中年の危機「ミッドライフクライシス」とは?克服法を紹介

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中年の危機「ミッドライフクライシス」とは?克服法を紹介
ミッドライフクライシスは、直訳すると中年の危機で、“中年期の心の葛藤”、不安定な心理状態を指します。心身や環境の変化などがきっかけで起こる症状とも言われます。人生の折り返し地点を前向きに過ごすために、ミッドライフクライシスの原因や克服方法を紹介します。

ミッドライフクライシスを知る

中年期・心・身体の3つがミッドライフクライシスに深く関係しています。何事も、実態と原因を把握することは大切です。まずはミッドライフクライシスの概要と原因から説明します。

ミッドライフクライシスは「中年の危機」

心や身体、環境などの変化を経験することで、自身のアイデンティティが揺れて心の葛藤が起きることを、ミッドライフクライシスと呼びます。この英語を直訳すると、中年の危機です。「自分の人生は本当にこれで良いのだろうか?」などと考え、これまでの生き方や自分自身に自信がなくなったり、悩んだりする期間が続きます。
ミッドライフクライシスに陥りやすい年代は30代後半~50代くらいで、性別は関係ありません。なかには、夫の定年退職や子どもの結婚・独立を経験する60代以降に陥ることもあるようです。
また、「中年の80%はミッドライフクライシスを経験する」と語る臨床心理学者も存在しています。人生に悩むこと、ミッドライフクライシスに陥ることは、決して珍しいことではありません。

心と身体の揺らぎが原因に

中年期に差し掛かり人生の折り返し地点に立ったことで、残りの人生を意識して悩み始める人も少なくありません。気持ちや体形、体調の変化が発端となって、ミッドライフクライシスに陥ることが多いようです。
身近な人が病気になる、亡くなることで自分の人生を考え始めることもあるでしょう。親の介護が始まった、子どもが巣立ったなど、環境が変化したことで自分の役割が変わったり役割を見失ったりすることもあります。

また、体力の低下や加齢による生理機能の変化などに伴って、老いを感じることもミッドライフクライシスの原因の1つ。性別に関係なく、ホルモンバランスが乱れることにより、体調や精神状態が悪化したケースも見受けられます。

女性のミッドライフクライシスについて

中年期は、女性の心・身体・立場が変化しやすい時期です。さまざまな部分に変化が生じることで、心のバランスが乱れることもあります。こちらでは、女性ならではの原因と特徴を解説します。

原因:心や身体、立場の変化がきっかけに

子どもがいる女性の場合は、子どもが巣立って夫と2人の生活になったことで、今まで考えてこなかった(≒考えないようにしていた)夫婦関係に悩み始めることも。その他、閉経を経験することで心境に変化が表れ、ミッドライフクライシスに陥る人もいます。

また、年齢を重ねることで出産のタイムリミットが迫って焦りを覚える、若さや美がなくなることに対して焦燥感に駆られる、更年期障害に悩むなど、身体に関する変化もミッドライフクライシスの原因になり得ます。

子どもが手を離れたことで、「母」から「妻」へと役割が変化することに戸惑う女性もいるでしょう。人生の折り返し地点に到達したと感じたときに、仕事を優先してきたことを悩み始める女性もいれば、専業主婦として生活してきた自分にキャリアがないと悩み、ミッドライフクライシスに陥る女性も存在します。

特徴:出産や子育て、老後など悩みが複雑に絡み合う

女性のミッドライフクライシスは、「結婚」「出産」「子どもの人数」「結婚や子育てと仕事の両立(キャリア)」「家計」「老後」など、さまざまな要素が複雑に絡み合います。

スマートフォンの普及やSNSの発展により、簡単に多くの情報を手に入れられるようになったことで、他の人と自分を比べて悩んでしまう女性が急増中です。子育てを生きがいにしていた場合は、子どもが巣立つことで精神のバランスが崩れることも。「息子を嫁に取られてしまった」と感じ、寂しさを抑えきれなくなるのも女性の特徴と言えます。

男性のミッドライフクライシスについて

結婚や出産などがミッドライフクライシスの原因となり得る女性に対し、男性は仕事がきっかけになることがほとんどです。また、ミッドライフクライシスに陥ったときの行動パターンが特徴的です。続いては、男性のミッドライフクライシスの原因と特徴を詳しく解説します。

原因:仕事が引き金となるケースがほとんど

若い頃に仕事に打ち込み、ある程度のポジションや役職に就いている男性ほど、ミッドライフクライシスに陥りやすいと言われています。これは、中年になって体力が低下することで、ポジションを失うことへの恐怖心や不安に襲われたり、やりがいが感じられず焦燥感を覚えたりすることが理由です。

反面、年を重ねても自分の思うような結果が残せなかったことに悩む男性も陥りやすいです。同僚などに嫉妬心を抱き、妬む。その後に自分を責めることで、どんどん悩んでしまうのです。年を重ねるとホルモンバランスが乱れるのは女性だけではありません。男性もホルモンバランスの乱れが原因で、イライラ感や抑うつ感が増すこともあります。

特徴:行動パターンを変える人が多い

心身の衰えを感じた男性は、「自分の生活を大幅に変えよう」という心理が働きやすくなります。例えば、ジムに通いだして体を鍛え始めるのは、男としての誇りを持ち続けるための行動です。

悩みが限界まで達したときは、起業や家出をする、家族に相談せずに仕事を辞めるなど、理解に苦しむ行動をする場合も。中年男性が不倫相手を探す、キャバクラに通いだすのは、自分の「男性性」を再確認するためという意見もあります。もちろん、度を越えればミッドライフどころか、家庭がクライシスになりかねません。

ミッドライフクライシスの克服法

気分が塞がった状態が長く続くと、心の病気や依存症に発展する恐れがあります。今の状況を変えるために、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。こちらでは、ミッドライフクライシスの克服法を3つ紹介します。

自分を再定義する

ミッドライフクライシスは、自分のアイデンティティが揺れることで生じるため、克服するときは「自分の再定義」が重要となります。人と比べることや、情報に振り回されている自分と決別することも大切です。「自分はどうありたいのか」「どう生きていきたいのか」を考え、自分の再定義を始めることが、ミッドライフクライシスを克服する第一歩と言えます。
アイデンティティの概念や、発達段階を提唱したドイツの発達心理学者、エリク・ホーンブルガー・エリクソンは「40~60代は生殖性が重要」と提唱しています。生殖性とは、自分がこれまでの人生で得たものを次世代に伝えること。人の役に立つことを実感すると、自分自身の心も満たされるのです。

このように、心理学的な観点からしても、悩みを抱くことは何もおかしくありません。ありのままの自分を受け入れて愛し、自分の人生を否定せずに肯定してください。

身体を動かす

体力の衰えもミッドライフクライシスを引き起こす原因の1つとなるため、心が沈んでいるときは運動がおすすめです。体が鍛えられて健康に良いだけでなく、気分もすっきりします。効果を実感することで自信にもつながるはずです。

夫婦間の悩みを抱えているときは、パートナーを誘ってウォーキングなどを一緒に始めてみてはいかがでしょうか。ウォーキングをしながら会話をすると、相手との心の距離が縮まるそうです。少し体を動かして、心と身体をリフレッシュしてください。

興味のあることを勉強する

「学び」は脳に刺激を与え、前向きな気持ちにしてくれます。料理や歴史、仏教など前から気になっていたものの勉強を始めてみるのも良いでしょう。自宅で新しい料理に挑戦したり、いつものレシピを自分なりにアレンジしたりと、普段とは違うことをしてみると、気持ちに変化が表れるはず。

歴史や仏教の本を読んで、さらに興味を持った場合は、自宅で学べる通信教育を受ける方法もあります。今日の繁栄の礎を築いた歴史上の人物について深く知ることで、人生のヒントを得られるかもしれません。

ミッドライフクライシスを乗り越え、これからを楽しむ

人生や自分のあり方に悩んだときは、「自分がどう生きたいのか」を考え抜く、または全く考えずに動き出すことで、これからの生き方が見えてくるかもしれません。運動や勉強など新しい趣味や活動を始めて、これからの人生を前向きに楽しく過ごしてください。