家族葬の費用相場は?明快な3つの内訳と注意点、安く抑える方法も

ご家族の通夜・葬式準備
家族葬の費用相場は?明快な3つの内訳と注意点、安く抑える方法も

この記事はこんな方にオススメです

家族葬の費用相場が知りたい
家族葬と一般葬の費用と違いが知りたい
喪主を務める可能性がある
家族葬とは故人と残された家族を中心におこなわれる、現在主流の葬儀形式です。比較的少人数のため費用は従来型の一般葬よりも抑えられる傾向にありますが、葬儀内容や地域の事情などによっても変わります。今回は家族葬の費用相場と3つの内訳で基本を押さえて、注意点もお伝えします。一般葬との違い、費用を安く抑える方法なども分かりやすくご紹介します。

家族葬の費用<相場>

家族葬の費用相場は、多くの人に案内する一般葬の約半分です。家族葬と一般葬とを比較しながら費用相場と金額の異なる理由を紹介します。

家族葬の費用相場は100万円

家族葬の費用は約100万円が相場とされます。家族葬プランの価格帯には幅があり、10人程度の少人数でおこなう葬儀でも15~200万円強と、利用する施設や祭壇、食事の内容などにより実にさまざまです。さらに参列人数を減らす、無宗教にする、お通夜をしないなど、簡素化する場合は50万円以下になることも。ただし、15~20万円台の家族葬プランには、葬儀・告別式や火葬費用などが省かれていることも多く、よく内容や内訳を確認する必要があります。

一般葬の費用相場は200万円

一般葬の費用は約200万円が相場とされます。家族葬よりも高いですが、実は一般葬と家族葬では祭壇や棺、霊柩車など、基本的な費用の内訳に大きな違いはありません。

しかし、一般葬は参列者が多い分、スペースの広い会場と沢山の人に見せる大きな祭壇が必要です。ほかにも、参列者の数だけ飲食費や返礼品にかかる費用が発生するため、家族葬よりも費用総額が高くなりやすい傾向にあります。

家族葬と一般葬の違い

家族葬費用の内訳を知る前に、家族葬と一般葬の違いについて確認しておきましょう。遺族と参列者の関係性と人数に違いが出やすいので、それぞれの特徴を簡単に紹介します。

家族葬は身近な人で営む葬儀

家族葬について明確な定義はありませんが、主に家族・親族だけで営む小規模な葬儀を指します。参列者の人数は1~30人程度が多く、案内状を出した人のみ参列してもらうのが一般的です。参列者が顔見知りであることや数も少ないことで、遺族にかかる心身の負担を軽減できる上、故人との時間をゆっくりと過ごすこともできます。

一般葬は多くの人に参列してもらう葬儀

一般葬は家族・親族に加え、故人が勤めていた会社の人や近所の人まで広く葬儀の案内をします。故人の訃報を知っている人は誰でも、案内状がなくても参列できます。参列者は30人以上になることが多く、100人以下だと小規模、200人を超えると大規模とされます。
なお、一般葬はしきたりや参列者へのおもてなしが重視されますが、葬儀の流れは家族葬と変わりません。

家族葬の費用<内訳>

家族葬をおこなう際には「葬儀社に支払う費用」「寺院に支払う(宗教者に支払う)費用」「役所や専門業者に支払う費用」の3つが必要です。ここでは家族葬にかかる費用の内訳を紹介します。

葬儀社に支払う費用

葬儀社に支払う費用は、ご遺体の安置や葬儀、出棺などにかかるものです。葬儀社各社のセットプランでは「葬儀費用一式」「葬儀本体費用」などと表示されます。
<費用の一例>
  • 斎場使用料
  • 祭壇や棺、遺影などにかかる費用
  • 司会やセレモニースタッフなどの人件費
  • 寝台車や霊柩車にかかる費用
  • 会食費
  • 返礼品(香典返し)など
なお、プランによっては火葬に関する費用が含まれていないことも考えられるため、見積書をきちんと確認しておくと確実です。

お坊さん(宗教者)に支払う費用

お坊さん(宗教者)に支払う金額には、読経や戒名授与へのお礼として渡すお布施と御車代などの実費分があります。お布施は葬儀社を介さず、喪主が直接渡します。
なお、お布施の金額に決まりはありません。目安として、お通夜と葬儀・告別式のある二日葬の場合は50万円ほどが一般的とされます。

役所や専門業者に支払う費用

葬儀をおこなう際は、参列者の会食費や火葬の費用なども必要です。この費用は個別に支払う場合もあれば、葬儀プランに含まれていることもあります。
<火葬費>
火葬場に支払う費用は、公営の場合は市区町村の委託業者などに、民営の場合は、運営元に支払います。火葬の相場は、公営では市民は無料とするところが多くあります。例えば、北海道札幌市の2つの火葬場では市民は無料(市外は大人で4.9万円など)です。また、千葉県習志野市のように地域住民は大人で8,8千円~1.1万円、他地域の人は8.8万円~11万円と、故人や喪主の居住地域で割安に設定しているところがあります。東京では民営の火葬場が多いため、5.96万円~28万円と思いのほか高額になることもあります。

このほか控室の料金として数千円~2万円の料金がかかります。また、燃料費などが取られることもあります。
<会食費>
通夜振る舞いや火葬後の会食などにかかる費用もあります。通夜振る舞いの相場は一人3千円~5千円です。葬儀プランに含まれていない場合は、注文先のお食事会場やレストラン、弁当屋に代金を支払います。

家族葬の費用<安く抑える方法>

家族葬は一般葬よりは相場が低いとはいえ、予算が不足してしまうことがあるかもしれません。ここでは家族葬の費用を抑える方法を紹介します。

複数の葬儀社に見積もりを依頼する

同じ家族葬でも、葬儀社によってプラン内容や費用は異なります。家族葬を検討する際は、数社に見積もりを依頼するのが理想です。そうすることで内容と費用の比較ができ、納得のいく葬儀社とプランを見つけやすくなります。
ただし、亡くなった直後は慌ただしく、複数の葬儀社の相見積もりを取るのはむずかしくなります。できれば家族が元気なうちに家族葬ホールの見学や葬儀社への見積もり依頼をおすすめします。

パッケージプランを用意している葬儀社を選ぶ

以前は「葬儀費用は終えてみるまでいくらになるか分からない」などと言われることもありましたが、最近ではパッケージプランを用意する葬儀社が増えてきています。パッケージプランは費用の総額をあらかじめ確認できるほか、仏具やサービス内容が明確なため、費用と見合っているか事前に確認できるのが利点です。
ただし、プラン内容や料金表示の方式などは葬儀社ごとに異なりますパッケージプランですべてが賄えるのか、慎重な確認をおすすめします。

葬儀の規模を見直す

葬儀の予算と実際にかかる費用が一致しない場合は、祭壇を小さくする、参列者の人数を少し減らす、二日葬を一日葬にするなど、葬儀の規模やグレードを縮小するのも一案です。参列者の人数を減らすと飲食や返礼品にかかる費用が削れるほか、場所によっては会場費も抑えられます。
しかし、あまりに簡素化すると心残りができたり、身内や参列者から不満が出たりする恐れがあるため、慎重に検討したいところです。また、参列者を減らすと後日の弔問対応に割く時間が増えることも考慮する必要があります。

家族葬の費用<注意点>

家族葬の費用を検討する上で、葬儀プランの基本金額ばかりが気にする点ではありません。見落としがちな注意すべき点を整理します。

香典収入と費用総額のバランスを考える

家族葬は参列人数が少なくなるため、香典収入も減る傾向にあります。特に葬儀費用の総額を抑えるために、むやみに参列者の人数を減らすと全体の収支として持ち出しが増えることもあります。葬儀の規模を見直す場合は、家族や親族と相談しながら専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。

参列人数による費用の増減を把握する

あらかじめ参列人数を把握しやすいのが家族葬です。人数の増減は家族葬の費用総額を大きく占めるものではありませんが、予想外の出費は心の負担にもつながります。具体的には人数が増えると追加される、会食費と返礼品などの金額を確認しておきましょう。

セットプランの内容は明細をもらって確かめる

家族葬は葬儀社によって「必要最低限」の範囲が異なり、含まれるサービス項目が全く異なります。同じ項目でもセットに含まれるものは安く、後から追加するものは高くなるのが基本です。自分たちの希望にぴったりなプランを探すことが大切ですが、時間のない時には葬儀の依頼前に明細がもらえるかを確認してみてください。さらに納得のいかない時には搬送後でも変更や取りやめのできる葬儀社を注意深く探してください。

家族葬の費用<総額の推移>

家族葬の費用総額の推移を「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」をもとにお伝えします。
この調査は、2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、日本全国の40歳以上の男女を対象にアンケートを実施し、1,955件の有効回答を得ています。
①コロナ禍の葬儀の主流は「一般葬」から「家族葬」へ変化
対象期間内におこなった葬儀の種類は、家族葬が55.7%で最多という結果に。次いで一般葬が25.9%、直葬・火葬式が11.4%です。
コロナ前の2020年におこなわれた同アンケートでは、一般葬が48.9%で最多、次いで家族葬が40.9%でした。新型コロナウイルスの感染防止対策の影響を受け、葬儀形式の主流は一般葬から家族葬へと変化しています。
②葬儀費用の総額が過去最安
2020年の調査では184.3万円だった葬儀費用の平均価格が、2022年には110.7万円まで減少。実に73.6万円の下落であり、過去最安を記録しています。
これは、コロナ禍で会食ができなかったことが大きな要因です。また、密を避けるため規模の大きな一般葬が減り、身近な人で執りおこなう家族葬が増え、平均参列人数が過去最低を更新したことも影響しています。現在は、感染症が落ち着きつつある中で、会食が復活し、参列者数も増えているため、平均費用は増加傾向にあります。

おすすめの家族葬プラン

家族葬の費用相場をつかんだら、実際のプランの検討です。インターネットでも葬儀社各社が公開しているのでなるべく詳細まで確認することがおすすめです。家族葬を専門に取り扱う家族葬のファミーユでは、定額の「セットプラン」と個々の好みや希望を活かせる「オリジナルプラン」を用意しています。
<セットプラン>
火葬に必要なもののみのシンプルなプランから、華やかな花祭壇、故人を清められる古式湯灌などが付いたプランまで多種多様。価格帯も約15万円~165万円(税抜)までと幅広く、個々のニーズに合わせて選べます。
<オリジナルプラン>
葬儀の前後をしっかりとサポートし、故人ならではのオーダーメイド祭壇やゆかりのあるお食事、想い出の曲の生演奏など、故人と家族の理想のお別れを実現するプランです。故人の人柄を反映できるため、記憶に残る葬儀が叶います。
「どの葬儀プランが故人や家族の希望に合っているか」という判断は、葬儀のプロでなければ難しい場合もあります。まずは気軽に葬儀社へ相談して会場やプランを確かめてみてはいかがでしょうか。

家族葬の費用へのよくある質問

葬儀を予定していると「費用はいつ・誰が支払うのか」「葬儀費用がない」といった疑問・悩みが生じることも。ここでは、家族葬の費用に関する疑問の答えを紹介します。
Q
葬儀費用はいつ・誰が払うもの?
A
葬儀費用の支払いは、葬儀の主催者である喪主が担うことが多いです。しかし、必ずしも喪主が支払うという決まりはありません。経済的に支払いが難しい場合は、兄弟(相続人)で分担する方法もあります。葬儀費用について不安な場合は、家族・親族間で話し合ってみてはいかがでしょうか。
なお、葬儀社の多くは葬儀費用の支払い期限を「葬儀後1週間を目安」としています。
家族葬の費用は誰が支払うかをさらに詳しく
Q
葬儀費用が足りない場合はどうすれば良い?
A
十分な葬儀費用がない場合も、いくつかの策があります。
<葬儀プランの見直し>
葬儀をおこなう前であれば、再度葬儀社と打ち合わせをし、プランそのものを見直しましょう。何を差し引きすれば費用が見直せて親族や参列者からの不満が出にくいかなど、経験則を交えて提案してくれるはずです。
<葬祭扶助制度の利用>
遺族が生活保護を受けている場合は、葬祭扶助(そうさいふじょ)制度を利用できます。葬祭扶助とは自治体が葬儀費用を支給する制度で、経済的に困窮している人が対象です。この制度を使う場合、火葬のみがおこなわれます。
その他補助金の詳細はこちら

家族葬を検討する際は、費用も含めて葬儀社に相談を

家族葬は参列者が少ない分、一般葬より価格を抑えられる傾向にあります。また、故人との最期の時間をゆっくり過ごせるのも魅力です。どんな形式であっても、葬儀をおこなう際は費用と内容の両方に納得した状態で当日を迎えたいところです。
費用面だけでなく、プラン内容や流れなど、葬儀に関することはいろいろな葬儀社がWEBサイトなどで情報を発信しています。心残りなく最後の日を迎えられるように、できればじっくり検討してみてください。

この記事の監修者

瀬戸隆史 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユをはじめとするきずなホールディングスグループで、新入社員にお葬式のマナー、業界知識などをレクチャーする葬祭基礎研修などを担当。