退院祝いと快気祝いの違いとは?適した品物や注意点も解説

お葬式のマナー・基礎知識
退院祝いと快気祝いの違いとは?適した品物や注意点も解説
退院祝いとは、入院生活を終えた人へ「退院おめでとう」や「この先もずっと健康でありますように」といった気持ちを込めて贈るプレゼントです。似て非なる言葉に、快気祝いがあります。本記事では、退院祝いと快気祝いの意味の違いや、贈るのに適した品物と注意点などを解説します。

退院祝いの意味

相手の退院を一緒に喜ぶとともに、今後の健康を祈って贈る、退院祝い。ほかに退院後の慣習としては快気祝いもあります。ここでは退院祝いの意味と、快気祝いとの違いについて解説します。

退院祝いは退院した人へ贈るもの

病気やケガで入院していた人が退院した際に贈るのが、退院祝いです。仕事や家庭の事情でタイミングが合わず、入院中にお見舞いへ行けなかった時に、退院後にする贈りもののことです。
そのほか、「お見舞いは行ったけれど、退院祝いも贈った方が良いのだろうか」と悩むこともあるのではないでしょうか。この場合、改めて退院祝いを贈る必要はありません。ただし、相手が入院した直後にお見舞いに行ったものの、入院期間が長くなったなど、状況によっては改めて退院祝いを贈ることもあります。

快気祝いという言葉もある

退院祝いと快気祝いは間違われやすい言葉ですが、贈る人と贈られる相手、意味合いが異なります。退院祝いは、入院していた人の家族や友人、知人などが退院を祝って贈るものです。それに対し快気祝いとは、入院していた本人が贈るもの。お見舞いに来てくれた人、または退院祝いを贈ってくれた人へ「おかげさまで元気になりました」と感謝の気持ちを込めて贈ります。いわば、お見舞いや退院祝いへのお返しです。

退院祝いの相場とタイミング

退院祝いを贈る際に悩みやすいのが、相場や渡すタイミング。病気やケガから回復したばかりの相手に失礼のないよう、マナーを確認しておきましょう。ここでは、事前に知っておきたい注意点を解説します。

退院祝いの相場

自分と相手の関係性によって、退院祝いの相場は異なります。
  • 親族:5,000円~1万円
  • 友人・知人:3,000円~5,000円
  • 職場関係:3,000円~5,000円
相場よりも高いお祝いは、お金でも品物でもかえって相手に気を遣わせてしまうかもしれません。ただし、自分の時には多めにいただいた、家族合わせて何度も受け取っているといった事情もあることでしょう。相手の心情とお互いの状況に配慮して金額を決めることをおすすめします。

退院祝いを渡すタイミング

退院祝いは、相手の状況が落ち着いたタイミングで贈るのがマナーです。一般的には、相手が病院から自宅に戻って、1週間から1ヶ月程度で渡します。退院直後はバタバタして落ち着きませんので、贈り物であっても負担がかかるかもしれません。とはいえ、退院して1ヶ月以上経ってから渡すと、タイミングとしては遅い印象を与えます。
また、退院祝いを渡すために自宅へ訪問する際は、事前に連絡を取って相手の体調や都合を確認する気遣いも意識したいですね。

退院祝いに適した品物

「病気やケガが治る」など、縁起が良いことを思わせる品物が退院祝いに適しています。また、年齢や性別、家族構成などで選ぶ方法も。こちらでは、退院祝いに適した品物を紹介します。

フルーツやお菓子、飲み物

消費したら残らない物は“消え物”と呼ばれ、退院祝いや香典返しの定番として知られます。具体的には食べ物です。食べ物には「病気やケガが消える」といった意味が込められています。
家族と同居している人や来客の多いお宅に贈るときは、みんなで分け合える詰め合わせのお菓子や、ジュースなどが喜ばれるでしょう。
退院した本人に食事制限がなければフルーツやゼリーも定番です。食べ物を贈る際は、医師から食事制限を指示されていないかを事前に確認しておくと安心です。

洗剤や石鹸などの日用品

石鹸や洗剤、広義ではタオルも消え物です。毎日使うものなので、性別や年齢を問わず喜ばれる、定番の贈り物です。また、「洗う」から「病気やケガを洗い流す」を連想させるため、縁起が良いとされています。

華やかなフラワーアレンジメント

花は、徐々に枯れていく姿から「病を枯らす」と考えられています。花を贈るときは、明るい色のものを選ぶと喜ばれるでしょう。
特におすすめは、フラワーアレンジメント。華やかなものは、退院後の生活に彩りを与え、心を元気にしてくれるはず。カゴや箱を使ったもので、吸水スポンジに花が挿してあるタイプであれば、花瓶の準備や毎日の水替えなどの手間もかかりません。

カタログギフト

相手の好みや家族構成などがはっきり分からず、退院祝いを決めかねる場合は、カタログギフトがおすすめです。入院中、思うように買い物ができなかった分、自宅にいながら好きなものを選べるので喜ばれます。

退院祝いを贈る際の注意点

お見舞いのときと同じく、退院祝いでも「死」や「苦」といった災いを思わせる品物を贈ってはいけません。こちらでは、退院祝いを贈る際に気を遣いたい点を解説します。

退院祝いに不適切な花もある

花は退院祝いの定番品ですが、種類によっては不適切なものもあります。お見舞いの品と同様で、鉢植えの花は根付くことから「寝付く」や「病が長引く」を思わせます。そのほか、語呂合わせで「死」や「苦」を思わせるシクラメン、葬儀などの弔事に使われる白菊も退院祝いには適しません。
また、退院したばかりの人は匂いに敏感になっている可能性もあるので、香りの強い花は避けるといった配慮も必要です。

現金を贈る場合は数字に気を付ける

退院祝いとして現金を贈る場合も、品物と同じ相場を目安にしてはいかがでしょうか。具体的な金額では、「死」を連想させる4,000円、「苦」を思わせる9,000円は避けます。友人や知人、職場関係の人へ現金を贈るのであれば、3,000円か5,000円にするなど、縁起の悪いと思われる数字に気を付けてください。

退院祝いのかけ紙と表書き

かけ紙も表書きも、相手の状況に合わせたものを選ぶことが大切です。ここでは退院祝いを贈る際のかけ紙と、表書きのマナーについて解説します。

かけ紙の選び方

かけ紙は、「病気やケガのような災いを二度と繰り返さない」といった意味を込めて、簡単にほどけない紅白結び切りのものを選びます。
通常、お祝いの品物を贈るときは、かけ紙の右上に折り紙やお札のような飾りがついたもの=のし紙を使います。しかし、退院祝いでは飾りのついていないものを選んでください。飾りのマークは、おめでたい時に伸ばして干したあわびを贈っていたのが由来で「のしあわび」と呼ばれる縁起物です。しかし、あわびを「伸ばす」ことから「病気や怪我を長引かせる」ことを連想させるため、退院祝いには不適切とされています。

表書きは「祝 御退院」が一般的

退院祝いの表書きは「祝 御退院」が一般的です。ただし、相手の状況を把握している場合は、それに適した表書きにします。
既に元通りに快復されていれば「祝 御全快」または「祝 御快復」とします。その他、自宅療養中や通院中であれば「祈 御全快」または「祈 御快復」が良いでしょう。相手の状況が分からない場合は無理に確認せず、基本の「祝 御退院」で問題ありません。
また、水引の下には贈り主のフルネーム、または苗字のみを必ず書きます。

お祝いの気持ちを添えて、退院祝いを贈ろう

入院していた相手に対して「退院おめでとうございます」の気持ちを込めて贈る退院祝い。誰でも病気やケガでの入院は、二度と経験したくないものです。相手の気持ちに寄り添い、マナーを意識して退院祝いを贈ってくださいね。