【家族葬の流れ】危篤から通夜、葬儀・告別式、火葬後まで解説
ご家族の通夜・葬式準備
この記事はこんな方におすすめです
家族葬を検討している
家族葬の流れを確認し、葬儀後にやるべきことを知りたい
家族葬とは、家族や親しい人を中心としたお葬式のこと。近年は「故人らしさ」をカタチにできる家族葬を選択する人が増えています。本記事では、日本のお葬式で取り入れられることの多い仏式の家族葬の流れをベースに、危篤から葬儀・告別式、火葬後まで順を追って詳しく紹介します。
目次
基本的な家族葬の形
家族を中心に、親しい人で執りおこなう家族葬。規模は一般葬より小さくなる傾向にあり、招かれた人のみ参列するのが一般的です。ただし、基本的な流れは一般葬と大きく変わりません。まずは、家族葬の流れと一日葬、二日葬の違いについて紹介します。
一日葬と二日葬
家族葬は、一日葬と二日葬に大きく分けられます。2つの違いは、通夜をおこなうか否かということです。故人が亡くなった日を1日目と考えると、一日葬は1日目に葬儀の打ち合わせをして、2日目は準備、3日目に葬儀・告別式、火葬を済ませます。二日葬は1日目に打ち合わせ、2日目に通夜、3日目に葬儀・告別式、火葬をおこないます。
一日葬
二日葬
日程は同じですが、一日葬は、通夜をおこなわないため、ある程度時間にゆとりを持って過ごすことができます。近年は、家族に負担がかかりにくい葬儀の形として一日葬が広がりつつあります。しかし、菩提寺や親族によっては通夜なしを快く思わない場合もあります。夜にやる通夜ならいけたのに……、という参列者もいるかもしれません。あらかじめ菩提寺や親族と相談し、どちらにするか決めるのがおすすめです。
1日葬の流れやメリットについては▶一日葬とはどんな葬儀形式?
危篤から火葬までの流れ
大まかな家族葬の流れは、下記の通りです。
- 危篤
- 臨終
- 納棺
- 通夜
- 葬儀・告別式
- 出棺
- 火葬
なお、葬儀の内容については周りへの相談が必要になる場合もあるため、生前に決めておくと安心です。
【家族葬の流れ】家族葬の前
ここからは、家族葬の流れをタイミングごとに詳しく紹介します。まずは、危篤から納棺までの流れと家族がおこなうことを解説するので、いざというときに役立ててください。
危篤
医師に危篤を告知されたら、なるべく早く近親者へ連絡してください。一般的には3親等内の親族が連絡の対象になりますが、本人が最後に会いたいと願う人がいる場合は、その人にも連絡を入れます。
大切な人が危篤状態になると慌ててしまい、後のことを考えられない場合も少なくありません。そのため、万が一に備えてあらかじめ葬儀社を決めておくのがおすすめです。事前に葬儀社が決まっていれば、もしものときも冷静に対応できます。
臨終
臨終が訪れたら葬儀社を手配し、遺体を搬送します。その後、葬儀内容の打ち合わせをおこないます。主に、以下のような項目を打ち合わせるのが一般的です。
- 参列者をどこまで呼ぶか
- 一日葬と二日葬のどちらにするか
- 火葬場の予約
- 日時を決める
- 喪主は誰にするか
- 会場を決める
- 宗教者のスケジュールを押さえる
- 料理や返礼品などを決める
葬儀に「故人らしさ」を取り入れられるのは、親しい人のみでおこなえる家族葬ならではのメリットです。葬儀内容は、故人との思い出を振り返りながら決めると良いでしょう。
なお、臨終に立ち会えなかった親族へ訃報を伝えるのも忘れずに。そして、死亡届を提出し「死体火葬許可証」をもらいます。この手続きは、葬儀社が代行してくれます。
納棺
納棺の儀の流れとは?副葬品や参列者の服装も解説】
納棺とは棺に故人を納める儀式のことで、「納棺の儀」とも呼ばれます。お通夜や葬儀の流れやルールは知っていても、納棺の儀については分からない方も意外と多いかもしれません。本記事では、納棺の儀の流れやおこなわれる時間帯のほか、参列者が知っておくべき服装や副葬品について紹介します。
【家族葬の流れ】お通夜
二日葬を選択した場合、ご遺体を納棺した後に通夜をおこないます。通夜の儀式自体は1時間から1時間半程度ですが、納棺から事前準備、通夜振る舞いまで含めると6時間程度かかるケースがほとんど。通夜の流れは宗教によって異なりますが、ここでは仏式の通夜の流れを紹介します。
1.事前準備(約1時間)
家族は通夜が始まる30分~1時間前に会場に入り、供花や返礼品、会葬礼状などの最終確認をします。会場で納棺の儀をおこなう場合は2~3時間前に集まります。祭壇の設置など、当日の会場準備にかかる作業は葬儀社のスタッフが担います。
2.受付(約15~30分)
通夜の開始時刻の15~30分ほど前から受付を始めます。事前に受付係や現金を管理する会計係を選任してください。香典を辞退する意向がある場合は、受付に知らせておきます。僧侶が到着したら、喪主が出迎えて挨拶をするのがマナーです。なお、家族葬の場合は受付を設けないこともよくあります。
3.僧侶入場、開式(約10分)
通夜が始まる10分前には、親族も会場の席に座ります。故人の配偶者を筆頭に、血縁の濃い人から前に座ってください。焼香をおこなう順番も席順と同様です。
僧侶が会場に入ったら、通夜が始まります。開式は葬儀社のスタッフが担当し、進行をおこなうのが一般的です。
4.読経、焼香(約30分)
僧侶がお経を読み始めてからしばらくすると、進行役の合図をきっかけに焼香が開始されます。最初に喪主、続いて遺族、親族と続くのが基本。参列者の少ない家族葬では、慌てて焼香をする必要はありません。読経と焼香を合わせて30分ほどで終わります。
5.僧侶の法話、僧侶退場(約10~15分)
お経の読み上げを終えた後、僧侶が法話を披露することも。法話にかかる時間は10〜15分ほどで、話が終わったら僧侶は退場します。
6.喪主挨拶、閉会(約10分)
僧侶が会場から去った後、参列者に向かって喪主が挨拶します。葬儀に参加してくれたことへの感謝や、故人が生きていたときの恩義に対するお礼、翌日におこなう葬儀・告別式の案内、通夜振る舞いの案内など、手短に伝えるようにしてください。挨拶を終えたら、閉会です。
喪主の挨拶はこちらから▶ 【喪主の挨拶文例集】葬儀・告別式のシーンごとに例示
7.通夜振る舞い(約1~2時間)
参列者や僧侶に謝意を伝えるため、通夜振る舞いをおこないます。お酒や食事で参列者をもてなし、故人との思い出を振り返る場ですが、身内のみの家族葬では立食のみならず、座っての会食になることも珍しくありません。
約1〜2時間ほどで喪主が締めの挨拶をし、終了します。僧侶が通夜振る舞いを辞退する場合は、お布施だけでなくお膳料も手渡してください。
【家族葬の流れ】葬儀・告別式・出棺
通夜の後は、葬儀・告別式です。葬儀が始まってから出棺までの時間は、1時間半から2時間ほど。ここからは、葬儀・告別式の流れについて解説します。
1.受付(約15~30分)
喪主・遺族は遅くとも1時間前に会場へ到着し、通夜から追加があった場合は供物や供花の名前と順番をチェックします。また、火葬場への移動や精進落としの人数も葬儀社に確認してください。葬儀が始まる15~30分前に受付がスタートし、僧侶が会場に着いたら喪主が出迎えて挨拶します。
なお親族のみの家族葬の場合は、受付にあまり時間や手間がかからない場合や省略することもあります。
2.開式(約10分)
受付後、親族や参列者は会場に入って席に座ります。僧侶が会場に入ったら開式です。
3.読経、引導、焼香(約30分)
約30分ほど、僧侶がお経を読み上げます。このときに故人へ戒名が授けられ、引導がおこなわれますが、宗派によっては引導をおこなわないことも。
焼香の順序については、通夜に倣います。喪主や親族の焼香までが葬儀式で、それ以後は告別式に入るのが基本の流れです。お経を読み終えた後、僧侶は退場します
葬儀における引導の儀とは
葬儀における引導では、導師が法語などを唱えて亡くなった人をあの世へ導きます。この記事は引導の概要について紹介します。
4.弔辞、弔電奉読(約10分〜)
ここからは、告別式です。司会者が弔電を読んだり、参列者が弔辞を述べたりする時間です。すべての弔電ではなく、いくつか選んで読み上げて残りは名前のみ読みます。誰の弔電を読むのか、遺族と葬儀社であらかじめ決めておいてください。家族葬では省かれることが多く、焼香前に弔辞・弔電の時間を取るケースもあります。
5.喪主挨拶、閉式(約10分)
閉式前におこなう喪主の挨拶は、通夜と比べて長い尺を取る場合が多いです。次に司会者が閉会の辞を表し、式が終了します。一般葬では、遺族など故人と縁が深い人以外の参列者は会場から出て出棺を待ちますが、家族葬ではすべての参列者が会場に留まるのが基本です。
6.お別れの儀(約10分)
遺族や親族、親しくしていた友人などが故人の納まった棺を囲み、ご遺体を別れ花で飾ります。火葬前の最後のお別れなので、花だけでなく思い出の品や手紙なども入れて、故人への思いを込める場合も多いです。
7.出棺(約10分)
棺を閉じ、搬出が始まります。先頭は僧侶、その後に位牌を持った喪主、遺影を持った家族と続いてください。棺を霊柩車(れいきゅうしゃ)へ運び入れ、火葬場へ移動します。
【家族葬の流れ】火葬
家族葬の最後は、火葬です。火葬ではご遺体を焼いてお骨を葬るので、最後の別れの場と言えます。ここでは火葬の流れを紹介します。
1.読経、焼香(約10〜20分)
火葬場に到着後、炉の前に持参した位牌と遺影を飾り、納めの式を始めます。僧侶がお経を読み、喪主から故人と近しい人の順に焼香をします。
2.火葬(約1~2時間)
次に、棺は火葬炉へ運ばれます。故人の体格、年齢、設備の状況にもよりますが、火葬にかかる時間は1~2時間ほどが平均。遺族や親族は、火葬場に設けられた待合所で待機します。地域によっては待っている時間を使って精進落としをすることもあり、過ごし方はさまざまです。
3.拾骨(約45分〜1時間半)
火葬後に骨を拾うことは拾骨、遺骨を骨壺に納めることは収骨と書きます。どちらも呼び方はしゅうこつのため同じ意味で使われたり、骨上げと言われたりもします。最初に歯を拾い、その後は足から頭と順を追って骨を拾うのが昔からの風習です。最後に、故人と最も近い関係にあった人が喉仏を拾います。
4.初七日法要(約30分)
初七日法要は、故人が逝去してから7日目にするものですが、近年は、火葬の前後におこなうケースが増えています。
仏教には、人があの世へ旅立ってから7日ごとに供養する習わしがあります。故人が亡くなった後、初めて迎える7日目の「初七日」は、三途の川に故人が着く日だと考えられており、とても大切な日とされています。初七日法要は、故人が問題なく川を渡り、次の審判へ向かえるように助けるという意味合いを持ちます。
初七日を葬儀・告別式の当日にする「繰り上げ初七日法要」は、首都圏からはじまって全国的になってきました。タイムスケジュールの詳細などは、以下の記事で説明しています。
初七日法要はいつする?
初七日の意味や法要をおこなうタイミング、香典返しやお供え物、お布施などについてご紹介します。
5.精進落とし(約1時間)
最後に、精進落としと呼ばれる会食をおこないます。僧侶や参列者に感謝の気持ちを表すものです。前述の通り、火葬を待つタイミングでおこなわれることもあります。
なお、前火葬や骨葬といって葬儀前に火葬をおこなう地域もあります。
家族葬後にやるべきこと
火葬が終わった後も家族がやるべきことはたくさんあるので、全体を把握しておくことが重要です。最後に、家族葬後にやるべきことについて解説します。
事務手続き
人が亡くなったらおこなわなければならない事務手続きは、意外とたくさんあります。14日以内など〆切が短いものは役所関係が多く、忌引き休暇中に家族で協力して済ますのが現実的です。契約の名義変更や税金関係など、お金に関するものも多いため、リストを作りスムーズに進めることが大切。事務手続きの項目や方法については、下記リンクを参考にしてください。
訃報連絡・弔問対応
家族葬をおこなった場合、参列者以外の人には事後に訃報の連絡を入れます。葬儀を終えてから1〜2週間、遅くとも四十九日までには連絡するのがマナー。ハガキで連絡することが多いですが、メールや電話を使う場合もあります。
訃報を知らせた後、弔問のために自宅に訪れる人もいるため、しばらくは玄関や仏間の掃除を行ったり、返礼品を準備したりして弔問客への対応を整えておくと安心です。
死亡後の手続きリスト
近しい人が亡くなると、葬儀関連の他に年金や税金、公共料金など、さまざまな手続きが必要です。期限が定められている場合もあるため、抜け漏れがないよう順番に手続きを進めることが大切です。ここでは、死亡後の手続きリストを時系列と項目別で紹介します。故人の住まいや職業、財産、暮らしぶり等々により必要な手続きは異なりますので、代表例として参考にしてください。
法事法要の準備
葬儀を終えた後は、故人が仏の世界で良い報いを得られるよう法要をおこないます。初七日まで終えていれば、次は四十九日の法要をおこなうのが通例です。僧侶にお経を読んでもらい、参列者が焼香した後に墓参りへ行きます。
法要後は僧侶と参列者を会食へ招き、感謝の気持ちを込めてもてなします。四十九日の法要と納骨(納骨式)は合わせておこなわれることも多いです。
法要前には「参加者の人数を確認し、会食会場を手配」「お墓や仏壇を綺麗にする」「位牌の手配」など、おこなうべきことがいくつかあるため早めの備えをおすすめします。
また、四十九日の後にお盆を迎える場合、初盆の準備も必要です。初盆の準備の進め方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
初盆の準備はどのように進める?
初盆を迎える準備は早めに取りかかると安心です。ここでは、準備の仕方を紹介します。
埋葬
遺品整理・形見分け
葬儀を終え、四十九日を目安におこなわれる場合が多い遺品整理と形見分け。遺品整理は故人の遺品の中で処分するものと残すものを分類することで、形見分けは処分せずに残った遺品を形見として、親族や故人と近しい関係のある人に贈ることを指します。
故人が遺した品々を通して思い出を振り返り、供養してもらうのが目的です。四十九日の法要後におこなうのが困難なときは、ゴールデンウィークやお盆など親族が集まれるタイミングでおこなっても問題はありません。
遺品整理については▶遺品整理にはいくらかかる?整理の方法と業者の選び方
形見分けについては▶形見分けはいつまでに?形見の意味や注意ポイントも
故人とゆっくり向き合える家族葬で最期のお別れを
「故人らしさ」を葬儀で表現できるのが、家族葬の利点です。ルールも厳格ではないので、家族葬を難しく考える必要はありません。ただし、葬儀前に火葬をおこなう地域や夜伽見舞いと呼ばれる通夜見舞いの風習があるなど、地域独自の慣例があったり、宗教形式によって葬儀の流れが変わったりすることもあるため、何か困ったときには葬儀社のスタッフに相談するのがおすすめです。
この記事の監修者
政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。