祥月(しょうつき)命日は年に1度。月命日との違いは?
法事・お墓
祥月命日(しょうつきめいにち)とは、故人があの世へ旅立ったのと同じ月と日にちのこと。法要で僧侶にお経をあげてもらったり、お墓参りをしたりして、故人に想いを寄せる日とされています。本記事では、祥月命日に込められた意味や供養の内容、お供え物や花の選び方などを紹介します。
祥月命日の意味と、似た言葉との違い
最初に、祥月命日がどのような意味を持つ言葉なのか解説します。命日や月命日など、似た言葉との違いも参考にしてください。
祥月命日とは、故人が亡くなった月日のこと
年に1度訪れる、故人があの世へ旅立ったのと同じ月日のことを「祥月命日(しょうつきめいにち)」と呼びます。「祥月」は亡くなった人の一周忌以後に巡ってくる死亡月を指し、「命日」は死亡日を指すので、合わせて“祥月命日”となります。例えば、2001年8月10日に逝去した場合は、2002年以降、毎年8月10日が祥月命日です。
祥月命日は、忌日(きにち・きじつ)と呼ばれることもあります。
祥月命日は、忌日(きにち・きじつ)と呼ばれることもあります。
「命日」や「月命日」との違い
祥月命日と似た言葉として、命日と月命日があります。命日は亡くなった日(没年月日)、それ以降の同月同日、同日のすべてにかかり、祥月命日は没年月日以降の同月同日のみを表すのが違いです。
また、死亡月(祥月)以外に毎月あるのが、月命日です。具体的には、2001年8月10日に逝去した場合、2001年9月10日から8月以外の毎月10日は月命日とされます。祥月命日は年に1度なのに対して、月命日は年11回あります。
諸説ある祥月命日の由来
なぜ祥月命日と呼ぶようになったのか、その由来の一例を紹介します。
それは、「正月命日(しょうつきめいにち)」だとややこしかったから、というものです。故人の死亡した日を忌日(きにち)と言いますが、忌日のある月を「正忌月(しょうきづき)」と呼びました。それを省略して「正月(しょうつき)」としたものの、1年の始まりの「正月(しょうがつ)」と混同しやすかったため、「正」ではなく「祥」を使うようになったとされています。
祥の字にしたのは、中国の儒教に縁があります。故人が逝去してから13ヶ月目におこなう祭事を「小祥忌(しょうじょうき)」、25ヶ月目の祭事を「大祥忌(だいじょうき)」と表し、亡くなった月を「祥月」と呼んでいたという説があるためです。
それは、「正月命日(しょうつきめいにち)」だとややこしかったから、というものです。故人の死亡した日を忌日(きにち)と言いますが、忌日のある月を「正忌月(しょうきづき)」と呼びました。それを省略して「正月(しょうつき)」としたものの、1年の始まりの「正月(しょうがつ)」と混同しやすかったため、「正」ではなく「祥」を使うようになったとされています。
祥の字にしたのは、中国の儒教に縁があります。故人が逝去してから13ヶ月目におこなう祭事を「小祥忌(しょうじょうき)」、25ヶ月目の祭事を「大祥忌(だいじょうき)」と表し、亡くなった月を「祥月」と呼んでいたという説があるためです。
「祥」の字は喜びや幸せを意味し、「物事が良い方向に進むように」という願いが込められています。
祥月命日におこなう供養
遺族と故人、どちらにとっても大切な日となる祥月命日。ここでは、当日におこなう供養を紹介します。
法要をおこなう
三十三回忌や五十回忌で「法要をこれ以上おこなわない」との意味を込めた弔い上げ(とむらいあげ)をし、供養の節目とします。現在は遺族の高齢化などの理由でもっと早く弔い上げとなることもあります。
お墓参りに行く
仏教において、祥月命日は故人のお墓参りをする日です。お墓で眠る先祖のうち、特に親しかった親戚など、関係の深い人の祥月命日にお参りすると良いのではないでしょうか。
お参りの当日は、お墓周りを掃除し、花などをお供えします。自分の近状を伝え、故人の冥福を祈り、塔婆(とうば)を立てるのも良いでしょう。直接お墓にお参りできなくても、お寺に電話で依頼すれば代わりに塔婆を立ててくれます。
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仏壇にお供えをする
お墓が遠くにあるなど、祥月命日のお参りが難しい場合もあるのではないでしょうか。お墓参りができないときは、自宅の仏壇や遺影、位牌にお供え物をしてください。
生前、故人がお気に入りだった花やスイーツなどを供え、線香をあげます。ほかには、仏壇をきれいにするのも一般的な供養の方法。故人への想いを伝えるため、心を込めて掃除します。
花を祥月命日に飾る理由と花の選び方
お墓や仏壇には、花をお供えするのが一般的。ここでは、祥月命日のお供えに花を使う理由と、ふさわしい花・避けるべき花の特徴などを解説します。
祥月命日に花を供える理由
仏教において、大切なお供え物として用いられる花。「美しい花を供え、仏のいる世界を高めよう」という思いが込められています。
また、花はお参りをする人の心を浄化する役割を果たすと言われています。花を供えて、手を合わせることで仏様の慈悲の心をいただけます。
供花の色や避けるべき花の特徴
一般的に、四十九日の法要を迎えるまでは、淡い色や白色の花を中心に、香りの強すぎないものを選びます。四十九日以降は、身内であれば故人の好きだった花を供えて差し支えありません。
お供えに使用する花にルールはありませんが、トゲや毒のある花は不吉とされています。仏教の風習でも、それらの花はふさわしくないとされているため、避けた方が無難です。もし故人がバラを好んでいたのなら、トゲを取ってからお供えすれば問題ないと考えられます。
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造花は確認が必要
生花は数日経つと枯れてしまいます。お墓の花を頻繁に取り換えるのは難しいので、お供えに造花を使うことが増えています。遠方にお墓があり、なかなかお参りができない人には、造花が便利です。また、九州のように気温が高い地域は生花を供えてもすぐに枯れるため、造花を利用する人が多いそうです。
そのほか、生花に特別な技法を施し、水を与えなくても枯れないプリザーブドフラワーを取り入れる人が増えています。ただし、生花には諸行無常を表す意味があるため、造花を供えるのは好ましくないと考える人も。特に、人の目にふれる機会が多いお墓に供える花には、注意が必要です。心配なときにはお墓のあるお寺・霊園や親族などに確認してください。
お供えに向いた花の選び方
お墓や仏壇に供える花は、花言葉や特徴に注目して選ぶのもいいでしょう。こちらでは、お供えにふさわしい花を紹介します。
【白菊】花言葉は「ご冥福をお祈りします」
仏花(ぶっか)を代表する花とも言える菊。長持ちするのに加え、邪気を遠ざける力があるとされています。花言葉は「高尚」などです。白い菊には「冥福を祈る」という意味がある上、汚れのないことを表すことも、白菊が頻繁にお供え物に使われる所以です。
【カーネーション】亡き母へ贈る花
母の日の定番として知られる、カーネーション。亡くなった母親に白いカーネーションを捧げたことが、母の日の花になった由来とされています。
現在も、亡くなった母親に供える花として、カーネーションを選ぶ人は多いです。暑い季節も持ちが良いため、菊の次に人気の花とされています。白以外に、淡い緑色のカーネーションも法要に向いています。
【トルコキキョウ】夏時期におすすめの爽やかな色の花
5月~9月に供える花を選ぶなら、トルコキキョウも候補の1つとしてあげられます。暑さへの耐性があり、花が長持ちするのが特徴。白や紫、青といった、お供えに適した爽やかな色が豊富です。全体的に落ち着いた印象で、違う種類の花とも合わせやすいです。
【スターチス】「途絶えぬ記憶」の花言葉が仏花にぴったり
スターチスは多くの水分を必要としないため、暑さに強く、枯れることが少ない花。さまざまな種類があり、お供えにふさわしい色を選びやすいのが魅力です。花言葉には「途絶えることのない記憶」などがあり、故人を偲ぶのに適した意味合いを持ちます。
【ユリ】存在感のある大きく華やかな花
ヨーロッパでは、聖母マリアを表す花とされているユリ。日本においては、美しいものの例えとしてユリが使われます。華麗で大きな花を咲かせ、存在感があるのが特徴です。
ユリの中では、日持ちするカサブランカが人気を集めています。なお、お供えする際は、花粉を拭いてください。花粉で周りを汚さず、花を長持ちさせるために必要な作業です。
祥月命日に贈るお供え物を選ぶコツ
親しかった友人や親族の祥月命日には、故人が好きなお供え物を用意したいですよね。ただし、遺族の負担にならないよう、避けた方が良いものもあります。ここでは、仏壇にお供えするものを選ぶコツを紹介します。
大きさ・重さに注意する
大きなお供え物は、置く場所を確保するのが難しいため、避けた方が無難です。重たいものは、移動の際に負担となる可能性があります。大きすぎず、重たくないものがおすすめです。
肉・魚・酒の3点は避ける
殺生を思い起こさせる肉や魚などの生ものは、お供え物にふさわしくありません。お酒は故人が好み、家族に飲める人がいれば選んでも差し支えありませんが、そうでなければ避けた方が良いと考えられます。
日持ちを考えて選ぶ
食べ物を仏壇にお供えした後、そのまま置いておくことがよくあります。お供えした食べ物は、後日お下がりをいただくのがマナーです。食べるときに「賞味期限が切れていた」とならないよう、長持ちする食べ物を選んでください。お供えしやすい個包装タイプの食べ物を選ぶのもおすすめです。
祥月命日には故人を想い供養する時間を
年に1度の祥月命日は故人と残された人たちにとって大事な1日です。1年ごとの節目として法要やお墓参りをして故人や遺族、故人を想う仲間と会話をするひとときを過ごしましょう。難しい場合は、供養の形にこだわらずに、故人を偲ぶ時間を作るのがおすすめです。
この記事の監修者
政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。