仏具の種類と名前~正しく飾って供養を~
法事・お墓
仏具とは、仏教の宗教儀式で使用する道具のこと。一般家庭では、仏壇で拝むときに使います。初めて仏壇を購入する場合、仏具も一緒に用意します。この記事では、仏具の種類と仏壇への飾り方について解説します。正しい作法を身に着け、心を込めて仏壇に“お参り”してみませんか。
基本的な仏具の種類
お葬式の仏具と仏壇に供える仏具は異なります。また、故人の位牌と本尊など拝む対象になるものと、それ以外の一般仏具に分かれます。家庭の仏壇に必要最低限とされる一般仏具は「香炉(こうろ)」、「灯明立(とうみょうたて)」、「花立(はなたて)」の3種類です。こうした仏具は、専門店である仏具店で購入する場合が多いですが、デパート、オンラインショップなどでも買えます。
仏具は仏壇の大きさを考慮して選ぶことが大事です。仏壇のサイズに合わせてセットになっているものもありますので、販売店に相談すると良いでしょう。基本の3種類は、安ければ数百円から購入できますが、素材やブランドなどによって数十万円するものもあります。平均的には数千円が相場です。まずは、基本の仏具の種類を紹介します。
仏具は仏壇の大きさを考慮して選ぶことが大事です。仏壇のサイズに合わせてセットになっているものもありますので、販売店に相談すると良いでしょう。基本の3種類は、安ければ数百円から購入できますが、素材やブランドなどによって数十万円するものもあります。平均的には数千円が相場です。まずは、基本の仏具の種類を紹介します。
花立(はなたて)
花立は花を生ける小さな花瓶のことで、宗派によっては花瓶(かひん)と呼ぶこともあります。花は仏様のお慈悲の象徴とされています。
香炉(こうろ)
香炉とは線香を立てる器のこと。中に灰を入れて使います。線香はお参りする人を清める役割があり、仏様への供養には欠かせません。3本足の香炉は、1本を手前に向けて配置します。
灯明立(とうみょうたて)
灯明立はろうそく立てのことです。灯明は仏様に供える灯火であり、闇を照らす智慧の光と考えられています。
仏具の配置や飾り方
仏具を仏壇に飾る場合はどのような配置が正しいのでしょうか。宗派によって、あるいは地域によって考え方には違いがあります。ここで解説するのは、オーソドックスな仏壇の飾り方です。また、初めて仏壇を用意する際に必要な開眼供養(かいげんくよう)、魂入れ(たましいいれ)についても説明します。
三具足(みつぐそく)
前の章で説明したように、花立、香炉、灯明立の基本アイテム3種を「三具足」と言います。「具足」には足りているもの、揃っているものという意味があり、仏様のおそばに添える仏具という意味が含まれています。仏壇に向って左側に花立、中央に香炉、右側に灯明立を1つずつ置きます。
五具足(ごぐそく)
五具足とは、花立2つ、香炉1つ、灯明立2つのことを指します。仏壇に向かって中央に香炉を配置し、その両側に灯明を一対、さらに両端に花立一対を安置します。宗派によって異なりますが、仏壇(の中の本尊や位牌)をはじめて迎える儀式の開眼供養や、故人の法要などの特別なときに五具足にすることが多いです。正式で丁寧な荘厳(しょうごん=飾り)ですが、仏壇の大きさに合わせて五具足か三具足を選ぶと良いでしょう。
仏壇を購入したら
仏壇を新しく購入したら、開眼供養を営みます。魂入れや入仏式(にゅうぶつしき)とも呼ばれていますが、これは仏壇に対しておこなうものではありません。開眼供養(魂入れ)は、仏壇の中にご安置された本尊や位牌に魂を入れ込む儀式です。これは、モノとして作られた仏像や位牌が開眼供養の読経をすることで、魂が宿り、尊い仏様になるという考えからくるものです。
開眼供養は菩提寺の僧侶に来宅を願い、読経をお願いするのが習わしとなっています。来宅していただくことが難しい場合は、新しく購入した本尊や位牌を菩提寺に持参して供養をしてもらいます。
浄土真宗では位牌がないので、開眼供養ではなく御移徙(おわたまし)という慶事の法要をします。弔事ではなく、おめでたいことという考え方が興味深いですね。
開眼供養は菩提寺の僧侶に来宅を願い、読経をお願いするのが習わしとなっています。来宅していただくことが難しい場合は、新しく購入した本尊や位牌を菩提寺に持参して供養をしてもらいます。
浄土真宗では位牌がないので、開眼供養ではなく御移徙(おわたまし)という慶事の法要をします。弔事ではなく、おめでたいことという考え方が興味深いですね。
その他の仏具の種類
花立など基本の3種類の他にも、いろいろな仏具があります。宗派や地域によって使用する仏具に違いがあるので確認が必要です。
位牌(いはい)
位牌は亡くなった人の戒名や俗名、享年や没年月日が刻まれた木札のことです。亡くなった人の魂が宿る場所と考えられています。残された家族は、位牌を通して故人を思ったり供養したりすることで、故人を忘れることなく身近に感じられるように。浄土真宗では法名軸(ほうみょうじく)を用い、位牌を使わないこともあります。
本尊(ほんぞん)
本尊は、それぞれの宗派で主に信仰している仏様の像や掛け軸のことで、仏壇の本体とされるものです。宗派によって本尊は異なります。例えば、浄土宗は舟弥陀(ふなみだ)、浄土真宗は阿弥陀如来(あみだにょらい)です。真言宗は大日如来(だいにちにょらい)、日蓮宗は曼荼羅(まんだら)など拝む対象が違います。
線香差し(せんこうさし)
使う前の線香を立てておくための道具が、線香差しです。線香立(せんこうたて)と呼ぶこともあります。これは購入しない家庭も珍しくなく、線香差しを使わずに箱のまま仏壇に置く場合もあります。
火消し(ひけし)
火消しは、ろうそくの上から被せて火を消すために使う道具のこと。仏教では口は不浄とされています。その口から吐き出す息で仏様の智慧の象徴である灯明を消すのは無作法に当たります。
かぶせて消すものやうちわ、芯つまみなどがあります。一つあれば便利ですが、これを省略し、手で仰いで火を消す家庭も少なくありません。
かぶせて消すものやうちわ、芯つまみなどがあります。一つあれば便利ですが、これを省略し、手で仰いで火を消す家庭も少なくありません。
りん
りんは、読経をする際に鳴らして開始を告げる仏具のことで、りん本体とりんを打つばち(りん棒)がセットで必要です。敬称をつけて、おりんと呼ばれることが多いです。読経中の句読点として鳴らすこともあります。
茶湯器(ちゃとうき)
茶湯器は、仏様やご先祖様、故人に水やお茶をお供えするための湯呑のこと。ふたのついた湯呑が一般的です。仏壇に置けるような小さめサイズの湯呑で代用する家庭もあります。
仏飯器(ぶっぱんき)
仏飯器は、仏様やご先祖様、故人にご飯をお供えするための器のことで、仏器(ぶっき)と呼ぶこともあります。ご飯を入れる部分が取り外せるタイプと一体型タイプがあり、素材や色、デザインはさまざま。仏壇に置けるような小さな器で代用することも可能です。
仏器膳(ぶっきぜん)
仏器膳は、仏飯器や茶湯器をのせる横長のお膳のこと。一段高い位置にご飯やお茶をお供えすることで敬意を表します。仏器膳は、本尊を祀る段のすぐ下の段中央に置き、本尊に向かって右側に仏飯器を、左側に茶湯器を並べます。宗派によって多少異なる場合もあるので、確認してください。
高杯(たかつき)
高杯は、お菓子や果物などをお供えするための高い脚がついている器のことです。高月と書くことも。仏具ではない食器で代用することも可能です。
吊灯籠(つりとうろう)
仏壇の天井から吊るして本尊を照らし、仏壇の内部を明るくするために使われます。近年では、LEDなど電気灯が主流になっています。吊灯籠は、台付きの床上仏壇では準備されますが、タンスの上などに置く上置き仏壇ではあまり使われません。浄土真宗の多くでは丸みを帯びた隠元灯籠ではなく、六角の金灯籠(かなとうろう・きんとうろう)を用意します。
瓔珞(ようらく)
瓔珞は、仏壇を美しく見せるために両脇から下げる飾り物のことで、魔よけの意味も込められています。古代インドの王族たちが身に着けていた装身具が仏教に取り入れられ、仏壇の荘厳具となりました。こちらも上置き仏壇ではあまり準備されません。
常花(じょうか)
常花とは、常に枯れない花として作られた蓮の花の飾り物のこと。金蓮華(きんれんげ)と呼ぶこともあり、アルミなどの金属が一般的ですが、プラスチック・紙・木・布製のものもあります。仏様の慈悲の象徴とされる蓮の花をかたどっており、左右一対で飾ることが基本です。浄土真宗など宗派によっては常花を飾りません。
霊供膳(りょうぐぜん・れいぐぜん)
霊供膳とは、お彼岸やお盆、命日の際にお供えする精進料理用の器と盆のセットのことです。御料具膳(おりょうぐぜん)と呼ぶこともあります。お盆に小さめのお皿を並べて代用することも可能。浄土真宗では使用しません。
仏具の相場
ここで紹介した仏具の価格は、位牌や本尊、吊灯篭(つりとうろう)や瓔珞(ようらく)は10,000円から30,000円が平均。その他の仏具は、数千円から20,000円前後が平均価格となります。もちろん、素材、ブランド、作り手等々によって大きな価格差があります。
仏具の種類を知り正しくしつらえよう
初めて仏壇を購入する場合でも、仏具の種類と使い方を知っていれば思い通りにしつらえられます。すべての仏具を用意することは大変ですし、その必要もありません。宗派や仏壇のサイズ、予算に合わせて選び、日々のお勤めをしましょう。