法要の種類とは?お布施や案内状など施主が準備すべきこと

法事・お墓
法要の種類とは?お布施や案内状など施主が準備すべきこと

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法要の施主を務める
法要の種類、何をすれば良いのか知りたい
法要は亡くなった人の霊を慰めるためにおこなう儀式で、忌日法要と年忌法要の2種類があります。法要をしきる施主は当日までに準備・手配すべきものが多いため、あらかじめ流れを把握しておくことが大切です。本記事では法事との違いや法要の種類、法要までの準備や当日の流れ、必要な費用や施主の服装・持ち物など、法要の基本について紹介します。

そもそも「法要」とは?意味と種類

法要・法事は故人を偲ぶ大切な場です。まずは混同されることの多い法要と法事の違いや、忌日法要・年忌法要の定義などを解説していきます。

法要とは故人の霊を偲び定期的に祈る儀式

法要とは、亡くなった人の霊を慰めるために僧侶に読経をしてもらうことで、「追善供養(ついぜんくよう)」とも呼ばれます。故人の霊が極楽浄土へいけるように、と定期的に祈る儀式のことです。
法要には種類があり、亡くなってから100日目までにおこなうものを忌日法要(きじつほうよう)、死後1年目以降におこなうものを年忌法要(ねんきほうよう)と言います。
また似たような言葉に「法事」があり、「法要」と混同されがちですが、法要を含む行事全体のことが法事です。

法要の種類①忌日法要

忌日法要とは、故人が亡くなった日から7日ごとにおこなう法要のことです。初七日(しょなのか)から百箇日(ひゃっかにち)まであります。
忌日法要 法要をおこなう日
初七日 7日目
二七日(ふたなのか) 14日目
三七日(みなのか) 21日目
四七日(よなのか) 28日目
五七日(いつなのか) 35日目
六七日(むなのか) 42日目
七七日(なななぬか/なななのか) 49日目
百箇日 100日目
忌日法要は遺族のみでおこなうのが一般的です。最近では、僧侶の読経や焼香を省略することもあります。
七七日は「四十九日」とも呼ばれ、この法要には遺族や親族のほか、知人も参列します。僧侶による読経の後に焼香などを済ませ、その日のうちに納骨までをおこなうのがもっぱらです。七七日の次は、百箇日法要となります。

法要の種類②年忌法要

年忌法要とは、命日の節目の「年」におこなう法要のことです。故人が亡くなって1年後の一周忌から始まり、次のように進んでいきます。
年忌法要(回忌) 法要をおこなう年
一周忌 満1年目
三回忌 満2年目
七回忌 満6年目
十三回忌 満12年目
十七回忌 満16年目
二十三回忌 満22年目
二十七回忌 満26年目
三十三回忌 満32年目
五十回忌 満49年目
百回忌 満99年目
百五十回忌 満149年目
一周忌三回忌では、遺族や親族、知人が参列し、読経の後に焼香をします。七回忌は一般的に遺族や親族のみでおこないます。十三回忌以降は法要の規模が縮小され、遺族のみの実施が一般的です。二十三回忌は省略されることもあります。
最近では、三十三回忌で最後の年忌法要を意味する“弔い上げ”をする人が増えてきました。五十回忌で弔い上げをおこなう場合もあります。百回忌以降は省略されることがほとんどです。
もし年忌法要を命日におこなえない場合は、命日を過ぎない日程になるように調整します。

施主がおこなう法要までの準備

法事まで含めた法要の準備で、押さえておくべきポイントがいくつかあります。葬儀をしきる喪主を務めた人が、法事をしきる施主(せしゅ)になることが多いです。ここでは、いつまでに何をするべきか、施主がおこなう準備の流れを紹介します。

1.菩提寺への連絡と日程の調整をする

施主はまず、菩提寺(ぼだいじ)の住職に誰の何回忌法要かを伝え、日時を相談します。施主とは、法要をおこなう代表者のこと。一般的には葬儀の喪主が務めます。
法要の日程と会場は、2~3ヶ月前には決めておくのが理想です。開催日は人が集まりやすい休日に集中するため、できるだけ早めに菩提寺へ連絡することをおすすめします。

2.会場と人数を決め、案内状を送付する

日程が決まったら、法要やその後の会食をする場所や招待する人数を決めます。主な場所は、自宅・寺院・葬祭ホール・ホテルなどです。法要後の会食である“お斎(とき)”の場所まで決まったら、案内状を作成して送付します。

3.料理や引き物(返礼品)を手配する

出席してくれる人数を把握できたら、会食(お斎)の料理や席順など細かい部分を決め、料理と引き物を手配します。会食代は、一人3,000円~10,000円の範囲内が一般的ですが、地域や出す料理、会場によって金額は異なります。
料理の手配をするタイミングは、2週間前が目安です。連絡をする際は、法事用の料理だと伝えるとメニュー決めなどがスムーズに進みます。参列者の人数が変更になることを念頭に置き、注文内容の変更は何日前まで可能か確認しておくと安心です。
そのほか、法要と会食の会場同士が遠い場合は移動手段の確保が必要です。なかには、送迎サービスをおこなっている会食会場もありますので、一度相談してみると良いでしょう。

4.最終確認をする

法要の1週間~前日までに、お布施、供物、花、位牌、遺影、参列者の人数と香典のお返し・食事の有無の最終確認をしておきます。施主はやること・用意すべきものがたくさんあるので、余裕を持って取り組むことをおすすめします。

法要・法事当日の流れ

法要当日は、①参列者・僧侶の入場、②住職の読経、③焼香、④住職の法話、⑤お墓参り、⑥施主の挨拶、⑦会食という流れが一般的です。ここでは、法要当日の流れを詳しく紹介します。

1.参列者・僧侶の入場

当日は、施主や親族よりも先に参列者と僧侶が入場します。全員の入場が終わったら、施主と親族も順に着席します。僧侶が仏前に着席すると、法要・法事が始まる合図です。

2.住職の読経

僧侶の入場後、施主は法要の開始を伝える簡潔な挨拶をおこないます。施主の挨拶が終わったら、僧侶の読経が始まります。読経の所要時間は15分程度です。

3.焼香

僧侶が読経を続ける中、施主や参列者は焼香をしていきます。焼香の順番は施主が最初で、その後は故人と関係の深かった順におこないます。人数によるものの、読経~焼香終了までの所要時間は1時間程度です。
なお、焼香の基本的なやり方は以下の記事で詳しく紹介しています。

4.住職の法話

焼香の後は僧侶が法話をおこない、終わると退席します。僧侶が会食に参加しない場合は、このタイミングでお布施や御車代などを渡します。

5.お墓参り

菩提寺で法要をした場合、または会場とお墓が近い場合は、法話の後にお墓参りをすることがあります。お墓参りでは、周辺の掃除をしてから食べ物やお花を供え、線香をあげます。
なお、法要の日に必ずお墓参りをする必要はありません。何らかの理由で当日が難しい場合は、後日改めておこないます。

6.施主の挨拶

お墓参りが終わったら、もしくはお墓参りをしない場合は僧侶が退席したら、施主は終了の挨拶をします。挨拶の内容は、参列してくれた人への感謝と、この後に会食があることを伝えるものです。無事に終わった感謝の気持ちを込めて、開始の挨拶より少しだけ長く話すと良いかもしれません。

7.会食

法要の後は、会食であるお斎です。一般的に法要はお寺や自宅、霊園で営まれますので、お斎は仕出しを依頼して引き続き同じ場所でおこなう場合と、ホテルや料亭などへ場所を移す場合とがあります。
また、法要は家族や親族のみでおこない、故人と縁の深かった友人や知人はお斎の会場に直接来るケースも。お斎の開始と終了の際も、施主が列席者に挨拶をします。なかには、住職や故人と縁の深い友人から挨拶をされたり、献杯(けんぱい)の発声をお願いしたりすることもあるでしょう。お斎では、故人にまつわる思い出話に花を咲かせます。
なお、最近では感染症の拡大などにより、お斎をおこなわないケースも少なくありません。その場合は、参列者が途中でお腹を空かせてしまわないよう、そして余分な香典を受け取ることのないよう、お斎をしない旨を案内状に記載して事前に伝えておくとより丁寧です。

施主が法要前に準備するもの

施主は案内状や引き物をはじめ、お布施など僧侶に渡すお金も用意する必要があります。ここでは、法要前に施主が準備する主なものを紹介します。

案内状

法要を営む際は、案内状を送付するのが基本です。近親者だけの法要ならば、電話連絡でもかまいません。ただし、四十九日法要や一周忌、三回忌などの大きな法要を営むときは、はがきや封書での案内状送付が望ましいです。
案内状は、参列者が出欠の返事をしやすいように、往復はがきまたは封書に返信用はがきを同封して送ります。返信用はがきの表に返送先の住所・氏名を書き、裏には出欠に丸がつけられるようにします。
案内状では、必要なことを簡潔に伝えることが大切です。時候の挨拶、誰の何回忌か、日時や場所(必要な場合は地図や電話番号を添える)を必ず記載し、平服で良い場合はその旨を明記します。

香典のお返し(返礼品、引き物)

法要で受け取る香典のお返しを、返礼品または引き物と言います。法要・法事での引き物は、いわゆる“めでたいもの”ではありませんので、贈る品物は「消え物」が良いとされます。参列者が持ち帰りやすい重さ・サイズのものを選ぶのがマナーです。品物の金額は、一人あたり3,000円~5,000円が目安とされます。
<香典のお返しとしてよく選ばれる品物>
  • 石鹸
  • 洗剤
  • タオル
  • お菓子
  • カタログギフト など

お布施

法要では、僧侶へ感謝の気持ちを込めたお布施を渡します。一般的な金額の目安は、30,000円~50,000円です。

御膳料・御車代

住職が法要後のお斎を欠席する場合は、御膳料(おぜんりょう)を渡しましょう。御膳料は一人10,000円程度が目安です。ほかの僧侶が一緒に来てくれた場合も一人ずつ渡します。
そのほか、御車代が必要なときもあります。住職に自宅や墓地まで出向いてもらった場合は、送迎の有無にかかわらず御車代を渡すのが基本です。御車代の相場は5,000円~10,000円程度です。

塔婆供養料

塔婆供養料(とうばくようりょう)は、法要で卒塔婆を立てる場合に包みます。寺により卒塔婆料は決まっていますので確認すると間違いがありません。相場は1本3,000円〜10,000円ほどです。

【法要当日】施主の服装と持ち物

施主は何かと準備することが多いですが、それと同時に自身の服装や持ち物にも意識を向ける必要があります。ここでは施主の服装と持ち物を紹介します。

服装は準喪服が基本

初七日・四十九日・一周忌までは、通夜や葬儀で着用するような服装にします。遺族は準喪服が基本です。
<準喪服の例>
  • 男性:ブラックスーツに、黒の靴や靴下
  • 女性:黒の長袖のワンピースやスーツに、黒いストッキングやバッグ
なお、三回忌以降は略喪服などで良いとされています。男性の場合は、ダークスーツとシャツに派手すぎない色のネクタイなどを合わせれば問題ありません。女性はグレーや紺、黒のスーツやアンサンブルを着用します。靴やバッグも派手でなければ問題ないでしょう。近親者のみが出席する法要の場合は、平服で良いケースもあります。

持ち物は位牌、遺影、数珠は必須

<必要なもの>
  • 位牌
  • 遺影写真
  • 数珠
  • お布施
  • 引き物
<場合によっては必要なもの>
  • 埋葬許可証(四十九日法要で納骨をする場合)
  • 過去帳(浄土真宗は遺影の代わりに持参する)
  • お供え物、お花(お寺で法要をおこなう場合)

施主になったら法要当日までにしっかり準備を

法要をおこなう際は日程や会場決め、参列者への案内や各種手配など、施主のやることはたくさんあります。日程は2ヶ月前には決めるのが理想のため、早め早めに動くことをおすすめします。一人では難しいと感じたら、家族や親族に助けてもらうのも一つの手です。しっかりと準備をし、参列者をもてなしつつ故人を偲んでください。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。