死因と人の死を表す言葉一覧|類語・例文も紹介

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死因と人の死を表す言葉一覧|類語・例文も紹介

この記事はこんな方にオススメです

ニュースや新聞などで聞き・見慣れない言葉に出会った
死因・死を表す言葉の意味を知りたい、使いたい
死因とは、死亡の原因のこと。日本人の死因として多いのは悪性腫瘍(がん)や心疾患、脳血管疾患、老衰などです。しかし、そのほかにも数多くの死因が存在し、命を落とすきっかけによって区別されます。本記事では死因と人の死を表す言葉を事故・自死・病気関連・その他に分け、言葉の意味と例文を紹介します。死亡診断書を見る時や追悼文の作成時にもお役立てください。

【事故】死因や死を表す言葉の意味と例文8つ

死因と人の死を表す言葉は数多くあります。その中から、ニュースなどで耳にすることのある事故にまつわる言葉の意味と例文から紹介します。また、そのうちの「転落死」と「墜死」の違いも解説しています。

1.転落死(てんらくし)

転落死とは、転倒をきっかけに高所から落下し、命を落とすこと。落下の衝撃で死ぬことも含まれます。
<例文>
  • 作業員が足場の建築中に転落死した
  • 山登りをした男性が山中で転落死した

2.墜死(ついし)

墜死とは、高所から落ちて絶命することです。別名「墜落死(ついらくし)」とも言われます。
<墜死と転落死の違い>
どちらも高所から落ちて死ぬことを意味する言葉です。しかし、両者は落ちる前の状況が異なります。詳しくは以下の通りです。
  • 転倒して落ちた(地面や階段など足の着くところから落ちた)→転落死
  • 墜落した(体が宙に浮いている状態で落ちた)→墜死
<例文>
  • 飛行機事故で墜死した

3.浸死(しんし)

浸死とは、水に浸されて死ぬこと。
<類語>
  • 水死…水におぼれる、低体温になるなど、水が原因で死ぬこと。
  • 溺死水などの液体におぼれて死ぬこと。
<例文>
  • 海で遊んでいた子どもが浸死した

4.震死(しんし)

震死とは、雷に打たれて(感電して)死ぬこと。
<例文>
  • 雷が落ち、歩いていた男性が震死した

5.轢死(れきし)

轢死とは、電車や自動車などの車輪にひかれて死ぬこと。事故が多いですが、自死の場合もあります。
<例文>
  • 道路を渡っていた高齢者が車にひかれて轢死した
  • 線路内に立ち入り、轢死しようと考えた

6.煙死(えんし)

煙死とは、火事によって発生した有毒ガスや煙を吸い込んで死ぬこと。一酸化炭素中毒による死も含まれます。
なお、火災で亡くなる人の死因は、焼死よりも煙死が多いとされます。
<例文>
  • 火災が発生し、一酸化炭素中毒によって煙死した

7.横死(おうし)

横死とは、殺害や事故など、予期しない災難に遭い死ぬこと。また、天命を全うしないで死ぬことも意味します。
<例文>
  • 彼は志半ばで横死した
  • 私の家族は交通事故によって横死した

8.圧死(あっし)

圧死とは、強い力で押しつぶされて死ぬこと。
1995年に発生した阪神淡路大震災において、亡くなった人の死因は窒息死が5割以上を占めていましたが、2番目に多いのは圧死だったそうです。
<例文>
  • 大地震で圧死を避けるため、家具の設置方法を見直す
  • 倒れてきた鉄板に押しつぶされ圧死した

【自死】人の死を表す言葉の意味と例文2つ

続いては、自死に多い言葉の意味と例文を2つ紹介します。これらの言葉は、ニュースや小説などで見聞きすることがあるかもしれません。

1.縊死(いし)

縊死とは、首をくくって死ぬこと。
<類語>
  • 首くくり
  • 首吊り
  • 経死(けいし)
  • 縊首(いしゅ)
<縊死と首吊りの違い>
  • 首吊り:体を吊って死を図ること(手段)
  • 縊死:首吊りによって死に至ること(結果)
<例文>
  • 同級生が自宅で縊死した
  • ドアに縄をかけて縊死を図った

2.情死(じょうし)

情死とは、愛し合っている男女が合意の上で一緒に自死すること。
<類語>
  • 心中
  • 相対死(あいたいじに)
<情死と心中の違い>
  • 情死:男女が「合意の上で」一緒に死ぬ(自殺)こと
  • 心中:男女に限らず複数で死ぬこと、相手の「同意なし」に死ぬ(殺す)ことも含む(無理心中、親子心中など)
<例文>
  • とあるカップルは情死を選んだ
  • 愛し合う二人は来世で結ばれることを願って情死した

【病気・医療関連】人の死を表す言葉の意味と例文3つ

人の死を表す言葉には、脳死や安楽死、尊厳死など病気や医療に関係するものもあります。ここでは、それぞれの言葉の意味と例文を紹介します。

1.脳死(のうし)

脳死とは、脳全体の働きが失われた状態のこと。心臓を含むすべての臓器の働きが止まるため、治療をしても助かることはありません。人工呼吸器によって心臓を動かすことはできますが、外すと呼吸・心臓ともに停止します。
なお、世界の多くの国では「脳死=人の死」とみなされているようです。日本では、臓器提供を希望している場合に限り、脳死は人の死とされます。
<脳死と植物状態の違い>
  • 脳死:助かる見込みはなく、人工的に心臓を動かしてもやがて停止する
  • 植物状態:自分で呼吸できることが多く、回復することもある
<例文>
  • 脳死の原因は事故で頭部を損傷したことだった
  • 自分が脳死状態になった場合は臓器提供をしようと思う

2.安楽死(あんらくし)

安楽死とは、苦痛を取り除けない患者の死期を投薬などで早めること。「安らかに死ぬこと」という意味もあります。
なお、日本において死期を早める安楽死は合法ではありません。
<例文>
  • 海外の一部では安楽死が認められている

3.尊厳死(そんげんし)

尊厳死とは、回復の見込みがない患者が終末期医療において自らの意思で延命治療を中止すること。
<例文>
  • 末期の胃がんで入院していた父は、尊厳死を望んだ
安楽死と尊厳死は言葉の響きが似ているため、混同されることが多いです。実際に、両者の定義は曖昧なところもあるようです。しかし、安楽死と尊厳死は言葉の認識に違いがあります。それぞれの言葉の意味や違いなど、詳しくは以下の記事で解説しています。

【その他】死因や死を表す言葉の意味と例文8つ

最後に、事故や自死などに該当しない死因と、人の死や死境を表す言葉の意味と例文を紹介します。言葉の意味を知ることで、どこかで見聞きしたときにすんなり理解できるでしょう。

1.狂死(きょうし)

狂死とは、気が狂って死ぬことです。狂ったように、もだえ苦しみながら死ぬこと、という意味もあります。
国立環境研究所によると、水俣病が発生した際は水俣湾周辺に生息する猫や豚が狂死したそうです。
<例文>
  • 私の好きな作家は狂死したと伝えられている
  • 彼は叫び狂った末に狂死した

2.獄死(ごくし)

獄死とは、牢屋に収監されている間に死ぬこと。
<類語>
  • 牢死(ろうし)
<例文>
  • 受刑者は病に倒れ獄死した
  • 出所直前に獄死した

3.扼死(やくし)

扼死とは、手や腕で首を強く圧迫されたことで死ぬこと。首を圧迫して殺すことは扼殺(やくさつ)と呼びます。
<扼殺と絞殺(こうさつ)との違い>
  • 絞殺:手だけでなく、紐などで首を絞めることも含む
  • 扼死:手や腕で首を絞める
<例文>
  • 被害者の死因は圧死か扼死か調べている最中だ
  • 犯人は腕を使って首を圧迫し、被害者を扼死させた

4.夭死(ようし)

夭死とは、若いうちにこの世を去ること。10代~40代の若い世代が亡くなったときに使うのが一般的です。追悼文などには、直接的に「死」と書かない夭折などを使うことが多いです。
<類語>
  • 夭折(ようせつ)
  • 夭逝(ようせい)
<例文>
  • 友人の孫は持病によって夭死した
  • 同僚は35歳のときに突然倒れ、夭死した

5.変死(へんし)

変死とは、事故死・他殺・自殺など、病死や老衰ではない理由で死ぬこと。その遺体を変死体と呼びます。
<例文>
  • 近所の家で変死体が見つかった
  • 自宅で亡くなった知人には、変死の疑いがあると告げられた

6.頓死(とんし)

頓死とは、元気だった人が急に死ぬことを意味します。また、死の様子だけではなく、将棋で自分の王将の詰みを見落とし、相手に詰まされてしまうことも頓死と言います。
<類語>
  • 急死
  • 急逝(きゅうせい)
  • 即死(そくし)
<例文>
  • 友人が仕事中に頓死した
  • 竜王がまさかの一手で頓死した

7.臨死(りんし)

臨死とは、病気や事故などによって生と死の境をさまようこと。また、いったん死んだとみなされた後に再び生き返ること。
<例文>
  • 救急車で運ばれたときに私は臨死体験をした

8.老衰(ろうすい)

老衰の意味は、老いて衰えることです。死因として使う場合は、高齢者が病気や怪我などを原因とせず自然死することを指します。
<例文>
  • 祖母は老衰で死去した

人の死因や、死を表す言葉には知られていないものも多い

今回紹介してきたように、死因や人の死を表す言葉には聞き慣れないものも数多くあります。あまり身近ではない言葉がほとんどかもしれませんが、何かのきっかけで新しい言葉に出会ったときは、その意味を調べてみると教養が身につくはず。今後も、何か気になる言葉や物事に触れたときは掘り下げてみてはいかがでしょうか。
また、人が亡くなったときは死亡届を提出する必要がありますが、死因は医師が死亡届に連なる死亡診断書(死体検案書)の欄に記載します。この死亡届は行政の基礎資料となり、日本の三大死因などの発表にもつながっています。死亡届について、詳しくは以下の記事で紹介しています。