ペット葬とは?火葬やお葬式などの選択肢、流れと費用を解説

お葬式のマナー・基礎知識
ペット葬とは?火葬やお葬式などの選択肢、流れと費用を解説

この記事はこんな方におすすめです

初めてペット葬をおこなう
ペット葬の流れや費用を知りたい
ペットと暮らす家庭にとって、いつかは訪れるお別れのとき。ペット葬は、供養だけではなく飼い主がペットの死を受け入れるための儀式とも言えます。そこで、この記事ではペット葬の概要やペット供養の選択肢、一般的なお葬式の流れ、火葬と供養の費用相場について紹介します。大切な家族の一員を心残りなく見送るための参考にしてください。

ペット葬とは、ペットの火葬やお葬式をおこなうこと

ペット葬は、ペットが息を引き取った際にお葬式や火葬、納骨をおこなうことです。近年は医療の進歩によってペットの寿命が延び、高齢ペット関連のサービスが増えたことや、現在の住環境では自宅の敷地に埋葬するスペースがない場合も多いことなどから、ペット葬を選択する人が増えています。
通夜がおこなわれることは少ないですが、お葬式、火葬、納骨など、人を見送るのと同様に思いを込めてペットを弔います。最後までペットを見送って供養するのと同時に、大切な家族の死を受け入れる飼い主のための儀式とも言えるでしょう。

ペット葬にはさまざまな選択肢がある

ここでは、ペット葬の選択肢を紹介します。人と同様にペット葬にもいくつかの選択肢があるため、ペットが平均寿命に達するなどしたら家族で話し合っておくことをおすすめします。

火葬と土葬どちらにするか

ペットのサイズにもよりますが、火葬か土葬が一般的な選択肢として挙げられます。自宅を始めとした私有地であれば土葬しても法律上の問題はありませんが、ペットを納めるだけの穴を掘る苦労や土に還るまでの時間、近所への配慮を考えると火葬を選択する場合が多いです。ほかに所有者がいる土地や公園、川などへの埋葬は法律で禁じられています。

ペットの火葬の種類

犬や猫などのペットの火葬には、3種類の方法があります。それぞれの違いを確認して、ペットにふさわしい方法を選んでください。

<合同葬>

  • ペットの遺体を複数同時に火葬する
  • 費用が安い
  • 各ペットの遺骨がどれなのか分からず、遺骨の持ち帰りができない
  • 火葬後は共同墓地に埋葬するのが通常

<個別葬>

  • 1体ずつペットの遺体を火葬する
  • 合同葬と比べて費用が高額
  • ゆっくりとお別れができて、遺骨の持ち帰りが可能

<立会葬>

  • 火葬場まで立ち会え、個別葬と同様に1体ずつ火葬する
  • 合同・個別葬と比べて、費用が最も高額
  • 遺骨を骨壺に納められ、手厚い供養が可能

お葬式をするかしないか

現在は、ペットも家族の一員として人と同様にお葬式をおこなうケースが増えています。多くのペット葬では無宗派で供養されますが、なかには飼い主の宗派に倣うことも。なお、基本的にペット葬でお布施を渡す必要はありません。
■お葬式をする場合
民営のペット専用霊園や葬儀社などに依頼します。霊園では焼却炉が併設されていることが多く、お葬式以外に火葬・納骨もおこなえるのが特徴です。葬儀社ではお葬式から火葬まで人と同じような流れで実施し、ペット用の納骨堂や墓地は提携先を紹介してくれます。
■お葬式をしない場合
お葬式をせず火葬のみを選んだ場合は、民営の訪問火葬や公営の火葬場を利用します。訪問火葬では、ペット用の移動火葬車が自宅付近まで来て火葬をおこなうのが基本です。公営の火葬場は焼却を目的とした施設であり、通常の焼却炉で廃棄物とともに処理をおこなうため返骨はされません。民営の火葬場であれば、最後のお別れの時間を取ったり、遺骨の持ち帰りができたりする場合がほとんどです。

供養(納骨)の方法をどうするか

供養には複数の方法があります。どのような方法が理想か、家族で話し合いながら決めると良いのではないでしょうか。
■共同供養
ペット専用の共同供養塔や共同墓地などへ遺骨を納める方法です。寺に火葬をお願いしたときは、無料で納骨をおこなえる場合もあります。
■個別供養
ペット専用の霊園や墓地などに遺骨を納める方法です。施設によって異なりますが、1体だけではなく複数の納骨に対応していることもあります。また、近年は人の墓地にペットも一緒に入れることが増え、選択肢の幅が広がっているのも注目しておきたいポイント。屋内の霊座※や霊堂にペットのためのスペースを購入すれば、遺骨以外にお供え物も置けるのに加え、屋外と比べて価格を抑えられます。
※ペットの骨を安置する場所
■自宅供養
火葬後、自宅にペット用の小さな仏壇を設置し、骨壺を置く方法です。しばらくの間自宅で供養した後に、霊園へ納骨する場合や自宅の庭に埋める場合、人と同様に墓を購入する場合など、さまざまな形での供養が選ばれます。
■手元供養
ペットの遺灰や遺骨を用いて、アクセサリーなどのアイテムを作る方法もあります。なかでも、近年選ぶ人が増えているのが遺骨ダイヤモンドです。小型犬や猫など体が小さなペットでも作れるため、こちらの記事を参考にしてみてください。

愛するペットが亡くなってから埋葬までの流れ

ペット葬の大まかな流れは、人のお葬式と大きな差はありません。いざというときに慌てず丁寧に見送れるよう、ペット葬の流れを確認しておくのがおすすめです。ここでは、火葬を伴ったペット葬の一般的な流れを紹介します。

①ペットを安置する

ペットが自宅で息を引き取った場合、気が動転して何をすれば良いか分からなくなるのは仕方がありません。しかし、亡くなった後は時間を置くことなく死後硬直が始まります。ペットをきれいに見送るために、まずは心を落ち着かせて安置の手順を確認することが大切です。

安置に必要なもの

  • 棺(ペットの体型に合う空き箱などを用意)
  • タオル
  • トイレ用シーツや新聞紙
  • ドライアイスや保冷剤
■安置方法
棺にトイレ用シーツや新聞紙を敷き、ペットが愛用していたクッションなどやわらかなものを置いてから遺体を安置します。息を引き取った後はすぐに体の硬直が始まるため、なるべく早く手足を伸ばして横にし、眠っているような姿勢に整えることを意識してください。
夏場や暖かい場所では、腐敗が進むのを防ぐために頭、お腹、手足の付け根などに保冷剤やドライアイスを入れて冷やします。10℃以下の場所であれば、2日ほど安置が可能です。

②葬儀社へ連絡する

ペット葬を受けつけている葬儀社などへ連絡をします。希望に添ったペット葬ができるように、事前にめぼしい葬儀社を選んでおくのが理想です。どこに頼むべきか判断できないときは、かかりつけの動物病院に相談するか、インターネットで近隣の業者を検索すると良いかもしれません。
葬儀社とは、火葬の方法や埋葬の方法、日時などの必要な事項を相談します。また、犬は登録した自治体に死亡届を提出する必要もあるため、亡くなってから30日以内に手続きをしてください。なお、令和4年6月1日から開始した「犬と猫のマイクロチップ情報登録」制度では、ペットが死亡した際のマイクロチップの登録内容変更届も必須とされています。

➂お葬式や火葬をする

火葬場や移動火葬車にて、火葬をおこないます。葬儀社なら、ペット専用の火葬場があることも。「火葬のみおこなう」「火葬場へ送迎してもらう」「飼い主がペットと一緒に火葬場へ行く」など、内容はプランによって異なります。また、火葬前に僧侶による読経やお別れの会をおこなうケースや立ち会いのもと末期の水や清拭をおこなうケースなど、見送り方によるプランは葬儀会社により様々なので、対応地域も合わせて確認しておくことが大切です。
移動火葬車は、自宅付近など事前に依頼した場所まで来た後に火葬へ移ります。火葬車内で線香をあげるなど、簡易的なお葬式をおこなえる場合もあるため、できることを確認しておくのがおすすめです。
なお、公営の火葬場や自治体の清掃事務所に火葬のみを依頼することもできるので、気になる場合は問い合わせてみてください。ただし先述の通り、合同火葬では拾骨や返骨には対応していません。

④埋葬する

個別火葬では、飼い主が遺骨を拾ったり、業者に拾ってもらったりします。その後、自宅で保管するための返骨、火葬場などの納骨堂でほかのペットとともに供養してもらう合同供養、ペット専用の墓地や納骨堂に納める納骨などのなかから、飼い主が希望する方法を選びます。埋葬方法が定まらないときは、四十九日まで遺骨を預かってもらえる場合もあるため、相談してみてはいかがでしょうか。

ペット葬の相場

ペット葬に関する費用は、お葬式よりも火葬に関する費用がベースになります。そこで、ここでは火葬や供養の費用について解説します。

火葬にかかる費用の相場

合同・個別・立会葬の一般的な相場は以下の通りです。ただし、業者やプランによって価格は変わるため、あくまでも参考程度に留めてください。
ハムスター・小鳥などの小動物(体重1キロ以下) 合同葬 8,000円〜
個別葬 1万円5,000円〜
立会葬 2万円〜
猫・超小型犬・ウサギなど(体重5キロ以下) 合同葬 1万5,000円〜
個別葬 2万円〜
立会葬 3万5,000円〜〜
小型犬・中型犬(5キロ以上25キロ以下) 合同葬 2万円~
個別葬 2万5,000円〜
立会葬 4万円〜
大型犬(25キロ以上) 合同葬 4万円~
個別葬 4万5,000円〜
立会葬 5万5,000円〜

供養にかかる費用の相場

共同供養 1~3万円 ほかのペットとともに共同供養塔へ納骨する
個別供養 1万円〜
(維持費:年間1万円〜)
納骨場所が屋外か屋内かで費用が変わり、屋内の方が安い
供養の費用に加えて年間の維持費が発生する
自宅供養 数千円〜 骨壺や骨袋を準備し、手元供養にする

悔いのないペット葬で、送り出してあげよう

ペットの寿命は人間よりも短いため、お別れの日は必ず訪れます。そのときが訪れた際に、悲しみのあまり火葬や納骨について考える余裕がなくなるのは当たり前のこと。しかし、大切な家族であるペットが心安らかに旅立てるよう、しっかりと準備を整えることも大切です。悔いなく見送りができれば、悲しみから立ち直るきっかけにもなるのではないでしょうか。