四住期とは~人生を4つに区切るインドの教え~
終活
四住期(しじゅうき)とは、人生を4つに区切る古代インドの人生論です。日本では、作家の五木寛之が『林住期』という本を出版したことで広く知れ渡りました。この記事では、四住期の基本的な考え方と4つのステージについて紹介します。四住期の関連本もピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。
四住期を知る
四住期は、人生の道しるべを示す古代インドの考え方です。ここでは四住期の由来と意味について解説します。
読み方と由来
四住期は「しじゅうき」と読みます。古代インドの社会的な規範を記した聖典「マヌ法典」により、四住期という考え方は生まれました。人生を、学生期(がくしょうき)・家住期(かじゅうき)・林住期(りんじゅうき)・遊行期(ゆぎょうき)の4つにわけて、それぞれのステージにおける規範に即した生き方をすることで、幸せな人生を送れるとされています。
インドのヒンドゥー教社会において、四住期は理想的な生き方として有名です。その考え方はインドに留まらず、日本を始めとした世界中の人に影響を与えていると言えます。
インドのヒンドゥー教社会において、四住期は理想的な生き方として有名です。その考え方はインドに留まらず、日本を始めとした世界中の人に影響を与えていると言えます。
日本人に浸透したわけ
日本で四住期が注目されたのは、2007年に発売された作家・五木寛之の著書『林住期』(幻冬舎)によるところが大きいです。古代インドの考え方を基にした人生のあり方を示し、ベストセラーとなりました。
四住期の4つのステージ
前述の通り、人生を学生期・家住期・林住期・遊行期の4つに分類するのが四住期です。ここでは、それぞれに理想とされる過ごし方について解説します。
第1ステージ:学生期(がくしょうき)
8歳頃~25歳頃が学生期に当てはまります。目上の人の元で身体と精神を鍛え、生きるための術を学ぶ時期です。一人前の人間として確立しておらず、さまざまな学びを通して独り立ちを目指します。
学生期に当てはまる年代は、現代においても身体の成長や人間関係を通してさまざまな悩みを抱えることも多いです。1人では解決できず、八方塞がりになることも……。そんなときに周りの大人のサポートを受け、視野を広げながら人生を切り開くノウハウを身に付けることが重要だということを学生期の考え方は教えてくれます。
ちなみに、学生期は梵行期(ぼんぎょうき)とも呼ばれます。出家した者をブッダが励ます際にも「梵行」という言葉がよく使われていたと経典に記されていました。今も昔も、未熟な間はきちんとした鍛錬をおこない、目上の人の助言を聞きながら一人前の力を身に付けることが大切ですね。
学生期に当てはまる年代は、現代においても身体の成長や人間関係を通してさまざまな悩みを抱えることも多いです。1人では解決できず、八方塞がりになることも……。そんなときに周りの大人のサポートを受け、視野を広げながら人生を切り開くノウハウを身に付けることが重要だということを学生期の考え方は教えてくれます。
ちなみに、学生期は梵行期(ぼんぎょうき)とも呼ばれます。出家した者をブッダが励ます際にも「梵行」という言葉がよく使われていたと経典に記されていました。今も昔も、未熟な間はきちんとした鍛錬をおこない、目上の人の助言を聞きながら一人前の力を身に付けることが大切ですね。
第2ステージ:家住期(かじゅうき)
25歳~50歳頃、もしくは定年頃までを家住期と呼びます。この年代を迎えると社会人としての力を備え、パートナーとの結婚を考える人が多くなるでしょう。家族を養う責任が生まれ、貯蓄にも意識が芽生えます。
このため家住期は、一家の大黒柱として働き、仕事で成果をあげるために頑張る時期と考えられます。学生期を経て身に付けた知識や技術が家住期で花開けば、きっと充実した人生を送れるはず。子育てや仕事などを通して、変化に富んだ日々を楽しめます。
また古代インドの家住期は、神仏への祭祀(さいし)を怠ることなくおこなうと言われています。家族を大切にしながら、信仰を深める重要な期間と考えられます。
このため家住期は、一家の大黒柱として働き、仕事で成果をあげるために頑張る時期と考えられます。学生期を経て身に付けた知識や技術が家住期で花開けば、きっと充実した人生を送れるはず。子育てや仕事などを通して、変化に富んだ日々を楽しめます。
また古代インドの家住期は、神仏への祭祀(さいし)を怠ることなくおこなうと言われています。家族を大切にしながら、信仰を深める重要な期間と考えられます。
第3ステージ:林住期(りんじゅうき)
50歳~75歳頃になると、林住期に入ります。家住期で家族や社会のために働いた人も、林住期ではその役目を終え、新たなステージを迎えます。古代インドでは、社会的な義務のみならず家族とも離別して、林の中で修行や瞑想をすると言われています。現代では家族と離れるほど厳格に林住期の生き方を全うするのは難しいですが、自分の内面と向き合い成熟を目指す段階と捉えられます。
また林住期は「第2、第3の人生」や「収穫期」「黄金期」とも称されます。子どもが自立し、定年を迎えた後にどのように生きるかじっくりと考えることが大切です。これから新しい人生のスタートを切っても、まだ遅くありません。社会のしがらみから離れた上で自分が本当にやりたいことを見つけ、充実した人生を送るためのチャンスをつかんでください。
また林住期は「第2、第3の人生」や「収穫期」「黄金期」とも称されます。子どもが自立し、定年を迎えた後にどのように生きるかじっくりと考えることが大切です。これから新しい人生のスタートを切っても、まだ遅くありません。社会のしがらみから離れた上で自分が本当にやりたいことを見つけ、充実した人生を送るためのチャンスをつかんでください。
第4ステージ:遊行期(ゆぎょうき)
75歳からは、四住期における最後のステージである遊行期に入ります。これは、人生の終焉に向けて準備をする時期です。この世に対する執念をなくし、巡礼を通して死ぬ場所や悟りを求めます。インドのバラモン教では、居住地すら捨てて乞食として遊行をおこなうとされています。
ここまで徹底した生き方は困難ですが、近年は「終活」として遊行期に近い生き方を目指す人が増えていますね。人生における悔いをなくし、気持ち良くお別れができるように、元気なうちから身辺整理や葬儀について考えることも重要です。
また、遊行期では大切な人と最後のひとときを楽しむために、終の住処を見つけることを意識してはいかがでしょうか。「素敵な生き方ができたな」と人生を振り返えることができるように、自分自身と向き合いながら行動に移してみてくださいね。
ここまで徹底した生き方は困難ですが、近年は「終活」として遊行期に近い生き方を目指す人が増えていますね。人生における悔いをなくし、気持ち良くお別れができるように、元気なうちから身辺整理や葬儀について考えることも重要です。
また、遊行期では大切な人と最後のひとときを楽しむために、終の住処を見つけることを意識してはいかがでしょうか。「素敵な生き方ができたな」と人生を振り返えることができるように、自分自身と向き合いながら行動に移してみてくださいね。
Coeurlienのインタビュー記事「日々摘花」で、昭和女子大学の坂東理事長が「四住期」に続く人生5番目の「期」について話されています。ぜひこちらもご一読ください。
「その人の人生は、“心住期”に現れる」坂東眞理子さん【インタビュー前編】~日々摘花 第3回~ - 家族葬のファミーユ【Coeurlien】
人は必ず、大切な人との別れを経験します。その深い悲しみと、そこから生まれる優しさを胸に、“今日という日の花を摘む”ように、毎日を大切に生きてゆく……。「日々摘花(ひびてきか)」は、そんな自らの体験を、様々な分野の第一線で活躍する方々に共有していただく特別インタビュー企画です。第3回のゲストは、昭和女子大学理事長・総長の坂東眞理子さん。本編は、前・後編の2回に渡ってお送りする、前編です。
四住期の関連本
ベストセラーとして知られる『林住期』の他、四住期に関連したさまざまな本が出版されています。ここでは、四住期を知るために役立つ代表的な本を紹介します。
『林住期』/五木寛之
「林住期に当てはまる50歳~75歳の25年間は、生きがいを求めて生きることが大切」という人生観を説いた本です。基本的な林住期の生き方や、女性における林住期の過ごし方などを記しています。
現役を退き定年を迎えると、やりがいを失い無力感に襲われる人も多いはず。この本では、現役引退後こそ充実した人生を送るための意識的な改革が必要であると教えてくれます。(五木寛之・著、幻冬舎)
現役を退き定年を迎えると、やりがいを失い無力感に襲われる人も多いはず。この本では、現役引退後こそ充実した人生を送るための意識的な改革が必要であると教えてくれます。(五木寛之・著、幻冬舎)
『遊行の門』/五木寛之
この本において著者は、四住期の最後のステージである遊行期について記しています。遊行期は人生の締めくくりとして死を迎える時期であるとともに、子どもに戻る時期であると示しているのが特徴です。
年齢を重ねると身体の衰えを感じ、若い頃にできていたことができなくなる場合があります。「こんなこともできないなんて……」と後ろ向きに考えるのではなく、「人生の終わりは子どもに戻り、人の助けを得るのは自然なこと」と考える大切さを本作で示していると言えるでしょう。(五木寛之・著、徳間書店)
年齢を重ねると身体の衰えを感じ、若い頃にできていたことができなくなる場合があります。「こんなこともできないなんて……」と後ろ向きに考えるのではなく、「人生の終わりは子どもに戻り、人の助けを得るのは自然なこと」と考える大切さを本作で示していると言えるでしょう。(五木寛之・著、徳間書店)
『マヌの法典』/田辺繁子
四住期について説いた「マヌの法典」の日本語訳です。人生における4つのステージを全うし、この世への執着を捨てれば幸福を得られることが四住期を通して学べます。また四住期の考え方だけでなく、東洋に脈々と受け継がれた神話や哲学などを知る上で示唆に富んだ一冊です。(田辺繁子・訳、岩波書店)
四住期の教えで理想の人生を
古代インドの考え方「四住期」は、今を生きる私たちにも通用する人生の道しるべです。特に人生の後半期にあたる「林住期」「遊行期」の教えは、人生100年時代と言われる現代人への生き方の示唆に満ちています。古代の知恵を借りて、より充実した人生を送りたいですね。