3つのお別れのカタチ「焼香」「献花」「玉串奉奠」の基本マナーとは
お葬式の作法は宗教ごとに異なるものですが、その違いが顕著に出るのが、参列者が個々に故人様を偲ぶ場面ではないでしょうか。仏式でいうと「焼香」ですが、神式では「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」、キリスト教では「献花」がそれにあたります。
すべての作法を心得ている方は案外少ないかもしれません。直前の方の所作を真似ても問題はないですが、基本的なマナーを身につけておくと、弔いに集中できるものです。今回は「焼香」「献花」「玉串奉奠」の手順を簡単にご説明します。
改めて知る、基本の焼香スタイル
仏式における焼香は香によって心身を清め、仏様や故人様に敬意を表して祈りを捧げるという意味合いがあります。香には大きく分けて「抹香」と「線香」があり、お葬式では抹香による焼香が一般的です。
焼香の順番は喪主を始めとして、故人様と関係が深い順です。自分の順番がきたら祭壇・焼香台の前へと移動します。ここでは「立礼」「座礼」「回し焼香」と数ある形式のなかでもっとも多いとされる、立礼による抹香焼香の基本的な手順をご紹介します。<一般的な仏式の焼香手順>
[1]ご家族と僧侶に一礼し、遺影の前で一礼する
[2]右手の親指・人差し指・中指の3本の指で抹香をつまんで眼の高さまで捧げ、香炉に静かに落とす
これを1~3回繰り返す
[3]遺影に向かって合掌し、数歩下がってからご家族と僧侶に一礼し、席に戻る焼香の回数は宗派によりますが、主に1~3回です。参列者が多いときは1回で済ませる場合があります。さらに浄土真宗では、抹香を押しいだかず、そのまま香炉に落とすのがマナーとされています。
線香についても宗派ごとの作法がありますが、「火はろうそくでつける」「火を消すときは手であおぐか、線香を引く(息で吹き消さない)」という基本的なポイントは押さえておきましょう。
献花のコツは根元を祭壇に向けて捧げること
キリスト教では、焼香の代わりに献花を行うことがほとんどです。献花とは、参列者が各自、祭壇に花をお供えする儀式です。
献花で使われる花は、茎の長い花がふさわしいとされており、白い菊やユリ、カーネーションなどが挙げられます。自分の順番になったら祭壇に移動し、右手に花、左手が茎の部分になるように両手で受け取ります。このとき、花は右の手のひらにのせ、左手は上から添える形で茎の部分を持ちます。<一般的な献花の手順>
[1]自分の順番がきたら祭壇へ進み、ご家族や神父(牧師)、遺影に向かって一礼をする
[2]係の人から花を渡されたら、花の部分が右側にくるように両手で花を受け取る
[3]茎の根元が祭壇の方に向くように右(時計回り)に回して花を持ち替える
[4]左手を下から支えるようにして根元を祭壇側に向けたまま静かに献花台に置く
[5]遺影に一礼をし、数歩下がってご家族や神父(牧師)に一礼後、自分の席に戻る献花の儀式は日本独自の習慣と言われています。また、キリスト教葬に限らず、無宗教葬でも献花を行う場合があり、今後ますます直面する機会も増えそうです。
玉串奉奠は左右の手の位置を理解すれば簡単に
神式で行われる玉串奉奠は、「玉串」と呼ばれる榊の枝に「四手」という紙を下げたものを使います。この玉串には神の霊が宿ると言われていて、それを祭壇に捧げることで故人様の冥福を祈ります。玉串奉奠はご葬儀だけでなく法要でも行う儀式です。
<一般的な玉串奉奠の手順>
[1]自分の順番がきたら祭壇へ進み、ご家族に一礼をする
[2]神官に一礼し、右手で玉串の根元を上から持ち、左手は葉の部分を下から添えるように受け取る
[3]玉串を右(時計回り)に回転して縦に持つようにする
[4]左手を下にずらしながら、右手が葉の部分を下から支えるように左右の手を持ち替える
[5][4]の状態から玉串の根元が祭壇に向くように時計回りに180度回転する
[6]左手を手前にずらして右手の下に添え、玉串を玉串案に置く
[7]数歩下がって深く2回礼をする
[8]音をたてないしのび手を2度打ち、再度深く一礼をする
[9]数歩下がって、神官とご家族に一礼をし、席に戻る
玉串奉奠以外の特徴といえば「二拝二拍手一拝」「しのび手」です。神式のお葬式に慣れていない方のために、事前に作法を教えてくれる場合もありますが、ここで一通り頭に入れておくと、いざというときスムーズに行動できるでしょう。宗教や宗派などによって作法は異なりますが、故人様を偲ぶという気持ちは共通です。その心が根底にあれば、マナーも自然とついてくるものです。家族葬のファミーユでは、参列者の方や喪主の方に向けたマナーに関するコンテンツ、よくある質問を掲載しています。ご参考になれば幸いです。
日々摘花(ひびてきか)
~まいにちを、たいせつに~
「日々摘花(ひびてきか)」は、様々な分野の第一線で活躍する方々に、大切な人との別れやその後の日々について自らの体験に基づいたヒントをいただくインタビュー記事です。
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