危篤状態の人にかける言葉とは。親族、友人など立場別の例文を紹介
お葬式のマナー・基礎知識
この記事はこんな方におすすめです
危篤状態の人にかける言葉や注意点を知りたい
身近な人が危篤状態である人にかける言葉を知りたい
危篤状態の人には、なるべくポジティブで、安らかに最期を迎えてもらえるような言葉をかけるのが基本です。この記事では、危篤状態にある人に言葉をかける理由や立場別の例をお伝えします。また、家族や親しい人などが危篤状態にある人にかける言葉、危篤の連絡をメールで受けたときの返信例、注意すべき言葉についても紹介します。
目次
危篤状態の人に言葉をかける理由
危篤状態にある人に言葉をかけるのは、そばにいることを伝えて安心してもらうためです。家族や親しい人から声をかけられると、本人も最期まで希望を持ち続けられるかもしれません。一説によると、危篤状態にあっても呼びかけに反応することもあるようです。たとえ反応がなくても、家族がそばに寄り添っていてくれる気配を感じると安心でき、死への恐怖や孤独感がやわらぐと言われています。
もし胸が詰まって言葉が出てこないなら、無理に何か言おうとしなくて構いません。代わりに手を握って寄り添うだけで十分です。
【例文】危篤状態の人にかけたい3つの言葉
危篤状態の人にかけたい言葉と、具体的な例を本人との関係別に紹介します。
かける言葉①前向きで安心感のある言葉
病状にもよりますが、危篤状態にある人にはなるべく死を前提としている表現は避け、前向きで安心できるような言葉をかけるのが望ましいです。例えば下記のような言葉をかけると、前向きな気持ちが伝わるかもしれません。
<家族にかける言葉の例>
- お父さん、会いに来ましたよ
- △△ちゃん(孫)も来てるのよ
- 家族のことは心配いらないわ
<家族や友人にかける言葉の例>
- そばにいるから安心してね
- 元気になったらまた一緒に出かけましょう
かける言葉②楽しかった思い出を振り返る言葉
ふたりの思い出を語りかけて、ともに過ごした懐かしい日々を振り返るのも良いでしょう。本人もそのときのことを思い出し、楽しく穏やかな気持ちになれるかもしれません。一緒に見守る親族なども交えて思い出話に花を咲かせれば、なごやかなムードで見送れます。
<家族にかける言葉の例>
- 子どもの頃に連れて行ってくれた遊園地のこと、今でも思い出すよ
<友人へかける言葉の例>
- あの日の旅行楽しかったね。また行きたいね
- またたくさん遊びたいよ、みんなも待ってるよ
<仕事関係の人にかける言葉の例>
- 仕事は大変だったけど、その後によくふたりで行った居酒屋の料理の味が忘れられないよ
かける言葉③これまでの感謝を伝える言葉
最期の瞬間に駆けつけるほど深いご縁のある人には、悔いのないようこれまでの感謝の気持ちを素直に伝えるのもおすすめです。顔を合わせて気持ちを伝えられるのは、最後の機会になるかもしれません。
<家族にかける言葉の例>
- おかあさんの子どもで本当に良かった。これからもよろしくね
- 照れくさくて言えなかったけれど、いつも見守ってくれていてありがとう
<友人へかける言葉の例>
- 辛いときにいつも相談に乗ってくれてありがとう
- あなたの親友になれて嬉しい。まだまだ頼りにしてるからね
<仕事関係の人にかける言葉の例>
- 仕事ではいつも助けられてばかりで、プライベートでも仲良くしてくれて本当に感謝しています
家族や親しい人が危篤状態にある人へかける言葉
家族や友人などの親しい人が危篤状態にある人への言葉選びは難しいものです。相手に寄り添った声かけのマナーと、友人・職場の人へかける言葉の例を紹介します。
家族や親しい人が危篤状態にある人への声かけのマナー
身近な人の危篤の知らせを受けて混乱している人には、落ち着いて病院に向かえるような声かけをするのが望ましいです。悲しみと不安でいっぱいな中にあるので、安易に病状を聞くのは避けてください。
また、慰めるつもりでかけた言葉でかえって傷つけてしまう可能性もあるので、言葉選びには十分に配慮する必要があります。多くの言葉をかけるよりも、相手に寄り添う姿勢を見せるのが大切です。
危篤の知らせを受けた友人にかける言葉
危篤の知らせを受けた友人には、心の支えとなるような下記のような言葉をかけるのがおすすめです。
- 私でよければ話を聞くから、つらいときはなんでも話してね
- 私に手伝えることがあれば遠慮なく言ってね
- 早く病院に行ってあげて。お父さんも待ってるはずだよ
- 〇〇さんがそばにいてくれると、きっとお母さんも安心するはず
危篤の知らせを受けた職場の人にかける言葉
仕事関係の人には、まずは仕事の心配はいらないことを伝えて快く病院へ送り出すのが大事です。例えば下記のような言葉をかけると、安心して病院に向かえるでしょう。
- 仕事のことは私たちに任せて。お父様のそばにいてあげてください
- 仕事は調整しておくので心配しないでください。それよりもお母様との時間を大切にしてください
メールで危篤の連絡を受けたときの返信例
身近な人が危篤で大変な状況であることを、友人・知人からメールで連絡を受けた場合も、対応の仕方やかける言葉は対面と同じです。友人・職場の人への返信例を紹介します。
友人から連絡が来たときの返信例
親しい友人であれば、返信はカジュアルな文面でも問題ありません。しかし状況を踏まえて、あまり慣れなれしくはならないよう気を付ける必要があります。深刻な状況に配慮するなら、敬語を使用するのも良いかもしれません。
下記が友人に向けた返信例です。長文は控え、シンプルに労りの気持ちを伝えるよう意識してみてください。
<友人への返信例>
- 気持ちをしっかり持ってね。〇〇(友人)さんにできることを精一杯してあげてください
- 私に手伝えることがあれば、なんでも言ってください
職場の人から連絡が来たときの返信例
仕事関係の人には、敬語を用いてある程度かしこまった文面にするのが適切です。仕事に関しては心配ないことを伝える文面を添えると安心してもらえます。
<仕事関係の人への返信例>
- こちらのことは心配無用ですので、今はお父様との時間を大切になさってください
危篤状態の人や付き添いの人にかけるべきではない言葉
悲しみの中にいる人には、いつもより慎重な言葉選びが必要です。危篤状態にある本人と、見守る付き添いの人には避けた方が良い言葉を紹介します。
死を連想させる言葉
付き添いの人に対し、亡くなった時にかける「ご愁傷様です」「気を落とさずに」などの言葉を混乱してうっかり口にしないように注意してください。また本人や家族の前で、死後の手続きや葬式に関する話題を持ち出すのも気分を害するおそれがあります。
下記のように、冠婚葬祭や生死の境にある人へ使用すべきでないとされている忌み言葉も控えた方が無難です。
<忌み言葉の例>
- 枯れる
- 落ちる
- 朽ちる
- 途切れる
- 果てる
- 散る など
ネガティブな言葉
付き添いでは心配で気弱になってしまいやすいですが、「もうダメかもしれない」や「この前まであんなに元気だったのに」などの否定的な言葉は、本人の前では口にしない方が良いでしょう。付き添いの務めは、危篤の人が心安らかに旅立てるようにすることです。感情のままに泣き叫んだり、大声を出したりするのも好ましくありません。ただし、一人になったり、他の家族や親友の前では、つらい気持ちを吐き出すことも大切です。
無理に励ますような言葉
「がんばって」や「しっかりして」などの言葉は、力になる時もありますが、相手を追い詰めてしまう可能性もあります。特に付き添いの人は、既に十分頑張っていて気持ちも張り詰めた状態なので、追い討ちをかけることになりかねません。
また付き添いの人を励ますために言ってしまいやすい「あなたがしっかりしなきゃ」や「クヨクヨしないで」といった言葉は、かえって相手の悲しみに水を差すことになり、軽率な言葉に受け取られる可能性があります。「まだ助かるかもしれない」などの希望を持たせるような言葉も安易に使わないよう気を付けてください。
容態を尋ねる言葉
回復の見込みが薄いなかで、付き添いの人に本人の容態を尋ねるのはマナー違反です。心配で容態が気になるのは当然ですが、あまり込み入った話をするべきときではありません。今は静かに見守るのが大事です。
なお、危篤と似たような状態を表す言葉に重篤があります。それぞれの意味合いについては、こちらの記事で紹介しています。
重篤と危篤・重体・重症の違い
重篤と同じようなイメージがある、危篤や重体、重症。一見すると同様に思えますが、それぞれ異なる意味があります。ここでは、各言葉の意味と重篤との違いを紹介します。
危篤状態の人の気持ちに寄り添った言葉をかけよう
親しい人が危篤であるとの知らせを受けたとき、家族が危篤の知らせを受けて混乱している友人などを前にしたときは、自分も気が動転し、どうすれば良いかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。なるべく気持ちが落ち着くよう一呼吸置き、相手に安心してもらえるような言葉を考えるのが大切です。どんな言葉もかけられない時には、そばにいて手を取る、ただ見つめる、寄り添ってあげるだけでも想いはきっと伝わります。