今から始めたくなる「生前整理」のコツ
「遺品整理」を経験した方々は、「こんなに大変だとわかっていたら、親に生前整理をすすめておけばよかった」と一様にその苦労を語ります。
「生前整理」とは、ご本人様が元気なうちにご自身で身の回りを片付けることで、終活の一環と考えられています。しかし、物を大切にする親世代にとって「捨てる」という行為は、なかなか酷なこと。そのため、実家がゴミ屋敷と化す問題も浮上しています。
それは遠方に住む子世代にも由々しき事態。今回は、そんな悩ましい状況を解決するためのヒントをご紹介します。
親が納得する生前整理の切り出し方
久々に帰省したとき、物があふれかえっている実家に驚いたという子世代の話をよく聞きます。なかには「あんなにキレイ好きだった母親が…」と声を失う人も。それには、年を経るごとに片付ける体力も落ちていく、子どもが家を離れて掃除がおろそかになるなど、さまざまな要因があります。
片付ける気力も体力も下がっている親世代に、「(物を)捨てる」「これはいらない」というのは逆効果。「地震で物が倒れてきたら危ないから」「孫を安心して遊ばせられないから」を理由に、一緒に片付けることから始めてみましょう。また、年末の大掃除の時期や、ゴミの収集日にあわせて切り出すとスムーズです。
モノは考えよう。はかどる「仕分け術」とは
「使うもの」「使わないもの」に分けるのが整理整頓の基本ですが、物を捨てられない親世代にとっては「いつか使う」「捨てるなんて罰当たり」などと、判断すらしようとしないかもしれません。もし、過去に使っていた子ども部屋があれば、そこからとりかかりましょう。かつての子ども部屋は物置化している可能性があります。
子世代がその姿勢を示せば、親の重い腰もあがるものです。ただ気力は戻っても、体力が追いつかないケースも。一度で済まそうとせず、長期戦で根気よく行うよう心がけましょう。家の間取りを見ながら、次はリビング、その次は台所、など優先して片付ける場所を決めて計画的に進めるのも手です。
処分の目安は「壊れて使えない」「2~3年以上使っていない」「1人で持ち運べない」物です。親世代が「残す」「残さない」の選択で判断に迷う物は一時的な保管箱に入れて、後日再確認しましょう。使用していない年季の入った家電は「今使うと電気代がかかる」「漏電するかも」という理由から捨てたり、回収してもらったりするのが良策です。
捨てない工夫も取り入れよう
親世代は、引き出物の食器やタオルなどを「お客様用に」とそのまま保管している傾向があります。思い切って普段使いに回すよう提案してみるとよいでしょう。
捨てられない物は、形を変えて保存する方法もあります。大量にある写真ならベストショット以外はデジタル化したり、年賀状も近年のものだけ残し、後はスキャンしたりするなど。年賀状は、親の交友関係を知るきっかけにもなるので定期的にチェックしておきましょう。
子どもからすると一見ガラクタに見えても、思い出(コト)がつまっている物もあるでしょう。思い出話を聞きながら、一緒に仕分けると親も乗り気になります。物を大切にする親世代の気持ちを尊重することが最も重要です。
特に趣味やコレクションは今後の生きがいにもつながるので、関連する物は無理に処分しないこと。好きなときに手にできるようお気に入りのものを飾ったり、取り出しやすいようにボックスに整理したりしてみてはいかがでしょうか。「生前整理」の目的は、物を捨てることではなく、これからの暮らしを快適にするためです。大切なご家族には、好きなもの、気に入っているものに囲まれた、豊かな生活を送ってほしいですよね。
日々摘花(ひびてきか)
~まいにちを、たいせつに~
「日々摘花(ひびてきか)」は、様々な分野の第一線で活躍する方々に、大切な人との別れやその後の日々について自らの体験に基づいたヒントをいただくインタビュー記事です。
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