「十三夜」を設定したと考えられています。
中秋の名月の意味・由来
“中秋”は文字通り秋の真ん中という意味です。そのため中秋の名月というと秋の真ん中に見られる月ということになりますが、ここではさらに詳しくその言葉の由来や、伝統となり定着した起源について紹介します。
中秋の意味
旧暦では四季を3ヶ月ごとに区切り、秋は7月〜9月でした。さらにそれぞれ、7月は孟秋(もうしゅう)、8月は仲秋(ちゅうしゅう)、9月は季秋(りしゅう)と呼んでいました。そこから「仲秋」のなかでも真ん中になる8月15日を特別に「中秋」と称しました。そのため現代では同様に扱われることもありますが、厳密には「仲秋」と書くと8月全体、「中秋」と書くと8月15日を指すとされています。
起源は中国のお祭
中秋の名月が日本で伝統として定着したのは、もともとは中国に起源があります。中国では毎月15日の「十五夜」に月を鑑賞する習わしがありましたが、次第に旧暦の8月15日を特別に「中秋節」としてお祝いするように固定されていきました。それが平安時代に日本に伝わり、日本でも広く定着していきます。
「中秋節」は中国では春節・清明節・端午節とともに、伝統の祝日とされるほど重要な慣習です。「中秋節」では、日本と同じように、月に見立てた丸いお菓子の「月餅」を食べ、スイカ・ナツメ・ぶどうなど旬の果物をお供えしてお祝いします。
満月になるとは限らない中秋の名月
中秋の名月は満月というイメージですが、必ずしも満月になるわけではありません。それは月の動きと関係があります。中秋の名月と、満月との関係について解説します。
暦と月の実際の動きは異なる
旧暦とは月の満ち欠けを基準とする「太陰太陽暦」のことですが、この旧暦では月の1日目を必ず新月とし、新月から15日目を満月として数えます。新月には、太陽と月が同じ方角になるため背後にある月が見えなくなり、日が経つごとに姿を大きくしながら15日後にはまん丸のお月さまがみえるようになります。
しかし、月の軌道は楕円状であるため、正確に15日周期で満月になるとは限りません。満月になるのが少し早かったり、遅かったりします。また、新月になる瞬間にちょうど日本が夜とは限りません。日が切り替わるタイミングによっては、13日目や15日目が満月になります。そのため暦と月の満ち欠けにはズレが発生し、中秋の名月が満月にならない年もあります。
しかし、月の軌道は楕円状であるため、正確に15日周期で満月になるとは限りません。満月になるのが少し早かったり、遅かったりします。また、新月になる瞬間にちょうど日本が夜とは限りません。日が切り替わるタイミングによっては、13日目や15日目が満月になります。そのため暦と月の満ち欠けにはズレが発生し、中秋の名月が満月にならない年もあります。
2024年の中秋の名月に当たる日、9月17日は午後5時24分(東京)から月が出ると予測されています。晴れれば、夜7時頃には満月が拝めそうです。
中秋の名月にお供えする物
澄んだ秋の夜空に浮かんだ月を見上げるときは、お供え物を用意するのが習わしです。古来よりお月見のお供とされてきた、中秋の名月にふさわしいお供え物を紹介します。
月見団子
中秋の名月に月見団子を食べるのは、江戸時代頃に始まった風習です。秋は米の収穫時期でもあるため、米の収穫を感謝して、米を使って月に似せた丸い団子を作りお供えしたのが始まりと言われています。さらにお供え物を食べることで神様と深く繋がることができると考えられていたため、十五夜が終わるとお団子は食べてしまいます。
秋の味覚
中秋の名月の頃は、かぼちゃ・栗・柿・梨などさまざまな作物も実ります。そのため収穫祭としての意味もあり、秋の味覚をお供えするのも一般的です。ほかにも丸い形が月に似ている豆や芋、縁起が良いとされるツルのついた食べ物ということでぶどうなどがお供えされます。
また、米で団子を作る以前の室町時代頃には、芋の収穫を祝い、お供えする風習もありました。ゆえに中秋の名月は「芋名月」とも呼ばれ、里芋やさつま芋を煮たり蒸したりしてお供えすることもあります。
秋の七草
秋を代表する草花として、ハギ・キキョウ・ナデシコ・クズ・フジバカマ・オミナエシ・ススキの7種をまとめて「秋の七草」と言います。春の七草と違い、ピンクや紫のきれいな花が多く、観賞用に栽培されることが多いです。野草なのでそろえるのは難しいかもしれませんが、もし手に入る物があればお団子などと一緒にお供えしてみると、目にも華やかになるのでぜひ飾ってみてください。
秋の七草と万葉集の関係などを知りたい人は下記の記事もご覧ください。
【秋の七草】始まりは万葉集。春の七草との違いも紹介 - 家族葬のファミーユ【Coeurlien】
秋の七草は、8月下旬~11月頃に咲く草花でオミナエシ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・フジバカマ・クズ・ハギの7種です。始まりは古く、奈良時代にさかのぼります。七草と聞くと、「せり」や「すずしろ」を使った七草粥を思い浮かべる人も多いでしょう。でも、それは春の七草です。この記事では、秋の七草と春の七草の違いや由来、花言葉などを詳しく紹介します。
ススキ
「秋の七草」の1つでもありますが、ススキはこの時期少し特別な草花です。中秋の名月の9月頃は、秋の作物のなかでも稲穂はまだ実っていないことが多く、稲穂に似たススキを代わりにお供えしていました。さらに古くからススキは神の依り代と信じられていたため、お供えにふさわしいとされています。また魔除けとしての意味もあるため、収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味も込められています。
中秋の名月を眺めて日本の秋を感じよう
中秋の名月は、旧暦の8月15日。空気が澄み渡り、1年のうち月が最もきれいに見える頃です。また十五夜はちょうどお彼岸の時期にも重なります。お月見と同時に、お団子やススキを仏壇にもお供えし、古来より日本人が愛してきた秋の風情とともに、月のようにいつも見守ってくれているご先祖様へ想いを馳せてみてはいかがでしょうか。