【お葬式】図解・喪主のやることリスト。お通夜の前から準備すること

ご家族の通夜・葬式準備
【お葬式】図解・喪主のやることリスト。お通夜の前から準備すること
家族が亡くなった後は悲しみが押し寄せてきますが、喪主はすべきことが多いので「何をすれば良いのか」と混乱してしまうかもしれません。基本的に「喪主のやること」は家族葬、一般葬とも共通しています。本記事では日本で最も多い仏式葬儀を基本にして、ご臨終時から火葬後まで喪主や家族のやることを紹介します。

流れ図でわかる喪主のやることリスト

故人のご臨終時から家族のやることの全体像を流れ図にしました。黒字は喪主が必ずやること、グレーは他の人に頼めることや必要性の少ないものです。ここに記載しているのは代表例ですが、お葬式を終えるまでのわずか数日間に、少なくとも9つはやることがあります。
※(仏式葬儀の一例)状況により流れや必要項目は異なることがあります。

ご臨終時に家族のやること

ご臨終時に家族がやることをリストで紹介します。葬儀社に連絡した後は、ご遺体の搬送・安置や、葬儀社との打ち合わせなどがあります。基本的には喪主が中心となって進めるものばかりです。
【ご臨終時のやることリスト】
  • 末期の水・エンゼルケア
  • 死亡診断書の受け取り・葬儀社への連絡
  • 退院手続き・安置先の決める
  • 枕経の立ち合いや死装束の準備
  • 葬儀社との打ち合わせ(遺影選び、遺品集めなど)
それぞれ、詳しく見ていきます。

末期の水・エンゼルケア

逝去した後は、末期の水(まつごのみず)とエンゼルケアをおこないます。末期の水は、亡くなった人の口に水を含ませるもので、「亡くなった後も渇きや飢えに苦しまないように」という家族の願いを込めておこなわれる儀式です。病院で亡くなった場合は、必要なものを病院側が準備してくれるので、家族は案内に従っておこないます。
エンゼルケアは、亡くなった人の体をきれいに拭き、排泄物や体液などを処理することです。これらのケア(清拭)が終わったらご遺体の衣服を取り換えて、整髪やお化粧をします。亡くなった場所が病院だった場合は、医師や看護師が主体となってエンゼルケアをおこないます。
これらすべてが終わったら、ご遺体は病院の霊安室に移動、そして安置されるのが一般的な流れです。

死亡診断書の受け取り・葬儀社への連絡

ご遺体が安置されたら、その間に死亡診断書の受け取りや葬儀社への連絡をおこないます。逝去後に医師から受け取る死亡診断書は、死亡届などの公的手続きで提出を求められるので大切に保管してください。
また、病院の霊安室には長くても2~3時間程度しかいられないため、早急に搬送先や葬儀社を決める必要があります。葬儀社は病院から紹介されることもありますが、あらかじめ決まっている場合は断って問題ありません。
なお、逝去後は葬儀社だけでなく、親族や親しい友人、故人や家族の勤務先、学校、菩提寺(ぼだいじ)への連絡も必要に応じておこないます。知人やご近所などへは、お葬式の日程が決まってからで構いません。

退院手続き・安置先を決める

葬儀社のスタッフが到着するまでの間、家族は退院の手続きを進めます。スタッフが病院に到着したら、ご遺体は寝台車で搬送されます。家族はこれに付き添います。ご遺体を自宅に搬送できない場合は、葬儀社や斎場などの安置室に安置できますので心配いりません。
また、葬儀社がご遺体を搬送するときは死亡診断書を携帯します。医師から受け取って葬儀社のスタッフに確認してもらうと安心です。

枕経の立ち合いや死装束の準備

ご遺体を安置する場所についたら、枕元に枕飾りを施したり、ドライアイスで手当てをしたりします。葬儀担当者に任せられることがほとんどです。菩提寺がある場合は、そちらの僧侶に枕経を唱えてもらうのが通例です。
このとき、死化粧や死装束(しにしょうぞく)への着替えなど、儀式をおこなうことがあります。死装束は故人が気に入っていた衣服や、仏教徒なら経帷子(きょうかたびら)、神道は神衣(かむい・しんい)などを着せることも最後に着せる衣服ですから、宗教的な制約がなければ、故人の希望に沿うものや、喜んでくれそうなものを選んで構いません。
これらが終わったら、家族は葬儀社のスタッフとともに納棺の儀式をおこないます。

葬儀社との打ち合わせ(遺影選び、遺品集めなど)

葬儀社との打ち合わせを進めていきます。葬儀の日時、喪主、葬儀の形式や日程(一般葬、家族葬など)、葬儀内容、金額などを決めていき、遺影用の写真も準備します。急なことが多いので、事前の準備などはなくても大丈夫です。喪主が中心となって「どんな葬儀にしたいか」を葬儀社のスタッフに伝えてください。祭壇のほかに、「思い出コーナー」を作成する場合は故人の愛用品の収集もします。

死亡届の提出

死亡届(死亡診断書)は、亡くなったことを知った日から7日以内に市区町村役場に提出しなければなりません。届出先は、故人の本籍地、亡くなった場所、または届出人の所在地の、3つの役場のどこでも大丈夫です。届出人は戸籍法により、同居する親族などと決められていますが、死亡届の提出を役所にするのは葬儀社などの代理人でもかまいません。死亡届を提出すると火葬・埋葬許可証が発行されるので受け取ります。

お葬式で喪主のやること

お葬式の当日は、喪主や家族のやることがたくさんあります。それぞれの儀式の流れと一緒にやることも把握しておくと、いざというときに向けた心の準備や人の手配ができるでしょう。今回は、お通夜、葬儀・告別式、火葬に分けてやることを説明します。
【お葬式でやることリスト】
  • お通夜(挨拶など)
  • 葬儀・告別式(挨拶・お金の確認)
  • 火葬(移動、収骨)

お通夜(挨拶など)

喪主や家族は、お通夜が始まる1時間前には会場入りをして、必要な準備を進めていきます。
<喪主・家族がやることの一例>
  • 式場設営に関する確認(供花札や席次など)
  • 僧侶への挨拶
  • 戒名の受け取り
  • お通夜、通夜振る舞いの喪主挨拶
  • 受付担当者から香典の受け取り

葬儀・告別式(挨拶・お金の確認)

葬儀・告別式の日も、喪主や家族は1時間前には会場入りをします。お通夜葬儀の流れは、事前に把握しておくとスムーズに進められます。
<喪主・家族がやることの一例>
  • 式に関する最終打ち合わせ(焼香や献花の順番や紹介する弔電など)
  • 棺に納めるものの確認
  • 僧侶への挨拶(お車代、御膳料を渡す)
  • 葬儀・告別式での喪主挨拶
  • 受付担当者から香典を受け取る
逝去後、葬儀社との打ち合わせや訃報の作成、そしてお通夜と進み、葬儀当日は心身ともに疲れがピークに達することもあります。しかし、喪主や家族はやることに追われ、なかなか休む暇がないもの。そんな中でも葬儀に関係することで、挨拶やお金の授受以外は、葬儀社でまかなえることが多いです。故人の愛用品や思い出の写真などを飾った思い出コーナーにふれる時間も持っていただきたいです。「時間」と「安心」を作ってくれる葬儀社に出会えるといいですね。
思い出コーナーのイメージ

火葬(移動・収骨)

葬儀が終わり、ご遺体が納められた棺を霊柩車に載せたら、喪主を始めとする家族や僧侶、関係者は火葬場へ移動します。火葬場に到着後は仮祭壇に遺影などを飾り、故人と最後のお別れの時間を過ごします。
<喪主・家族がやることの一例>
  • 火葬場への移動
  • 火葬炉前の読経、最後の焼香
  • 会食
  • 収骨
火葬が終わったら収骨をし、最後に喪主が喉仏の骨を骨壺に納めます。骨壺は喪主が持ち帰るのが一般的です。

お葬式後に喪主のやること

お葬式が終わった後もやることは多く、埋葬先を決めたり、役所などへの各種手続き、四十九日法要の準備、香典返しの手配をしていかなくてはなりません。
【お葬式後のやることリスト】
  • 埋葬先(納骨、散骨、樹木葬など)の決定
  • お葬式後の各種手続き
  • 精四十九日法要、香典返しの手配
下記にそれぞれ説明していきます。

埋葬先(納骨、散骨・樹木葬など)の決定

納骨(のうこつ)」とは、火葬の後に遺骨をお墓に納めることです。遺族が集まりやすい四十九日法要と一緒に行われることが多いです。

また、昨今では遺骨を粉末状にして海や山などの自然の中に撒く散骨や樹木を目印に遺骨を納める樹木葬というかたちで弔う方法もニーズが高まっています。

お葬式後の各種手続き

お葬式後には、しなくてはいけない手続きが数多くあります。この中で、死亡後2週間以内にしなければならない手続きをこちらで紹介します。
<喪主・家族がやることの一例>
  • 年金受給停止の手続き
  • 介護保険資格喪失届の提出
  • 世帯主の変更届の提出
  • 国民健康保険証の返却
詳細やその他の手続きに関しては下記の記事を参考にしてください。

四十九日法要、香典返しの手配

四十九日法要は葬儀後の最も重要な法要となるため早めの準備が必要となります。日取りや場所決め、本位牌、仏壇の用意、食事の手配など様々な準備が必要です。
お葬式でいただいた香典の「お返し」の準備も必要となります。香典返しは、四十九日を無事に終えたことを伝える意味を持ちます。送るタイミングや相場、品物については以下の記事にて説明していますので参考にしてください。

よくある質問

喪主を務める人が疑問に思うことを以下にまとめてみました。参考にしてみてください。

喪主の決め方は?

喪主になるべき人の選び方については明確なルールはありませんが、配偶者や直系の子といった故人と血縁関係の近い近親者が担当することが多くあります。
もし遺言書に故人の遺志があればその人が担当したり、該当者が多い場合は共同喪主というかたちも可能です。

葬儀の日程はどう決める?

まず亡くなってから火葬まで24時間を空けるという決まりが法律により定められていることを考えて葬儀日程を計画します。

葬儀の形式も日程を決めるのに重要です。最も一般的なお通夜と葬儀・告別式のある「二日葬」、お通夜を省いた「一日葬」、お通夜、葬儀・告別式を何もおこなわない「直葬(ちょくそう)」など、どの形式にするかを考えておく必要があります。

葬儀には誰を呼ぶ?

呼ぶ人に対しては明確な決まりはありません。三親等以内の血族である親、子、孫、兄弟姉妹などに声をかけることが多いです。これは一般葬でも家族葬であっても同様の考え方になります。
ただし親族であっても遠方でご病気の方は呼ばなかったり、親族でなくても生前に故人と仲良くされた方に声をかけることもあります。

喪主はどんな挨拶をすればいい?

参列していただいた方や宗教者に感謝の気持ちを伝えることが大切になります。喪主として、または故人の気持ちを代弁する双方の立場から周りへの感謝を伝えてみてください。

挨拶をするタイミングや挨拶の内容などは以下の記事を参考にしてみてください。

葬儀前後でやることを知り、喪主の役割を把握しよう

大切な人が亡くなったときは辛く悲しいものですが、喪主は悲しんでいる暇がないほどやることが多い立場です。事前にやることを把握しておくと、気持ちの準備だけではなく、人・物・事の事前の手配ができます。悲しみと向き合うのはキツイかもしれませんが、しっかりと最後のお別れができると、心残りは少なくなるかもしれません。喪主や家族のやることを把握して、役割分担を今のうちから考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーの講師も務める。東京・神奈川・埼玉を中心に都市部の葬儀相談をおこなっている。