もう一度考えたい、お墓参りの意味とマナー
お墓参りは、亡くなった方やご先祖様の供養と感謝を表し、これからの繁栄を願って行うもの。その想いが伝わるように、お墓参りの手順やお墓のお手入れなど基本的なことは、きちんと身につけておきたいですよね。
そこで今回は、お墓参りの際に役立つマナーや豆知識をご紹介します。
いつ行くべき? お墓参りの時期と時間帯
お墓参りの時期にこれといった決まりはありません。先祖を供養する心が一番ですので、思い立ったときやご家族間で都合の良いときなど、気軽に出向く感覚でかまわないでしょう。ちなみに以下が、一般的にお墓参りが多い時期と言われています。
・お盆
お盆は地域によって異なりますが、7月もしくは8月の13日から16日の場合が多くなっています。その中でも13日は盆の入り、迎え盆といい、先祖が地上に降りてくる日です。会社や学校がお休みの時期という場合も多く、この日にお墓参りに行くご家族も多いでしょう。
・春と秋のお彼岸
彼岸とは、仏教で生死の境を流れている河の向こう岸のこと。仏教では春分の日、秋分の日を中日として前後3日をあわせた7日に「彼岸会」という法要が行われ、それに合わせて多くの人がお墓参りに出かけます。
・命日(祥月命日)
故人様が亡くなられた日は命日、一周忌以降は祥月命日と言います。また毎月の命日と同日の日を月命日となり、この命日にあわせてお墓参りをする慣習もあります。
・年末やお正月
1年間の報告や感謝を伝え、お墓掃除をしにお墓参りをする人が多い年末の時期。また、お正月は新たな1年の始まりとして、初詣とあわせてお墓参りに行く人が多くみられます。
上記は主に仏教の場合ですが、キリスト教ではカトリックでは死者の日である11月2日、プロテスタントでは命日の1か月後、1年目、3年目、7年目の昇天記念日にお墓参りをします。神道では命日や式年祭にお墓参りをする場合が多いでしょう。
お墓参りの時間は「午前中」をイメージされる人もいるかもしれません。これに根拠はなく、お墓を管理している霊園やお寺に特別な決まりがなければ夜間に行っても良いのです。ただしお墓は足場が悪く、防犯上の問題もありますので、深夜は避けるようにした方が無難です。
お墓参りをする時の服装についてはどうでしょうか? 法事などの法要としてお参りをするのであれば喪服での参列がマナーになりますが、日常的なお墓参りに一般的に決まりはなく、普段着で問題ありません。
仏教のお墓参りに持参する一式をチェック!
次にお墓参りに持参する基本的なものを挙げてみましょう。主に仏教の例をご紹介します。
・柄杓や手桶
・掃除用具
・ごみ袋
・お供えする花
・お線香やライター
・お供え物
柄杓や手桶、タワシ、ゴミ袋などは現地で用意されている場合もありますので事前に確認しておくと良いでしょう。お供えするお花は菊が主流ですが、故人様の好きだったお花でも問題ありません。ただし棘や毒のあるものや香りの強いものは避けた方が無難です。お供え物は故人様が好きだった果物やお菓子、お酒などが多く選ばれています。
お線香は束になっているものや、数本単位でお供えするものなど、地域や宗派によって異なりますので、確認してから持参しましょう。なかには、お花や線香、お供え物などを制限しているお寺や霊園もございます。規則を守り、必要に応じて持って行くようにしましょう。
お墓に水はかける!? お墓参りの流れをおさらい
お墓参りをする前に、まずはお寺の本堂へのお参りをしましょう。お参りが終わったらお墓に一礼をし、お墓参りの前に掃除にとりかかります。霊園などの場合は本堂へのお参りはありません。お墓に一礼後、掃除を始めてください。
掃除はまず、お墓の周りから。地面に落ちた枯葉や風で飛んできたゴミなどは綺麗に取り除いて、花立や香炉、線香皿などを綺麗にします。以前お参りをした時に活けた花やお線香の燃えカスなどは処分しましょう。
周辺の掃除が済んだら次は墓石のお手入れです。墓石は柔らかいスポンジやタワシを使って、傷つけないようにやさしく汚れを落としていきます。細かい溝の部分は歯ブラシなどを使用するとスムーズでしょう。
お墓の掃除が終わったら、お供えをします。後々、倒れることのないように適度な長さに切っておくと良いでしょう。お花はお墓から外側に向けてお供えすることが多いですが、故人様やご先祖様に見てもらえるように、一度お墓にお花を向けてからお供えする人もいるようです。
お線香は火をつけて香炉や線香皿にお供えします。口は仏教では汚れにあたりますので、息を吹きかけるのは避けましょう。消し方としては、お線香の火がついている側を上に向け、一気に下へ10cmほど引き下げるという方法がよく知られています。束のものはまとめて火をつけますが、数本単位の場合は宗派や地域によって本数が異なりますので、注意が必要です。
【参考】お焼香の意識が変わる!? お供えするお線香の意味とは?
お供え物の食べ物や飲み物は半紙を敷いた上に置きます。食べ物や飲み物は悪くなりますので、必ず持ち帰るようにします。お供えした物には良い波動があるとも言われ、帰ってみんなで分けていただくことも多いでしょう。お寺の考えやそれぞれの地域によってお供え物を置かないケースも少なくないため、事前に確認をしておくことをおすすめします。
最後に、お墓に水をかけるかかけないかは、それぞれ異なる意見があります。
・お墓にお水をかける
仏教では、ご先祖様がいる世界には水がないと言われています。そこで、お水をかけて少しでも喉を潤してもらうという考え方があります。他にも、たっぷりと水をかけてお墓を清める、ご先祖様の魂を呼び戻すために水をかけるなど諸説、存在します。
・お墓にお水をかけない
お墓に水をかけるのは、ご先祖様の頭に水をかけることと同じで侮辱になるという説があります。また、墓石の種類によっては、いきなり水をかけると石が割れたり、ひびが入ったりする可能性があるため、控えるケースも。
地域や習慣、お寺によっても異なり、どちらが正解というものではありません。明確でない場合は一度、ご親族間で相談して指針を決めておくと安心です今回は主に仏教のお墓参りについて紹介しましたが、ご先祖様や故人様を想う気持ちに宗派の違いはありません。なんとなく行っていたお墓参りも、お墓参りの意味やマナーを改めて知ることで、今までとは違った気持ちでお墓参りに行けますよね。お墓参りはご先祖様に報告し、感謝し、自分自身を見つめなおす機会にもなります。遠方でなかなか足を運べなかったという方も、この機会にご都合をあわせてお墓参りをしてみてはいかがでしょうか。
日々摘花(ひびてきか)
~まいにちを、たいせつに~
「日々摘花(ひびてきか)」は、様々な分野の第一線で活躍する方々に、大切な人との別れやその後の日々について自らの体験に基づいたヒントをいただくインタビュー記事です。