お賽銭の金額に決まりはない?神社とお寺の意味の違いも

お葬式のマナー・基礎知識
お賽銭の金額に決まりはない?神社とお寺の意味の違いも

この記事はこんな方にオススメです

いつどうやってお賽銭を納めるか調べたい
適正金額はいくらか知りたい
お賽銭とは神社やお寺を参拝する際、神様や仏様へ「いつもありがとうございます」という感謝の気持ちとともに、賽銭箱へ納めるお金のこと。お賽銭の金額は全国平均で約150円ほどですが、決まりはありません。本記事ではお賽銭の由来や意味、相場、正しいやり方と注意点、豆知識を解説します。

神社やお寺で納めるお賽銭の意味と由来

神社やお寺に納めるお賽銭。その意味や由来には諸説あり、神社とお寺では異なる役割もあります。

お賽銭は神仏への日頃の感謝を伝えるもの

お賽銭とは、神社やお寺を参拝するときに納めるお金です。通常、備え付けの賽銭箱に小銭やお札を入れます。「賽」の字には「神様や仏様からの恩恵に対してお供えで感謝をしめす」という意味があります。神仏への祈願成就のお礼のお金であり、願いごとを叶えるためにも納められます。
お賽銭は、日頃の感謝の気持ちを込めて納めることが大切です。ちなみに、強く叶えてもらいたい願いごとのあるときには、神社やお寺に申し込みをすれば「祈願」をしてもらえます。その際は初穂料または祈祷料を納めます。
なお、祈願とは別に、災いから身を守る「厄払い」と「厄除け」もあります。両者の違いを簡単に紹介します。
  • 厄払い
  • 振りかかった災いを追い払う意味がある。神社でおこなわれることが多い。
  • 厄除け
  • 災いを未然に防ぐ意味がある。主にお寺で扱われている。

参拝に来たことを知らせる意味もある

お賽銭は神仏に参拝へ来たことを知らせる意味もあると言われています。本来、賽銭箱の上にある鈴や鐘で伝えるものですが、それらがない時にお賽銭を納めた音が、「お参りに来ましたよ」の合図になると考えられています。ただし、すべての神社、お寺がこのような考え方ではなく、なるべく音を立てないように、としているところもあります。

お寺のお賽銭にはお布施の意味もある

神社とお寺のお賽銭には、ちょっとした違いがあります。お寺には、「お布施」の意味合いが含まれています。ここでいうお布施は、自分が持っている欲望や執着を捨てるという修行のひとつです。

由来は神様へのお供え物

お賽銭の由来は諸説ありますが、神様や仏様へのお供え物にあるとされています。かつてのお供え物は金銭ではなく、米などの農作物や酒、布で、日々の平穏な暮らしを感謝し、今後もより良いものであるように奉じられました。
なかでも天照大御神(あまてらすおおみかみ)からの恩恵とされた米の収穫は特別な感謝を示すものでした。採れた米を白紙で巻いてお供えし、その実りを祝ったと言われています。その白紙で包んだ米は、「おひねり」と呼ばれました。おひねりは、今でも歌舞伎や演劇などでお目当ての役者にお金を渡す習慣として残っています。
お賽銭に話を戻しますが、1700年頃には既に賽銭箱があったようで、当時の句に読まれています。貨幣の普及とともに、現代のようにお賽銭を納めることが一般的になっていったようです。

縁起が良くない金額はある?お賽銭の相場

ご縁(5円)がありますように……など、縁起の良い語呂合わせの金額でお賽銭の金額を決める人も多いものです。いくら入れるのが正しいのか、決まった金額があるのかなど解説します。

お賽銭の金額は決まっていない

お賽銭の金額の全国平均は約150円です。ただし、お賽銭の金額に決まりはないため、自分の好きな金額で問題ありません。
ご利益を得たいからといって、高いお賽銭を納める必要はありません。しかし、叶えにくい願いごとであったり、お守りなどの形に残して祈り続けかったりなど、お賽銭だけでは不十分と思える時もあるでしょう。そういった場合は、神社やお寺に初穂料や祈祷料を納めて正式に参拝することをおすすめします。
また、最近では電子マネーでお賽銭を納められるシステムを導入している神社やお寺も増えつつあります。自分のスマートフォンで、賽銭箱に設置されたQRコードを読み取れば、希望額のお賽銭を納められます。

縁起が良いとされるお賽銭の金額

語呂合わせで縁起を担いだ金額を、お賽銭として納める人も多く見受けられます。縁起が良いとされる金額は以下のとおりです。
  • 5円(ご縁がありますように)
  • 11円(いいご縁がありますように)
  • 15円(十分なご縁がありますように)
  • 20円(二重に縁がありますように)
  • 25円(二重にご縁がありますように)
  • 41円(始終いい縁がありますように)
  • 45円(始終ご縁がありますように)
語呂合わせ以外では穴が開いた硬貨(5円や50円玉)も「運が通る」とされ、縁起が良いと言われます。どうしてもお金のない時には、お賽銭を納めずに参拝しても問題ありません。その後、平穏に暮らせたならば、後から納めるようにすればいいのです。
また、人から借りたお金を納めることは好ましくないとされています。しかし、旅先などで滅多に訪れられない寺社にお参りするときには一時的に知人に借りてすぐに返せばいいと思います。神仏に手を合わせる際に、お賽銭を拝借した旨も嘘偽りなくお伝えすることをおすすめします。

縁起が悪いとされるお賽銭の金額

語呂合わせで縁起が悪いとされる金額は以下のとおりです。
  • 10円(良いご縁が遠のく)
  • 10円を「とおえん(遠縁)」と読むため
  • 500円(これ以上の硬貨(効果)はない)
  • 硬貨の中で一番高いため
ただし語呂合わせにとらわれすぎる必要はなく、お賽銭の金額は自由です。このような語呂合わせを根拠がないとして、あまり好ましく思わない神社などもあります。

お賽銭を納めるときの作法と注意点

礼の前か後か……。お賽銭をいつ納めるべきか、悩んでいる人はいませんか?こちらでは、神社やお寺でお賽銭を納めるときの作法や注意点について解説します。ただし、コロナ発生以降、鈴や鐘などの直接手でふれるものは省略されている場合があります。寺社の指示に従ってください。

神社でお賽銭を納めるとき

  1. お賽銭を納めて姿勢を正す
  2. 賽銭箱に鈴がある場合は鳴らす(鈴の音で祓い清める意味がある)
  3. 二礼二拍手一礼(にれいにはくしゅいちれい)してお参りする
神社によって作法が異なる場合があります。やり方が提示されていれば、そちらを参考にしてください。
なお、二礼二拍手一礼の一般的なやり方は、下記の記事で紹介しています。

お寺でお賽銭を納めるとき

  1. お賽銭を納めた後、賽銭箱の前で一礼する
  2. 鈴や鰐口(わにぐち・鐘)があれば鳴らす(回数はお寺による)
  3. 胸の前で手を合わせ祈願する
  4. 焼香台がある場合は焼香をする。(宗派によって焼香の回数が違うが、分からないときは1回だけで良い)
  5. 最後に軽く一礼する
上記はあくまで参考です。自分の宗派の参拝ルールがある場合はそれでおこない、特にない場合はお寺の本堂などに書かれた作法にならうようにしてください。

お賽銭を納める方法

お賽銭は神様や仏様へのお供え物なので、自らの真心を示すため丁寧な所作でおこなうのが礼儀です。賽銭箱まで距離があって投げなければならないところは、その寺社のルールに従ってください。
また、お賽銭を納める音で神仏へ参拝を知らせる意味もあると説明しましたが、静かな寺社で大きな音を立てないのが大人の常識です。特にお寺の本堂で法要がおこなわれている時などは、静かに納めるようにします。

お賽銭箱が複数ある場合はそれぞれに入れても良い

神社には本殿だけでなく、摂社(せっしゃ)、末社(まっしゃ)と呼ばれる小さな社を持つところもあります。参拝は本殿だけでも問題ありません。社(やしろ)によってそれぞれに言い伝えがあるので、もし時間に余裕があればすべて参拝してお賽銭を納めるのもおすすめです。

少しだけ事情通になれる?お賽銭雑学

もっと詳しくお賽銭のことを知りたくなった人に向けて、使い道や賽銭箱に書かれた文字の意味を説明します。

集まったお賽銭は神社やお寺の維持費などに使われる

集まったお賽銭は主に神社やお寺の維持費や運営費に使われます。神社やお寺は古い建造物なども多く、定期的な修繕や補修が必要です。特殊な造りのため、専門業者に依頼しなければならず費用がかかります。
その他、神職の生活費や衣服代、巫女さんや警備員に支払う給与などの人件費、神社やお寺のホームページ制作・運営費、行事のチラシやポスターなどの宣伝広告費、お守りやお札など物品の製作費に使われることも。お賽銭は神社やお寺のより良い運営のために幅広く使われています。

賽銭箱に書かれている言葉には意味がある

賽銭箱の正面には「浄財(じょうざい)」や、「喜捨箱(きしゃばこ)」と書かれているものがあります。「浄財」は利益や、損得を考えずに寄付するお金のこと。「喜捨箱」は喜んで捨てるという字のとおり、自分の意思で惜しみなく進んで寄付するお金を意味します。

神社やお寺のお賽銭は感謝の気持ちとともに納めることが大切

お賽銭に決まった金額はありません。ですから参拝時に財布に入っているお金、例えば50円や100円でも大丈夫です。縁起が良い金額を納めれば、明るく前向きな気持ちにもなれるはず。次に神社やお寺を参拝した際は、「いつもありがとうございます」の気持ちを込めてお賽銭を納めてみてくださいね。