身近な人が死亡してしまったら。必要な手続きや書類を紹介

ご家族の通夜・葬式準備
身近な人が死亡してしまったら。必要な手続きや書類を紹介
身近な人が亡くなると、葬儀の手配のほか遺族がすべき手続きは山積みです。結婚、離婚の手続きより何倍も大変だとよく言われます。これを落ち着いて済ませるためには、事前の準備と心がまえが大切。この記事では、死亡後の手続きリストと内容に加えて、効率的に進める方法や必要なもの、手続きの代行先もご紹介します。

死亡後の手続きリスト

近しい人が亡くなると、葬儀関連の他に年金や税金、公共料金など、さまざまな手続きが必要です。期限が定められている場合もあるため、抜け漏れがないよう順番に手続きを進めることが大切です。ここでは、死亡後の手続きリストを時系列と項目別で紹介します。故人の住まいや職業、財産、暮らしぶり等々により必要な手続きは異なりますので、代表例として参考にしてください。

時系列でみる死亡後の手続きリスト

  1. 死亡直後から7日以内
    • 死亡診断書または死体検案書の受け取り
    • 退院手続き、医療費の支払い
    • 死亡届の提出(火葬許可証と埋葬許可証の受け取り)
    •   
  2. 死亡後2週間以内   
    • 年金受給停止の手続き
    • 介護保険資格喪失届の提出
    • 世帯主の変更届の提出
    • 国民健康保険証の返却
    •   
  3. 死亡後3ヶ月~2年以内   
    • 相続放棄の手続き(3ヶ月以内)
    • 所得税の準確定申告と納税(4か月以内)
    • 相続税の申告と納税(10か月以内)
    • 生命保険の請求(3年以内)
    •   

項目別にみる死亡後の手続きリスト

  1. 名義変更や解約が必要
    • 相続財産に関する手続き
    • 公共料金や身分証明書などに関する手続き

  2. 補助金や給付金や高額医療費を受ける手続き
    • 葬儀・埋葬の補助金を受け取る手続き
    • 高額医療費の還付金申請手続き
    • 遺族年金を受け取るための手続き
    • 国民年金の死亡一時金や未支給年金を受け取る手続き
これだけ多くの手続きを進めるには下準備が重要です。そこで、手続き内容の詳細に入る前に、効率的に計画する方法を紹介します。

死亡後の手続きを効率的に進める方法

前述の通り、人が亡くなるとさまざまな手続きが必要です。中には、即日から2週間までと短い期限付きのものもあります。ここでは、スムーズに手続きを進める方法を解説します。

必要な手続きチェックリストを作る

まずは、死亡後に必要な手続きを書き出し、優先度順のチェックリストを作ると便利です。期限の早いものから優先度を高く設定します。一目で分かるように、手続きの項目や完了までの期間、書類を出す場所などをリストに入れるのがおすすめです。パソコンを使えるなら、エクセルを活用すると効率的です。
また、インターネットで「死亡後 チェックリスト」と検索して出てきた既製リストを印刷し、利用する方法もあります。ただし、必要項目に抜け漏れがないか、自分で点検することをおすすめします。
なお、ファミーユでは死亡後から葬儀、葬儀後に至るまで的確にサポートさせていただきます。葬儀後の手続きでお困りの時には、自分で確認できる便利なチェックリストもご用意しています。事前に一読してみてはいかがでしょうか。

弁護士や司法書士に依頼する

「縁が遠い親族が亡くなった」など、故人のことを深く知らないときは、家族からのサポートが難しい場合があります。また、仕事が忙しくて自ら手続きをおこなうのが困難な場合も。そんなときは、専門家にお願いするのも1つの方法です。「複雑な手続きのみ依頼する」「すべての手続きを依頼する」など、状況に合わせて依頼すると効率が上がります。

相続手続きの代行業者に依頼する

相続関連の手続きを専門にする代行業者を探す方法もあります。弁護士や司法書士の資格を所有するスタッフがいたり、司法関係の事務所と連携したりしている業者が多いため、一度にさまざまなサービスが検討できます。また、専門家と提携関係のある葬儀社に相談するのもおすすめです。

時系列でみる死亡後の手続き①~直後~

亡くなってすぐから2週間まで、と期限の短い手続きについて、必要な書類を中心に紹介します。ただし、自治体によっては手続きまでの流れや書類の名称が異なりますので、ご注意ください。

直後:「死亡診断書」または「死体検案書」の受け取り

身近な人が亡くなったら、死亡診断書もしくは死体検案書を医師からもらいます。病院で死亡した場合は、死亡診断書がその場で発行されます。自宅など病院以外で死亡したときは、検視後に死体検案書をもらいます。
自宅での死亡時は、状況により対応を変えます。死後間もない時には、かかりつけ医に連絡するか、救急車を呼びます。明らかに死後数日が経っていると思われる時には警察に一報を入れます。
死亡診断書(死体検案書)と死亡届は1枚の書類です。基本は、左に死亡届、右に死亡診断書となっています。死亡届は今後すべての手続きの起点となる書類のため、提出までなくさないようにします。

直後:退院手続き、医療費の支払い

病院で亡くなった場合は退院の手続きが必要です。遺体の搬送先が決まったら退院手続きをします。その後、医療費の支払いがあります。この時、配偶者であれば支払いの必要がありますが、そのほかの場合で相続放棄を検討している場合は、医療費を故人の財産から支払ってしまうと相続の意思があるとみなされるために注意が必要です。

7日以内:「死亡届」の提出(火葬許可証と埋葬許可証の受け取り)

死亡届は、親族以外に代理人が提出しても問題ありません。可能であれば最初の手続きから葬儀社に相談・依頼するのがおすすめです。

死亡届は提出前に故人の本籍などを記載しますが、その内容は正確でなければなりません。役場への提出も確認の時間がかかるため、少なくとも1~2時間は見ておく必要があります。

死亡届は今後の手続きに必要となることが多いので、提出前に必ずコピーを残しておきます。提出後に取り戻すことはほぼ不可能です。医師に死亡診断書から再発行してもらうことになります。
死亡届の提出の期限は、死亡を知った日から7日以内です。故人の本籍地や亡くなった場所、届け出をする申請者の住所のある場所のいずれかの市区町村に設置された戸籍・住民登録窓口で、手続きをおこないます。2021年9月1日から施行された戸籍法の一部改正により、死亡届への押印は任意になりました。ただし、修正の際は訂正印として印鑑が必要になる場合もあります。また、押印必須の旧式書類も現状は使用可能のため、念のため持参しておいても良さそうです。
・火葬許可証と埋葬許可証の受け取り
死亡届と埋火葬許可申請書は同時に提出したり、死亡届を出すと火葬許可証・埋葬許可証が発行されたり、と関連することが多いようです。ただし、市区町村によって許可証の名前や発行タイミング、必要書類は異なります。各自治体の方針に従ってください。
葬儀後、火葬をおこなうためには、「火葬許可証」が必要です。火葬の後、火葬許可証に火葬執行済みの印を押してもらいます。印が入った火葬許可証は、「埋葬許可証」として納骨の際に必要となる場合があるので、大切に取っておいてください。
死亡後一週間以内の手続きは、葬儀社や専門業者が代行できるものも多数あります。自分ですべきこと、人手を借りることを分けて考えるといいかもしれません。

時系列でみる死亡後の手続き②~短期~

続いては、死後2週間以内におこなう手続きを紹介します。市区町村や公的機関への届け出が中心になりますので、事前に受付時間や必要書類などを調べておくと間違いありません。

10~14日以内:年金受給の停止

故人が年金を受け取っていた場合は、市区町村役所の国民年金課や社会保険事務所で手続きします。提出期限と必要書類は下記の通りです。
・提出期限:厚生年金は死亡から10日以内。国民年金は14日以内
・必要書類:故人の死亡届、年金証書(もしくは除籍謄本)など

14日以内:「介護保険資格喪失届」の届出

故人が65歳以上、もしくは40歳以上65歳未満で、要介護認定を受けた介護保険対象者の場合、介護保険に関しても届け出が必要です。市区町村役所の福祉課などで手続きをします。申請期限と必要書類は下記の通りです。
・提出期限:亡くなってから14日以内
・必要書類:介護保険証など

14日以内:「世帯変更届(住民異動届)」の届出

死亡届を提出していれば住民票の変更手続きは不要です。しかし、亡くなった人が3人以上の家族を有する世帯主だった場合は世帯主変更届を提出します。基本、該当者には市区町村から連絡がいくようです。
・提出期限:亡くなってから14日以内
・必要書類:手続きをする人の本人証明書(免許証など顔写真が添付されたもの)

14日以内:「国民健康保険証」の返還

国民健康保険の加入者は、故人の住所の市区町村役場に届け出ます。また、自治体によっては死亡届を提出すると自動的に保険資格がなくなるところもあります。いずれにせよ、保険証は返還する必要があります。「補助金・給付金などの手続き」として後述しますが、国民健康保険の葬祭費の申請は2年以内です。

・提出期限:亡くなってから14日以内
・必要書類:国民健康保険の保険証、死亡を証明するもの(戸籍謄本または死亡届のコピーなど)、本人確認書類(運転免許証など)など

時系列でみる死亡後の手続き③~長期~

時系列ですべき手続きの最後は、比較的検討時間のあるものを紹介します。時間があるからと後回しにして期限切れにならないように注意しましょう。

3ヶ月以内:相続の放棄

相続人が財産の相続を放棄する場合、被相続人(故人)の住所地を管轄する家庭裁判所へ3ヶ月以内に手続きをします。

・提出期限:亡くなってから3ヶ月以内
・必要書類:相続放棄の申述書
相続を放棄しない場合は、遺言書の有無を確認し、必要な手続きをおこないます。相続の対象となる財産は不動産や株式、車など多岐にわたり、複雑な手続きが多いため、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

4ヶ月以内:所得税の準確定申告と納税

所得税に関して、申請や支払いの必要があれば、勤務先もしくは故人の住所地を管轄する税務署に納税・申告します。例えば、亡くなった人が自営業もしくは、年間2,000万円以上の給与をもらっていた場合、準確定申告をする必要があります。
・提出期限:亡くなってから4ヶ月以内
・必要書類:死亡した年の1月1日から亡くなった日までの所得申告書、医療控除証明書、生命保険料控除証明書など

10ヶ月以内:相続税の申告と納税

相続税に関して、申告や支払う必要がある場合、故人の死亡翌日から10カ月以内に管轄の税務署で手続きをします。対象の財産が基礎控除額を下回る場合は、必要ありません
・提出期限:亡くなってから10ヶ月以内
・必要書類:申告書、故人の戸籍謄本など

3年以内:生命保険の申請

亡くなった人が生命保険に入っていた場合、3年以内に加入していた保険会社へ申請します。

・提出期限:亡くなってから3年以内
・必要書類:死亡保険金の請求書、保険証券、最後に支払った保険料の領収書など

項目別にみる死亡後の手続き①~名義変更・解約など~

時期に決まりはありませんが、本人の死亡後に名義変更や解約が必要な手続きを一覧で紹介します。月額などで費用がかかるものが多いので、葬儀後1ヶ月以内を目安に早めの手続きをした方が良さそうです。下記もチェックリストに組み込むことをおすすめします

相続財産に関する手続き

• 不動産の名義変更:相続の確定後
• 預貯金の名義変更:相続の確定後
• 有価証券(株、証券)の名義変更:相続の確定後
• 自動車の所有権移転:相続から15日まで
• クレジットカードの解約:相続の確定後

公共料金や身分証明書などに関する手続き

• 電話の名義変更・解約:亡くなってから早めに
• 公共料金の名義変更・解約:相続の確定後
• 運転免許証の返納:亡くなってから早めに
• パスポートの失効手続き:亡くなってから早めに

項目別にみる死亡後の手続き②~補助金・給付金など~

ここからは、手続きをすると少しお得になるかもしれない補助金や、年金給付の手続きについて紹介します。いくつか抜粋したので、もしものときの参考にしてください。

葬儀・埋葬の補助金を受け取る手続き

埋葬料の請求(健康保険組合加入者) 期限 亡くなってから2年以内
条件 会社などの健康保険組合の加入者が亡くなった場合
支給額 葬儀・埋葬補助金5万円
葬祭費の請求(国民健康保険加入者) 期限 葬儀をおこなってから2年まで
条件 国民健康保険加入者が亡くなった場合
支給額 葬祭費1〜7万円(市区町村によって異なる)
役所に行った際は、補助金の申請と同時に健康保険証の返却も一緒におこなうと、スムーズに手続きできます。期限まで2年ありますが、忘れてしまう場合も考えられるので、可能であれば年金や介護保険の手続きとともに申請するのがおすすめです。
また、その他にも以下のような請求があります。必要に応じて、手続きをおこなってください。
  • 船員保険における家族葬祭費および葬祭費の請求
  • 労災保険における埋葬料の請求

高額医療費の還付金申請手続き

高額医療費の還付制度は、診療を受けた日の翌月から2年間有効です。故人が70歳以上の場合はほとんど必要ありませんが、それよりも若い人や、複数の医療機関にかかっていた人など、医療費がかさんだ月に心当たりのある場合は、限度額を超えていないか調べてみることをおすすめします。限度額や給付水準は加入している医療保険で異なります。

年金(1)遺族年金を受け取るための手続き

遺族年金は、文字通り遺族が受けとれる年金です。国民年金と厚生年金の2種類あります。

国民年金の「遺族基礎年金」は、子どものいる配偶者(妻、夫)、あるいは、子どものみが受け取れます。子どもは18歳以下、または、障害状態にある20歳未満で未婚であることが条件です。

厚生年金の「遺族厚生年金」は、受け取り手の条件が緩和され、子のいる妻や子以外にも、子のない妻、55歳以上の夫、55歳以上の父母、孫などが申請できます。
国民年金の遺族基礎年金 期限  亡くなってから5年以内
条件  亡くなった人が保険料を納付した期間が加入期間の2/3以上であること
死亡する2ヶ月前までの1年間、保険料の未払いが発生していないこと
厚生年金の遺族厚生年金 期限  亡くなってから5年以内
条件  免除期間を含んだ厚生年金保険料の納付済期間が、国民年金に加入していた期間の2/3以上で、以下の項目に当てはまること
・在職しているときに亡くなった場合
・退職などで厚生年金の資格を喪失したものの、加入中に病気の診断があり、初診から5年以内に亡くなった場合
・老齢厚生年金の資格期間に適う場合
・1級もしくは2級の紹介厚生年金の受給者の場合
上記の表は基本条件であり、年齢や障害の有無などによって緩和・変更されます。

年金(2)国民年金の死亡一時金や未支給年金を受け取る手続き

遺族年金以外には、国民年金の死亡一時金、未支給年金などが請求できます。
国民年金の死亡一時金請求 期限  亡くなってから2年以内
条件  3年以上保険料を納め、老齢基礎年金、障害基礎年金の両方を全く受け取っていないこと。1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母、6.兄弟姉妹であること(優先順位順)
支給額   保険料を納めた期間によって定額が支給される
未支給年金請求 期限  亡くなってから5年まで
条件  1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母、6.兄弟姉妹、7.その他3親等内にあたる親族であること(請求の優先順位は上記の順番の通り)
支給額   亡くなった時期によって額が変わる
年金受給者が死亡した際には、未支給年金の届出と同時かその前に、「受給権者死亡届」を提出する必要があります。

夫を亡くした妻のための「寡婦年金」というものもあります。ただし、国民年金の死亡一時金と寡婦年金は併用不可です。迷う時には、全国の年金事務所の窓口や専用ダイヤルへの電話で相談が安心です。

年金以外にも労災保険の遺族保障給付などの手続きがあります。取りこぼしがないように確認するだけでも、かなり骨の折れる作業になりそうです。

死亡後の手続きは効率的に進めよう

身近な人の死去は、誰にとってもつらいものです。死亡後におこなうべき手続きは、期限が定められたものもあり、自分ですべてを担うのは難しいかもしれません。また、法律は刻一刻と変化します。大変なときには1人で抱え込まず、家族と手分けしたり、専門家や代行業者に依頼したりするのがおすすめです。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。