訃報の送り方を紹介。そのまま使える例文とマナーを解説

ご家族の通夜・葬式準備
訃報の送り方を紹介。そのまま使える例文とマナーを解説
人が亡くなったことを知らせるための、訃報(ふほう)。できれば考えたくないことですが、自分の身内が亡くなった場合は、速やかに関係者に訃報を伝える必要があります。この記事では、訃報を送る際のポイントと、そのまま使える例文を紹介します。いざというときに落ち着いて対処できるよう、役立ててください。

【基本】訃報の送り方

なるべく早く訃報を知らせるためには、基本の伝え方を把握することが大切です。ここでは、訃報を知らせる順序や、伝えるべき内容について紹介します。

訃報を伝える順序

身内がこの世を去ったときは、故人と縁の深い人から順番に親密な人へ連絡をします。具体的には家族や親戚に電話をかけます。必ず葬儀に参列する必要があって遠い場所に住む人には、スケジュール調整のために優先的に連絡するのがおすすめです。通常、友人や知人へは葬儀日程が決まるまで連絡はしません。
次に、葬儀のスケジュールを定めるため、葬儀社やお寺とのやり取りをおこないます。檀家として懇意にしているお寺がある場合は、僧侶などに電話連絡を取るのが基本です。
葬儀社やお寺に続いて、亡くなった人が親しくしていた知り合いや、仕事関連の人に訃報を伝えます。知人のひとりに、自分に代わって周りの人に訃報を知らせてもらうよう、お願いするのも1つの方法です。
忌引の手続きがあるため、自分の勤める会社や子どもの学校などへは、葬儀の詳細が決まってから連絡します。仕事上で直接関係がある上司、担任の先生などに伝えると、スムーズです。

訃報で伝えるべき内容

故人が亡くなったことと、葬儀への案内を含めるのが一般的な訃報です。ほかには、故人の氏名、葬儀のスケジュールと場所、葬儀における宗派と形式、喪主となる人の氏名と連絡先を伝えます。
さらに、葬儀を依頼する葬儀社名も伝えておくと供花などをどこへ依頼すればよいかが分かり、訃報を受ける相手にとって親切と言えるでしょう。
詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

電話で訃報を伝えるときの例文

家族や友人など、近しい関係にある人への訃報は、基本的に電話で伝えることが多いでしょう。ここでは、電話をするときに役立つ例文を紹介します。最近はLINEやメールなど文章での会話が多く、急な電話は緊張するかもしれませんので、例文を元に要点をメモしておいてはいかがでしょうか。

親族に向けた通話の例文

<葬儀が決まる前の連絡>
「■■■■の娘の■■です。以前より闘病していた母の■■が、今朝早くに旅立ちました。葬儀については、詳細が決まりましたらお伝えします。もし、後でご連絡いただく場合は、私の携帯電話にお知らせください。番号は、○○○-○○○○-○○○○です」
<葬儀が決まった後の連絡>
「昨日お伝えした母の葬儀について、詳細が決まりましたので連絡させていただきました。通夜は□日に□時から、場所は□ホールです。告別式は□日に□時からで、場所は通夜と変わりません。形式は、仏式となる予定です。喪主は夫ですので、連絡事項がありましたら、夫の番号○○○-○○○○-○○○○にお電話いただきますよう、お願いいたします」

故人の知人や友人に向けた通話の例文

「急な連絡となり、申し訳ありません。私、■■■■の娘の■■と申します。母の■■が不慮の事故により、□月□日の夕方に他界しました。母の生前は、とても親しくさせていただいたと聞いております。誠にありがとうございました。母は、生前より家族葬を望んでおりましたので、葬儀は親族のみで執りおこなう予定です。勝手を申しますが、どうぞよろしくお願いいたします」

家族葬の場合、葬儀後の訃報で構いませんが、事前に連絡がないことを不満に思う人もいます。また、家族葬への参列を希望するような近しい間柄の場合は、追加で葬儀の詳細を伝えます。

故人の勤務先に向けた通話の例文

「いつもお世話になっております。■■■■の娘です。病気のため、お休みをいただいておりました父■■■■が、本日の正午に亡くなりました。通夜は□月□日の□時から、告別式は□月□日の□時から■■斎場でおこなう予定です。喪主は母となりますが、何かありましたら私の携帯電話にご連絡をお願いします。番号は、○○○-○○○○-○○○○です」
故人が会社に勤めているときは、家族葬で会社関係者の参列がない場合でも必ず訃報を伝えてください。さまざまな手続きが必要となるためです。

喪主の勤務先に向けた通話の例文

「■■です。おはようございます。突然になりますが、昨日の夜に父が亡くなり、葬儀を執りおこなうことになりました。そのため、□月□日から□日の□日間、忌引として休みを取らせていただきたいのですが、問題ないでしょうか。(承諾を得た場合)ありがとうございます。急なことで、ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。葬儀の詳細が決まりましたら、すぐにメールでお伝えしますので、よろしくお願いします」

メール・ハガキで訃報を流すときの例文

「電話がつながらない」「通話後、改めて葬儀のスケジュールを伝える」「葬儀後に訃報を伝える」といった場合、これまではハガキを送ることが主流でした。近年は時流に沿ってメールやLINEで訃報を知らせることが増えています。ここでは、ハガキやメール、LINEなどの文章で訃報を伝えるときに使える文例を紹介します。

故人の関係者に向けた例文

かねてより病気と闘っていました父■■■■が □月□日○時に他界いたしました 生前は たくさんのご厚意をいただき 謹んで御礼申し上げます なお 通夜および葬儀告別式を下記(左記:縦書きの場合)の通り神式にておこないます


一.通夜 
□□□□年□月□日 午後□時〜□時

一. 葬儀告別式 
□□□□年□月□日 午後□時〜□時

一. 場所 
■■(斎場の名称)
住所 ■■県〜〜市○-○-○
電話 ○○○-○○○○-○○○○

一. 喪主 
■■(故人との続柄) ■■■■(喪主の氏名)

喪主の勤務先に向けた例文

令和□年□月□日 (役職)■■■■様
不慮の事故で治療をおこなっていた父が永眠いたしました 以下の通りご報告申し上げます
故人氏名:■■■■(享年□□歳)
続柄:実父
死亡日:令和□年□月□日 
その他:□月□日~□日の□日間 忌引による休暇を申請いたします(連絡先:○○○-○○○○-○○○○)
なお 故人の遺志により 葬儀は家族のみで執りおこなうこととなりました 恐れ入りますが ご厚志につきましては失礼ながら辞退させていただきます 何卒よろしくお願いいたします

■■■■(喪主の名前)

葬儀後、後日訃報を伝える場合の例文

母 ■■■■は □月□日 □□歳にて永眠いたしました 故人の意志を尊重し 葬儀は□月□日に家族葬にて相済ませました ご通知が遅れたことを深くおわび申し上げるとともに 生前のご厚情に心より感謝申し上げます

気を付けるべき訃報のマナー

訃報を送るときは、気を付けるべきマナーがいくつかあります。ここでは、訃報のマナーを紹介。知らない間に、相手へ失礼な対応をしないための参考にしてください。

時候の挨拶は必要ない

書面で訃報を知らせる際、季節や相手の体調を尋ねる時候の挨拶文は不要です。簡潔に必要な内容を伝えるようにします。

忌み言葉・句読点は使わない

訃報を知らせる際は、氏名や日時の間違いに気を付けるほか、下記のような忌み言葉や重ね言葉を使わないようにします。うっかり使いそうになる言葉もあるため、注意が必要です。
  • 「消える」「落ちる」「数字の四や九」などの不吉な言葉
  • 「たびたび」「くれぐれ」「いよいよ」「重ね重ね」など、よくないことが重なるとイメージさせる重ね言葉
  • 「再び」「続いて」「引き続き」など、不幸が継続するとイメージさせる言葉
また、「つつがなく葬儀を済ませられるように」という願いを込め、ハガキやメールでの訃報では句読点を使用しません。

年配者へのSNSやメールの連絡は今一度考える

一斉送信によって、いち早く多くの人に訃報を伝えられるSNSやメール。利便性の高さから失礼にはあたらないとみなされることが増えていますが、死を軽視しているように見えるなどの意見もあり、賛否が分かれています。
電話やFAXでの連絡を日常的におこなう年配者は、特にSNSやメールに否定的な考えを持つことが多いため、失礼にあたらないよう配慮が必要です。

例文をつかって訃報を正しく伝えよう

大切な人を失い、悲しみに暮れていると、訃報の詳細を考える余裕がないことも考えられます。いざというときに対処できるよう、訃報を送る相手や内容などを事前に確認しておくと安心です。

この記事の監修者

政田礼美 1級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター技能審査制度)
家族葬のファミーユ初の女性葬祭ディレクター。葬儀スタッフ歴は10年以上。オンライン葬儀相談セミナーなどを担当。