お骨について詳しく解説。故人や遺族の想いにそった供養の方法も紹介

ご家族の通夜・葬式準備
お骨について詳しく解説。故人や遺族の想いにそった供養の方法も紹介
人が亡くなって最後に残るのはお骨(おこつ)です。日本では実に99%以上のご遺体が火葬されるためです。お骨は、故人や遺族の想いにそった形で供養されます。本記事は、お骨の基礎知識に始まり、収骨・分骨の詳細、供養方法までを解説します。

お骨について

お通夜やお葬式、火葬を経て最後に残る「お骨」は、大切な人の存在を感じられるものです。まずは、お骨の別称や火葬後にお骨に色がつく理由をお伝えします。

お骨とは

「お骨(おこつ)」とは故人の骨のことです。お骨の他には「遺骨(いこつ)」または「御遺骨(ごいこつ)」と呼ばれます。火葬されて残ったお骨は、遺族らの手により骨壺へと納められます。

火葬後のお骨に色がつくことも

生きているときの骨は白色ですが、火葬後のお骨は赤やピンク、黒や緑といった色が部分的についている場合があります。色がつく理由はいくつか考えられています。

まず1つ目は、人工透析が必要な病気や、癌などを患っていた場合に色がつくのではないか、というものです。また、薬を服用していた人のお骨も色がつくことが多いそうです。2つ目は、火葬をする際に棺桶に入れる副葬品の色がついたのではないか、というもの。3つ目は、副葬品同士の化学反応が原因というものです。

どれも特定するのが難しいものです。ただし、燃えにくい化学繊維が使用された布団や洋服を副葬品に選ぶと、お骨に色がつく可能性が高いと言われています。副葬品を選ぶ際には注意が必要です。

収骨について

火葬後は、「収骨(しゅうこつ)」と呼ばれる、お骨を骨壺に納める儀式をします。こちらでは収骨の概要や手順、収骨するときに分骨する場合の注意点を解説します。

収骨とは

収骨はお骨を骨壺に納める儀式です。お骨拾い(おこつひろい)や骨上げ(こつあげ)と呼んだり、拾骨(しゅうこつ)と書くこともあります。収骨には、「無事に三途の川を渡れるように、橋渡しをして手助けする」という意味が込められています。収骨をするのは主に遺族や親族です。故人と親交の深かった人から収骨をしていき、最後に喉仏(のどぼとけ)を骨壺に納めます。

喉仏は、その形が座禅をしている仏様に見えることに由来し、収骨の時も大事にされています。一般常識では、男性の顎下にあって出っ張って見える部分を喉仏と言います。しかし、実際は首の骨(背骨の一部)である第二頸椎を指します。ですから、女性にも喉仏はあり、収骨します。

ちなみに、私たちが普段から喉仏と呼んでいる部分は軟骨です。火葬中に焼失してしまいます。

収骨の手順

火葬後は係員の指示に従って収骨室へ向かいます。収骨室に着いたら喪主は骨壺を持ってお骨の頭側に立ち、骨上げ台を全員で囲みます。収骨は二人一組で、骨上げ箸と呼ばれる長い箸を使います。

お骨を骨壺に納めるのは足が最初です。生きているときと同じように、骨壺の中で足が下に、頭が上になるよう順番に納めていきます。ただし、火葬場によっては最初に拾う部分が足ではなかったり、拾い上げたお骨を他の人へ箸から箸へと受け渡したりするため、収骨は係員の指示に従っておこなうことが大切です。

地域で骨壺の大きさが違う

地域によって骨壺に入れるお骨の量に違いがあります。すべての骨を納めることを全収骨と言いますが、全都道府県でおこなわれる訳ではありません。そのため、骨壺の大きさは地域によってさまざまです。

全収骨が多い東日本では、7寸サイズ(直径21センチほど)の骨壺が使用されます。喉仏など大切な部分だけを納める部分収骨が多い西日本では、6寸サイズ(直径18センチほど)が主流です。

近畿など中間に位置する場所では5寸サイズの骨壺を選ぶこともあります。骨壺のサイズはお墓のスペースにもよります。どのサイズにすべきか分からない場合は事前にお寺などに確認しましょう。

分骨について

大切な人のお骨の一部を自宅などに置いておきたいと考える人もいるのではないでしょうか。その場合は分骨の手続きが必要です。

分骨とは

分骨とは2ヵ所以上にお骨を分けて供養することを指します。自宅と納骨先が離れていたり、故人をいつも身近に感じていたい、と思ったりしたときに分骨が選ばれています。

お骨をお墓などの遠地ではなく、自分の身の回りに置いておくことを手元供養といいます。手元供養には、前述の喉仏を選ぶ人が多いようです。

手元供養を選ぶ人が増えるにつれて、分骨も増加傾向にあります。分骨に対しては、否定的な意見を持つ人もいます。分骨をしたいと思ったら、事前に親族と話し合っておき、理解を得ることが大切です。

分骨には分骨証明書が必要

分骨は火葬をして収骨するときに多くおこなわれます。火葬場で分骨をする場合は、分骨証明書を発行してもらいます。また、お骨を分ける数だけの骨壷を準備します。このとき、分骨証明書は分ける骨壺の数と同じ枚数だけ必要になります。

分骨証明書の発行手続きは、火葬の前からできるところと、当日しかできないところがあります。自分で発行の依頼をする場合は、火葬場に事前に確認しておくとスムーズに進められます。葬儀社に代行してもらうことも可能です。

納骨後の分骨、分骨後の納骨

一度お墓などに納骨した後に、やっぱり分骨をして手元に置きたいと思うこともあるでしょう。そんな時には、お寺や霊園など納骨先の管理者に分骨証明書を発行してもらい、分骨をします。分骨証明書を持っていないと、再びお墓に納めようとした時に、管理者から納骨を断られるケースがあります。

お骨を供養する方法

お骨の供養として、さまざまな埋葬方法があります。かつてはお墓に納める、納骨のほぼ一択でした。現在は、時代の変化とともにお骨の供養方法も多様化しています。

墓地や霊園に納骨する

お骨を収骨容器に収めて埋葬することを納骨と言います。納骨先はお墓だけでなく、納骨堂や永代供養塔といった選択肢もあります。

納骨堂とは建物内に設けられた納骨スペースのことで、ロッカー式やマンションのような機械式といったタイプがあります。

永代供養塔は寺院や霊園で管理されている大きいお墓のことです。他のお骨と一緒に納骨する、合祀(ごうし)というスタイルをとるところがほとんどです。

お墓の後継者がいない場合、寺院や霊園で遺族の代わりに管理をしてくれる「永代供養」のお墓を選ぶのも一つの手です。以下の記事では、永代供養のメリットなどを解説しています。

手元供養(自宅供養)する

お墓に納骨せずに自宅でお骨を保管して供養することを「手元供養」または「自宅供養」と呼びます。骨壺やアクセサリー、遺骨プレート、ミニ仏壇など、お骨を収める方法の選択肢が多いのが特徴。手元供養する際は、保管場所や紛失に注意が必要です。

大切な人を身近に感じたい、いつでも想いを伝えたい、と考える人から選ばれています。こちらの記事では、手元供養の方法や遺骨アクセサリーを始めとした手元供養品を紹介しています。

散骨して供養する

お骨を細かくして海や川、大地に撒いて供養する散骨は、永代供養の一種です。収骨容器に納めて埋葬する納骨に対し、散骨は収骨容器に収めないで埋葬するのが一般的。完全にお別れになるのが寂しい場合は、一部を残して自宅で供養する方法もあります。

散骨はお墓を管理する必要がないため、遺族にかかる負担が少ないと注目を浴びていますが、お骨を2ミリ以下まで細かくしたり、散骨する場所を選んだりする必要があります。

自然の中で眠りたいと、樹木葬を選ぶ人も増加中です。基本は自分の墓石や墓標のない永代供養です。最近の樹木葬は、自分の墓標を設置できるお墓タイプのものもあり、いろいろな種類が生まれてきています。

自宅で供養するときは、お骨の行き先を決めておくことも必要

「大切な家族であった故人といつまでも一緒にいられるように」と、お骨を手元供養にする人が増えています。ただし、月日が流れ、供養していた本人が亡くなると、残された家族がお骨の管理に困ることでしょう。先々のことを考えて、お骨の行き先も決めておくことが重要です。