申請を忘れずに! 健康保険で支給される「葬祭費」「埋葬料」とは?
一般的に、ご葬儀には多額の費用がかかるものです。急を要することでもあるため、かき集めるように支払いを済ませ、家庭の事情によっては大きな負担となったり、トラブルの元になったりすることも少なくありません。
そういったご家族の負担を少しでも軽減できるようにと考えられたのが給付金制度です。給付金制度とは、定められた条件を満たしている方を対象に国や地方自治体がご葬儀費用の一部を負担するという制度になります。
その条件とは何でしょうか? 詳しく見ていきましょう。
※2017年2月23日公開
健康保険加入者に付与される給付金とは?
健康保険の被保険者がお亡くなりになると、所持している健康保険証は返却しなくてはなりません。故人様が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、居住地の市区町村役場で国民健康保険の資格喪失と一緒に、「葬祭費」支給の手続きをしましょう。「葬祭費」の金額は、自治体によって異なりますが1~7万円程度です。
故人様が会社員だった場合など、国民健康保険や後期高齢者医療制度以外の健康保険に加入していたなら、「埋葬料」もしくは「埋葬費」が支給されます。こちらは5万円が上限です。
このように、故人様が加入していたのが国民健康保険か、その他の健康保険かで支給内容が変わってきます。
【その一】お亡くなりになった方が国民健康保険に加入していた場合
故人様が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合に支給される「葬祭費」の申請期限は告別式など葬祭をとり行った日の翌日から2年以内です。ただし、資格喪失届の期限はお亡くなりになった日から14日以内となっておりますので、葬祭費の申請は喪失届と一緒に行うのがスムーズです。
手続きを行うにあたって、書類など必要なものは下記の通りです。市区町村役場にある「国民健康保険葬祭費申請書」に記入し、併せて提出しましょう。
・お亡くなりになった方の国民健康保険証、または後期高齢者医療保険証、介護保険証、高齢受給者証
・死亡診断書のコピー、死亡の事実を記載された戸籍謄本など死亡を証明するもの
・領収書などご葬儀がとり行われたことが確認できるもの
・葬祭をとり行った方の金融機関の口座番号
・印鑑(シャチハタは不可)お亡くなりになられた方が世帯主だった場合は、そのご家族の新しい健康保険証を発行しなければなりません。その際はご家族全員の国民健康保険証なども必要になります。そのほか手続きに必要なものは、自治体によって異なる場合がありますので、事前に確認しましょう。
【その二】会社員など国保以外の健康保険に加入していた場合
企業や団体などの健康保険に加入していた方がお亡くなりになると、その事実を知ってから5日以内に資格喪失の手続きを行わなくてはなりません。ただしその手続きは主に勤務先で行われます。
故人様が国保加入の場合は「葬祭費」が支給されますが、こちらは埋葬の手続きを行う人に対して補助金となる「埋葬料」もしくは「埋葬費」が支給されるという制度です。
埋葬料と埋葬費の違いは何でしょうか? 「埋葬料」は、お亡くなりになった被保険者によって生計を維持されていたご家族が申請できるものです。民法上のご親族でなくても、被保険者に生活を維持されていた人なら条件を満たす対象となります。同居の有無も特に問いません。
一方で埋葬費とは、前述の埋葬料の支給対象がいない時に、埋葬を行なった人が代わりに受け取ることができる制度になります。埋葬料とは異なるのは、受け取る人が被保険者から生計を維持されていないという点です。
金額は5万円の上限で、実際に掛かった費用の相当する分の額が支給されます。この金額は火葬や僧侶への謝礼といったものが対象で、ご葬儀の時の飲食費などは含まれません。
手続きを行うにあたって、書類など必要なものは国保の場合とさほど変わりませんが、故人様が会社に勤めていた場合は会社の方で手続きを行うケースもあるため、事前に勤務先に確認をとりましょう。
申請には有効期限が設定されていて、埋葬費の申請は亡くなられた翌日から2年、埋葬料の申請は埋葬を行った翌日から2年となっています。どちらも同じ2年ではありますが、亡くなられた日と埋葬した日で期限の日にちが異なるので注意が必要です。ご葬儀後にもさまざまな手続きがあります。スムーズに申請できるように、死亡診断書のコピーやご葬儀にかかった領収書などはきちんと保管しておきましょう。
日々摘花(ひびてきか)
~まいにちを、たいせつに~
「日々摘花(ひびてきか)」は、様々な分野の第一線で活躍する方々に、大切な人との別れやその後の日々について自らの体験に基づいたヒントをいただくインタビュー記事です。
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