訃報の意味を解説。その手段や内容・連絡するべき人とは?

お葬式のマナー・基礎知識
訃報の意味を解説。その手段や内容・連絡するべき人とは?
テレビやインターネットのニュースなどで目や耳にする「訃報(ふほう)」という言葉。自分が遺族となった場合、訃報を流す必要がでてきます。この記事では、訃報の意味に加え連絡をするべき人やその手段、訃報を伝えるときの内容や注意点などについて解説します。

訃報の意味や使い方

「訃報」とはどんな意味なのでしょうか。「とほう」「けいほう」などと読み間違えられやすく、悲報(ひほう)などの類義語とも混同されがちです。訃報は、どんな時に、どのように使われるのでしょうか。読み方や類義語との違いも含め、「訃報」の使い方を例文も交えて見ていきましょう。

「訃報」の意味

訃報とは、人が亡くなった際に届くお知らせのことです。昔は通夜や葬儀は自宅でおこなわれていましたが、現在では会場を借りるのが一般的。そのため訃報を知らせる段階では葬儀の詳細が未定のことも多く、決まり次第連絡という場合もあります。訃報は故人が亡くなったことを周囲に知らせ、葬儀等の案内をするという重要な役割があります。

「訃報」の使い方

・連絡文書の見出しとして使われる場合
そのまま冒頭に付け、主にニュースなどで使われます。
(例)「訃報」女優の○○さんが永眠されました。79歳でした。

・訃報を受け取る場合
訃報を受け取る場合は、「届く」「接する」と表現します。
(例)恩師の訃報が届き動揺している。
(例)旅先で旧友の訃報に接した。

・訃報を送る場合
訃報の連絡をする場合は「流す」と言います。
(例)祖母の訃報を流す。

「悲報」との違い

類似する言葉に「悲報(ひほう)」があります。悲報は悲しいお知らせ全般に使われるのに対し、「訃報」は人が亡くなった時にしか使われません。

訃報にある「儀」の意味は?

訃報や式場入口の看板に「故〇〇儀」と書かれているのを目にすることもあるでしょう。「儀」は「~に関する」という意味の身内に対するヘリくだった形の敬称。訃報や式場に設置する看板は遺族が用意するため「儀」が使われます。「儀」には特に読み方がなく、読み上げる際には省いてもかまいません。

訃報を伝える手段

昔は訃報を町内の回覧板で流していましたが、さまざまな連絡手段が増えた現在では、電話で伝えるのが主流です。そのほかにもメールやFAXで伝える場合も少なくありません。それぞれにメリットがありますが、確実に伝わる手段をとることが大切です。

電話で伝える

電話は素早く訃報を伝えることができ、亡くなった事実が正確に伝わる手段です。読んでもらったかどうか分からないメールや文書に比べ、確実に相手に届くため安心できます。親族へは直接電話でお知らせするのがおすすめです。

メールで伝える

メールは現代では広く普及しており、迅速に大勢の人に伝わる手段です。メールで訃報を送る人も増えてきましたが、特に年配の方への訃報は書面や電話、対面にて伝えるものと思っている人もいます。人によってはマナー違反にもなりかねないため、その人に合った方法を考慮したうえで送りましょう。

気心の知れた近しい人には、メールで伝えても問題ないでしょう。仕事関係の人に早急に連絡する必要がある場合もメールは一斉に送ることができる有効な手段です。

家族からの訃報の件名は、「訃報」「〇〇逝去のお知らせ」「〇〇が永眠しました」などとします。会社からの訃報の件名は、「訃報」「〇〇様ご逝去のお知らせ」「弊社取締役〇〇〇〇逝去のお知らせ」などが一般的。いずれもすぐに分かる件名にします。

FAXまたは文書で伝える

FAXは仕事関係で多く使われています。また、高齢者で耳が遠いなど、電話では聞き取りにくく、確実に伝わらない時にも安心できる方法です。

手紙や葉書などの文書は訃報を伝える正式な手段。葬儀まで1週間ほどの時間がある場合や、葬儀後にお知らせする場合に使われます。限られた時間の中、一人ひとりに訃報を作成するのは限界があるため、葬儀社や印刷社に依頼すると1日以内での作成も可能です。

LINE、FacebookなどのSNSで伝える

正式な手段としては、認識されていませんが、家族への緊急連絡ではSNSの活用も検討しましょう。LINEやFacebook、X(旧ツイッター)など文字系のSNSが使いやすいです。特に若い世代の子供や孫には有効です。あまり驚かせないように、用件のみ簡潔に連絡するのが望ましいでしょう。

訃報の伝え方と注意すること

訃報を流す機会は人生の中でも少ないため、いざという時にどのように伝えるのか分からない人は多いものです。書面やメールで訃報を伝える場合の内容と注意点について見ていきましょう。

訃報で伝える内容

・誰がいつ亡くなったのか
故人の名前、逝去日、簡単な死因(遺族の意向による)

・葬儀の情報
通夜や葬儀の日時と場所、葬儀形式。最寄りの駅や、メールや書面の場合は地図など参列者が迷わない記載があれば親切です。未定の場合は改めて連絡する旨を伝えます。

・喪主は誰か
喪主の名前と故人との続柄

・連絡先
喪主の電話番号や住所。会社から知らせを送る場合は、担当者の名前と連絡先も知らせましょう。

家族葬の場合はその旨を

最近では家族葬が増えてきています。その場合は、近親者のみの家族葬であることを伝えましょう。

冒頭の挨拶文は必要なし

訃報には季節の挨拶文は必要ありません。礼儀に反するのでは?と躊躇してしまう人もいるでしょう。しかしいきなり本題に入ることによって、挨拶文を忘れるほどの驚きとショックを受けている状態を表しているのです。

句読点は入れない


基本的に書面やメールでの訃報に句読点は入れません。理由は諸説あり、毛筆で書かれていた時代の名残りであることや句読点を入れると文章が途切れてしまうためだと言われています。一般的には「滞りなく葬儀が終わるように」という意味を込めて、句読点は入れないとされています。

訃報で連絡するべき人とは?

訃報の連絡を入れる人は、どんな基準で選べばいいのでしょうか。訃報を伝える範囲と連絡をする順番についても知っておきましょう。

訃報の連絡はどこまで伝えるべき?

訃報の連絡をするのは、基本的に葬儀の案内を出す人、参列してもらいたい人と考えるとよいでしょう。家族や親族、故人と親しかった人にはきちんと伝わるようにしましょう。

近年、特に都市部では近所付き合いが希薄になっていますが、町内会や自治会長を通して近所の人たちに伝えてもらうのが礼儀です。しかし、隣人や親しい近所の人には直接伝えるのがよいでしょう。故人が会社員だった場合は、会社の上司や同僚、人事部の人などを通して職場の人たちに伝えてもらいます。

訃報の連絡をする順番とタイミング

訃報の連絡をするのにも順番があります。まずは親族・近親者。その後、葬儀社と連絡を取り葬儀の日時や場所が決まってから故人が親しくしていた友人・知人、故人の仕事や学校の関係者、町内会や自治会、遺族の関係者という順序で連絡を入れます。

葬儀の日時や場所が決まってから訃報を流す場合は、まず葬儀場と火葬場の空き状況を確認します。そのうえで出来るだけ早く、宗教者に日程の確認を兼ねた連絡をするようにしましょう。

家族葬の訃報は後で流すことも

家族葬の場合は混乱を避けるため、葬儀が終わるまで親族以外には訃報を流さないこともあります。どこまで葬儀に呼ぶかは家族の判断ですが、今後の付き合いも考えて相談し合うことが大事です。葬儀後の訃報には、家族のみで葬儀を済ませたことと、事後報告になってしまったことへのお詫びを入れるようにしましょう。

遠方にいる、高齢などの理由で家族葬に呼ばない親族には、葬儀前に訃報を流すのがマナーです。電話で訃報を知らせたうえで、参列辞退の旨を理解してもらうようにしましょう。

訃報は迅速に伝わる手段と的確な言葉遣いで

大切な家族が亡くなった場合は、訃報を流すことになります。電話での連絡が主流とされていますが、メールやLINEが広く普及した現在では電子ツールの方が効率的な場合もあります。できるだけ早く確実に伝わることが大切なので、臨機応変に選ぶのがよいでしょう。ある程度の知識を頭に入れておけば、いざというときに慌てることなく対処できるのではないでしょうか。