菩提寺とは?葬儀や法要の依頼の仕方や変更まで

お葬式のマナー・基礎知識
菩提寺とは?葬儀や法要の依頼の仕方や変更まで
葬儀をおこなう際に「菩提寺(ぼだいじ)」という聞き慣れない言葉に引っかかってしまう人が多いようです。とくに両親や兄弟など身内の葬儀をおこなう際、菩提寺は知っておかなくてはいけない言葉のひとつ。もしもの際に困らないように、ここでは菩提寺について詳しく解説しています。

菩提寺とは?

菩提寺とは固有のお寺の名前ではなく、先祖代々の供養をするためのお寺を指します。
一般的には誰でも自分の親族の菩提寺を持っているので、葬儀や法要の際には菩提寺にお願いすることとなります。

菩提寺の確認方法

自分の菩提寺を確認するための一番の方法は、親族に尋ねること。
親族で同じ菩薩寺が一般的なため、祖父や祖母などの葬儀を経験している両親などに聞けば、自分の菩提寺がわかるでしょう。
もし、すでに両親が亡くなっている場合、叔父、叔母などの親戚にたずねるか、思い当たるお寺に直接聞いてみましょう。
また、戒名でもある程度の宗派を予想できるため、そこから菩提寺が見つけられるかもしれません。

菩提寺と檀那寺の違い

菩提寺とよく似た意味で、「檀那寺(だんなでら)」という言葉があります。
両者とも「先祖代々の供養をお願いしているお寺」かつ「お墓のあるなしは関係ない」ので混同しがちですが、厳密には違いがあります。

檀那寺とは、自身がお布施をしてそのお寺を支えている「檀家」であることが前提です。
一方で菩提寺は、檀家であるなしに関わらず、先祖の位牌が置けて法要をお願いできるお寺のことを指します。
檀家制度が崩れてきている今、菩提寺も檀那寺も同じ意味でつかわれることがほとんどです。

菩提寺の仕組み

菩提寺は御先祖様と関わりの深いお寺のため、その家族にとって他のお寺とは一線を画す存在です。
死後の冥福を祈ってお経をあげてもらったり、仏事の相談にのってもらったりできる場所でもあります。

菩提寺に葬儀を依頼する方法

いざ葬儀が必要となった場合は、医師による死亡が確認されたタイミングで菩提寺に連絡をし、枕経(臨終に際しておこなう仏教の儀式)をお願いします。
枕経の際に、葬儀の日時や場所、僧侶の人数、戒名などについて相談する流れが一般的です。
もし枕経をおこなわないのであれば、死亡の連絡をした際に相談するようにしましょう。
日時と場所は当然として、葬儀に来てもらう僧侶の人数によってお布施の額が変わるため、事前の把握が大切です。

また、戒名は故人の職業や趣味を元にして決めるため、ある程度の希望を反映させることができます。希望がある場合は事前に伝えておきましょう。

ひとりで菩提寺に連絡するのが不安なときには、葬儀社の担当者のいるところで連絡するのもひとつの手段です。

菩提寺以外のお寺に葬儀を依頼することは可能?

通常であれば葬儀の依頼は自分の菩提寺にお願いすることになりますが、菩提寺が遠方にあるなどの理由ですぐに葬儀に来てもらえないケースも考えられます。
ただし、その際にも菩提寺に死亡の連絡は入れておく必要があります。
そうすることで、すぐに葬儀には来てもらえないにしても、近くのお寺を紹介してもらうことができるかもしれません。
菩提寺への連絡を忘れてしまうと、お墓に納骨できなかったり、戒名を後々変更しなければならなかったりと、トラブルへの発展も考えられます。注意が必要です。

菩提寺の変更について

先祖代々の関係が深いお寺といっても、さまざまな理由で菩提寺を変更したい人もいることでしょう。
実際に菩提寺の変更は可能でしょうか。可能であるとすれば、どのような手続きが必要なのでしょうか。

菩提寺の変更はできる

結論から言うと、菩提寺の変更は可能です。

菩提寺を変更する際に多い理由は、先祖代々のお墓が遠方にあって不便だから、現住所の近くに移したいというものです。中には改宗によって菩提寺の変更をおこなう人もいます。
菩提寺の変更は可能ですが、お墓の移動には役所への手続きが発生したり、それ相応の費用がかかったりするため、慎重に考えましょう。

一方で、お墓の管理自体にも継続的な費用がかかります。
遠方でなかなかお参りにもいけない場所にお墓を残しておくよりも、今の生活圏に移されるのも悪いことではありません。

お墓の移転先を決める

お墓を他の場所に移して菩提寺を変更する場合、いくつかの注意点があります。

まずは当然お墓の移転先を決めなければなりません。
遠方へのお墓参りが難しい理由で菩提寺を変更する場合は、同じ宗派で近くにあるお寺やあまり管理の必要のないお墓を選ぶのがよいでしょう。
改宗によって菩提寺を変更するのであれば、改宗先のお寺を探す必要があります。
また、墓石をどうするのかも考えなければなりません。
今の墓石をそのまま移動させるのか、新しくお墓を建てるのかを決めましょう。
当然、そのまま利用するほうが経済的な負担は少ないですが、移転のための費用もかかります。
実際に石材屋さんなどに相談して、いろいろと比べてみるとよいでしょう。

移転前と移転先の菩提寺にお願いすること

菩提寺の変更を決定したら、今の菩提寺に「埋蔵証明」を出してもらい、変更先のお寺に「受け入れ証明」を発行してもらう必要があります。
今の菩提寺とは長い付き合いであればあるほど関係がギクシャクしてしまうかもしれません。きちんと理由を伝えて穏便に済ますように心がけましょう。

お墓のあった場所は原状回復が必要

お墓は移転して終わりではありません。
お墓を撤去し、次の利用者のために更地に戻す「現状復帰」をしなければなりません。
その際は墓石業者にお願いするのが一般的です。
費用は当然発生します。原状復帰のための相場は、1平方メートルあたりおよそ10万円が目安です。大まかな費用は、あらかじめ計算しておくようにしましょう。

自身の菩提寺を確認しておこう

ある程度の年齢になると、親や兄弟の葬儀に直面することでしょう。
いざという時のために、菩提寺について確認しておくと安心です。