臨終とは?直前の状態や症状、亡くなった後にすべきこと

お葬式のマナー・基礎知識
臨終とは?直前の状態や症状、亡くなった後にすべきこと
臨終とは、息を引き取る間際を指します。大切な人が亡くなる瞬間を看取るのは、とても悲しいことです。後にやらなければならないことも多く、気持ちの整理が追いつかない場合も考えられます。本記事では臨終の意味、大切な人の危篤時と亡くなってしまったときにすべきことを紹介します。

臨終の意味と直前の状態・症状

誰もが迎えることになる臨終のとき。ここでは、本来の意味や直前の症状について紹介します。基本的な知識を備え、落ち着いて大切な人と向き合うために役立ててください。

本来の意味

臨終とは死の状態を表すのではなく、死を迎える間際のことを意味します。また「臨命終時(りんみょうしゅうじ)」を略した言葉です。

仏教においては、落ち着いた気持ちで死を迎えること、死に際しても心静かに念仏を唱えることが重要だと言われています。これを「臨終正念(りんじゅうしょうねん)」と呼び、教えを守ることで極楽浄土へ行けると伝えられています。

臨終直前の状態と症状

人は亡くなる直前、意識が薄れて反応が難しくなり、話ができない状態になると言われています。呼吸のリズムが変わる他、肌の色が変わったり、手足が冷たくなったりすることも。医師でなくても気づける兆候が多いため、そのときが近いことを察し、家族は心が乱される場合があるでしょう。

臨終に立ち会うときの心構え

心の整理をし、悔いのないお別れをすることは、残された家族にとって重要なことです。感謝や励ましの気持ち、別れの言葉を伝えるための心構えについて紹介します。

後悔しないよう、みんなでお別れを

意識が薄れ、危篤になった場合には医師によって家族に声がけがおこなわれます。最期の瞬間に後悔が残らないよう、親族に限定せず、本人が会いたいであろうと思う人に連絡を取ると良いのではないでしょうか。

声は聞こえていると信じて、最後までコミュニケーションを

意識を失っても、耳は聞こえている場合があると言われています。家族や親しい人が枕元で話しかけることで、お別れ前の有意義な時間を過ごせます。最期のときまで諦めることなく、感謝の言葉や力づけるような言葉を伝えてください。

亡くなってから「ちゃんと気持ちを伝えれば良かった」と後悔をするのは、とても悲しいこと。想いをすべて口にできるよう意識すれば、きっと大切な人へ届き、最期の瞬間も安らかな気持ちでいられるはずです。

臨終の前後におこなわれること

大切な家族が亡くなろうとしているとき、見送る者が心穏やかな状態を保つのは難しいことです。ここでは心の準備をするために知っておきたい、お別れのときにおこなわれることを紹介します。

医師から危篤が告げられる

病状が悪くなり意識が失われ、逝去する直前の状態が危篤です。どのくらい続くかは個人差がありますが、一度危篤になると意識の回復は難しいとされています。危篤の報告を受けて数時間経たずに息を引き取ることもあれば、何日も同じ状態が続くこともありえます。一般的に、半日から2〜3日くらいが目安と考えられています。

危篤の知らせがあった場合、家族や親戚、親しい人に連絡を取ってください。医師は家族が気持ちを整え、近しい人が集まるための時間を取れるよう配慮して知らせてくれます。慌てず、落ち着いて必要な人に伝えることが大切です。

家族・親族などに連絡をする

急を要するため、時間に関係なく最も早く連絡が取れる方法を選びます。少しでも長く大切な人といられるよう、連絡相手が多い場合はその場にいる人で手分けをし、漏れがないようにしてください。

3等親までに連絡するのが一般的ですが、本人が会いたいと思う人が他にいる場合は、その人にも伝える事も考慮します。連絡者の名前、危篤状態になった人の名前、いつ・どこに・いつまでに来てほしいかを伝えるのが基本です。しかし、いざというときは気が動転してしまうもの。優先順位などを決めて、事前にリストと連絡表を作っておくと漏れを防げるでしょう。

臨終を迎えた後、医師が死亡確認をする

逝去のときが訪れたら、医師による死亡確認がおこなわれます。そして家族には死亡が告げられると同時に死亡診断書が渡されます。医師からもらった診断書は死亡届などの公的手続きで提出を求められるので、しっかり保管してください。

亡くなった瞬間は大きな悲しみに包まれ、現実を受け止めるのが難しいことでしょう。そのため、必要な診断書を失念する場合も。無理もないことですが、深呼吸をするなど自分なりの心の落ち着け方を意識してはいかがでしょうか。

末期の水・エンゼルケアをおこなう

死亡が確認されたら、末期の水(死に水)をとります。死後の世界で喉の渇きに苛まれないように、という想いを添えておこなわれるものです。脱脂綿を割り箸などに挟み、水に浸してから故人の唇へと持って行きます。まずは配偶者、次に子どもと、続柄が近い人から順番が回ります。

エンゼルケアは、お湯やアルコールでご遺体を清めてから死化粧をし、死装束などへ着替えることです。葬儀社のスタッフ、または病院の看護師が主体となるのが通常です。故人が生前のような姿で葬儀を迎えるために、心を込めておこなわれます。
エンゼルケアは、お湯やアルコールでご遺体を清めてから死化粧をおこない、死装束などへ着替えることです。葬儀社のスタッフ、または病院の看護師が主体となるのが通常です。故人が生前のような姿で葬儀を迎えるために、心を込めておこなわれます。

遺体を安置する

すべてを滞りなく終えたら、ご遺体は病院の霊安室に移動されます。長くて2〜3時間ほどで、長時間の安置はできません。死亡診断書の受け取りや葬儀社の手配を始めとした、さまざまな手続き・手配が必要です。死亡診断書はご遺体を搬送するときに必要となるため、葬儀社のスタッフに渡してください。

一連の手続きや手配を1人でするのは大変なことです。家族や親戚と協力し、気持ちを落ち着ける時間を作ると良いかもしれません。

家族が亡くなったらやるべきこと

家族との別れは、大きな悲しみに襲われるものです。しかし必要な手続き・手配はたくさんあり、時間は待ってくれません。いつか訪れる日のために手順を把握し、頭の整理ができるように心がけておきませんか。ここでは、家族が亡くなったときにやるべきことを紹介します。

葬儀を手配する

亡くなったのが病院の場合、ご遺体を別の安置場所へ移動する必要があります。できるだけ早く葬儀社へ連絡し、寝台車を呼びます。病院から葬儀社を紹介されることもありますが、既に決まっている場合は断っても問題はありません。

葬儀社に連絡するときは、病院の名前・住所・搬送先を伝えます。亡くなってから日をあけずに葬儀をおこなうためには、火葬場や斎場のスケジュールも踏まえて手配を進めます。もし葬儀の日が決まっていなくても、近親者には早めに連絡し、逝去したことを伝えてください。

エンディングノートを確認する

近年は、亡くなる前に自分の望みを記したエンディングノートを残す人が増えています。葬儀への要望や参列してほしい人などをまとめたノートが残っていないか確認してください。なるべく故人の願いに沿った形にすることで、心残りのない最期のお別れができると考えられます。

必要な手続きをおこなう

亡くなってから7日以内に死亡届を出します。提出の際には、親族や同居者、家屋や土地の管理人といった届出人が必要です。故人が亡くなった場所や本籍地などの役場に提出します。窓口に提出する人は、代理人でもかまいません。死亡届の提出はほとんどの場合、葬儀社が代行します。

死亡届が受理されると、埋火葬許可証が発行されます。火葬許可証は火葬するとき、埋葬許可証は墓地や霊園に埋葬するときに求められる書類です。ただし、事故や事件、自殺など治療中の病気以外で亡くなった場合は警察の検案がおこなわれ、死亡診断書に代わって死体検案書が渡されます。

臨終について知り、悔いのない見送りを

人の死は予期できるものではないため、息を引き取る瞬間に立ち会えないこともあります。大切な家族の最期に立ち会えるのは幸せなことかもしれません。家族との最期のひとときを穏やかに過ごせるよう、少しずつ心構えをしておいてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。