ストレスを和らげるコーピングとは。意味と実践方法を解説

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ストレスを和らげるコーピングとは。意味と実践方法を解説
コーピングとは、ストレスの元を上手く対処することを意味する言葉です。仕事などのストレスだけでなく、大切な人を亡くしたことによって生じるストレスや悲しみの緩和にも期待ができます。本記事では、コーピングの意味や必要性をはじめ、コーピングの種類や具体的な実践方法、ストレス耐性との関係性を紹介します。

ストレスのメカニズムから、コーピングを理解する

生きていれば、誰しもさまざまなストレスを感じるものです。ときには、大切な人を亡くしたことによってストレスが生じることも。さまざまな場面で受けるストレスに対処することをコーピングと呼びます。まずは人がストレスを感じるメカニズムをはじめ、コーピングの意味と必要性、由来を解説します。

人がストレスを感じるメカニズム

気持ちの落ち込みやイライラを誘発するストレス。実は、次の3つの要素から構成されていることが分かっています。
1つ目は、ストレスの元である“ストレッサー”です。これの刺激を受け、人はストレスを感じます。例えば、嫌な上司や人間関係、経済状況の悪化、環境の変化などがストレッサーに該当します。
2つ目は、私たちの“認知”です。人は「ストレスだ」と認識した後、それに対処できるか無意識のうちに自分で判断しています。まず対処方法を理解しているか、そしてその対処方法は実現可能かどうかを考え、両方ともクリアできるとストレスは和らぎます。しかし、どちらか片方だけでも対処が難しいと判断されてしまうと、ストレスがさらに高まるそうです。
3つ目は心身に現れる“ストレス反応”です。ストレスを認知した状態が続くことによって、気分が沈む、動悸がする、イライラ感が募るなど、心身にさまざまなストレス反応が出てきます。

ストレスコーピングの意味と必要性

ストレスに対する一連の流れを自分でしっかりと認識し、対処方法を考える作業がストレスコーピングです。過剰なストレスを慢性的に感じると、心身へのさまざまな悪影響が考えられます。心身の健康を維持し、前向きに生きていくためには、ストレスコーピングが有用と考えられるのではないでしょうか。

コーピングの由来

コーピングは英語のcope(=対処する)が由来で、アメリカの心理学者・ラザルスが提唱しました。もともとはメンタルヘルス用語として扱われていましたが、企業での取り組みなどでストレスコーピングが世に浸透。現在では一般的に使われる言葉になっています。

コーピングの種類は主に3つ

厚生労働省の定義では、コーピングは問題焦点型と情動焦点型の2つに大別されています。本記事では、厚生労働省の定義を基本としつつも、気分をリフレッシュするストレス解消型コーピングを加えた3つに分類しました。
1つ目の問題焦点型コーピングは、ストレスを根本原因からやっつけます。2つ目の情動焦点型コーピングは、原因に対する自分の気持ちを切り替えたいときに役立ちます。そして、3つ目のストレス解消型コーピングは、原因から一旦離れてリフレッシュしたいときに適しています。今の自分に適したものはどれか、確認してみてくださいね。

1.問題焦点型コーピング

ストレッサーそのものに働きかけて、解決を目指す方法です。ストレスの原因を根本から取り除き、自分が感じているストレスの排除を目指します。
<コーピングの例>
  • 職場の人間関係に悩んでいる:思い切って転職する
  • 仕事の納期に追われている:営業担当にスケジュールの見直しを依頼する
<注意点>
ストレスの対処方法が分かっても実行に移せないときは、そのこと自体がストレスになり得ます。また、環境を改善するための行動によって、周囲の人を巻き込むケースも。それがきっかけで人間関係が悪化することもあるので、なかなか難しい部分もあるかもしれません。

2.情動焦点型コーピング

ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する自分の考え方や感じ方を変えようとする方法です。自分で感情をコントロールしたり、ストレスや悩みを誰かに話して聞いてもらったりすることで解消を目指します。大切な人を失った悲しみによるストレスを和らげるには、この情動焦点コーピングが適しています。
<コーピングの例>
  • 仲の良い人や家族に、今の辛い気持ちを話して受け止めてもらう
  • 問題やストレスから少し遠ざかり、落ち着く時間を作る
<注意点>
情動焦点型コーピングは、ストレスの原因を排除する方法ではないため、問題の根本的な解決にはなりません。根本的な解決を目指したいときは、問題焦点型コーピングも併せておこないながら、環境の改善と精神的苦痛の緩和に取り組むことが大切です。

3.ストレス解消型コーピング

仕事やプライベートなどで感じたストレスを解消・発散する方法です。「気晴らし型」と「リラクゼーション型」に分けられます。
<気晴らし型コーピングの例>
  • 好きな音楽を聴く
  • 美味しいものを食べる
  • 買い物を楽しむ
  • 温泉に行く
<リラクゼーション型コーピングの例>
  • ヨガをする
  • マッサージを受ける
  • アロマテラピーを楽しむ
これらの例から分かるように、ストレス解消型コーピングはストレスを感じたときに無意識におこなっていることが多いものです。自分の心に耳を傾け、今やりたいことに取り組むことで、ストレスが解消できるでしょう。

今すぐできるコーピングの実践方法

ここまででコーピングの概要が把握できたら、いよいよ実践編です。ここでは、コーピングのやり方を分かりやすく解説します。

1.自分のストレスを書き出してみる

まずは、今の自分が抱えているストレスを、紙にどんどん書き出すところから始めます。自分がどんなことにストレスを感じているのか理解することで、具体的な対応方法を考えやすくなります。このとき、自分を客観視して書き出していくのがコツです。

2.ストレスの解消方法・リフレッシュ方法を考えてみる

次に、自分が書き出したストレスに対する解消方法や、リフレッシュ方法を考えていきます。方法は多ければ多いほど良いので、深くは考えず、100個を目標に思い付いたままどんどん書き出してみてください。
書き出せたら、内容を整理してコーピングリストを作ります。このときのポイントは「友人Aさんに話を聞いてもらう」などと内容を具体化することです。それができたら、友人Aさんをもう一人の友人のBさんに置き換えて「友人Bさんに話を聞いてもらう」とするだけでもOKです。同じ「話を聞いてもらう」ことでも、相手によって反応は違うはず。そこで、同じような内容でも異なるリフレッシュ方法にカウントすることで、コーピングリストのラインナップが増え、目標の100個に近づきやすくなります。

3.ストレスを感じたときに自分を客観的に観察する

仕事中やプライベートでストレスを感じたとき、心身にどんなストレス反応が現れるか客観的に観察します。手の震えや血圧の上昇を感じる、腹痛がする、気分が落ち込むなど、そのときに現れた反応を記憶、もしくは記録してみてください。
人はストレスを感じると、悲しみやイライラした気分に支配されてしまいがちです。そんなとき、自分が何を感じているか客観的に把握することで、コーピングスキルが向上していきます。

4.あらかじめ考えておいた解消方法を実践する

ストレスはできる限り早急に対処して、溜め込まないことが大切です。上記1と2の過程で作ったコーピングリストを常に持ち歩くことをおすすめします。そして、ストレスを感じたらコーピングリストを取り出し、書き出してあるストレス解消方法やリフレッシュ方法を実践してみてください。

5.一連の流れを通してストレスが減少したか検証する

最後に、1から4を実践したことで、実際にストレスが減少したか考えてみます。いきなりゼロにはならなくても、ストレスが大幅に減少したと感じていれば、試した解消方法・リフレッシュ方法に効果があると判断できます。もしもストレスがあまり解消できていないと感じたら、試している方法をもう少し続けてみるか別の方法を試してみると良いかもしれません。
このように「ストレスを客観視する→解消方法・リフレッシュ方法を考えて実践する→ストレスの減少度合いを確認する」というサイクルを繰り返してみてください。そうすることで、コーピングスキルが徐々に向上していくはずです。

ストレス耐性とコーピング

人の性格や感じ方は人それぞれで、ストレスへの耐性も十人十色と言えます。ストレス耐性が低い人も、コーピングを継続することによって、ストレス耐性を高めることは可能です。ここでは、コーピングとストレス耐性の関係性を紹介します。

ストレス耐性とは

その名の通り、ストレス耐性とは“ストレスに耐えられる力”を意味します。自分が感じるストレスに対してどのくらい適応し、対処できるか。また、どの程度なら耐えられるかといったレベルを指し、「ストレス耐性が高い・低い」と表現されます。

ストレス耐性が高い人はコーピングができている?

一般的に、ストレス耐性が高い人は次の2通りに分けられ、多くの人が共通する特徴を持っています。
<ストレス耐性が高い人の種類>
  1. 認知的評価(物事のとらえ方)に柔軟性があって、不満などをあまりストレスだと感じないタイプ
  2. ストレスコーピングの基礎ができており、ストレスをあまり溜め込まないタイプ
<ストレス耐性が高い人の特徴>
  • 前向き
  • 自分を認め、受け入れている
  • マイペースで楽観的
認知的評価を変えるのは容易くありませんが、ストレス耐性が高くない人も、紹介したストレスコーピングを繰り返すことで、ストレスの解消方法やリフレッシュ方法が自然と身につき、上手く対応できるようになるでしょう。

今日からコーピングを実践し、ストレスを少しずつ和らげて

身近な人に話を聞いてもらうこともコーピングの一環です。まずは自分の感じるストレスを紙に書き出し、コーピングリストを作るところから始めて、辛い気持ちを少しずつ和らげていってくださいね。
ちなみに、瞑想などをおこない、不安やストレスを軽減させる心のトレーニング法として「マインドフルネス」というものがあります。気になる人は、ぜひこちらの記事も目を通してみてください。