サードプレイスは心の拠り所。第3の居場所を見つける方法

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サードプレイスは心の拠り所。第3の居場所を見つける方法
サードプレイスとは、自宅やオフィス、学校とは異なる第3の居場所のこと。義務や必要性に縛られず、心のままに自分らしい時間を過ごせる場所であり、都市生活者には特に必要な場所として注目されています。この記事では、これからの生活を豊かにしてくれるサードプレイスの基礎知識やメリット、探し方などを詳しく解説します。

サードプレイスの基礎知識

都市で生活する人にとって大切な場所と言われる、サードプレイス。ここでは、サードプレイスとはどのような場所なのか、ファーストプレイス、セカンドプレイスを交えて紹介します。

サードプレイスとは第3の居場所のこと

サードプレイスとは、アメリカの都市社会学者であるレイ・オルデンバーグの著書で提唱された言葉です。家やオフィス、学校とは離れた第3番目の場所で、特に、都市で生活を送る人たちの心の支えになるものとして捉えられています。
人は、日常生活の中でさまざまなプレッシャーを背負ってしまうものです。やらなければならないことや地位、役職にとらわれず気楽に会話を楽しみ、心の負担から逃れるための場所こそ、サードプレイスと言えます。

具体的なサードプレイスの例

サードプレイスとして捉えられる場所はバーや居酒屋やカフェなどが一般的ですが、その国の文化によっても異なります。日本においては、お店以外に習い事やボランティアといった人と交流する集まりも、サードプレイスとしての役目を果たしています。

第1の居場所と第2の居場所

ファーストプレイスは、生活の基盤となる自宅のことで、第1の居場所とも呼ばれます。人として健全な生活を続けるために必要であり、自分だけの時間を過ごせるスペースです。ただし、その一方で生活をともにする家族に対する義務や責任が生じます。
次に、セカンドプレイス、いわゆる第2の居場所はオフィスや学校などが該当します。セカンドプレイスは、人と交流しながら1日の大半を過ごすのが特徴です。仕事や勉強の目標を達成するため、責任や義務を持っており、ときには本来の自分とは異なる存在のように振る舞わなければならないことも。
このように、家やオフィス、学校とは離れた第3の居場所であるサードプレイスは、第1、第2の居場所とは違う特質を備えています。

サードプレイスが注目されている理由

現在さまざまな分野で活用されているサードプレイスは、1989年に同名書籍が発売された頃から広まりました。近年、改めてサードプレイスが注目されているのは、現代人がたくさんの心労に悩まされているのが理由のひとつです。
日本では、毎年多くの人が自ら命を断つことが問題視されています。孤立や無趣味による心労の積み重ねが自殺の原因と考えられることから、心の安息を得られるサードプレイスの重要性が見直されるようになりました。
前述したファーストプレイスとセカンドプレイスだけでも生活は保てますが、「同じ場所の往復で本当に良いのだろうか」と感じる人は多いものです。もっと自分らしく生きたいとき、サードプレイスの存在が大切になるとされています。

サードプレイスのメリット

気持ちのリフレッシュや新たな刺激、自分とは異なる価値観との出合いなど、さまざまな良い点が挙げられるサードプレイス。ここでは、サードプレイスが生み出すメリットについて解説します。

自由な空間が心を癒しリフレッシュできる

自由に足を運べ、社会で担う立場や地位、上下関係を気にせず交流できる場であることがサードプレイスの価値です。そこに集う人たちの肩書きや生活の様子などを知らないからこそ、素の自分でいられると考えられます。
また、日常の忙しさや仕事の重圧から離れ、物事を柔軟に捉えられる自由な空間は、人生において大切なものです。お互いを思いやることで心が癒され、自然と笑顔が溢れ出ることも。サードプレイスは、リフレッシュできる場所として「再び行きたい」と思えるところに魅力があります。

新しい出会いによって新たな学びや刺激が受けられる

サードプレイスには、訪れるための条件がないことがほとんど。職業や性別、出身を問わず、さまざまな人が集まります。そのため、サードプレイスでしか出会えない人とのつながりができることも珍しくありません。
仕事や学校、家族と関係ない人とは、先入観を持つことなく会話でき、新たな学びや刺激を得られます。どのような人でも平等に交流できるからこそ、見聞が広がり、意義のある時間を過ごせるのがサードプレイスのメリットです。

価値観が変化するとその後の生き方に変化が表れる

サードプレイスにおける人付き合いや会話を通じて、自分の価値観が変わることがあります。新しい考え方や選択肢が増え、今後の生き方に変化をもたらすことも。既存の価値観にとらわれたくないとき、サードプレイスは大切な場所になると考えられます。

第3の居場所に求められる条件と特徴

自分にとって大切な第3の居場所はどこでも良いのではなく、一定の条件を満たすことが必要です。ここでは、サードプレイスに求められる条件と特徴を紹介します。

楽しく会話ができる場所であること

サードプレイスにおいて、息が詰まるような論議は求められていません。心を許せる雰囲気の中、冗談を含めた会話を楽しむのがサードプレイスの醍醐味です。
どのような人でも自由に参加し、気軽に会話できる場所にするには、否定を軸とした言動ではなく、相手の話を受け入れる謙虚な姿勢が不可欠。さまざまな環境の人が集まることを心に留め、話に耳を傾ける環境作りが必要です。

気軽に立ち寄れる場所であること

最寄駅からアクセスしやすいなど、気軽に立ち寄れる場所であることや、自然と人が集える開放的な雰囲気を備えていることも重要です。多くのサードプレイスには常連客や会員がいて、新たな参加者を快く受け入れる環境が整えられています。そこには、集った人々により生み出される、温かい空間が広がっているでしょう。

家庭的な存在であること

サードプレイスは温かい雰囲気と居心地の良さから「第2の家」と呼ばれることも。いろいろな人が集まる公的な場所でありながら、喜びや幸せを共有する家庭的なつながりを持てます。

サードプレイスの見つけ方

少し行動するだけで、自分に適したサードプレイスが見つかるかもしれません。ここでは、新しい居場所の見つけ方を2つ紹介します。

近所を散策してみる

新たな居場所を見つけるためには、オフィスから自宅への帰り道や、散歩コースで回り道をするのがおすすめです。普段とは異なる道を歩くことで、新たな発見があるかもしれません。知らないカフェや公園に入ってみることで、居心地の良い場所が見つかる可能性も考えられます。

趣味や興味のあることを始める・追求してみる

趣味を極めたり、興味のあることを追求したり、掘り下げて学ぶと、新たな仲間との出会いや成長につながります。何かの賞を取ったり、人に教えられるほど技術が磨かれたりすれば、趣味を生かしたライフワークになるかもしれません。今後の人生を変えるきっかけになる場合もあるでしょう。

オンラインでもサードプレイスは見つけられる

密集・密接・密閉の回避が求められるコロナ禍では、オンラインサロンやSNS、チャットなど、ネット上のサードプレイスが注目されています。ここでは、オンラインならではのメリットと注意点を紹介します。

オンラインだからこそ感じられるメリット

サードプレイスを見つけるには、自分に合うか否か試すための時間や習い事の受講費に加えて、その場所に通うための時間と交通費などの移動コストがかかります。一方、オンラインはだいぶ手軽です。家から出ずに探せる上、チャットをはじめとしたツールのコミュニティなら「空いた時間に場の雰囲気を覗く」といった気軽な参加も可能です。
また、多くのコミュニティは参加費のみ、オンラインサロンは月額利用料で入れる場合がほとんど。そのため、リアル体験よりも、サードプレイス探しの時間やコストが抑えられます。

オンラインならではの注意点

オンライン上のサードプレイスは、上記のような理由でリアル空間よりもハードルが低い分、いろいろな人が参加しています。予め参加条件などを確認していても思ったものと違うこともあるでしょう。自分にとって本当に居心地が良い場所でなければ深入りせずに撤退するのがいいかもしれません。

前向きな生活に役立つサードプレイス

サードプレイスは、自宅とオフィスなどの往復で殺伐となりがちな現代社会で、ストレスの解消につながるかもしれない大切な場所です。仲間と幸せや喜びを共有できれば、癒しの空間にもなりえます。無理に頑張って探す必要はありませんが、自分らしくいられるサードプレイスは前向きな日々を連れてきてくれそうです。